井上 大作
1979年広島県広島市出身。前職では、カフェチェーンのマーケティング本部にて販促/宣伝・広報PRを担当。2014年、日東エネルギー・ホールディングスに入社。企業認知度向上を目的とした、企業ブランディング・広報PR・広告宣伝・Web戦略などコーポレート・コミュニケーションのフレームワークづくりに従事。エネルギー供給事業を取り巻く環境が大きく、かつ、急速に変化している昨今、お客さまの価値観の変化・サービスの多様化・デジタル化、そしてサステナブル社会の実現に柔軟に対応していくため、マーケティング業務のデジタルシフトを推進している。また、2021年4月のコーポレートサイト全面リニューアルを機にグループ全体でSDGsへの取り組みを開始。今後は、各事業を横断して日東エネルギーグループ全体の活動や取り組みをより多くの方に知っていただくことに力を注ぎたいと考えている。
introduction
日東エネルギーグループは、1942年に創立された東京都足立区に本社がある今年で80周年を迎えるインフラ企業です。LPガス、都市ガスなど、様々なエネルギー供給に加え、スーパーマーケットや移動スーパー運営による行政と連携した見守りサポートで地域社会に貢献しています。今回、日東エネルギーが取り組むSDGsについて、総務部の井上大作さんに話を伺いました。
エネルギー供給会社として取り組む脱炭素化
–今日はよろしくお願いします。早速ですが、日東エネルギーの事業内容を教えてください。
井上さん:
東京、埼玉、群馬、栃木、茨城、千葉の一都五県に、LPガスや都市ガスなどのエネルギーの製造・供給をはじめ、住宅設備機器の販売、太陽光発電や蓄電池などを取り扱う新エネルギー事業、リフォーム事業、スーパーマーケット事業など様々な事業展開を行っております。
当社のロゴは、「赤い炎」とNITTOHの「N」をイメージしています。
ブランドメッセージは「ENERGY MAKES YOU HAPPY」で、エネルギーを通じてみなさんをハッピーにしたいという思いが込められています。
–日東エネルギーは、エネルギー事業者として、どのようにSDGsに取り組んでいますか?
井上さん:
当社は、クリーンエネルギーの普及・強固なインフラの構築・地域貢献の3つの軸で取り組んでいます。
–では、1つずつ伺いたいと思います。
エネルギー供給会社として取り組む脱炭素化
井上さん:
まずはクリーンエネルギーの普及についてです。
弊社はLPガスを取り扱っています。LPガスはプロパンとブタンを主な主成分にしています。化石燃料のなかでもCO2排出量が少ないため、環境にやさしいエネルギーと言えます。
–LPガスが環境にやさしいということは知りませんでした。
井上さん:
はい。 LPガスには硫黄分がほとんど含まれておらず、窒素の含有もありません。また、燃焼してもススや灰が出ないためクリーンです。LPガスはオゾン層の破壊につながるフロンガスの代替物質としても使用されています。
–LPガスに変えることで脱炭素化への対策になるんですね。
強固なインフラ構築で災害に備える
–続いて、災害に強いインフラ構築について教えてください。
井上さん:
災害は避けることができないため、備えが最も重要です。そこで当社では、災害時も安全安心な生活を継続していただけるよう、強固なインフラ構築に取り組んでいます。
–具体的にはどのような取り組みを行っているのでしょうか?
井上さん:
ガスの製造、供給、消費の各段階において安全を確保しています。当社は7つのガスセンターを保有していますが、そのうちの5つが、経済産業省の指定する「災害時対応型中核充填所」に選定されています。
–災害時対応型中核充填所とは何ですか?
井上さん:
東日本大震災が発生した際、LPガスの充填所が稼働停止に追い込まれた教訓から、供給体制の強化を目指して2011年からスタートしたものです。
この施設には、非常用発電設備や緊急時の通信設備、LPG車などを配備しているため、災害時に自立してエネルギーを供給できます。これらの設備を備えた当社のセンターでは、災害時の安定供給が強化されています。
–緊急時に利用できる体制が整っているのは安心ですね。震災時、ガスの復旧作業の遅れなども指摘されていたと思います。その点では何か対策されていますか?
井上さん:
その点では、LPガスは分散型のエネルギーなため、災害時でもすぐに復旧できるという特徴があります。
–分散型のエネルギーとはどういったものでしょうか?
井上さん:
LPガスは、容器に充てんして持ち運びができ、自立的に稼働できるエネルギーです。住宅の裏に2~3本のガスボンベが設置されているのを目にしたことがある方も多いと思います。
もう少し噛み砕いて説明すると、自宅で鍋料理や焼き肉をする際、卓上コンロで携帯用ガスボンベを使いますよね。あれが生活の中で一番身近な「分散型エネルギー」です。当該施設に設置し、ガス器具と接続する簡単な工事だけで、いつでもどこでもエネルギーを使えます。
–だから「自立的」で「分散型」のエネルギーなんですね。
井上さん:
はい。分散型エネルギーであるLPガスは、都市ガスと違って災害時に一斉にガスが使えないという事態にはなりません。復旧も設置したボンベとメーターを個別に調査・点検を行うだけで、時間がかかることもありませんし、私たちが24時間365日対応できるような体勢を整えています。
–災害への備え・災害後の対応の2つの観点からインフラ整備を進めているのがわかりました。
地域貢献で人々の暮らしを支える
–次に地域貢献について教えてください。
井上さん:
当社は「住み続けられるまち」をつくるために、地域に根付いた企業文化を創造し、貢献することが重要だと考えて、スーパーマーケット事業を始めました。実店舗に加えて、車に商品を積み、こちらからお客様の住まいの地域に向かう移動型のスーパーを展開しています。
–スーパーマーケット事業を展開されていることは意外でした。
井上さん:
「買い物難民」と言われるお客様にも商品をお届けしたいという思いからこの事業を始めました。ご高齢のお客様は移動が困難だったり、重い荷物を持てなかったりと、通常のスーパーでは買い物に行くのに不自由なこともありますが、移動型スーパーであれば買い物しやすくなります。
–それは便利ですね。超高齢社会となった日本では、高齢者の買い物の便をどう確保するのかが問題になっていますよね。
井上さん:
そうなんです。当社の移動車は、音楽を鳴らしながら、毎月同じ日時に同じ場所に伺います。音楽が聞こえたらお客様がご自宅から出てきてくださるんです。移動車の周りにお客様が集まってくださって、ちょっとした井戸端会議が始まります。お客様からは、「会話するのが楽しくて移動車が来るのが待ち遠しい」とご好評いただいています。
–移動車が向かう先でちょっとしたコミュニティができるんですね。高齢者は、買い物や外出の回数が減ると引きこもりがちになったりコミュニケーションが不足したりしがちです。そうすると、認知機能やメンタル面にも影響が及ぶと考えられます。
–移動型スーパーマーケットは、高齢者の買い物の利便性を高めるだけでなく、健康にも寄与していると言えますね。
「暮らしのホームドクター」としての責任感が社員の成長を促す
–他にも地域貢献のための取り組みはありますか?
井上さん:
お客様のお宅へ訪問している強みを活かして、行政と連携した地域の見守りサポートも行っています。当社はガスの供給やガス機器販売の他に、リフォーム事業も行っており、家やライフラインに関わるお困りごとを何でも相談していただきたいと思っています。
–ホームドクターのようなイメージですね。
井上さん:
そうですね。お客様からも「日東さんに相談してよかった」というお声を頂戴しています。当社は、自治体と高齢者の見守り協定も締結しています。
–もともとインフラ企業としてお客様からの信頼がある上に、こまめな声かけでさらに信頼関係を作っているんですね。このような信頼を得るには人材育成も大切になってくるのではないでしょうか。
井上さん:
仰る通りで、信頼関係を構築するには、社員一人一人が高いスキルを持つことが大切です。そのため私たちは、人材育成にも力を入れています。
–具体的にはどのようなことをされているのでしょう?
井上さん:
特に社員のコンプライアンス研修に力を入れています。また新卒で入社した社員には、1年間のサポートを付けています。
部署にもよりますが、サポートには、新卒社員と同年代である入社4~5年目の社員を指名します。新卒社員は1年間のサポート期間、先輩と一緒に行動して技術や知識を学びます。
–新卒社員さんには心強い環境ですね。
井上さん:
サポート社員の年齢が近いため、新卒社員は気軽に質問できるようです。このサポート制度を取り入れてから、新卒社員の離職が大幅に減りました。
–サポート制度でどのくらい離職率が減りましたか?
井上さん:
当社には毎年10人前後新卒社員が入ってきますが、ここ数年は新卒社員のほとんどが3年以上在職しています。
–どの会社でも社員の離職防止は課題にあがっているなか、素晴らしいですね!
100年企業と脱炭素化社会の実現に向けて
–SDGs達成目標は2030年です。最後に日東エネルギーの展望を教えてください。
井上さん:
我々日東エネルギーグループは、様々な事業を通じて、地域社会の課題解決に取り組んでいます。エネルギー供給事業者としてSDGsに取り組み、安心で安定したガス供給や、質の高いサービスの提供を続けます。また、WEB戦略やデジタルツールを活用したDXを推進させたいと考えています。
–脱炭素化に向けて、さらに事業を展開するんですね。
井上さん:
はい。当社は今年80周年を迎えました。20年後の2042年には、日東エネルギーは100年企業になります。カーボンニュートラル・脱炭素化社会の目標が2050年ですので、ちょうど同じ時期です。
当社の社長は私たちに、仕事するときは「A・T・M」が大事だと話しています。A・T・Mとは「明るく・楽しく・前向きに」という意味です。この言葉を胸に、会社の100周年とSDGsの達成に向けて、当社はさらに事業を加速させていきます。
–インフラ企業ならではの強みを活かしたSDGsの取り組みをご紹介頂きました。ありがとうございました!