この数年で、メディアで「プラントベース」が取り上げられる機会が増えてきました。
プラントベースが話題になってきた背景には、人々の健康志向意識の向上や、環境問題、食糧不足などがあります。
植物を表すプラント(Plant)という単語から、なんとなく「菜食」のイメージが思い浮かびますが、「ベジタリアンやヴィーガンとの違い」や、「どのような食生活を送ることなのか」といったことは知らない人が多いと思います。
そこでこの記事では、プラントベースについて詳しく見ていきます。
健康な身体を目指したい人や、菜食に興味のある人は、ぜひ最後まで読んでみて下さいね!
目次
プラントベースとは?
プラントベース(Plant-based)とは、アメリカで始まった、植物性食品を積極的に取り入れる食事スタイルのことです。
プラントベースの一番の目的は健康
プラントベースは、英語では「Plant-based diet(プラント・ベースド・ダイエット)」と表記することが多く、植物性食品を中心とした食事法を実践し、健康な身体を目指すといった意味合いが含まれています。
現在では、プラントベースの食生活を取り入れることで心臓病や糖尿病、がんなどの慢性疾患のリスクを下げられると考えられています。
健康のために行う植物性食品を推奨する食生活なので、野菜しか食べられない完全な「菜食主義」というわけではなく、身体の健康と栄養バランスを重視し、必要であれば動物性食品も少量取り入れるのが、プラントベースの食事法です。
実際、プラントベースを謳う商品の中には、卵や乳製品のほか、添加物や鉱物といった成分を含むこともあります。
栄養学者が提唱
そもそも「プラントベース」という言葉を最初に使いはじめたとされているのは、アメリカの栄養学者T. コリン・キャンベル氏。1980~90年代にかけて、食の多様性が見られる中国にて、食生活とがん疾患のリスクに関する研究を行なった人物です。
キャンベル氏の研究結果では「動物性食品を食べない生活スタイルが最も疾患リスクが低い」との結論にいたり、以降、家族とともにプラントベースを実践しています。
その後、世界的に広がりさまざまな解釈や考え方が加わるようになりました。
現在では、プラントベースの食生活を取り入れることで心臓病や糖尿病、がんなどの慢性疾患のリスクを下げられると考えられています。
例えば日本で「プラントベース」というと、ダイエット目的で取り入れる傾向が高く、とりわけメディアで紹介される場合、
- ソイミート(大豆ミート)
- 植物性ミルク、ヨーグルト
- ネクストミート(代替肉)
のような植物性由来の原料を中心とした加工食品に対して「プラントベース」を用いることが多くあります。
とはいえ、どのプラントベースを実践する場合も、積極的に食べるもの、避けたいものが設定されているため、次で見ていきましょう。
積極的に食べるもの・避けたいもの
先述したように、プラントベースの歴史は浅いこともあり、明確な定義はまだありません。実践する人や推奨機関によって多少異なることもあり、積極的に食べるものと避けるものにもはっきりとした線引きがないのが現状です。そのため以下では、大まかな分類としてまとめています。
・全粒穀物:精製されていない米や穀物類(玄米・全粒小麦粉など)
・野菜
・果物
・海藻
・豆類:大豆、レンズ豆、小豆、ひよこ豆、インゲン豆など
・ナッツ&シード類:くるみ、ごま、アーモンド、かぼちゃの種など
・ハーブ&スパイス
・精製された穀物類(白米、白い小麦粉が入ったパンやパスタなど)
・卵
・乳製品(チーズ、ミルクなど)
・植物性ミルク
・オイル
これらの食材は、推奨機関によっては「避けるべき食材」に分類されることもあります。
できるだけ取り入れないようにしたいところですが、原材料の一部に入っているなど、やむを得ない場合は許容範囲としてもいいかもしれません。
・肉類
・魚介類
・加工食品
・精製された砂糖
この中でも、加工食品に関しては種類によるところがあるようです。
必ずしも避けなければならない、というわけではなく、人によって考え方は異なります。ですが、できるだけ自然に近い状態の食材を取り入れるのがベストです。
さて、ここまで読むと、ベジタリアンやヴィーガンと何が違うのかという疑問を抱く方もいると思います。それぞれの違いを確認しましょう。
プラントベース | ベジタリアン | ヴィーガン |
---|---|---|
植物性由来の食事を推奨し、なるべく動物性の食物を避けるようにする | 野菜や穀物・海藻といった植物由来の食事を中心にする | 動物搾取をしないために肉や魚だけでなく乳製品や卵などの動物性の食物も避ける |
ベジタリアンと何が違う?
ベジタリアン(Vegetarian)とは、野菜や穀物・海藻のような植物由来の食事を中心とする人々のことです。
語源であるラテン語「Vegetus」には「健全な・活発な」という意味合いがあります。よってベジタリアンは「健康で生き生きとしている力強い人」ともいえます。
プラントベースとベジタリアンの食事を比較すると、植物性食品を中心に、卵や乳製品を食べる点が共通していますが、「菜食を実践する理由」に大きな違いがあるといえます。
ベジタリアンになるきっかけは、人によってさまざまですが、健康上というよりも宗教や環境保全・倫理面を理由に挙げるケースが多く、自身の身体以外にも守るべき哲学を持っている傾向が強くあります。
ヴィーガンと何が違う?
ヴィーガン(Vegan)は、1940年代にイギリスで生まれた菜食運動(Veganism)の流れで「動物搾取をしない」「生き物の種類によって差別をしない」という信念を持った人たちを指します。
彼らは肉・魚はもちろん、乳製品や卵・蜂蜜を口にすることを避けた食生活が主流です。また同じ植物性食品でも「環境破壊が生態系を乱す」「倫理に反する」などの理由から、
- 森林破壊につながる生産方法を行なうパームオイルを摂らない
- 牛骨灰で精製された恐れのある砂糖は食べない
といった人もいます。
さらにはヴィーガンは、食事だけでなく暮らし全体や生き方を通して「動物搾取をしない」という哲学を持っているのも特徴です。
例えばファッション面なら、動物の命を奪うレザーやファーはもちろん、羊を傷つける方法で採取したウールを避ける傾向にあります。
プラントベースが「健康」を意識した菜食中心主義であるのに対し、ヴィーガンは環境やエシカル・アニマルウェルフェアの観点から菜食を実践している点に、大きな違いが見られます。
※人によって考え方は異なるため、同じヴィーガンでも多少ルールの違いはあります。
【補足】ホールフードプラントベース(WFPB)という食事法
ここで1つ補足があります。先述したように、プラントベースは時代とともに解釈なども変化してきました。そのため、キャンベル氏が提唱していた、もともとのプラントベースの考え方である、
- 植物性食品でも精製された砂糖や白米・白い小麦粉といったものは避ける
- 動物製品もできるだけ摂らない
- 全粒穀物や皮付き野菜を積極的に摂る
などを重視した食事方法を「ホールフードプラントベース(WFPB)」と呼び、区別するようになっています。
ホールフード(Whole Food)をさらに掘り下げて
ホールフードは、
- 精製していない玄米・全粒粉のような穀物
- 出来るだけ外皮を取り除かない野菜・果物
- 加工の過程が少ない食べ物
といった食材を指し、食材を丸ごといただくことを指します。
日本語では「一物全体(いちぶつぜんたい)」といい、穀物や皮・根っこといった部分に含まれる食物繊維と栄養を取り入れよう、と
いう考え方に基づいています。
以下は、ヴィーガンとベジタリアン・WFPBが食べる食材の一覧を表した図です。
(左からヴィーガン、ベジタリアン、WFPB。緑のチェックはOK、赤はNG、オレンジ線は「避ける」という意味です)
最近の使われ方の主流であるプラントベースでは、卵や乳製品をまったく摂らないわけではありませんが、ホールフードプラントベースではNGとなっています。加えて、ホールフードプラントベースは、加工の過程が多いオイル類や、大豆ミートのような加工食品も出来るだけ避ける点が特徴です。
ただし、ホールフードプラントベースの実践者の中でも考え方はそれぞれ異なるため、必ずしも上記の食材を避けているわけではありません。
大切なのは、その人にとってベストな栄養バランスを整えること。少量の卵や乳製品・オイルを摂ることもあります。
まとめると、プラントベースには大きく分けて、2つの概念があるといえます。
- 植物製品を積極的に取り入れる、広い意味での「プラントベース」
- 同じ植物性食品でもオイルや加工・精製食品を避ける「ホールフードプラントベース」
よく似た概念「マクロビオティック」との違いは?
ホールフードプラントベース(WFPB)の説明を読んで、もしかしたら中には「マクロビオティック」の食事法を連想する人もいるのではないでしょうか。実際、筆者も「マクロビオティックとWFPBは何が違うの?」という疑問が浮かびました。
マクロビオティック(Macrobiotic)とは、日本人の桜井如一(またはジョージ・オーサワ)が広めた、玄米菜食中心の食事法を指します。
- 一物全体(出来るだけ精製していない穀物や、野菜・果実を丸ごといただく)
- 身土不二(住んでいる地域から、出来るだけ旬のものをいただく)
以上の2大原則を基本とし、「すべての事象は陰陽に基づく」とする陰陽思想と結びつけて、食材・調理法を選ぶのが特徴です。
また、あくまでも「調和」をベースとした考え方をもとに食事をとるため、必ずしも植物性食品に限っているわけではありません。
出来るだけ添加物や精製食品を避け、自然の状態に近い食材を口にする点は、WFPBと共通していますが、マクロビオティックは、食事法に限らず生き方全体にまつわる思想です。つまり、食事の面で共通点がありつつも、やはり異なるものだといえます。
このように、同じ菜食主義でもそれぞれ違いがあることが分かりました。
では次に、プラントベースの食事を実践する目的について深堀していきましょう。
プラントベースはハードルが高い?
ここまでプラントベースについてお話してきました。なんとなく「自分が実践するのは難しそう」と感じた人もいるかもしれません。
しかし実際は、プラントベースの食生活スタイルは人それぞれであるため、厳格なルールを設けるのではなく、自分にとってやりやすい方法を見つけて取り入れるのがベストです。
そこでここでは、誰もが簡単にプラントベースを取り入れられるヒントをお届けします。
週に1回でもOK
プラントベースをこれから始める方は、まず週に1回の食事を変えてみることをおすすめします。
動物食品には豊富なたんぱく質やビタミンが含まれていますが、実はほとんどの栄養素を植物性食品で賄うことが可能です。たとえば、菜食で賄える栄養分の一部例として
- タンパク質:大豆製品、ひよこ豆、レンズ豆、小豆、ナッツ類など
- カルシウム:緑色野菜(ケールやブロッコリーなど)、豆類、ナッツ類など
- オメガ3:海藻、大豆、チアシード、フラックシード、クルミなど
- 鉄分:パンプキンシード、大豆加工食品(豆腐やテンペなど)、豆類、じゃがいもなど
- ビタミンC:いちご、ブロッコリー、トマト、かんきつ類、メロン、すいかなど
のように、ほとんどが植物性食品で代替可能です。
特に豆類や海藻・根菜類は、メインまたは食感のアクセントとして使いやすいため、肉や魚のかわりにこういった食材をサラダやスープ・炒め物など好きな料理に取り入れてみるのはいかがでしょうか。
これまでチャレンジしてこなかった意外な食材・味の組み合わせを発見できるかもしれませんよ。
プラントベースフードの登場
他にも、プラントベースフードを取り入れてみるのも良いでしょう。
プラントベースフードとは、大豆や野菜といった植物性食材からつくられた食品を指します。近年は技術が発展し、動物性食材を使わなくても食べ応えの商品が増えてきました。
肉や卵・牛乳の代わりにプラントベースフードを使用すれば、普段の食事はもちろん、おやつ作りにも役立ちます。
プラントベースフードの種類
では、具体的にどんな種類があるのかチェックしてみましょう。
大豆ミート
最もポピュラーなプラントベースフードといえば、大豆ミート(ソイミート)です。
動物の肉の代わりに大豆を加工し、食べ応えのある味わいと食感が特徴。種類が非常に幅広く、ミンチのようなタイプから、唐揚げに向いたタイプまで豊富なラインナップが揃います。
メイン料理にはもちろん、カレーやパスタ・スープといったメニューに取り入れるのもおすすめです。
フェイクミート
大豆に限らず、さまざまな植物性素材や最新技術を駆使したプラントベースフードもあります。
中でも近年、注目を集めているのが「フェイクミート(代替肉)」です。大豆ミートもこのフェイクミートに含まれます。
たとえば、アメリカの企業・Beyond Meat(ビヨンド・ミート)は、エンドウ豆を主原料としたフェイクミートを製造しています。原材料は、とてもシンプルで、Beyond Meatの製造工場では、
- エンドウ豆
- じゃがいもでんぷん粉
- ココナッツオイル
- ビーツ
- 塩
を水と一緒に混ぜてすりつぶし、ハンバーグやソーセージといった形に整えます。これだけで、まるで本物の肉のような食感を楽しめるのです。豆類以外にも小麦粉のグルテンからできたフェイクミートもあります。
普段の料理はもちろん、ちょっと特別な場面やパーティーのメニューに加えれば、肉を食べる人とも一緒に楽しめる点も魅力です。
植物性ミルク
日本で親しみのある大豆はもちろん、近年はオーツ麦やアーモンド・ココナッツといった植物性原料を使ったミルク製品が急増しています。
メインで使われる原材料によって味わいが異なり、アーモンドやココナッツは甘さが強いため、お菓子作りやドリンク・グラノーラとあわせて使うといいでしょう。さらに、ミルクだけでなくヨーグルトやフレッシュクリーム・バターといったバラエティが増えてきました。
プラントベースの食生活を送っている人でも、乳製品が恋しくなった際に取り入れられるのがうれしいポイントです。
色々と試してみて、ぜひお気に入りの1品を見つけてみてはいかがでしょうか。
プラントベースフードを選ぶ際の注意点
プラントベースフードのラインナップが増えていく中で、いくつか注意点があります。
ラベル・原材料をよくチェックしよう
プラントベースフードの場合、通常の食品とよく似せてあるため、外見だけでは区別がつきにくいケースもあります。
お店によっては、動物性食品と並べて売ってあることもあり、プラントベースフードを買ったつもりが普通のお肉だった、といったこともあるかもしれません。
消費者庁によると、プラントベースフードの販売に際しては「オーツ麦を使用したものです」や「お肉を使用していません」のような表示を求めているため、購入の際に見分けるには、ラベルをよく確認する必要があります。
また、商品によっては原材料の一部に乳製品や卵のような動物性食品、または添加物を使用していることもあります。もしそういったものを避けたいと考えている人は、裏面の原材料一覧までチェックしてから購入するようにしましょう。
全体の栄養バランスに気を付けよう
プラントベースの食事は、健康に気を遣い、栄養バランスを考えながら楽しむものです。
プラントベースフードは便利なので、ついつい毎日のように取り入れたくなるかもしれません。しかし、アイテムによっては味が濃く、毎日食べると塩分・糖分の摂りすぎにつながる恐れがあります。
プラントベースをはじめて打ち出したキャンベル博士によると、アメリカの食生活で最も気を付けなければならない3大要素として
- 砂糖
- 塩
- 油脂
を挙げています。
加工品であるプラントベースフードの中には、こうした原材料が入っている確率が高く、かえって栄養バランスを崩す恐れがあります。くれぐれも、3大要素の摂りすぎには注意しましょう。
ビタミンB12だけは、植物から摂れない
先ほど「ほとんどの栄養素は植物性食品で賄える」と述べましたが、実はどうしても1つだけ難しい栄養素があります。それが、ビタミンB12です。
ビタミンB12は、植物性食品にはほとんど含まれておらず、基本的に動物性食品から摂る必要があります。
ビタミンB12が不足すると貧血などを起こすため、サプリメントを活用して摂取することをおすすめします。現在、プラントベース向けのサプリメントが多数販売されているので、ぜひチェックしてください。
たとえば、Maviey(マビィ)のようなサプリメントは、天然・植物性由来の葉酸から抽出したビタミンB12を使用しています。
特に、ほかの栄養素もバランスよく補いたい妊婦さんにもおすすめです。
プラントベースフードおすすめ4選
ではここで、日本でも気軽に購入できるプラントベースフードを4つご紹介します。
肉も魚も!【NEXT MEATS】植物性ミート
ネクストミートは「地球を壊さない」を理念に掲げ、植物性の材料のみで代替肉を製造しています。
製法にこだわり、鶏や牛肉のような食感を見事に再現。タンドリーチキンや牛丼など味が付いたものが多く、忙しい人にとって料理の手間が省ける点がうれしいポイントです。
原材料の大豆は遺伝子組み換え技術不使用であるため、健康だけでなく食の安全性に気を遣う人にも選びやすい商品です。プラントベースの食生活の中で、どうしても「お肉が食べたい!」と思った人への強い味方です。
デンマーク発!【Naturli’】植物性バター
北欧・デンマークを拠点に置くNaturli’(ナトゥーリ)は、植物性由来の原材料を使った商品を多く展開する、プラントベースフードのブランドです。
今回注目するのは、プラントベースのバター。植物性オイルを配合したリッチな質感で、トーストに塗ったり、お菓子づくりに加えたりと汎用性に優れています。
ブロックタイプとスプレッドタイプがあり、用途にあわせて使い分けるのがよさそうです。
原材料の7割以上はオーガニックであるのもうれしいポイントです。
こだわりがうれしい【ZEN】豆乳アイスクリーム
次にご紹介するZEN(ゼン)は、創業者がムスリムの人たちとの交流を通して「宗教や体質・理念の違いにかかわらず、誰もが食べられるものを」との想いから立ち上がったブランドです。
国産の豆乳と、隠し味に米糀を加えたアイスクリームは、うまみがたっぷり。プラントベースとは思えないコクを楽しめます。
お砂糖も牛骨炭で精製した白砂糖ではなく、日本で古くから伝わる製法でつくった和三盆糖を使用しているため、アニマルウェルフェアを気にする人もOKです。また、ホールフードプラントベースではNGとなるオイル類も使っていないので、誰でもすべておいしくいただけます。
おいしい+フリー食【食+(ショクタス)】
最後に紹介する食+(ショクタス)はアレルギーや大切な価値観などの理由から多様な食生活を送る多くの人が、同じ食卓を囲めるように本格的な味わいはそのままに卵や乳、肉類、糖質などの成分をカットしたフリー食”BEYOND FREE(ビヨンドフリー)”を提供しています。
大豆ミートとは思えないほど食べ応えのあるライスバーガーや、動物性原材料不使用の濃厚な宇治抹茶のカップデザートなど豊富なメニューが揃っています!
もちろん一つずつ購入することもできますが、自分好みの商品、数量、頻度で定期購入できます!
プラントベース料理を実践するためのヒント3選
次は、誰でも簡単にできるプラントベースのヒントをご紹介します。
筆者自身、自炊をするときは植物性食品が中心で、卵や乳製品を摂る機会もほとんどありません。加工品は便利でときどき活用するものの、なんでも「自分でつくって、素材が持つうまみ・食感を味わう」をモットーに自炊を楽しんでいます。
そこで、プラントベースの食事を毎日楽しみむために、みなさんにぜひ実践してほしいヒントを3つお伝えします。
シンプルを楽しもう
とはいえ忙しい人にとって、毎日の自炊は大変なもの。レシピを考えたり、調理に手間を取られたりするための時間を割くのは面倒かもしれません。
そこでいちばんにおすすめしたいのは「シンプルにつくる」ことです。
- 野菜を切って炒めるだけ
- 煮込んでスープにするだけ
- オーブンで野菜を焼くだけ
のように、工程の少ない料理を楽しんでみましょう。
シイタケや昆布・野菜出汁でうま味を足したり、味付けでアレンジを加えれば、レパートリーの幅も広がります。ゆっくり火を通す土鍋やスロークッカー・オーブンを利用すれば、煮ている間・焼いている間は手が空くので、ちょっとした家事などを、済ませられるでしょう。
もちろん、時間があるときは、手づくりでプラントベースのハンバーグをつくってみたり、お菓子・ケーキ作りに挑戦するのもいいですね。
なんでも「楽しむ」ことが、プラントベースを続けるのに一番大事なポイントです。
味の変化は、ハーブ&スパイスで付ける
頻繁に買い物へ行けない場合、毎日同じ材料と味では、ちょっと飽きてしまうかもしれません。
そこでスパイスを上手に利用して、味の変化を付けるのがおすすめです。「難しそう」と思う人もいるかもしれませんが、まずは試してみることが大切。たとえば、
- カレー風:ターメリック・ガラムマサラ・クミン・カイエンペッパー(チリペッパー)など
- アジアン風:バジル・クミン・コリアンダー(パクチー)など
- 北欧風:ディル・キャラウェイ、お菓子ならカルダモン・シナモンなど
- 洋風:ローズマリー・タイム・オレガノなど
などのハーブやスパイスが挙げられます。
この時、既製品ではなく、生・乾燥のハーブやスパイスを使えば、自由に香りを調節できるのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
感覚が掴めて来ると、同じような料理でも味のレパートリーがぐっと広がります。
ナッツやシードを駆使して食感を楽しもう
食感の変化が欲しいときは、ナッツやシード類を活用してみましょう。
サラダやスープ・炒め物の仕上げに、刻んだナッツやシードを振りかけると、見た目も味も変わります。料理の種類によっては、レーズンのようなドライフルーツを入れてみるのもいいかもしれません。
あまり堅苦しく考えず、自由な発想でプラントベースの料理を楽しんでみましょう。
プラントベースが食べられるお店2選
ここまで「自分でプラントベースを料理する」ことをポイントに据えてきましたが、外食でもプラントベースフードを楽しみたいですよね。
そこで、関東を中心にプラントベース食を楽しめるお店を2つピックアップしました。
Earth tree cafe(千葉県・鴨川)
素朴な佇まいがかわいらしいEarth Tree cafe(アースツリーカフェ)は、古民家を改装した店内でプラントベースのランチとスイーツを楽しめるお店です。
無農薬の玄米を中心に、旬の野菜をたっぷりと楽しめるランチプレートは、プラントベースと通常の肉を使用した料理のどちらも用意しています。
デザートも半分ほどがプラントベースに対応しており、マフィンやスコーンといった素朴で食べやすい味わいが魅力です。
食の理念に関係なく、誰もが楽しめるように配慮したメニューのため、お肉を食べる人とも気軽に出かけられるカフェです。
Alaska Zwei(東京都・中目黒)
中目黒の細い路地に店を構えるAlaska Zwei(アラスカ・ツヴァイ)では、完全プラントベースの食事とお菓子を提供しています。
ランチプレートは日替わりで、玄米とパン&スープのセットから選べます。どれも滋味深く、つい毎日通いたくなってしまうおいしさです。
バナナブレッドやマフィンのような焼き菓子は、テイクアウトも可能。最近はオンラインショップもオープンし、一部の食品や雑貨は自宅へ取り寄せできるようになりました。
プラントベースでもこんなにおいしく出来るんだ!と驚かせてくれるようなメニューばかりなので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
プランドベースとSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」との関係
最後にプラントベースとSDGsとの関係について触れておきます。
健康を重視するプラントベースですが、実はSDGs目標の貢献と大きく関わっている部分がたくさんあるのです。
プラントベースの食生活を送ることは、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献します。
この目標では、あらゆる病気や疾患のリスクを減らし、国・地域に関係なく誰もが健康と福祉にアクセスできるようにすることを目指しています。
細かい項目を見ていくと、主に途上国の医療・福祉体制を整えるためのターゲットが中心ですが、SDGs自体は、あくまでも世界共通の目標として掲げられているものであり、先進国に住む私たちの健康もまた大切であることには違いありません。
食事を通して健康な身体を維持することは、病気・疾患のリスク低減に繋がります。
よって、プラントベースフードを実践することは、SDGs3の目標達成に大きく貢献することができるのです。
目標13~15の達成にも貢献
プラントベースの目的こそ、健康面が強く表れていますが、環境にかかわる目標である
にも大きく貢献します。
現代の畜産業・漁業は、
- 家畜の飼料をつくるために行なわれる森林伐採(中には違法なケースも)
- 牛や羊のげっぷによるメタンガスが、地球温暖化に影響
- 飼料の栽培で大量の化学農薬・肥料を使用し、周囲の生態系を崩壊
などのさまざまな課題を抱えています。
プラントベースを実践することは、現代畜産業によってつくられる肉や乳製品のほか、漁業によって獲れる魚介類を口にしないということでもあるため、実は環境負荷も減らしていることとなるのです。
まとめ
この記事では、いま注目が高まっているプラントベースについて、基本的な知識から取り入れるためのヒント、SDGsとの関連性まで幅広くご紹介しました。
今まで食べてきた肉や魚を諦めるのは難しそうと思う人もいるかもしれません。しかし週に1回から気軽に取り入れることで、身体の調子が整ってくるのを実感できるでしょう。
忙しい毎日を健康に過ごすためにも、ぜひ出来るところからチャレンジしてみて下さい。
参考サイト
Plant-based vs. vegan: What is the difference?|MedicalNewsToday
What’s the Difference Between Plant-Based & Vegan | EatPlant-Based
Plantbase|カゴメ株式会社
プラントベース食品関連情報 | 消費者庁
What Is a Whole Food, Plant-Based Diet? – Center for Nutrition Studies
A Plant-Based Diet for Beginner : What to Eat, Benefits, & How to Succeed|Food Revolut On Network
What is a Vegetarian | The Vegetarian Society
History of the Term ‘Whole Food, Plant-Based’|T. Colin Campbell Center for Nutrition Studies
Plant-Based Nutrition|A Complete Guide for Vegetarians
プラントベースホールフード食生活スタートガイド|The Prantorician Project