#コラム

【SDGs目標を知る#3】「すべての人に健康と福祉を」をわかりやすく簡単に!

SDGsの目標を詳しく調べていると、難しい内容が多くてハードルが高いかも…

このように感じている人も多いと思います。

自分ごとすることが大切なSDGsでは、もう少し簡単に目標を身近に感じたいですよね。

そこで「目標をわかりやすく」シリーズでは、ポイントを絞って目標を考えていきます。

シリーズ第1段 目標1「貧困をなくそう」をわかりやすくはこちらから!

目標3「すべての人に健康と福祉を」のキーワード

早速目標3「すべての人に健康と福祉を」について考えていきましょう。

この目標はキャッチコピーにもある「健康と福祉」以外にもさまざまな内容が掲げられています。初めに全体像を把握していきましょう!

①子どもや妊産婦の死亡率の改善

②伝染病・感染症への対策

③平等に医療を受けられるようにする

④薬物・アルコールへの対策

⑤交通事故による死亡者数の改善

⑥たばこの規制

全部を細かく理解しようとすると混乱してしまいそうなので、今回は、なんとなくイメージできると④〜⑥を除いた①〜③に絞って見ていきます。

①子どもや妊産婦の死亡率の改善

まずは①子どもの死亡率の改善についてです。目標1「貧困をなくそう」や目標2「飢餓をゼロに」でもあったように、世界には貧しい暮らしを強いられている人がたくさんいます。

貧しいと教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなどの人間が生活するうえで最も基本となるモノやサービスを受けられない生活を送ることになります。

このような生活を送っていると病気にかかりやすくなってしまいますよね。しかし、具合が悪くなっても治療を受けられなければ、どんどん悪化して最悪命を落としてしまうこともあるのです。

つまり、貧困は様々な負の連鎖を生み出しています。

そのため、SDGsの特に目標1〜6は、貧困から派生するさまざまな課題を克服することが掲げられており、基本的には途上国の問題が取り上げられているのです。

では、途上国で命を落としやすいのはどのような立場にある人なのでしょうか?その答えは、成長段階にある子どもや、妊婦や出産したばかりの女性です。

そこで目標3では、まずは新生児・5歳未満の子どもと妊産婦の死亡率を下げることを掲げています。

死亡率について

SDGsでは死亡率を「新生児死亡率」「5歳未満死亡率」「妊産婦死亡率」の3つの指標で確認するようにしています。

以下は、それぞれの死亡率です。(世界の平均)

新生児死亡率(2018年時点)

1,000人あたり18人

(日本は1,000人あたり1人)

5歳未満死亡率(2018年時点)

1,000人あたり39人

(日本は1,000人あたり2人)

妊産婦死亡率(2017年時点)

10万人あたり211人

(日本は1,000人あたり1人)

それぞれ分母が異なるため難しいかもしれませんが、日本の数と比較すると問題の大きさがわかると思います。さらにこの数値は先進国も含む世界平均です。途上国だけに絞ると数値がとてつもないものになります。

例えば世界で一番いのちの短い国と言われるシエラレオネでは、5歳未満死亡率が1,000人あたり113.5人(2018年時点)となっています。

途上国において命を落とす主な原因は、子どもの場合、合併症と感染症。妊産婦は糖尿病、マラリア、HIV、肥満とされています。 

②伝染病・感染症への対策

このように、伝染病や感染症も途上国では問題になっており、代表的なものとしては、エイズ・結核・マラリアが挙げられます。

日本では、薬を飲むなどの治療法が確立しているため、耳にすることは少ないかもしれません。しかし、途上国では多くの人々がこれらの病気で亡くなっているのです。

エイズ

2017年時点で全世界のHIV感染者は3,690万人に上り、180万人が新たに感染。(死亡は94万人)

結核

2018年には約1,000万人が発症し、150万人が死亡。

マラリア

2018年に2億2,800万人が感染し、約40万人が死亡。

これらは適切な医療を受けたり、蚊帳を普及させたり(マラリアは蚊に刺されることで発症) することで防げるものだとも言われています。

では、なぜ適切な医療が普及しないのでしょうか?

インフラ・教育・貧困が関係している

理由のひとつとしては、水道や電気などのインフラが整っていないことが挙げられます。インフラが整ってなければ適切な医療を行えません。さらには医療従事者が不足している点も関係しています。これは目標4「質の高い教育をみんなに」にも言えることですが、途上国では教育を満足に受けられないことで、人材が育たないという課題も抱えています。

もちろん人材育成の支援は行われていますが、まだまだ不足しているのが現状と言えます。

そしてもう一つが貧困により医療費が払えないケースです。

貧困が原因で、平等に医療を受けられないというのはあってはならないことです。

参考:アフリカでは、30秒にひとりの子どもがマラリアの犠牲に 4月25日はアフリカ・マラリアの日

③平等に医療を受けられるようにする

とはいえ、何が平等な医療なのかという判断が難しそうに思えます。

そこでSDGsでは平等に医療を受けられるようにするためのキーワードとしてユニバーサル・ヘルス・カレッジ(以下UHC)を挙げています。

女性のいのちと健康を守るために活動している団体ジョイセフによると、UHCとは、

“全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態のこと”引用元 ジョイセフ「UHCとは?」

としています。ここでの主な内容としては⑴物理的アクセス⑵経済的アクセス⑶社会慣習の3つです。簡単に見ていきましょう。

⑴物理的アクセス

近くに医療施設があるか、医療従事者がいるかなど

⑵経済的アクセス

医療費の自己負担分は払える範囲か、病気によって収入が減らないかなど

⑶社会慣習的アクセス

医療を受けることの必要性を知っているか、宗教上・文化などの理由により医療を受けられない状態になっていないかなど

この3つにバランスよくアクセスできるようになれば、みんなが平等に医療を受けられるようになったと言えるのです。

(参考:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と市⺠社会の取組み〜誰⼀⼈取り残さない UHC を目指して〜)

そして、これらを達成するためには国や行政の力だけでは困難です。そこで国や行政に加えて企業・研究機関・個人の力も必要となります。みんなで協力して課題を解決していこう!というのがSDGsであるため、連携がとても大事なことが分かるのではないでしょうか。

最近ではオンラインで診療が受けられるようになるなど、着実に改善に向けた取り組みが進められています。

スペースシップアース内にも様々な取り組みを掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。

個人でできること

目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に向けて個人ができることはⅠ寄付Ⅱ世界や日本の現状を知るⅢ自分も健康に過ごすの3つです。

Ⅰ寄付

目標1や2と同様に、寄付は欠かせないアクションの1つです。目標3に関連する寄付の代表といえばワクチンの支援です。

これは寄付によって集まったお金でワクチンを購入し、途上国の医療が行き渡っていない地域に支援するものです。

有名なところでは「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」があります。

ここでは寄付以外にも、ペットボトルキャップや書き損じ葉書を受け付けています。これまで捨ててしまっている場合、家族や友達と協力してたくさん集めて送ってみると良いかもしれません。

他にも不用品を回収してそれがワクチンに変わるといった取り組みを行っている企業や団体があるので、ぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

Ⅱ世界や日本の現状を知る

「知る」ことも大切なアクションです。知らなければ何もアクションを起こすことはできません。世界では今どんな医療・福祉の問題が起きているのか、日本でも課題があるのかを調べてみましょう。

そして理解が深まったあとは、周囲に情報をシェアすることも大事なポイントです。一人でも多くの人が知ることで大きな支援の輪になり、解決に向けて加速していくはずです。

Ⅲ自分も健康に過ごす

3つ目は、自分も健康に過ごすことです。世界中の人たちの健康を守ることも大切ですが、自分の具合が悪くなっては元も子もありません。

適度な運動やバランスの取れた食事などを意識し、日々過ごすことも目標3にとっては重要なポイントと言えます。

世界中の人々が健康に過ごせる世の中を目指そう!

今回は、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」について見てきました。世界には今でも医療を受けられずに苦しんでいる人たちがたくさんいます。

この記事をきっかけに日本を含めた世界の医療や福祉の現状を知り、自分にできることを探してみてはいかがでしょうか。

〈〈 前回 目標2「飢餓をなくそう」をわかりやすくはこちらから! 〉〉