オーストラリアでは、2023年時点で14のカジノが運営されています。
日本でも2018年にカジノ合法化法案が可決されたものの、カジノに対してマイナスイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
24時間営業でギャンブルを楽しめる施設ということもあり、確かにカジノに対してクリーンな印象を持ちにくいかもしれません。
しかし、オーストラリアで2番目に大きい規模のカジノ・The Starは、サスティナブルなビジネス経営を行っている施設として2020年と2021年に賞を受賞しています。
今回は、そんなThe Starカジノが取り組む環境保全活動について着目していきます。
The Starカジノの基本情報
The Starカジノは、The Star Entertainment Group Limitedによって運営されているオーストラリア有数のカジノです。
クイーンズランド州ブリスベンに本社を置き、ブリスベン、シドニー、ゴールドコーストの3都市にカジノ施設を構えています。
全カジノとも年中無休でオープンしており、スロットマシーンのほか、バカラ、ルーレット、ブラックジャックといった幅広いギャンブルを楽しめるのが魅力です。
また、カジノの建物内、もしくは近隣には系列のホテル、レストラン、バー、シアター、ショッピングエリア、スパ、プールなども設けられています。
バリエーション豊富なエンターテインメントが取り揃えられていることから、1日中遊べる施設として地元住民や観光客に愛されています。
尚、シドニーとゴールドコーストの施設はThe Starカジノと呼ばれていますが、ブリスベンはTreasury Casinoという名称です。
ブリスベンには2023年8月時点でQueen’s Wharf Brisbaneという新カジノの建設もスタートしており、オープンは2024年4月予定となっています。
The Starカジノのエコ活動とは?
オーストラリアの3都市で成功を収めているThe Starカジノですが、実はSDGsへの意識が高い企業としても知られています。
2020年と2021年には「SUSTAINABLE BUSINESS AWARD」や「sustainability award bronze class 2021」などを受賞しており、常に環境に優しいビジネスモデルを模索しています。
以下ではThe Starカジノが行っているエコ活動について詳しくご紹介していくので、ギャンブル=環境保全とは無縁というイメージ抱いている方は理解を深めていきましょう。
リサイクルの促進
ファストファッションの普及を受けて、オーストラリアでは毎年50万トン以上もの繊維が廃棄物として埋め立てられています。
約1万人のスタッフに制服を提供しているThe Starカジノにとっても、衣類の廃棄物問題は他人事ではありません。
2021年、The Starカジノ・シドニーにて新施設がオープンしました。
その際、10,300枚のスタッフ用の制服が不要になったものの、The Starカジノは制服を廃棄ではなくリサイクルとして再活用する手段を模索しました。
結果として6,000枚の制服がチャリティー団体に寄付され、4,000枚はクリーンテクノロジー企業にて新製品に作り替えられています。
そして残った300枚は女性の仕事用ワンピースとして生まれ変わり、全ての制服のリサイクル化を実現しました。
また、3つのカジノ施設を保有するThe Starカジノでは、経年劣化したゲーム用テーブルも再利用しています。
ゲーム用テーブルのフェルト部分は犬用のベッドに使われ、新たなアイテムとして必要な施設・家庭にて愛用されています。
食品ロスの削減
The Starカジノは、60以上のレストランと7つのホテルを運営しています。
日々膨大な量の食品が消費されることから、The Starカジノは食品廃棄物の問題を懸念していました。
そこで2013年から食品廃棄物の収集プログラムを導入し、専用の食品廃棄物プラントでの食品処理を行っています。
毎月100トン分の食品廃棄物が肥料やグリーンエネルギーとして再利用されることで、The Starカジノでは食品廃棄物の100%リサイクル化に成功しているのです。
また、余ってしまった食品を有効活用するために、The Starカジノはフードバンクに毎月800kgの果物と野菜を寄付しています。
食品が必要な人たちの手に行き渡ることで、無駄になる食材を最小限に抑えています。
エネルギーの効率化
長期的にハロゲンランプを使用してきたThe Starカジノは、エネルギー節約を目指して14,500個以上のハロゲンランプをIRC ランプに交換しました。
エネルギー効率の高い IRC ランプを導入したことで、最大45%ものエネルギー節約に繋がっています。
プラスチック製品の置き換え
The Starカジノは、環境保全のために極力プラスチック製品を使わないビジネスモデルを目指しています。
全施設内の製品を調べたところ、41種類のリサイクル不適合な素材が使われていることが分かりました。
これを受けて、The Starカジノでは41種類中の33種類を堆肥化やリサイクル可能な素材に変更しました。
また、The Starカジノ内のレストランやバーでは、プラスチックストローを廃止して紙製のストローを導入しています。
年間で750万本を超えるプラスチックストローの削減に繋がっており、環境への優しさを意識しながらカジノを運営しています。
温室効果ガスの排出量を削減
オーストラリア政府は、企業に対して温室効果エネルギー報告システム(National Greenhouse and Energy Reporting System)の提出を義務付けています。
温室効果エネルギー報告システムは事業全体の温室効果ガス排出量やエネルギー消費などをまとめたデータのことで、2007年に導入されたルールです。
The Starカジノも毎年オーストラリア政府に年間の温室効果ガスの排出量を報告しており、2012年には114,462トンを記録していました。
その後、施設全体の設備やビジネスモデルを見直し、2022年には97,120トンまで削減することに成功しました。
尚、The Starカジノでは、2030年までに温室効果ガスの排出用ゼロを目標に掲げています。
カジノ以外にレストランやホテル経営なども行っていることから、各サプライヤーと相談し、温室効果ガスの排出が少ない製品選びなどを行っています。
水の節約
7つのホテルを運営しているThe Starカジノでは、リネンの交換を最小限に抑えることで水の節約を実現しています。
連泊のホテルゲストに対して、特別な要望がある場合を除いてThe Starカジノはリネンの交換をしていません。
洗濯で消費される水の量を削減することで、限りある資源を大切にしているのです。
さらに、洗濯する際には再生水を利用するなど、環境への負荷を軽減したビジネス経営を実践しています。
Soap Aidへの参加
The Starカジノは、ホテルやカジノのトイレで不要となった石鹸をSoap Aidに寄付しています。
Soap Aidとは、衛生問題を抱える地域に石鹸を寄付する活動のことです。
社会奉仕としての役割を担うのはもちろん、不必要な石鹸のリサイクル促進にも繋がる活動で、The Starカジノではこれまでに1,335㎏以上の石鹸を寄付してきました。
尚、一般的なハンドソープや合成洗剤と比べると、生分解性に優れている石鹸は環境への負荷がかかりにくい製品です。
Soap Aidへの参加による廃棄物削減と環境への優しさの両方を実現できることから、The Starカジノではハンドソープや合成洗剤の代わりに積極的に石鹸を使用しています。
まとめ
ギャンブルを楽しむために運営されているThe Starカジノですが、常に環境に優しいビジネス経営を意識しています。
観光スポットとしても需要が高いことから、特にレストランやホテルでの食品ロス削減やリサイクルの促進を行っています。
エンターテインメントとエコ活動の両立を実現しているThe Starカジノ。
シドニー、ゴールドコースト、ブリスベンを訪れる際は、ぜひ環境保全に力を入れているThe Starカジノに立ち寄ってみてはいかがでしょう?