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【港町が目指すサステナビリティ】美しい街と自然を守るためにオーストラリア・フリーマントルが行うエコ活動8選

オーストラリアフリーマントル

オーストラリア西部のフリーマントルという街をご存知ですか?

1800年代にはイギリスから多くの囚人が送られてきたという歴史的な背景を持つ地域ですが、現在では西オーストラリア州を代表する観光客として高い人気を誇っています。

エコ大国として知られるオーストラリアの中でも、フリーマントルは特に多くの取り組みを行っている街です。

この記事では、フリーマントルが実践する8つのエコ活動について解説していきます。

フリーマントルの立地

オーストラリアフリーマントルの位置
出典:Spaceship Earth

フリーマントル(Fremantle)は、西オーストラリア州に位置しています。
州都のパースから約20kmの場所にあり、インド洋に面した美しいビーチが魅力です。

人口3万人弱の小さな港町ですが、西オーストラリア州の中で最大規模の港湾施設を持つエリアとしても知られています。

石油、液化石油ガス、石炭、コンテナ貨物の取り扱いのほか、クルーズ船のターミナルも兼ね備えており、ビジネスや観光業などの幅広い用途で使われています。

年間150万人が訪れる港町

オーストラリアフリーマントルの建物
出典:Spaceship Earth

港町として長い歴史を持つフリーマントルには、多くの建造物や文化財が残っています。

2010年に世界遺産に登録されたフリーマントル刑務所のほか、The Round Houseやタウンホールなどの観光施設があり、コロナウイルス感染症の流行前には年間150万人もの人々が訪れていました。

観光収入は年間2億円を超えており、フリーマントルにとって観光業がいかに重要な産業であるかが分かります。

また、フリーマントル最大の見どころが、毎週金曜日から日曜日に開催されるフリーマントルマーケットです。
1897年に開設された屋内型マーケットで、食料品、雑貨、服飾品など150を超える店舗が軒を連ねています。

食べ歩きに最適なスナック類やドリンクはもちろん、お土産にピッタリなアイテムも多く、数多くの地元住民と観光客に愛されています。

さらに、地元ビールを楽しめるフリーマントルブリュワリーなどもあり、文化、ショッピング、食といった多方面における魅力を持つ観光地です。

フリーマントルが取り組むエコ活動とは?

環境保全への意識が高いフリーマントルでは、自治体がさまざまなルールを設けています。

また、地元企業やサプライヤーもさまざまなエコ活動を行っており、街全体がサスティナブルな環境づくりに努めているのが特徴です。

ここでは、自治体及び各企業が実践する取り組みについてご紹介していきます。

自治体ルール1:イベントでのプラスチック製品の使用禁止

オーストラリアフリーマントルのエコ活動
出典:Spaceship Earth

フリーマントルの自治体が行うエコ活動1つ目が、プラスチックごみの削減です。

フリーマントルマーケットを含むさまざまなイベントにおいて、ペットボトル入り飲料水、ストロー、カップ、カトラリー、風船、販促資料、装飾といったあらゆるプラスチック製品の禁止をルール付けています。

ドリンクや食品の提供には紙製品を使うなど、環境に優しい代替品の利用を促しています。

自治体ルール2:ゴミに関するマネジメント

フリーマントルは、年間150万人もの人々が訪れる観光地です。

フリーマントルマーケットをはじめとするさまざまなイベントも行われていることから、ゴミに関するマネジメントも徹底しています。

イベントや観光施設など、人が集まる場所にはゴミ箱を設置する決まりになっており、燃えるゴミはもちろん、リサイクル用のゴミ箱もさまざまな場所に置かれています。

自治体ルール3:環境に優しいサプライヤーを優先

観光客向けのイベントや商店も多いフリーマントルでは、サプライヤー選びにもこだわっています。

環境および社会への悪影響を最小限に抑え、環境への配慮を行うサプライヤーを優先するというルールがあり、基準を満たさないサプライヤーは受け入れ不可となっています。
自治体と一緒に環境保全を行うサプライヤーのみ受け入れることで、各サプライヤーのエコ意識向上を実現しているのです。

レストランMother:資源やプラスチックごみに関するエコ活動

オーストラリアフリーマントルのレストランMother
出典:Spaceship Earth

フリーマントル駅から徒歩10分に位置するレストラン・Motherでは、以下のような取り組みを行っています。

  • ペットボトルではなく蒸留水を提供
  • 飲み残した水を集めて工場の散水に再利用
  • ステンレスや竹製ストローの提供
  • マイカップ持参の利用客に対する特典
  • 植物ベースの料理をメインにすることで動物性食品の生産時に発生する二酸化炭素排出量を削減
  • 使用済みの瓶類を洗って無償で利用客に譲渡
  • 事務作業における使い捨てマーカーやプラスチック製ペンの廃止
  • 紙くずを堆肥化して利用客に提供

プラスチック製品の使用やゴミの量を大幅に減らすのはもちろん、二酸化炭素の排出量削減に繋がるエコ活動にも力を入れています。

また、限りある資源である水の無駄遣いも抑えるなど、多方面から環境に配慮しているレストランです。

フリーマントルオクトパス:タコの個体数を意識したタコ漁業

オーストラリアのフリーマントルオクトパス
出典:Spaceship Earth

フリーマントルの名産品として知られるのが、タコ漁業会社・フリーマントルオクトパスのタコ製品です。

フリーマントルオクトパスは海洋管理評議会(MSC)の認証を受けており、環境や海洋生物に優しいサスティナブルな漁業を行っています。

特徴的な漁業方法のひとつが、トリガートラップの導入です。

小さなタコは記録後に放流するといった取り組みを行っており、記録はタコの個体数に関する学術研究に役立てられています。

海をさまようタコの個体数を把握することは困難ですが、フリーマントルオクトパスの漁業方法によって西オーストラリア州には想定の10倍のタコが生息していることが分かりました。

個体数を正確にすることでタコの乱獲を防ぐことに繋がり、海の生態系を守ることにも貢献しているのです。

フリーマントル セーリング クラブ:エコ奉仕活動

海洋クラブのフリーマントル セーリング クラブ(Fremantle Sailing Club)は、スポーツアクティビティ、ヨット関連のイベント、レストランサービスなどを提供する団体です。

国際海事機関(International Maritime Organization:通称IMO)が実施する海洋環境委員会の会議にも招待されており、環境に配慮した運営を目指しています。

海や環境と密接な繋がりを持つフリーマントル セーリング クラブでは、社会奉仕として毎年ビーチでのゴミ拾い活動を行っています。

一般市民たちと共に地元のビーチを清掃することで、ビーチを美しく保つと同時に環境啓発にも繋がると考えているのです。

Kakulas Sister:Bulk Foodで包装ごみを軽減

オーストラリアフリーマントルのKakulas Sister
出典:Spaceship Earth

フリーマントル駅から徒歩3分の場所に位置するKakulas Sisterは、食品包装を削減したBulk Foodの食料品店です。

小麦粉、米、お茶の葉、砂糖、スパイス、ドライフルーツ、水をはじめとするさまざまな食料品がケースに入った状態で販売されており、購入希望者は備え付けの紙袋や有料の瓶などに食料品を詰めます。

プラスチックごみを削減すると共に、必要な分だけ量り売りすることで食品ロスにも貢献しています。

Kakulas Sisterは、特にコーヒー豆の種類が豊富なBulk Food店舗です。

カフェ文化が根付くオーストラリアでは、コーヒー豆の需要はとても高くなっています。

スーパーと違ってプラスチックごみゼロでコーヒー豆を購入できることから、Kakulas Sisterにはエコ意識の高い地元住民たちが集まっています。

スウェーデンのプラスチック削減取り組みについての記事はこちらから確認できます!

Afro Blonde:車両廃棄物の再利用


フリーマントルマーケットで営業するAfro Blondeでは、タイヤなどの廃棄物を再利用しています。

車両廃棄物を靴、帽子、アクセサリーなどに作り替えることで、廃棄製品の削減はもちろん、丈夫で長持ちするサスティナブルなアイテムの提供にも繋がっています。

まとめ

オーストラリアフリーマントルの風景
出典:Spaceship Earth

小さな港町であるフリーマントルは、海や自然環境との共存を目指しています。

自治体、地元企業、サプライヤーが協力しながら環境保全に力を注いでおり、地元住民や観光客が自然にエコ活動に参加できるような体制が整えられています。

単なる観光地だけではない魅力を持つフリーマントル。

プラスチックごみ、食品ロス、生態系保護、資源、二酸化炭素の排出といった多彩な環境問題への対策を行っているので、フリーマントルを訪れる際はぜひ現地での取り組みに着目してみましょう。