スマート農業とは?SDGs目標2「飢餓をゼロ」にも貢献!

日本の農業に従事する人口は年々減少傾向にあり、働く人の高齢化が進むなど多くの課題を抱えています。

ただでさえ食料自給率が低い日本ですが、このままではさらに低下してしまう恐れがあるのです。そこで近年注目を集めてているのが「スマート農業」です。最新技術を駆使して農業が抱える課題を解決に導けると期待が寄せられています。

そこで今回は、

  • スマート農業とは何か
  • スマート農業の具体例や必要性
  • スマート農業のメリット・デメリット

などに加えて、SDGsとの関係についても詳しく見ていき、スマート農業についての理解を深めていきましょう!

スマート農業とは?

スマート農業とは、

  • AI(人工知能)
  • ICT(情報通信技術)
  • ロボット産業
  • IoT

などの、最先端技術を取り入れた新しい農業の形です。

IoT

電子機器や家電製品など、今までインターネットにつながっていなかったモノがインターネットとつながり、ネットワーク上での情報交換が可能になる仕組み

【スマート農業の効果】

スマート農業を取り入れることで下記の効果が期待されます。

作業の自動化

自動で動くトラクターやネットワークを利用した水田の水管理システムなどを導入することで、今まで人が行っていた仕事を機械が代行。仕事量の削減につながる。

情報共有の簡易化

位置情報と連動した管理アプリを活用し、作業の記録をデジタル化・自動化することによって、新規農就者でも生産しやすくなる。

データの活用

ドローンや衛星を利用して得た気象データなどをAI解析し、農作物の育成や病害虫の予測に活用することで、高品質な農作物が生産できるようになり、レベルの高い農業経営を可能にする。

このように、スマート農業を導入することで農業従事者に多くのメリットがあります。そのため農林水産省も、スマート農業の導入を積極的に推進しており、より取り組みやすくするために目的や目標となる5つの定義を設定しました。

スマート農業の定義は5つ

農林水産省が掲げる、スマート農業の5つの定義は下記の通りです。

① 超省力・大規模生産を実現
トラクター等の農業機械の自動走行の実現により、規模限界を打破
② 作物の能力を最大限に発揮
センシング技術や過去のデータを活用したきめ細やかな栽培(精密農業)により、従来にない多収・高品質生産を実現
③ きつい作業、危険な作業から解放
収穫物の積み下ろし等重労働をアシストスーツにより軽労化、負担の大きな畦畔等の除草作業を自動化
④ 誰もが取り組みやすい農業を実現
農機の運転アシスト装置、栽培ノウハウのデータ化等により、経験の少ない労働力でも対処可能な環境を実現
⑤ 消費者・実需者に安心と信頼を提供
生産情報のクラウドシステムによる提供等により、産地と消費者・実需者を直結

農林水産省「スマート農業の実現に向けた研究会」検討結果の中間とりまとめ

①③④は農作業の効率化や重労働の軽減化、②④⑤は安全性などの付加価値や収益に関する定義となっています。この5つの定義からスマート農業は、農業の規模拡大や効率的な生産のみに力を入れるのではなく、

  • 農作物に新しい価値を加える
  • 多様な業界の人材と協力して生産する

といった点も意識している農業だと言えるでしょう。

続いては、さらに踏み込んでスマート農業がどのように取り入れられているのかを、具体例を交えて説明します。

スマート農業の具体例

スマート農業の具体例として、

  • ロボット技術×農業
  • AI(人工知能)×農業
  • データ×農業
  • IoT×農業

の4分野を紹介します。

ロボット技術×農業

近年、ロボット技術の発達により自動走行のトラクターや田植え機などが登場しています。

これまでは、

  • 農業機械は操縦にコツがいるため、自分が行きたい方向へ進めるだけでも一苦労
  • 重労働で体力の消耗も激しく、取り扱い方を間違えると大きな事故にもつながる

などにより、女性や若者が参入しにくい状況でした。しかし自動走行トラクターの登場により、

  • 作業の負担軽減
  • 作業時間の短縮
  • 事故リスクの軽減

などが実現し、誰もが取り組みやすいものとなっています。

AI(人工知能)×農業

これまで農家の人たちを悩ませてきた病害虫被害を減らすために、AIを活用した画像診断システムを開発。

これまでは、

  • 新規就農者には、どれが病害虫なのか判断が難しい
  • 病害虫を発見しても、どのように対策すれば良いのか分からない

などにより、農作物が商品価値を失い利益にならないこともありました。そこでAI画像診断システムを導入し、

  • 病害虫の早期発見・早期診断
  • 被害リスクに応じた対応
  • 病害虫による利益の減少を防止

などが可能になりました。

【AIを活用した画像診断】

これにより新規、熟練での生産の差がなくなり安定化につながっています。

データ×農業

近年、農作物の生産量の安定化を図るため、気象データやセンシングデータを利用した水田の「ほ場水管理システム」を開発

これまでは、

  • 気象や土壌環境などの影響を受けやすい
  • 水田の規模が大きくなるほど管理が難しい
  • 水位や水量の少しの差で稲の育ち方が変わる

などのより、生産量にバラつきがありました。そこで、ほ場水管理システムが登場することで、

  • 水管理労力の80%を削減
  • 気象条件に応じた最適水管理で減収を抑制
  • 給水バルブや落水口を遠隔・自動制御が可能

などを実現し、生産量の安定化にもつながりました。

【ほ場水管理システム】

削減した分の時間や労力を、他の作業にまわすこともできます。

IoT×農業

新規就労者の追肥作業の簡易化を実現するために、IoTを利用した追肥システムを開発。

これまでの追肥作業は、

  • 長年の経験や勘で行っている部分があった
  • 新規就農者には加減が難しい

などにより、稲が上手く育たないこともありました。そこでスマート追肥システムが登場したことで、

  • 自動で高精度な追肥作業を可能
  • 収穫量の向上と品質の安定化
  • 新規就農者でも簡単に追肥作業ができる

などが改善され、誰でも適切な量の追肥を稲に与えられるようになりました。

加えて生産も安定し、減収の防止にも役立っています。

なぜスマート農業が必要なの?

ここまで、スマート農業がどのような農業か具体例を交えて見てきました。ではなぜスマート農業が必要なのでしょうか。

その理由を知るためには、日本の農業の現状について知る必要があります。

日本の現状

近年、日本の農業産出額は増加傾向にあります。

【農業産出額】

理由としては、

  • 2000年~2015年までの間に規制緩和が繰り返され、農業に対する自由度も高くなったこと
  • 2012年に打ち出されたアベノミクスの際に、農業の参入に対する規制緩和が実施されたこと
  • 家族経営から法人経営へ転換する農家の増加
  • 世界的な日本食ブームによる農産物輸出額の増加
  • 外国人観光客の国内での農林水産物や食品の消費量の増加

などが考えられます。その一方で、

  • 農業離れによる労働力不足
  • 新規就農者の知識・経験・技術力の低さ
  • 熟練農業者の高齢化
  • 耕作放棄地の増加
  • 収益性の伸び悩み
  • 重労働のため女性の参入が難しい

といった、人・経済・技術などのさまざまな面で課題を抱えていました。

この課題を解決し、農業産出額のさらなる増加を達成するためには、最先端の技術を用いたスマート農業が不可欠となるのです。

そしてスマート農業を定着化させると、さまざまなメリットがあります。

スマート農業のメリット

スマート農業には主に

  • 作業の自動化
  • 情報共有の簡易化
  • データの活用

がポイントとして挙げられ、それぞれ多くのメリットをもたらします。1つずつ見ていきましょう。

作業の自動化

先述した自動トラクターにもあるように、作業の自動化を進めることで効率的に作業を進められます。

例えば、害虫や病気を防止するための農薬散布にドローンを活用する方法があります。

これまで手動で散布していた際は、1ヘクタールの農地であれば1時間30分もかかっていました。対してドローンの場合は1機で10分前後で完了します。さらに、必要な箇所に的確に農薬を散布できるようになりました。

このように作業の自動化を図ることによって、過酷な作業を減らし農作業の効率化につながっているのです。

情報共有の簡易化

新規農就者の知識・経験・技術力の低さは、アプリなどを使って熟練者の作業の記録をデジタル化し、情報共有を簡単にすることで解決に導きます。

具体的に、熟練ミカン農家の摘果作業を例に見ていきましょう。

ミカンの質を保つためには、的確な摘果作業は不可欠ですが、見分けるには経験が必要なため、新規参入者には高いハードルがありました。そこでアプリ利用し、熟練者がどの実を取り除くのかを画像で記録。

その後、画像を編集し摘果の技を競うゲームアプリに仕上げ、場所や時間を選ばず気軽に誰でも確認できるようにしました。これにより新規就農者でも長い年月をかけずに摘果作業の基礎が身に付き、摘果を行えるようになります。

ミカン以外にもさまざまな作物に応用可能なため、多くの新規就農者支援につながるのです。

データの活用

スマート農業で生産の安定化や高度な農業経営を実現するためにはデータの活用も重要です。

具体的には、

  • ドローンや衛星を利用して集めたデータをAIが解析し、農作物の生育や病虫害を予測する
  • 収穫した野菜や果物の画像やデータをもとに、成熟度、糖度、うまみを、一瞬で判断

などが可能になります。

さらには苗や種の植え付けから出荷まですべての工程でデータ活用法を取り入れることで、消費や流通にも生かせるようになり、農作物の安全性や付加価値も今以上に高まるでしょう。

スマート農業のデメリット・課題

ここまで見てきたようにスマート農業によって、日本の農業が抱えている課題の解決につながります。その一方でデメリットや課題も見えてきました。

【デメリット①】導入するためのコストが高い

スマート農業を行うためには農業用のロボットやドローン、生産管理システムなど、さまざまな機械やソフトウェアを使います。そのため、導入するための費用が高くなる傾向があります。

初期投資を抑えるためにも、「どの時期にどのくらいの規模で行うのか」を把握し、計画を立てることが必要でしょう。とはいえコスト問題を解決するために、現在は多くの企業が低コスト・高精度の機械やサービスの開発に取り組んでいます。

その1つがNTTドコモの、現在位置を測定するサービスを低コストで提供する「GNSS位置補正情報配信基盤」です。スマート農業で使用する自動運転農機には、正確な測位・位置情報が必要となります。

NTTドコモでは、GNSS1位置補正情報配信基盤やクラウドでの測位の演算を行い、通常のGPSより高精度なRTK-GNSSを使ったサービスの開発を進めています。

1GNSS

GPSを含む人工衛星を利用して自分のいる位置を調べることができる仕組みです。

参考:国土地理院ことばのミニ辞典 ~第 19 回「GNSS(ジーエヌエスエス)」~

【デメリット②】利用する機械やソフトウェアによって差が出る

スマート農業で使用する機械やシステムは、企業独自の規格や方式で製作するため、技術力や資金面により性能に差が出てしまいます。

例えば、A社の草刈りロボットは24時間使用できるのに対し、B社の草刈りロボットは20時間しか使用できないなど、用途は同じでも能力に差が出てしまうのが現状です。

そのため今の段階では、利用する側がしっかりと情報収集し、自分たちの環境に合った製品を選択する必要があるでしょう。

【課題①】スマート農業の学習機会が不十分

農業従事者の中には「スマート農業に興味はあるけれど、種類が多すぎて自分の農業に適した技術が分からない」と言う人も少なくありません。機械やデータ管理アプリなど多種多様な技術が実用化されていますが、スマート農業に対する学習機会が少ないため、使いこなせていないのが現状です。

特に、長年農業に携わってきた熟練の農業従事者たちは高齢な方が多く、新しい機械やソフトウェアの使い方を覚えるのにも時間がかかってしまいます。

【課題②】インフラ面での整備が不十分

スマート農業の定着化を目指し、さまざまな技術も進化しています。AI技術も、その内の1つです。しかし屋外で使用する機会が多にもかかわらず、いまだにインフラの整備が追い付いていない地域もあります。

スマート農業の普及を促進するためにも、無線基地局などの情報通信環境の整備が不可欠と言えるでしょう。ほ場など、センサーやスマート農機などを遠隔操作やデータ送受信するためにも新たな通信環境の整備が必要となってきます。

課題の解決に向けて

上記の課題を解決するためには、下記のような解決策に取り組むことが必要でしょう。

【課題①】の解決方法

スマート農業の学習機会の不足には、

  • 農業高校や大学でのスマート農業カリキュラムの実施
  • 地域でのスマート農業普及を担う地域リーダーの育成
  • スマート農業普及センターやJA職員向けのプログラムの実施
  • 成功事例の視察研修
  • スマート農業に意欲的な農家の人々によるスマート農業研究会の設置
  • 研究会・自治体・JAが連携したe-ラーニングによる研修プログラム
  • スマート農業実証プロジェクトによって成功した地域の事例共有

などといった、学習の場をさらに増やすことが重要です。

そして学習の場を増やすためには、政府・自治体・JA・農家の連携が必要となります。

【課題②】の解決方法

インフラ整備の課題に関しては、国のサポートが鍵となるでしょう。そのため政府は、下記の調査や交付金のサポートを行いスマート農業を推進しています。

  • 農地耕作条件改善事業のスマート農業導入推進型
    基盤整備とGNSS基地局の設置など
  • 情報化施工技術調査
    情報施工で3次元座標データを取得・自動走行農機などを運転するための活用方法の確立
  • 土地改良施設情報基盤整備推進調査
    ICTを利活用した農業水利施設の操作・監視の省力化・情報通信環境の整備・管理のあり方を検討
  • 農山漁村振興交付金(情報通信環境整備対策)
    農業農村のインフラ管理の省力化・高度化・情報通信環境の整備支援

基盤や情報通信環境の整備を行うことで、今までスマート農業に参入できなかった農業従事者を促します。

スマート農業事例

続いては、実際に日本が行っているスマート農業の事例を見ていきましょう。

【スマート一貫体系による営農を実現】(株)紅梅夢ファーム

福島県南相馬市にある(株)紅梅夢ファームでは、東日本大震災の被災地の復興に向けてスマート農業を導入しました。

水稲の担い手不足に対応するために、

  • ロボットクラスター
  • ドローン
  • 直進キープ機能付田植機
  • 高速直は機
  • 食味・収量測定コンバイン
  • リモート水管理システム

といった機械やシステムを導入したことで省力化に成功。限られた人数で、以前より効率的に水稲の生産ができるようになりました。また、それぞれの機械からデータを収集し、営農支援システム「KSAS」を利用することによって的確なフィードバックをもらえます。

これにより経験の浅い農業従事者であっても、通常より早い栽培技術の習得を実現しました。最先端技術やシステムを導入したスマート一貫体系の営農だからこそ、可能なことだと言えるでしょう。

【スマート農業技術の導入で労働時間に削減に成功】TMRセンターアクシス&漆原牧場

北海道中漂津町にあるTMRセンター&漆原牧場では、

  • 乳牛用の飼料作物の栽培
  • 混合飼料の製造
  • 生乳生産

などを効率良く行うために、スマート農業技術を一体的に導入しました。

飼料作物はドローンによって生育管理が行われ、飼料製造にはIoT活用型TMR調製システムを採用。発酵成分や飼料設計、飼料の製造履歴などをまとめて管理できるようになりました。

これにより、今まで飼料製造にかかっていた時間を10%以上削減し、さらには飼料の品質向上・乳生産性の向上と高品質化を目指します。

【農協組織と契約農家の連携によるスマート農業の利用】ジェイフーズみやざき

宮崎県西都市にあるジェイフーズみやざきでは、加工・業務用野菜のほうれん草・キャベツ・にんじんの生産を行っています。

そして生産拡大のために、

  • ドローンほ場管理・出荷収量予測
  • キャベツの収穫機
  • 環境センサーによる適正施肥

などを導入し、省力化や、生産から出荷までのデータ集約・活用を目指します。さらに、農協組織からスマート農機を借り、ジェイフーズみやざきの契約農家が外部委託という形で収穫作業などを行いました。これにより農家の初期投資額を抑え、収益の向上を実現しています。

スマート農業参入の課題として、初期費用の問題が挙げられていました。今回の事例のように農機を借りる選択をすることで、今まで費用の問題で参入できなかった農家も、初期費用を抑える方法を知り参入しやすくなるでしょう。

【経営の見える化と農業の軽労化を目指す】鹿児島堀口製茶

鹿児島県志布志市にある鹿児島堀口製茶では、

  • 自動で散水・止水する散水装置
  • 摘菜を行うロボット茶園管理機

などを導入しました。

茶畑は広大なため、散水や摘菜を人の手によって行うとかなりの重労働になります。その課題を改善するために上記のような技術を導入し、人員の省力化と業務の軽労化を図ります。また土壌の水分や気温によって水やりを調節してくれるので品質の向上にもつながるのです。

さらに経営の見える化を行うために、お茶の生産から荷受けまでの情報をまとめて管理する経営システムの確立も目指しています。

これにより情報が体系的に整理され、社員同士の正確な情報共有にも役立つでしょう。

このように、さまざまな企業が自分たちの農業に合った技術やシステムを導入して、課題の克服や生産性の向上を目指しているのです。

ここまでスマート農業のおおまかな概要を見てきました。最後に近年注目を集めているSDGsとの関係を確認しましょう。

SDGsとの関係

まずはSDGsについて確認しましょう。

SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略語で、日本語では「持続可能な開発目標」訳されています。2015年に開催された国連総会にて、193の全加盟国一致により採択され、17の目標と169のターゲットが掲げられてました。

17の目標は、2030年までに達成しなければならないゴールです。169のターゲットには、ゴールするために「何年までにこの数値を目指そう」という具体的な到達点が記されています。

スマート農業は目標2「飢餓をゼロに」と関係する

そんなSDGsとスマート農業が関わりを持つ目標が、2番目の「飢餓をゼロに」です。「飢餓をゼロに」では、8つのターゲットが掲げられていますが、飢餓以外にも農業についても言及しています。

そのなかでもターゲット2.4の、

2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

が、特にスマート農業と関係しており、キーワードとなるのが「レジリエントな農業」です。次で詳しく見ていきましょう。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」達成に向けた取り組み・できること

SDGsが目指すレジリエントな農業

レジリエントは日本語で強靭を意味します。

つまりレジリエントな農業とは、天候や老朽化などのあらゆる課題に対応し、安定した生産ができる強靭な農業です。特に飢餓ゼロを目指すためには、食料生産の安定化が重要となってきますが、これまでの農業では、自然災害によって大きな影響を受けることも少なくありません。

  • 洪水によって畑の野菜が流される
  • 台風によって木に実った果物が落ち商品としての価値を失った

などといったニュースを1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。今度の農業には、そういった被害にもすぐさま対応できる生産体制を整えていくことが求められているのです。

そこで農林水産省では、地方自治体や企業と協力し下記の6つの対策を行っています。

【レジリエントな農業を目指すための6つの対策】

  • 地震対策
    農業用水を利用した再生可能エネルギーの活用・災害時に迂回路となる農道の耐震化対策などの実施
  • 豪雨対策
    排水路の急激な水位上昇を防ぐ「田んぼダム」の利用・豪雨災害に備えたため池の「かいぼり」作業実施
  • 津波対策
    大規模な津波に備えたハード・ソフト対策の実施・排水施設の日常的な点検・保全管理実施による地域の防災意識の醸成
  • 渇水対策
    こまめな水管理と節水意識の徹底・「番水」などのよる適正な利水調整の実施
  • 老朽化対策
    トライボロジーを活用したポンプ設備の機能診断・無人調査ロボットによる通水中の農業用水路トンネルの点検
  • ソフト対策
    集落ぐるみで実施する野生鳥獣による農作物被害対策・農村コミュニティによる施設の点検及び維持管理活動の実施

これらの対策を進めるにあたって、最新技術を活用したスマート農業が不可欠となっており、今後ますます導入が推進されるでしょう。

まとめ

今回はスマート農業の内容や事例について紹介しました。AIやロボットなど最先端の技術を取り入れ、農作業の効率化や重労働の軽減を実現するスマート農業は、参入のハードルを低くし生産の安定化を実現する画期的な方法です。

またSDGsとも深い関りがあり、スマート農業を導入することで目標2「飢餓をゼロに」の達成にも貢献できるのです。

しかし、新しい技術や機械を取り入れるため費用面の負担も大きく、扱いに慣れるまでに時間もかかり、データの収集も簡単ではありません。これらの課題を解決するためには、政府・自治体・JA・農家の連携が鍵となってきます。

メリットや課題を考慮しながら、自分たちに必要な技術やシステムを選び、スマート農業に挑戦してみましょう。

参考文献
蟹江憲史著「SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書」
野口伸監修「図解でよくわかるスマート農業の基本 /誠文堂新光社」
日本総合研究所研究員著「図解でよくわかるスマート農業/日刊工業新聞」
八木宏典監修「最新版 図解 知識ゼロからの現代農業入門/家の光ネット」
農林水産省「スマート農業の展開について」