スウェーデン発のハンバーガーチェーン店、MAXバーガー。スウェーデン人も例外なくハンバーガーショップは大好きです。スウェーデン国内にも、アメリカ大手のマクドナルドや、バーガーキングなど、有名フランチャイズ店が数多くあります。
そのような同列競争が激しいなか、MAXバーガーがスウェーデン人に愛されているのには、常に食の安全性を気に掛ける、スウェーデンならではの販売戦略がありました。
早くから食肉問題に関心を示し、メニューの考案も進んでいたMAXバーガーですが、近年ではベジタリアンやヴィーガン対応の代替肉を使った「グリーンファミリー」メニューもさらに充実しています。
今回は、スウェーデンのハンバーガーチェーン・MAXバーガーの考える、環境問題へのアプローチについて、スウェーデン人の生の声とともに、ご紹介していきます。
目次
MAXバーガーは100%スウェーデン発のファーストフード店
MAXバーガーは、1968年創業のハンバーガーショップです。日本初のハンバーガーチェーン店は、1970年にオープンしたドムドムバーガーですから、日本よりわずかに早い誕生だったことが分かります。まずは、MAXバーガーの歴史から、環境問題へのアプローチを見ていきましょう。
MAXバーガーの歴史
MAXバーガーは1968年に、イェッリヴァーレ(Gällivare)の町で、小さなハンバーガー店としてオープンしました。イェッリヴァーレは、北極圏をさらに北上した、スウェーデンでもかなり寒い土地です。もともとは家族経営のレストランでした。
実はこの最初の店のオープン時には、すでに環境問題についても深く考えられていました。
今日では当たり前のように議論されているサスティナビリティですが、MAXバーガーでは開店当初から、車のエンジンヒーターや冬用タイヤについて、環境によいものを使うように議論されてきました。また、段ボール箱の処分の方法を考えたり、再利用可能なアルミボックスの購入をしたりしています。
なかでも、アルミホイルなど食品を包むための素材に関しては、早期に利用を中止しているのは注目すべき点です。
MAXバーガーは持続可能な経営方針を、世界で初めて採用したファーストフード店なのです。
MAXバーガーの特徴は?
スウェーデン人は、MAXバーガーのハンバーガーが一番美味しいと口を揃えます。むろんそこには愛国心もあるでしょうが、中高生などの若い世代に尋ねても「マクドナルドを食べるならば、多少値段が高くてもMAXを選ぶ」と答える人が多くいます。
MAXバーガーのホームページには「ハンバーガーのパティには秘密はなく、スウェーデン産の牛肉に卵、ジャガイモ、スパイス類を混ぜただけ」と記載があります。そう、MAXバーガー最大の特徴は、素材が全てスウェーデン産という点にあるのです。
一般的にスウェーデンの人は「スウェーデン人はお隣の国に比べると、ずっと健康によいものを食べている」と自負しています。スウェーデンのように物価の高い国で、全てを地元産の食品にこだわると、価格は安くは抑えられません。しかしながら、安全といった意味では十分な信頼性があります。
それは食材が新鮮というだけではなく、スウェーデンは食の安全に関しては、厳しい規制や制約があるからにほかなりません。
食品の安全を重視し、美味しさの点でも人気の高いMAXバーガーは、現在スウェーデン国内だけで147店舗。隣国デンマークでは首都コペンハーゲンを中心に5店舗、ノルウェーで9店舗、ポーランドに20店舗と、勢いのある企業でもあります。(2023年1月現在の情報)
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MAXバーガーの環境への配慮
1.炭素隔離(カーボンオフセット)
MAXバーガーでは、2008年よりカーボンクレジット(炭素クレジット)発行により、まだ削減できていない二酸化炭素の排出量を保障しています。
カーボンクレジットとは、企業間で温室効果ガスの削減量や、吸収量を取引きできる仕組みです。企業が植林や森林保護・省エネ機材の導入などで発生した温室効果ガスを、排出権として発行します。
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実際の取引方法は、企業が商品に排出権を付けて販売し、購入者が温室効果ガスの排出量を、各自の生活や業務などで相殺するのです。商品やサービスに排出権を付け、販売を通じて温室効果ガスを埋め合わせる方法で、カーボンオフセットとも呼ばれます。
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MAXバーガーでは現在、排出量よりも10%多くの削減量を保証しています。気候に配慮したメニューを提供することで、国際的にも、持続可能性のある食品会社のリーダー的存在として認められています。
①二酸化炭素の 排出量を100%分析
MAXバーガーが商品に計算上入れている二酸化炭素排出量は、バーガー1個分の量ではありません。生産から消費者の口に入るまでのすべて、そして購入者が出す廃棄物や、トランスポートなど、すべての生産過程において細かく分析されています。
②二酸化炭素 排出量の削減
何年にもわたって、MAXバーガーでは製品からの気候ガスの排出を削減するため、何百もの対策を実施してきました。現在でも常に、新たな対策が追加されています。
③植林による二酸化炭素排出量のオフセット
MAXバーガーでは、成長するときに大気中の二酸化炭素を吸収して貯蔵する木を、積極的に植林しています。結果、すべてのメニューや製品の排出量を補っており、さらに大気中の気候ガスのレベルを下げることに成功しています。
生産されるハンバーガーがクライメート・ポジティブになるよう計算され、アフリカでのPlan Vivo認定の植林プロジェクトを通じて、カーボンオフセットに貢献しています。
2.数々の賞と功績
MAXバーガーは11年連続で「スウェーデンでもっとも環境にやさしい企業」に選ばれています。それは、ヨーロッパ最大のサスティナビリティに関する企業調査、「サステナブルブランド・インデックス」で、レストラン・カフェ・テイクアウト部門に選出されていることからも明らかです。
3.全てのメニューに環境ラベルがついている
MAXバーガーは、2008年に、店内全てのメニューに環境ラベルをつけた、世界で最初のファーストフード店です。よく知られているエコマークや、ノルディックスワン、エコリーフなどがあります。
日本ではおそらく、メニューにカロリー表示がついていると、安心して購入できるという方が多いのではないかと思います。
スウェーデンでは、ファーストフードのメニューに示される「商品による気候変動への影響」や「この商品はどれだけの酸素排出量になりますよ」などという表示が、人々が安心して商品を選べる指標となっているのは、興味深いですね。
MAXバーガーの食材へのこだわり
MAXバーガーがスウェーデン産の食肉や、地元産の食材を積極的に使っているのは前述のとおりです。100%スウェーデン産にこだわった食材について、それぞれ細かく見ていきましょう。
牛肉
MAXバーガーで提供されている牛肉・豚肉はすべて、スウェーデンで育てられた食用肉です。もちろんベーコンなどの加工品も同様です。
スウェーデンの牛肉は高品質で知られていますが、それは世界でもっとも厳しい動物保護法があるためです。また、動物の飼育に関して、EU国内で抗生物質などの使用がもっとも少ない国もスウェーデンです。
100%スウェーデン産の牛肉を利用した商品は、「ミート・フロム・スウェーデン」のラベルを使用できます。これは、その食用牛肉がスウェーデンで生まれ育ち、殺されていることを意味します。つまり、厳しい審査をクリアした安全な食肉ということです。生まれてから商品として梱包されるまでを含め、すべての過程がスウェーデン国内で行われています。
MAXバーガーは動物由来の原材料のバイヤーとして、優れた農家で生産された畜産が重要だと考えています。実はスウェーデンで1kgの牛肉を生産すると、温室効果ガスの排出量が、世界平均の1/2.5に減ることが分かっています。
チキン
MAXバーガーが契約している養鶏業者は、すべてスヴェンスク・フォーゲル(Svensk Fågel/スウェーデンの鳥)のメンバーとなっています。つまり、利用される食用鶏はスウェーデンの厳格な動物福祉法に加え、アニマルケアプログラムの対象となっているのです。
たとえば、成長のための無理なホルモン剤や抗生物質を一切使わないこと、定められた獣医師のもとで定期的な健康チェックを受けることなどが決められています。
ほかにも、鶏舎は加熱処理後のわら・木材・おがくずなどで暖の取れる環境にしたり、自由に歩き回れるだけの広さの庭があったりと、健康的に育っています。
MAXバーガーの鶏肉に関するアニマル ウェルフェア ポリシーについて
たまご
MAXバーガーで使われている鶏卵は、放し飼いで飼育されている鶏のものです。スウェーデンでは一般的にはこのように、放し飼いの鶏が好まれています。動物を狭いケージに閉じ込めて飼育することは、余計なストレスを与えるので、卵や肉の品質にも影響があると考えらえています。
卵サラダに使われている卵も、オーガニックです。スウェーデン国外のMAXバーガー各店舗で調理提供されている卵も、すべてケージフリーの鶏から生まれています。
野菜
極北の国スウェーデンでは、季節ごとに生産される野菜の種類が多いとはいえません。スウェーデンでは生鮮食品の約50%を輸入に頼っているからです。
MAXバーガーでは、季節に合わせてスウェーデン産だけでなく、ヨーロッパ各国で栽培される新鮮野菜を使っています。契約栽培農家は、天然肥料を利用したファームです。さらに、微生物的分析で、野菜の状態を定期的に確認しています。
このように野菜の鮮度だけではなく、野菜の育つ環境にも配慮することで、慎重に品質を保っているのです。
乳製品
MAXバーガーでは、いくつかの業者から乳製品を仕入れています。
・Norrmejeriers
ラップランドを含むスウェーデン北部の行政地域、ノールランド(Norrland)にある会社です。商品パッケージに使われている外箱は、人の手が入った植林の森から採取されたものです。ふたと外側の商品ラベルのフィルムも、植物由来の原材料。92%が再生可能な素材です。
・Skånemejerier
スウェーデン南部のスコーネ地方の業者です。スウェーデンの牛乳パックは、一般的にプラスチックのふたがついています。キャップ部分はプラスチックに、本体容器に残ったプラスチックは、製紙工場で分離されます。
・Arla
デンマークが登録している、ヨーロッパの農業協同組合がArlaです。2000年4月には、スウェーデンのAlra ekに吸収合併されています。ヨーロッパ全体で8,956 人の酪農家が組合員として登録されています。現在はベルギーやオランダ・ドイツなどの企業と業務提携をむずび、もっとも成長している企業のひとつです。
MAXバーガーで使用されている乳製品に関しては、このようにいくつかの会社から提供されています。地元産の牛乳を運ぶのは、輸送による環境への影響を減らすのが目的です。また、地元の農家を支援できるのもポイントです。
魚類
MAXバーガーで提供される魚に関しては、MSC(Marine Stewardship Council)の漁業認証を受けています。これは、国際的な管理方法と科学に基づき、漁業が持続可能で適切な方法であると認められ、捕獲された魚ということを示しています。
フィッシュサステナビリティ(水産資源の持続可能性)は、乱獲の防止や、畜養・養殖による生産、水産資源の有効利用や保護など、多岐に渡っています。
固定種の乱獲を防ぎ、環境を脅かされていない資源であるために、水産資源の数の把握や研究、捕獲のプランニングなどを含め、さまざまな角度から研究されています。
MAXバーガーが提供するグリーンファミリーシリーズについて
多くのハンバーガーチェーン店では、これまで肉を食べないベジタリアンたちの選択肢といえば、ほぼ魚のフライ系バーガー一択でした。近年は食材摂取に関して、より多くの選択肢が設けられています。MAXバーガーでは、そのような「食の選択」だけでなく、「環境への配慮」の点から、代替肉を使ったさまざまなメニューを選べます。
菜食主義?ヴィーガンやラクト・オーヴォとの違いは?
日本語で「採食主義」というと、肉や魚などの動物性たんぱく質を一切食べないというイメージがあります。
しかしながら欧米では、牛肉や豚肉・羊肉などの赤身の肉は「食肉」というカテゴリーですが、鶏肉は「チキン」という別カテゴリーに属すため、ベジタリアンだけれど、鶏肉や魚は食べる人、というのも一般的です。
レストランなどで「私はベジタリアンなのですが」、といった場合、「魚や鶏肉は食べますか?」と聞かれることもあるくらい普通ですし、ベジタリアンは卵や乳製品を摂取するのも、当然と考えられていました。
スウェーデンでの一般的な定義では、卵や乳製品を含む動物性の食品をときどき食べる場合にも、ベジタリアンと呼んでもよいというゆるい感じです。しかしながら、スウェーデン食品庁では、動物由来の成分が含まれている場合には、ベジタリアンとは表示されません。
また、ラクト・オーヴォ・ベジタリアン(Lakto-Ovo-Vegetarian)という考えもあります。オーヴォ(Ovo)というのは、古代ガルシア地方や古ポルトガル語で「卵」を意味し、ラテン語のオーヴン(Övum)からきている言葉です。
ラクト・オーヴォ・ベジタリアンは、卵や乳製品を食べますが、肉・鶏肉・魚・甲殻類は食べません。さらに細分化すると、オーヴォ・ベジタリアン(卵は食べるが乳製品は食べない)や、ラクト・ベジタリアン(乳製品は食べるが卵は食べない)という菜食主義者もいます。
日本でも話題になっているヴィーガン(Vegan)は、動物性の素材を一切含まない食べものや、製品を差します。肉や鶏肉、乳製品、卵、魚・甲殻類だけでなく、ゼラチンやはちみつ、衣類では皮革・ウール・ダウン、その他動物実験をしている化粧品など、あらゆる動物関連の製品を使用しません。
売上1.000%増のグリーンファミリーシリーズとは?
MAXバーガーでは、早くから食肉問題に精力的に取り組んできました。なによりも、二酸化炭素排出量を削減するため、数多くの新メニューが開発されています。
もともと「グリーン・ミール」として、ベジタリアンやヴィーガン対象に、食肉を使わないハンバーガーを提供していました。MAXバーガー最大の取り組みは、2016年にグリーン・ミールの品数を、5倍に増やしたことです。
そのときに発売されたのが、現在のグリーンファミリーシリーズ。以降、環境に優しい代替肉を使ったハンバーガーメニューの売り上げは、なんと1,000%増加しています。実は通常メニューよりも品数の多い、グリーンファミリーシリーズの商品。気候への影響を、大幅に削減しているのです。
参考までに、ベジタリアンで一番人気の「グリルハロウミチーズバーガー」の環境負荷(カーボン・フットプリント)は、0.8 CO2e/kg。ヴィーガンバーガーは0.5 CO2e/kgとなっています。
この数値はハンバーガー単体での二酸化炭素削減値ではなく、農家の土地からハンバーガーを購入し、食べるまでのすべての過程において、酸素排出量の全体を計算したものです。
グリーンファミリーシリーズが最も売れている地域は?
スウェーデン国内に150店舗近くあるMAXバーガーですが、実際にどの地域でよりグリーンファミリーシリーズが売れているかという、興味深い分布がありました。
予想通りという意味では、首都のストックホルム・ソーデルマルム地区にある、Medborgarplatsen。ストックホルムの街の中心に位置している店舗です。また、国内第2の規模・ヨーテボリ東部にある、Partille地区の店舗でも、売り上げが高くなっています。この辺りは単純に、人口の差によるものでしょう。
これら人口の多い都市部で売れているハンバーガーの約5分の1が、ベジタリアンかヴィーガンです。スウェーデン全体のMAXバーガーで売れているハンバーガーの18%が、グリーンファミリーシリーズということになります。
この数値は実は、通常スウェーデンで「菜食主義者」といっている(自称している)人数よりも、遥かに多い数となっています。このことから、グリーンファミリーシリーズは、ベジタリアン以外の人たちにも、多く受け入れられていることが分かります。
そのほかでは、スコーネ地方の大学都市Lund(人口9,194万人)、セーデルマンランドの県都・Nyköping(人口3,816万人)、エステルイェーテランドのMjölby(人口1,224万人)、ヴェストラ・イェーテランド のUddevalla(人口3,121万人)も、ほかの都市に比べてグリーンファミリーシリーズの売り上げが伸びている地域です。
これらの大都市郊外の町は、人口自体は都市部ほど多くなくとも、さまざまな国から人が集まる学生街だったり、移民の多い地域だったりするのも影響しているでしょう。移民の中にはアラブ系の人々のように、普段からファラフェルなど豆製品を食べ慣れている人や、インド系など牛肉を食べる習慣のない人も多くいます。
グリーンファミリーシリーズの売り上げは季節によって変わる?
夏のスウェーデンの自然の素晴らしさは、言葉にするのが難しいほどです。緑の色はさえわたり、太陽のまぶしさがいっそうありがたく感じられます。もし、夏にスウェーデンを訪れることがあれば、すべての人がスウェーデンを好きになるでしょう。
夏のスウェーデン人の明るさや陽気さは、だれの目にも明らかです。食生活にも顕著に影響を及ぼしていて、夏にはサラダをはじめとする野菜や、フルーツ類に関心を示す人が増えます。
気温が上がるにつれて、人々は屋外でゆったりとした野菜たっぷりのランチを楽しみ、秋口から寒さが染みる頃には、食への関心も低下するのです。冬季に新鮮な食材に関心を示す唯一の例外は、クリスマスとイースターの時期、そして休日や祝日に限られてきます。
グリーンファミリーシリーズの売り上げも実に、季節に影響されています。統計によると、夏にはグリーンファミリーシリーズの売り上げが伸び、また、土日には多くなっていることが分かります。とくに、7月を中心としたホリデーシーズンには、多くのスウェーデン人がランチに、グリーンファミリーシリーズを選ぶのを好んでいます。
一方、夜になると、グリーンファミリーシリーズの売り上げは減少しています。とくに冬場の例を挙げると、グリーンファミリーシリーズを購入する男性の割合が減っています。
グリーンファミリーシリーズのバーガーを試食!
MAXバーガーのグリーンファミリーシリーズを見ると、代替肉のメニューの多さに驚きます。写真で見るだけでは、普通の食肉を使ったバーガーと、一見何の違いもないように見えます。チキンじゃないチキン、野菜パティのバーガーなど、種類が豊富なのは嬉しいですね。
デリフレッシュ・シグナチュール・プラントビーフ・メニュー
今回試食してみたのは、代替肉のパティを使用した、プラントビーフのハンバーガーです。野菜が多めなのと、チーズなどが乗っていて、具だくさんという点から選んでみました。
金額はセットメニューで99,00KR(約1,240円)です。もともとファーストフードが高いスウェーデンで、価格上昇の影響もあるなか、こちらは平均値のメニューになります。ほとんどのセットメニューは87~109KRほど(約1,090~1,360円)のあいだです。
セットメニューは選んだバーガー、フライドポテト、好みのドリンクの3点で、通常のセット同様となります。プラス17KR(約200円)でフレンチフライをスイートポテトフライに替えられます。
安いメニューは、ハロウミチーズなどを使った代替肉ではない商品。高いものは代替肉やチーズが2枚のダブル系の商品です。フライドチキン風の商品「No Chicken」のシリーズも、お値段的には中間層です。野菜少なめの商品は少し割安ですが、バンズをつかわないサラダバーガーの値段は、普通のものと変わりません。
牛肉のパティと比べても謙遜ない食感
代替肉のプラントミートを使ったパティは、厚みや弾力のある食感など、通常のビーフと比べてみても驚くほど肉に近い仕上がりでした。
ソースも普段食べなれているものと同じなので、バーガーメニューとして「今日はお肉の代わりにちょっと野菜をとってみようかな」という日や、「ファストフードばかりでは栄養が偏るかも…」と感じてしまう日には、おすすめできます。
パティ自体の味は、チーズ風味やスパイスがほどよく効いています。もちろん肉の味はしませんが、十分おいしくいただけます。また、ボリューム的にもしっかりしているので、満足できます。
これだけMAXバーガーのベジ系メニューが充実していると、ベジタリアンやヴィーガンでなくとも、つい手に取ってみたくなります。
もちろんグリーンファミリーシリーズを優先して食べることが、必ずしも気候に影響の少ないものを食べることと、完全にイコールというわけではありません。
完全なベジタリアンやヴィーガンになる必要はありませんが、「今日はちょっとだけ環境のことを考える日」など、少し意識をして、グリーンファミリーシリーズを選んでみる日があってもよさそうです。
まとめ
影響力のある大手の企業は、率先して環境問題に取り組むことで、社会的な影響を世の中に知らしめることが可能です。人々にとってかなり身近な存在、人気のファーストフード店がアプローチする方法は、確実にスウェーデンの人々に支持されていると感じます。
スウェーデンでは一般的に、小学生のころからSDGsの17項目について、授業で習う機会があります。もちろん、それらの17項目のうち、どの項目が子供たちの心に残るかは人それぞれです。
年頃の子供たち(おもに少女)が、健康な食生活やダイエットに興味を示すのと、ファーストフード店の利用が最も多い年代が、ちょうど重なっているのも興味深い事実です。
実際に、高校生や大学生になると、自分で調理を覚えた子供たちが「今日はベジタリアンの日」と、豆類や野菜類をふんだんに使ったヘルシーな料理を家族に振舞うのも、よく見聞きする光景です。
人々の生活から切り離せない、毎日の食事事情。そのなかで無理をせずに、環境のことを頭の隅に置きながら、豊かな食生活をゆるく送るのも、まさにスウェーデンらしい生活といえますね。
※本文中のスウェーデンクローネは、2023年1月時点の為替レートによって円換算されています。