昨今、日本でも頻繁に取り上げられているプラスチックごみの問題。
無料レジ袋の廃止や飲食店での紙ストロー導入など、身近にプラスチックごみ問題を考える機会が増えつつあります。
実は、日本から遠く離れたオーストラリアでも、日本同様にプラスチックごみへの解決方法を模索しているのです。
解決策のひとつとして最近注目を集めているのが、Bulk Foodという販売方法を導入した店舗の存在です。
この記事では、Bulk Foodの仕組みや販売方法について詳しく解説していきます。
「エコ大国のオーストラリアがどんな取り組みをしているのか気になる」「環境を良くしていくための色々なアイデアを知りたい」という方は、ぜひBulk Foodに関する理解を深めてくださいね。
目次
プラスチックごみの問題はオーストラリアでも深刻化
オーストラリアでは、年間100万トンのプラスチックが消費されています。
リサイクル率は12%と非常に低く、残りの88%はプラスチックごみとして処理されています。
数多くの野生動物が生息するオーストラリアにおいて、プラスチックごみの問題は非常に深刻です。
海洋生物がクラゲと間違えてビニール袋を誤飲する、救出されたカメが数日間にわたってプラスチックの破片を排せつする、親鳥が誤って小鳥にプラスチックごみを餌付けするといった事態も発生しており、プラスチックごみによる野生動物の死亡例も後を絶ちません。
野生動物やエコシステムへの悪影響が大きいことから、オーストラリアではプラスチックごみを削減するためのさまざまな取り組みを行っています。
特に人口が多い都市部では、プラスチックごみの消費量が大きくなりやすい傾向にあります。
消費される率が高い食品のパッケージ包装もプラスチックごみを増やす懸念材料となっており、ストローのように代替案を導入する取り組みが進められているのです。
プラスチックゴミを最小限に抑えるBulk Food
Bulk Foodとは、食品をパッケージに入れない販売方法のことです。
数十種類から数百種類を超える食品が大型のケースやボトルに入っており、消費者は欲しい商品を紙袋や瓶に入れて購入します。
量り売りスタイルなので、使い切れる分だけ購入することで食品ロスの削減にも貢献しているのもポイントです。
なお、Bulk Foodを実施している店舗の数は、人口が特に多い都市部で増加中です。
人口が多いということは、それだけ食品の消費量が多いということを意味します。
都市部にBulk Food店舗を増やすことで食品包装のプラスチックごみを減らせるため、オーストラリアの各都市においてBulk Foodの販売方法が広がっています。
バリエーション豊富な食品の種類!
Bulk Food店舗では、多種多様な食品が提供されています。
小麦粉、塩、砂糖は複数の種類が販売されており、その他にもココアパウダー、ナッツ、お米、ドライベリー、プロテインパウダー、ひよこ豆、紅茶、ガーリックパウダーなどのバリエーション豊富な食品が購入可能です。
また、ナツメグ、シナモン、ローズマリーをはじめとするスパイスやハーブの品揃えも多く、抹茶パウダーといった多国籍な消費者向けの食品もあります。
大型店舗ではポップコーンが販売されていることもあり、食材からお菓子まで幅広いジャンルの食品を選べるのが特徴です。
さらに、粉状や固定の食品以外にも、ミネラルウォーター、ココナッツウォーター、レモネードなどの飲み物も取り扱っています。
大量に欲しい場合は瓶に入れる、少量の購入なら紙コップに注ぐなど、飲み物も食品と同様に量り売りで好きな分量を買える仕組みです。
店舗の規模にもよるものの、スーパーと変わらないラインナップを取り揃えたBulk Food店舗も増えつつあります。
環境への配慮とスーパー並みの品揃えの両方を実現させようと試みる店舗も多く、オーストラリアではBulk Food店舗の需要が少しずつ高まっているのです。
Bulk Foodの利用方法
Bulk Foodは、セルフサービスで商品を詰めます。
難しそうなイメージを抱かれがちですが、Bulk Food店舗では3つの手順に沿うだけで誰でも簡単に食品を購入できます。
以下は、Bulk Food店舗の利用方法3ステップです。
①袋に欲しい商品の番号を記載する
Bulk Food店舗では、無料の紙袋や再利用可能な有料の瓶が提供されています。
各商品には番号が振り分けられており、紙袋や瓶に欲しい商品の番号を記載する仕組みです。
商品によって容量ごとの価格が異なるので、複数の食品を同じ紙袋や瓶に入れるのはNGです。
2つ以上の食品が欲しい場合は、商品ごとに紙袋や瓶を分ける必要があります。
なお番号を記載するペンは、Bulk Food店舗で常備されています。
②欲しい分だけ紙袋や瓶に詰める
番号を記載したら、欲しい食品を紙袋や瓶に詰めます。
食品ひとつずつに専用のスクープやスプーンが置かれているパターンもあれば、使用前と使用済みのスクープ・スプーンをバスケットや箱に入れているだけの店舗もあります。
店舗によって決まりが違うので、詰める際には各店舗のルールを理解しておくことが大切です。
尚、Bulk Food店舗では、最低分量などは設定されていません。
欲しい分だけ買えるシステムなので、少量からの購入もOKです。
商品の近くには、食品の重さをチェックするための量りが置かれています。
決まった分量が欲しい消費者は、量りを使いながら食品を詰めるのが一般的です。
③重さ分の料金を支払う
食品を詰め終わったら、レジに紙袋や瓶を持って行きます。
商品ごとの重さ分の料金をスタッフが計算してくれるので、支払いを行ったら買い物終了です。
売上の一部を地域団体や環境保護活動に寄付する店舗も
一部のBulk Food店舗では、売上の数%を環境保全への寄付に充てています。
例えば、Bulk Food店舗のチェーンであるSantos Organicsは、2016年から2022年までの間に合計33万ドル(日本円で約3,000万円)を寄付しています。
寄付先は実に30か所を超えており、環境保全や野生動物の保護を行う地元団体が対象です。
売上の一部をエコ活動に寄付することにより、環境保護の意識を持つ一般市民たちから高い関心を集めています。
「地球に優しいことをしたいけど何から手を突けたらいいのか分からない」「時間の余裕がなくて環境保護アクティビティには参加できない」といった市民たちも気軽にエコ活動に参加できることから、Bulk Food店舗で買い物をしようと考える消費者が増え続けているのです。
まとめ
オーストラリアで普及するBulk Foodは、プラスチックごみを減らすための新たな取り組みです。
必要な食品を必要な分量だけ購入できることから、食品ロス問題の解決策としても注目を集めています。
バリエーション豊富な食品が取り扱われており、オーストラリアではスーパーの代わりにBulk Food店舗を利用する市民も増加しています。
日本でも一部の商店で行われている量り売りですが、プラスチックごみ削減の大きな手助けになる販売方法です。
身近なプラスチックごみを減らすためにも、パッケージ包装された商品ではなく、量り売りの商品を手に取ってみてはいかがでしょう?