海洋酸性化とは?原因と生物に与える悪影響・できる対策を解説

現在、海の生態系バランスの崩壊やサンゴ礁の破壊などの問題が起きています。その原因の一つが海洋酸性化です。海の酸性化は、私たち人間の活動によって加速しつつあります!

そこでこの記事では

  • 海洋酸性化とは
  •  酸性になる理由や原因
  •  海洋酸性化が進むとどんな影響があるのか
  •  日本や世界はどんな対策をしているのか
  •  私たちが日常でできる対策

などを見ていきましょう!ぜひ気軽に読んでいただき、海洋酸性化について考えるきっかけになれば幸いです。

海洋酸性化とは

海洋酸性化とは、海水が酸性になる、または酸性に近づいていく現象です!

海洋酸性化の理解を深めるには、まずはpHについて知る必要があるため、簡単に説明します。

より理解を深めるためにpHを知る

pHとは、その液体がアルカリ性なのか酸性なのかを示す、水素イオンの濃度の度合いを表す単位です。pHの数値が高いほどアルカリ性を示し(図の紫~青部分)、低いほど酸性に近くなります。(図の黄色~赤部分)。

本来、海水はpH8の弱アルカリ性です。しかし、つまり海洋酸性化は、海水がpH8未満の数値に変化していることを指します。

※海洋の種類や深度によって標準となるpHが異なるため、明確に海洋酸性化のpHの数値は決められていません。同地点において海洋のpHが下がり続けていることで「海洋酸性化」が起こっていると判断します。

海洋酸性化する仕組み

では、なぜ海水のpHの数値が変化するのでしょうか。

大気中の二酸化炭素の増加が海洋酸性化の原因に

海洋酸性化の主な原因は、大気中の二酸化炭素です。海は、大気中に排出される二酸化炭素全体の約30%を吸収していると言われています!

二酸化炭素の増加で海水のpH値が低下

海に二酸化炭素(CO₂)が吸収されると、その一部が炭酸(H₂CO³)になります。さらに炭酸が分離し、結果的に水素イオン(H⁺)が増加します。この水素イオンが酸性を示すものなのです!

本来であれば、吸収された二酸化炭素は海藻などの海洋生物の役割などによって分解され、酸性化の問題は起こりません。しかし、二酸化炭素の排出量が多くなったことで吸収量も増加し、処理しきれなくなった結果、海洋酸性化が進行しているのです。

二酸化炭素排出量の推移

ここで、1970年代からここ最近までの世界の二酸化炭素排出量を比較してみましょう。

世界全体で見ると、年々二酸化炭素の排出量は増えており、2018年は1971年と比較しておよそ2倍以上となっています。さらに、2000年から2010年までの間、特に中国やインドで排出量が増えていることが目立ちます!

これは、

  • 中国・インドは世界1位・2位の人口で※2エネルギー消費が大きい※3
  •  インドでは21世紀に入ってから工業が大きく発展※4
  •  中国は2001年にWTO(世界貿易機構)に加盟し著しく工業・経済成長

 このように世界中で産業が発展すると、その分エネルギーとなる石油・石炭などの化石燃料が消費され、膨大な量の二酸化炭素が排出されます。実際に、過去20年間のうち、大気中の二酸化炭素が増えた要因の4分の3は化石燃料によるものです。※5 

それに伴い、海の二酸化炭素吸収量も増加しています。下のグラフの青い部分にご注目ください。

工業の発展によって私たちの生活は豊かになりましたが、大気中の二酸化炭素排出量が増加することで海が二酸化炭素を吸収する量も多くなり、海洋酸性化も進行しています。

世界的に進む海洋酸性化

この海洋酸性化は、世界全体で見られるようになりました。

上図は、1990年1月の海洋表面のpH(水素イオン濃度指数)を示しています。1990年は一部酸性化している海域があるものの、ほぼ全域で弱アルカリ性を示していることがわかります。

続いて、2020年1月のデータを見ていきましょう!

1990年と比べると全体的に黄色や赤の海域が目立つようになり、濃い青を示していた海域も薄い青に変化しています。世界全体の海洋で酸性化が進んでいることがわかります。

では、海洋酸性化が進むことで、どのような影響が見られるのでしょうか。

海洋酸性化による影響

ここでは、海洋酸性化による影響として、

  • サンゴが石灰化(骨格形成)できない
  • 海洋生態系の破壊
  • 魚介類の成長を妨げる
  • 水産業にも影響が出る

の4つをピックアップしました。

サンゴが石灰化(骨格形成)できない

まず、海洋酸性化の代表的な影響だと言える、サンゴについて見ていきましょう。

サンゴは特に骨格が酸に溶けやすい成分でできていることと、酸性化の影響を直接的に受ける海の表面付近に生息しているため、非常に酸性化の影響を受けやすい生物です。

サンゴが海洋酸性化の影響を受けると

  • 骨を作るための「石灰化」が出来ず、サンゴが育たない
  • 今あるサンゴの骨が溶け出す
  • サンゴの石灰質の骨格が積み重なってできたサンゴ礁が破壊される

などの現象が起こります。

実際に、酸性に近い水槽の中でサンゴの石灰化(骨格形成)速度を約4年間観察した実験があります。その結果、アルカリ性の正常な海洋環境と比較して40%、サンゴの石灰化(骨格形成)速度が遅くなりました。※10

このように石灰化(骨格形成)の速度が遅くなることで、骨が支えているポリブと呼ばれる生殖や吸収を行う部分に影響があり、最悪の場合サンゴの死に繋がる恐れがあります。

世界の海では、このようなサンゴの石灰化(骨格形成)の遅れが実際に観測されています。

オーストラリアのグレートバリアリーフの69の海域のハマサンゴ328群は、過去400年骨格形成速度は安定して保たれていました。しかし、所々で海洋酸性化がみられるようになった1990年以降は、成長スピードが14%減少していたのです。

その他にも、カリブ海、インド洋、太平洋域の幼いサンゴの成長スピードが、2000年代に入ってから1970年代の半分になりました。※10 さらに、サンゴの骨格が積み重なってできているサンゴ礁の数も年々減少しています。

これらの原因は海水温上昇など様々ですが、その一因に海洋酸性化で石灰化(骨格形成)がしにくくなっていることも含まれています。※11

このまま進むと、多様なサンゴ礁があった場所が失われると懸念されています。※10

海洋生態系の破壊

海洋酸性化は、サンゴだけではなく海の生態系に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。

なぜなら酸性化によって骨格や甲殻類の殻が形成できなかったり、溶け出してしまったりするからです。

例えば、

  • ウニ
  • サンゴ
  • カニやエビなどの甲殻類
  • ホタテ・牡蠣などの貝類
  • 植物プランクトン
  • 動物プランクトン

といった生物に影響が出ています。

これらの生き物に共通するのは「炭酸カルシウム」という成分で出来た骨や殻が、体の表面など海水の影響を受けやすい場所にあるという事です。

炭酸カルシウムは酸性の液体に溶ける性質を持つため、

  • 稚貝の殻が薄くなることで捕食されやすくなり生存率が低下する※6
  • 新しく殻や貝を作れず繁殖ができない
  • カニの甲羅やホタテの貝が溶け、死につながる
  • 植物・動物プランクトンのサイズが小型化する※6

など、生態系が乱れる事態が引き起こされるのです。

特に、動植物プランクトンが育たないことで魚介類の成長にまで影響が出てきます。

魚介類の成長を妨げる

海洋酸性化による生態系の破壊で、魚介類が成長しにくくなります。なぜなら、食物連鎖の下位にいる植物・動物プランクトンの数が海洋酸性化の影響で減少し、魚の餌となるものが減るからです。

このような食物連鎖を保つためには、それぞれが必要な量の餌を食べることが重要です。生物が生涯生きるには、体重の約10倍の餌が必要と言われています。※7例えば、100kgのマグロには1トンのイワシ、1トンのイワシが生きるためには10tもの動物プランクトンが必要になります。

海洋酸性化によりプランクトンが減少・小型化すると、プランクトンを餌とする魚が適切な量の餌を食べることが難しくなり、成長できなくなります。そして、特に影響を受けるのはその魚を餌とする生態系の上位の大型の魚です。大型の魚ほど多くの餌を必要とするため、ブリやマグロ、サケなどが成長しにくくなり、さらには漁業にも影響があると懸念されています。※6

水産業にも影響が出る

海洋酸性化は水産業への影響も懸念されています。酸性化により、

  • 甲殻類(エビ・カニなど)
  • 貝類(牡蠣・ホタテ・アワビ・アサリなど)
  • 大型の魚(マグロ・サケ・カツオなど)

などの水産物が少なくなることで漁獲量の減少が予想されます。

特に日本では、全体の漁業に占める貝・甲殻類の割合が高い地域が多数あり、経済損失も大きいと言われています。海洋酸性化による日本沿岸の水産業での経済的な損失は、5千億~2兆円と言われているほどです。(2100年までの概算)※8

※日本の貝・甲殻類の養殖収入が全体の漁業収入に占める割合

広島・岡山はカキ養殖の収入が全体の半数以上を占めています。割合が低い地域も、クルマエビ・アワビ・真珠などは単価が高く、打撃がある事が懸念されます。

これは、世界の養殖漁業でも同様の事態が考えられます。世界の養殖漁業の大半は貝類・甲殻類であるため、※9世界全体の損失は10兆円以上にもなると言われています。(2100年までの概算)※8

つまり今後、海洋酸性化によって貝や甲殻類が獲れなくなり、価格上昇や食べる機会が減少するなどの事態が起こるかもしれないのです。

ここまで海洋酸性化の影響について確認してきました。このような影響は既に世界の海で発生している状況です。水産業への影響もあり、今後私たちの食卓や経済活動への打撃も予想されています。

世界の対策

海洋酸性化を防止し、影響を最小限にするには二酸化炭素の排出量を減らさなければなりません。ここでは、世界の二酸化炭素削減への取り組みについて見ていきましょう。

パリ協定

世界での二酸化炭素排出量削減の対策として「パリ協定」があります。これは、2020年以降の温室効果ガスに関する国際的な協定です。地球温暖化を防ぐために定期的に開かれる会議、「国連気候変動枠組条約締約国会議」にて2015年に採択されました。

パリ協定の具体的な目的や目標を見ていきましょう。

目的

世界の平均気温上昇を抑える
(産業革命前と比べて2℃よりも充分低く保ち、 さらに1.5℃に抑える努力をする)

世界共通の長期目標

温室効果ガス排出量を今世紀後半には実質ゼロにする

各国の目標

国によって2030年までの削減目標が設定されています。目標は5年ごとに更新され、2023年からは各国の達成度を定期的に確認する機会が設けられます。

※日本は26%削減が目標と記載されていますが、2021年に目標を変更しています。現在は46%削減が目標です。

そして、この削減目標を達成するために、

  • エネルギー
  • 産業
  • 運輸
  • 家庭・事業
  • 農林水産業

など部門ごとにさらに細かな目安が各国で定められています。※12

参考までに、身近な家庭・事業部門の主要各国の目標を見てみましょう。

主要各国の2050年の家庭・事業部門の姿

表を見ると、建物の省エネ(断熱機能向上など)暖房や冷房、給湯に使用されるエネルギーに焦点が当てられていることがわかります。

その他の産業や運輸部門などの項目でも、

  • エネルギー効率や燃費改善
  • 二酸化炭素を出さないエネルギーへの転換(電気・バイオマス・水素など)
  • 森林の拡大、管理・維持

などは共通して各国が掲げており、二酸化炭素を極力排出しないために世界全体で長期的に取り組むことが決定しています。

日本の対策

ここでは、海洋酸性化の原因となる二酸化炭素を減らすための日本の対策を確認していきます。

脱炭素社会

日本は二酸化炭素削減のために、脱炭素社会を目指しています。脱炭素社会とは、温室効果ガスの排出量と吸収量が同じになり、実質的に温室効果ガスがゼロになった社会の事です。

具体的には、工場や車、飛行機などから排出される二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスと、森林など自然が吸収する温室効果ガスの量を等しくすることです。脱炭素社会は、排出と吸収のバランスがとれている状態から「カーボンニュートラル(炭素中立)」とも呼ばれます。

これらの実現には、

  • 石油や石炭などの化石燃料の使用を最小限にし、温室効果ガスの発生抑制
  • 森林や海洋などの保全の強化

を長期的に行っていく必要があるのです。

2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロに

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、脱炭素社会(カーボンニュートラル)を実現させることを正式に宣言しています。

現在、日本では年間12億トンを超える二酸化炭素を排出しており※13、これを実質ゼロにしていかなければなりません。その達成に向けた具体的な対策を見ていきましょう。

「脱炭素ドミノ」で日本中を脱炭素社会に

脱炭素社会実現のために、2021年6月、政府によって具体的な行動指針となる『地域脱炭素ロードマップ ~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~』が策定されました。

これは、脱炭素を先行的に行う地域を決め、ドミノのように全国に伝搬させていこうという狙いがあります。まずは100ヵ所の脱炭素強化地域を決め、5年間かけて政策を行っていく見通しです。

脱炭素強化地域

2021年12月現在、具体的に地域は決定されていません。しかし、以下の4つの類型に分けて脱炭素強化地域を決定していくことが分かっています。※14

  • 住生活エリア 
  • ビジネス・商業エリア 
  • 自然エリア (農村・漁村・離島・観光地・国立公園)
  • 施設群(図書館・庁舎・美術館などの公共施設)

【それぞれのエリアで行う重点対策の例】

  • 太陽光発電の推進
    ・家の中や電動車で自家消費する太陽光発電の強化
    ・発電した電気を貯蓄する設備も作り、災害にも強い街へ
  • 公共施設のZEB化(ゼロ・エネルギー化)
    電力を省く・蓄える・創ることができる設備を備えた建物の建設や改修を行う二酸化炭素排出量が低い電気事業者と契約をする
  • ゼロカーボンドライブ
    走行時の二酸化炭素排出がゼロの車の推進(電気自動車、燃料電池自動車など)
    ※環境省「2分で分かるゼロドラ」動画も是非参考にしてみてください。
  • 住宅・建築物の省エネ性能等の向上(地域の住宅会社が主導)
    ・家庭の最大の二酸化炭素排出源の一つである冷暖房の省エネ推進
    ・住宅の断熱性を上げる
    ・住宅での発電・災害時の蓄電設備の設置
  • 資源のリサイクルの徹底
    ・食品ロスを半減させる
    ・家庭ごみを有料化する地域をさらに増やす
    ・有機廃棄物を地域の農業資源などに活用
  • 脱炭素型まちづくり
    ・都市をコンパクト化し「歩く」ことをメインとした街づくりを行う
    ・公共交通機関の脱炭素化(例:大阪大学内の連絡バスに電気で動くバスを採用。阪急バスが実施中)※15

まずは特定の地域でのこのような取り組みを行うことで、全国へ脱炭素の動きを広めていきます。さらに、災害に弱い・ゴミが多く処理に多額の税金が使われているなど地域が抱えている問題も解決に導いていくことも目的です。

海洋酸性化を防ぐための企業の取り組み

続いては、企業の海洋酸性化対策の取り組みをご紹介します。

商船三井 日本初!CO₂の排出量が少ない天然ガスで動くフェリーの開発

商船三井では、海洋酸性化の原因となる二酸化炭素の排出量が少ないフェリー「さんふらあわあ くれない・むらさき」を造船中です。2022年〜2023年に順次日本で就航する予定です。

さんふらあわあくれない・むらさき イメージ

この船は、日本で初めてLNG(液化天然ガス)燃料を使用しています。重油が燃料のフェリーに比べて二酸化炭素排出量を20%カット。※16

もともと船はトラック等と比べると、二酸化炭素排出量が大幅に少ないのが特徴ですが、「さんふらあわあ くれない・むらさき」は、温室効果ガスである硫黄酸化物もほぼゼロになる、より環境に優しい船です。

さらに近年、海洋酸性化や地球温暖化防止の観点から、環境負荷の少ない輸送方法にシフトする「モーダルシフト」も注目されています。そのな中で、商船三井が開発した環境に優しい船「さんふらわあ」が就航することで、「モーダルシフト」として船を利用する企業が増えることも期待されます。

そして「さんふらわあ」船内には長距離フェリー初となる、和室と洋室が一体化したコネクティングルームがあり、広々と過ごせるのが特徴です。飛行機や車を利用しての旅行を、ゆったりと過ごせる船旅にチェンジしてみるのもおすすめです。

株式会社セブン&アイホールディングス 海草アマモの植え付け

株式会社セブン&アイホールディングスでは、水質改善や二酸化炭素吸収効果のある海草、アマモを増やし、東京湾を綺麗にする活動を行っています。

アマモは水中で栄養を吸収し、酸素を排出することで海中をきれいにしてくれます。さらには海洋酸性化の原因である二酸化炭素を吸収し、外に放出されないように海底に溜め込みます。この働きはブルーカーボンと呼ばれ、海の二酸化炭素を減らすために注目されており、温室効果ガス削減の切り札とも言われています。※ 17

セブン&アイホールディングスのアマモを増やす取り組みは2011年から始まり、2013年からは東京湾の環境改善に取り組む、国土交通省港湾局の「東京湾UMIプロジェクト」に協力する形で活動をしています。

2021年6月の活動では76,000粒のアマモの種が採取されました。※17

種を一度水槽の中で数か月育て、秋〜冬に海中へ植え込むことを毎年継続中です。徐々にアマモを増やし、海の二酸化炭素削減に貢献しています。

海洋酸性化対策として私たちにできること

世界や国、企業の海洋酸性化への取り組みをご紹介してきましたが、私たちにも出来る取り組みがあります。

海の二酸化炭素を減らす活動に参加する

海の二酸化炭素を減らすため、海藻・海草の植え付けを実際に行うことができる活動があります。

例えば、2020年に開催された「海の森づくり体験教室(主催「美しく豊かな静岡の海を未来につなぐ会」)」では、

  • 海藻の海での役割の授業
  • 海藻の植え付け体験
  • 海に打ち上げられた海藻でアート(好きなように海藻をハガキに並べて、乾燥させて押し花のように加工する)

などの体験を通して、小学生と保護者約50名が海の環境保全活動を行いました。海藻を植えることで海の問題解決への一歩を楽しく踏み出すことができるのは、お子さんにとっても嬉しい経験になるはずです。

他にも親子や友人と楽しめる海の環境イベントは定期的に募集されています。楽しく海の環境を学び、思い出を作ってみてはいかがでしょうか。以下のようなサイトで、このような活動を検索できるので、参考にしてみてください。

省エネ家電に切り替える

私たちの生活で排出する二酸化炭素量を減らすことで、間接的に海洋酸性化を防ぐことができます。日常で二酸化炭素量を減らすことができる近道は、家電製品を省エネ家電に切り替える事です。

なぜなら、生活の中で最も二酸化炭素を排出する割合が大きいのは電気によるものだからです。

省エネ家電とは、一般的な家電よりもエネルギー消費が抑えられている家電のことで、

  • 二酸化炭素排出量を削減できる
  • 電気代の節約になる
  • 自治体によっては購入時に補助が受けられる

などのメリットがあります。

特に、家庭の中で一番エネルギー消費量の多い冷蔵庫を最新の省エネ家電にした場合、(10年前の冷蔵庫と比較)※18

  • 電気代 約8,235円お得
  • 二酸化炭素排出 約47%削減

となり、大幅に電気代も二酸化炭素排出量も減らすことができます。

そして買い替える場合は、省エネ性能や電気代の目安が書かれている「統一省エネラベル」を参考にしてみてください。

車との付き合い方を見直す

家庭の中で2番目に二酸化炭素を排出している原因、ガソリン=車を見直してみましょう。

例えば、一日10分車の利用を控えるだけで、一年間の二酸化炭素排出量を大幅に削減することができます。

晴れた日は車をおいて、近場であれば自転車や徒歩で目的地へ行くのもいいでしょう。さらには新たに車の購入や、買い替えを考えている方は以下の2つの項目もぜひ検討してみてはいかがでしょうか!

カーシェアリングサービスを使う

必要な時に車を借りられるサービスです。10分からなど短時間でもOKで、ガソリン代が不要です。無人のコインパーキングなどに車が置いてあり、貸し出し・返却が手軽などのメリットがあります。詳しく知りたい方はカーシェアリングのタイムズカーを確認してみてください。

ゼロカーボンドライブにチャレンジしてみる

車を買い替えるのであれば、走行時に二酸化炭素を排出しない車も視野に入れてみてください。

例えば、

  • EV車(電気自動車)
  • PHEV車(電気でもガソリンでも動く)
  • FCV車(水素と酸素を反応させて燃料電池で動く)

などです。購入する際には補助金も出る場合があります!

車の種類や補助金に関しては環境省のサイトである、Let’s ゼロドラ!!(ゼロカーボン・ドライブ)|環境省を参考にしてみてください。

SDGsとの関わり

最後に、SDGsと海洋酸性化の関係について見ていきましょう!

SDGsとは

SDGsとは、人類が地球で住み続けていくために定められた、環境・社会・経済に関する17の世界共通目標です。「Sustinable Development GoalS(持続可能な開発目標)」の略称で、2030年までの達成を目標としています。

目標14「海の豊かさを守ろう」

海洋酸性化に関わる目標は「14.海の豊かさを守ろう」に記載されています。これは「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用すること」を掲げた目標で、達成に向けて、さらに10個の具体的な方法(ターゲット)が設定されています。

その中でも【14.3】の、

あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。

が海洋酸性化と関わりを持っています。科学的協力の促進とは、例えば、

  • 北極海の海洋生態系に及ぼす海洋酸性化の状態と影響を北西太平洋で観察
  • 炭酸カルシウム殻を有する海洋生物に対する海洋酸性化の影響を測定※19 
  • 二酸化炭素を海洋の地下に閉じ込め、大気中の二酸化炭素を削減する技術(検証段階)

などです。世界の技術力を駆使して海洋酸性化へ取り組んでいくことが求められます。

まとめ

この記事では、海洋酸性化の原因や影響、私たちにできる対策などをご紹介しました。生態系や水産業などに大きな影響が出る海洋酸性化をこれ以上進行させないためには、二酸化炭素を減らしていくことが非常に大切です。

2050年までに温室効果ガス実質排出ゼロという目標に向かって、世界も日本も様々な対策を行っています。私たちも身近なことから行動し、海洋酸性化を防いでいきましょう。

〈参考文献〉
※1)気象庁|海洋酸性化の知識 海洋酸性化
※2)統計局ホームページ/世界の統計2021
※3)「アジアの三大国、日本、中国、インドが抱える エネルギーの課題」 
※4)経済産業省|高成長ながらも減速が見られる中国経済
※5)データで見る温室効果ガス排出量(世界) | JCCCA 全国地球温暖化防止
※6)山本智之著 「温暖化で日本の海に何が起こるのか」講談社ブルーバックス
※7)海の自然のなるほど 「海の生態系」
※8)日本の未来に魚はあるか?―持続可能な水産資源管理に向けて最終回 海の生き物を守るフォーラム2020「地球温暖化と海の生き物の未来」参加報告 | 一般財団法人 地球人間環境フォーラム
※9)地球温暖化・海洋酸性化が日本沿岸の 海洋生態系や社会に及ぼす影響 Effects of Ocean Warming and Acid
※10)海洋酸性化がサンゴ礁域の石灰化生物に及ぼす影響
※11)世界におけるサンゴ礁生態系の動向、 今後の予測、適応策に向けた取組
※12)各国の長期戦略の 概要について
※13)カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル|環境省
※14)地域脱炭素ロードマップ
※15)2021年 2月16日 電気バス導入に伴う最適な充放電システムの構築に向けた 産学連携に
※16)日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあくれない」「さんふらわあむらさき」2隻の建造を決定 ~最新技術による「環境負荷の低減」及び「モーダルシフトへの対応」の達成と「伝統の継承」を共立させた大型フェリー~
※17)東京湾UMIプロジェクト(東京湾・海をみんなで愛するプロジェクト) – 一般財団法人セブン-イレブン記念財団
※18)ワンランク上の省エネ行動!~冷蔵庫編~ | トピックス
※19)海洋酸性化の影響に対処し、健全な海洋のための科学的知見を向上
※20)日本独自の技術でCO2を沖合の海底下に貯留
日本の未来に魚はあるか?―持続可能な水産資源管理に向けて最終回 海の生き物を守るフォーラム2020「地球温暖化と海の生き物の未来」参加報告 | 一般財団法人 地球人間環境フォーラム

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)