テス・エンジニアリング株式会社|2050年カーボンニュートラルを見据え、省エネ・再エネ両軸で日本企業を支える

テス・エンジニアリング代表取締役社長 髙崎さん インタビュー

髙崎 敏宏(たかさきとしひろ)

大阪府出身。1995年3月同志社大学工学部卒、同4月テス・エンジニアリング入社。

入社後は、工場や大規模事業所に対する省エネルギーや脱炭素提案に注力。2017年7月代表取締役社長に就任。TESSグループのビジネス全般を牽引する役割を担う。

introduction

SDGsの中でも、特にエネルギーや環境に対する課題は山積しています。

テス・エンジニアリング株式会社は、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」「エネルギーのスマート化」を事業領域に、世界の脱炭素化に貢献することを目指しています。

今回は社長の髙崎さんをはじめとする社員の皆さんに、事業内容やSDGsとの繋がり、今後の展望についてお伺いします。

省エネ・再エネで顧客企業の脱炭素化をトータルプロデュース。事業のバランスをとり経営の安定と新事業への挑戦を両立

事業内容を教えてください。

髙崎さん:

テス・エンジニアリング株式会社は、Energy、Economy、Environment、Engineering、Ecologyといった“E”に関連する領域でサービス提供している会社です。取引の100パーセントがBtoBで、大きく2つの事業を展開しています。

1つはエンジニアリング事業で、工場や事業所で使用するエネルギーに関わる設備やシステムを作って提供しています。昨今どの企業もSDGsに対しては熱心に取り組んでいますが、特に私たちが手がけるエネルギー領域では、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」がキーワードになってきます。私たちは、実際に設備やシステムを納入するという形で、お客様が掲げるSDGsの目標実現をサポートしています。

具体的に扱う設備としては、「太陽光発電システム」や、「バイオマス発電システム」などの再生可能エネルギーを活用するための装置や、省エネルギーを実現するための設備である「コージェネレーションシステム」、「LNGサテライトシステム」などです。

コージェネレーションシステムとは、石油やガス等を燃料として発電させたときに生じる排熱を回収し蒸気や温水に利用することで、工場の冷暖房や生産工程などに余すことなく活用するシステムのことです。また、LNGサテライトシステムは、石油や石炭に比べて環境負荷が低い天然ガスをガス導管が敷設されていない地域でも利用するためのシステムです。 

もちろん、このような大がかりな設備導入だけでなく、今ある空調設備を効率の良いものにするなどの省エネルギー対応策も、お客様のニーズに合わせて提供しています。

もう1つはエネルギーサプライ事業です。こちらでは、主に自社で太陽光発電所を所有・運営し、できた電気を日本各地に提供しています。それ以外に、お客様の施設に導入した設備のメンテナンス、管理維持を行い、きちんと省エネの効果を感じていただけるようにフォローするなど、継続性のあるビジネスを行っています。

先ほどの自社の太陽光発電所でできた電気を日本各地に提供する取り組みは、「世の中のCO2を減らす、社会に向けた取り組み」ですが、もちろん対顧客向けにも、お客様の代わりに当社で再生可能エネルギー発電所を設置・所有し、発電した電気を買い取っていただく形でサービス提供することもあります。

こちらは、2022年5月にアリアケジャパン株式会社の九州工場に導入した太陽光発電システムの写真です。工場やカーポートの屋根一面にソーラーパネルを設置しています。これらの太陽光発電システムは当社で所有・管理し、発電した電気はアリアケジャパン株式会社に供給・買い取りしていただくモデルになっています。お客様にとっては、太陽光発電システム導入の初期投資を抑えられるほか、停電時などの非常電源としても有効に活用できるメリットがあります。

かなり大規模な太陽光発電システムを導入させていただきましたが、それでもお客様の工場で使用するエネルギーが多いため、再生可能エネルギーでカバーしている割合は10%程度にすぎません。そのため、お客様からは、まだまだ脱炭素を進めたいとご相談をいただいている状況です。

これら2つの事業を通して、お客様の会社・工場に対して「いかに省エネ化するか、いかに再エネ比率を高めるか」という点から脱炭素をトータルプロデュースしているのが私たちの会社です。

当社としては、ランニング収益(ストック)型ビジネスであるエネルギーサプライ事業で経営基盤を安定させることで、新たな取り組みにもチャレンジできる環境を作っています。

創業時のDNAが自然とSDGsにつながっている

–エネルギーに関する課題はSDGsの中でも多くの目標に関わってきます。御社でSDGsに取り組むようになった背景を教えてください。

髙崎さん:

創業者が当社を立ち上げたのは1979年で、ちょうど第二次オイルショックが起こったときでした。日本は資源の少ない国なので、他国からの輸入に頼らなければなりません。このような背景がある中、省エネルギーを実現することで他国から買ってこなければならない資源を減らせるのではないかと考えたのです。そこで、「省エネルギーを通じた、省コストの実現」を事業の軸にしました。

以降、地球温暖化が問題視されるようになり、1997年に京都でCOP3が開催された頃には、省エネルギーを通じたCO2削減効果をお客様の投資判断基準に入れていただくなど、その時々で当社としてできることに取り組んできました。

最近では、国の政策による後押しもあり、再生可能エネルギーの提案に力を入れるなど、商材は進化してきていますが、やっていることは今も創業時も変わらないんです。

社名の「TESS」の由来にもなっている、Total Energy Saving & Solutionを経営理念に掲げ、「世界的なエネルギー脱炭素化」に貢献していく事業を主軸に取り組んできたので、たまたま企業が向いていた方向とSDGsのベクトルが同じだったのかなと思っています。

ただ、ESG経営の観点からも、環境に関わる会社としてSDGsの実現には特に注力したいと考えています。その考えの一つの形として、当社の持株会社であるテスホールディングス株式会社が株式上場した際「SDGs-IPO」にチャレンジしました。

通常のIPO(株式公開)と違い、「SDGs-IPO」は調達した資金をSDGsへ貢献する事業のためだけに使うというものです。「SDGs-IPO」の事例は日本では2社目、エネルギー・環境分野では初めての実施となります。それだけSDGs実現に貢献したいという想いは強く持っています。

この想いは、社員へも折に触れて役員直々に話をしています。経営トップ自身がESGに力を入れていて、「ESGを経営の根幹におく」というメッセージが社員にもしっかり浸透していると感じます。

女性の積極登用を通じて、誰もが働きやすい環境を整える

–ESG経営というキーワードがありましたが、ESGでいうところの「S」、とりわけ人材育成の部分について伺います。昨今、女性が働きやすい環境を整えることが社会課題の1つとして挙げられますが、御社では具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか?

髙崎さん:

当社でも女性管理職の登用に力を入れていこうという姿勢になっています。管理職への道筋をしっかり示すことで、女性の働くモチベーションにつながると考えているためです。また、他社でも行っていると思いますが、テレワークや産休・育休制度などの活用も推奨しています。

元々エネルギー業界全体としては、我々のようなエンジニアリング企業に限らず、お客様のご担当者も含めて女性がとても少ないんですよね。そのため、今すぐの改善は難しいかもしれませんが、こういった現場最前線でも女性が活躍できるようになれば良いなと考えています。

現に当社では、自社の太陽光発電所の管理やマネジメントは女性が中心に行っています。またエンジニアリング事業でも、設計・調達・施工・納入とさまざまな工程がありますので、男性だけでなく女性にも活躍してもらえる場は十分にあると考えています。

変化の激しい時代なので、ずっと同じ経験を積み重ねている人だけの集団よりも、多様な視点や経験をもった人の集団の方が、互いにも会社にもプラスに働くはずですので、積極的に女性の比率を高めたいと思っています。

水田さん:

具体的にどのような取り組みをしているかというと、2022年7月にESG推進委員会を作り、その委員長に女性役員を登用しました。気候変動や人材の多様化など、さまざまな社会課題に取り組んでいます。

また現在、「女性が働きやすい環境をどうつくっていくのか」を知るために、女性社員と1対1で意見を聞くような取り組みを進めています。まずは対話から始めて、制度や環境を整えていきたいです。

こういう取り組みを続けていくことで、色々な背景を持った方々がより働きやすく、個性を持って仕事に取り組めるようになるかなと思います。

新しい取り組みで常に進化し、SDGs実現に向けて「選ばれる企業」に

–環境面だけでなく、男女平等という観点からもSDGsに貢献されているのですね。今後はどのようなことに注力されていくのでしょうか。

髙崎さん:

エネルギー分野になりますが、インドネシアに当社のエンジニアを派遣し、新たなバイオマス燃料製造の研究開発をしています。材料となるのは、アブラヤシから「パーム油」を製造した時に生じる残渣物であるEFB(アブラヤシの房)です。

そのため、EFBはパームの実から油を搾り取ったあとその辺りに捨てられている、いわばゴミなんです。腐敗するのが早く、腐ると地球温暖化に悪影響のあるメタンガスが発生するため、なんとか資源として活用できないかということで、「EFBペレット」という燃料の形にできるよう研究を進めています。

EFBペレットが製品化できれば、日本国内のバイオマス発電所や、インドネシア国内の工場でも燃料として活用できますし、捨てられて発生するメタンガスの抑制にもつながります。また、原料としてEFBを買い取ることでパーム農園の収入源にもなりえるという、多くの可能性を秘めた事業です。

また、国内では企業向けの取り組みだけでなく地方自治体との連携も始めています。

岡山県真庭市は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた「脱炭素先行地域」に指定されています。周囲を山々に囲まれた真庭市は森林資源が豊富なので、それを利用した「木質バイオマス」の活用拡大に取り組んでいらっしゃいます。当社は、「木質バイオマスを拡大するならどんなシステムを導入すれば良いのか?」「まずは太陽光発電システムの方が導入しやすいのでは?」など、グリーン専門人材派遣を通じて、さまざまな切り口から真庭市の脱炭素の推進に向けてプランを検討しているところです。

このような自治体単位の脱炭素化に向けた取り組みは、より加速していくと予想しています。そのため、真庭市との連携実績をもとに今後もあらゆる地域でお役に立てればと思っています。

–新しい取り組みも含め、自社としても世界のSDGsに貢献し、他社のSDGs実現にも貢献されていますね。最後に、今後の展望を教えてください。

髙崎さん:

省エネルギーや再生可能エネルギーは、世の中の時流にも乗っている分野ですし、お客様の関心も高くなってきた印象です。当社の事業は、コスト削減や環境への価値も含めてお客様の役に立てる仕事だと思っています。設備やシステムは作って終わりでなく、長く使い続けることで効果が得られるものですので、一度お客様と繋がりができて信頼関係が築ければ、長いお付き合いができるものと考えています。

SDGsはひとまず2030年に一つの区切りを迎えますが、そこに向けて、さらにお客様のSDGsに対する取り組み熱は高まっていくはずです。その時に、「じゃあ、次は何をしようか?」と頼ってもらえる企業でありたいと考えながら、目下さまざまな企業や自治体との関係を作っていきたいです。自社の再生可能エネルギー発電所によるCO2排出削減貢献もさらに高めながら、2050年カーボンニュートラル実現を目指して走り続けていきます。

–本日はありがとうございました!

関連リンク

テス・エンジニアリングHP:https://www.tess-eng.co.jp/