近年、SDGs(持続可能な開発目標)に取り組む企業が増えていますが、地域単位での取り組みも注目を集めています。
その中でも東北地方では、東北6県が連携し「とうほくSDGsアワード」を開催し、地域全体での持続可能な社会づくりを推進しています。
このアワードでは、地域の課題に向き合いながらSDGs達成に貢献する優れた取り組みが紹介されています。
今回は、具体的にどのような取り組みが行われているのか、その詳細を見ていきましょう。
とうほくSDGsアワードとは
「とうほくSDGsアワード」は、一般社団法人SDGsとうほくが主催し、2021年からこれまでに3回実施されている取り組みです。
このアワードは、東北6県で活動する企業や団体が行う優れたSDGs関連のプロジェクトを顕彰し、地域課題の解決を目指すものです。
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)は、持続可能な社会の実現に向けた国際的な目標であり、国内外で多くの注目を集めています。
一方、東北地域でも自然環境の保全や災害に強いまちづくり、福祉や教育の充実といった社会的課題への対応が求められています。
本アワードは、こうした地域課題を解決するために、企業、市民、行政が連携し、それぞれの学びを深め合う場となることを目指しています。
この取り組みの背景には、東北の豊かな自然とそれに調和する持続可能な社会の姿が掲げられています。
彩り豊かな花々や広がる森のように、地域に根ざした小規模ながらも輝きを放つ活動を支援し、その輪を広げていくことで、7世代先の未来に希望をつなぐ――そんな思いから「とうほくSDGsアワード」は誕生しました。
2023年アワード受賞企業
では早速アワード受賞の企業がどのような取り組みをしているのかみてみましょう。
三陸ラボラトリ株式会社「規格外三陸ホヤの有効活用による地域活性プロジェクト」
三陸ラボラトリ株式会社は、岩手県三陸地域を拠点に、水産物の加工・販売やフィールドマーケティングを手がける企業です。
同社は、地域の特産品であるほやを中心に据え、地元漁業者との連携を強化しながら、持続可能な水産業の実現を目指しています。
特に、ほや専門の漁師が減少する中で、生産・販売の安定化を図る取り組みが、地域経済の活性化に貢献しています。
また、障がい者の雇用支援にも力を入れており、働きやすい環境整備やスキルアップの支援を通じて、社会的包摂の実現に寄与しています。
具体的な取り組み内容
2020年10月、岩手県漁連からの相談を受けて、小型で市場価値が低いほやを商品化するプロジェクトをスタートしました。
従来は廃棄されていたほやに注目し、「SDGsの理念による商品」と位置づけることで付加価値を創出しました。
この際、障がい者アートを活用した産地シールのデザインに、福祉連携を推進する「ヘラルボニー」の協力を得て、商品としての魅力を高めることに成功しました。
この取り組みは、食品ロスの削減だけでなく、水産業者の事業継続と地域の雇用創出にもつながっています。
さらに、漁港関係者との対話を通じて、これまで販売が難しいとされていた雑魚をセット商品「鮮魚BOX」として販売する新たなアイデアを実現。
地域の未利用資源を活かす形で、経済的安定を支える革新的なサービスを提供しています。
本取り組みについて、審査員からは「老舗企業として、ほやの廃棄問題を感度良く捉えたアウトサイドインの発想で、新たな商品やサービスを生み出した。今後、全国や海外へ事業が広がることを期待したい」との評価が寄せられています。
SDGs達成に向けたコンサルティングによる更なる取り組み
水産業に特化したwebコンサルティング
三陸ラボラトリ株式会社では、水産業に特化したwebコンサルティングを提供しています。
これにより、地域企業がSDGsの目標を達成するために必要な情報発信力を強化し、持続可能性を実現するための支援を行っています。
se-wideep(エスイーワイディープ)のサイトはこちらをご覧ください。
SDGsを適切に発信するための支援
地域企業や団体がSDGsの取り組みを広く正しく発信できるよう、se-wideepではコンテンツ制作や発信戦略の構築を支援しています。
この支援を通じて、地域全体でSDGsの目標達成に向けた協力を進めています。
食品ロス削減や地域活性化だけでなく、社会課題に基づいた商品開発で注目を集める三陸ラボラトリ株式会社の挑戦は、今後も地域を超えた波及効果を生むことでしょう。
三陸ラボラトリ株式会社の基本情報
名称 | 三陸ラボラトリ株式会社 |
代表者名 | 佐々木芳和 |
住所 | 〒022-0211岩手県大船渡市三陸町綾里字港62ー1 |
電話番号 | 0800-808-3710 |
URL | https://www.yotsume-holdings.com/top/company/ |
まとめ
今回は、「とうほくSDGsアワード」について紹介しました。
地域課題の解決や持続可能な社会の実現に向けて、東北地方が一丸となって取り組むこのアワードには、地元企業や団体の創意工夫が詰まっています。
三陸ラボラトリ株式会社のように、地域資源を活かしながら食品ロス削減や社会的包摂を推進する取り組みは、他地域や世界にも広がる可能性を秘めています。
SDGsの理念を実現するには、こうした活動を共有し、多くの人々が学び合うことが大切です。
この取り組みがさらなる未来への一歩となることでしょう。