オーストラリアの酒屋やバーに行くと、「XXXX」と真っ赤な文字で書かれたビールが目に留まります。
国民的アイコンとして知られるXXXXビールは、XXXX Breweryが醸造・販売しています。
140年以上という長い歴史を持つ醸造所ですが、近年は環境保全への取り組みも積極的に行ってきました。
特に有名なエコ活動が、100%カーボンニュートラルの実現です。
カーボンニュートラル、脱炭素、気候変動といった環境問題に関心を持つ消費者が増えたことから、XXXX Breweryは国内ではじめてカーボンニュートラルに対応しました。
そこで今回は、XXXX Breweryのカーボンニュートラルやその他のエコ活動の詳細について解説していきます。
目次
XXXX Breweryの基本情報
XXXX Breweryは、クイーンズランド州ブリスベンに位置するビール醸造所です。
ブリスベン市街地から徒歩20分程度のMiltonに醸造所を構えていることから、地名を取ってMilton Breweryと呼ばれることもあります。
XXXX Breweryは1877年に創業した醸造所で、現在では醸造のほかに有料の工場見学ツアーや試飲会なども実施しています。
1992年にはシドニーに本社を置く醸造会社・ライオンネイサンの傘下となったXXXX Breweryですが、ライオンネイサンは2009年に日系企業であるキリンホールディングスの子会社となりました。
そのため、2023年時点において、XXXX Breweryは実質上キリンホールディングスのグループ会社となっています。
「XXXX」の愛称で親しまれるオーストラリアのアイコン
オーストラリアを代表するビールのひとつであるXXXX Breweryの製品は、「XXXX(フォーエックス)」の愛称で国民から親しまれています。
2009年にクイーンズランド州のアイコンをランキング形式で発表した「Queensland’s Q150 Icons」では、「Structures and engineering(建造物とエンジニア部門)」でXXXX Brewery、「Typically Queensland(典型的なクイーンズランド部門)」にてXXXXのビールがそれぞれランクインしました。
また、XXXX Breweryはオーストラリアで初めて大規模カーボンニュートラルを行った醸造所でもあることから、環境問題の解決に力を入れている企業としても広く認知されています。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺するという概念です。
日本を含む世界中のさまざまな企業や組織がカーボンニュートラルを意識した活動を行っており、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることで地球温暖化などの環境問題緩和に繋がると考えられています。
XXXX Breweryの最も有名なカーボンニュートラル
国内でエコ意識が強いイメージを持たれているXXXX Breweryですが、その理由はカーボンニュートラルにあります。
XXXX Breweryは、オーストラリアではじめてカーボンニュートラルを実現したビール醸造所です。
年間で最大2億5,000万リットルものビールを製造していることから、XXXX Breweryは自社の電力消費による環境への負担を懸念していました。
そこで、100%再生可能電力を導入するために、XXXX Breweryは2019年に2,200枚のソーラーパネルを設置しました。
ソーラーパネルは全て醸造所の屋根に置かれており、100%再生可能電力による二酸化炭素の排出削減量は実に約138,000トンと言われています。
約45,000台分の自動車の二酸化炭素の排出量に匹敵することから、環境に優しい醸造所としての地位を見事に確立しました。
カーボンニュートラルの実現について、「すべての国民に、環境とビールにとってより良い地球とは何かを改めて考えてほしい」とXXXX Breweryはコメントしており、環境問題に関心を持つ消費者から高い支持を得ています。
XXXX Breweryが行うエコ活動はそれだけじゃない!
100%再生可能電力の導入によるカーボンニュートラルが有名なXXXX Breweryは、その他にもさまざまなエコ活動を行っている醸造所です。
ここでは、XXXX Breweryが実際に取り組んでいる環境保全について知識を深めていきましょう。
「CO2回収システム」の構築
カーボンニュートラルに力を入れているXXXX Breweryでは、独自の技術を使った「CO2回収システム」を構築しました。
ビール醸造では、発酵プロセス中に大量の二酸化炭素が生成されます。
しかし、「CO2回収システム」は二酸化炭素を浄化し、プロセス内での再利用も可能としています。
画期的な二酸化炭素の消費方法を確立したことにより、「CO2回収システム」は「温室効果ガスチャレンジ賞」を受賞しました。
石炭の使用削減
XXXX Breweryにある水リサイクルプラントからは、ビールの醸造中にバイオガスが発生します。
バイオガスは燃料として使用できるので、XXXX Breweryではバイオガスをボイラーへのガス供給のために再利用しています。
元々は石炭を燃料にしていましたが、石炭は大量の温室効果ガスが発生する点がデメリットです。
石炭の使用削減に取り組むことで環境保全に繋がるため、積極的にバイオガスの有効利用を行っています。
敷地内水処理プラントの導入
XXXX Breweryでは、醸造所内に設置している水処理プラントの見直しを行いました。
ビールの醸造には大量の水が必要となりますが、水処理プラントの改善により1 日あたり 110 万リットル、年間で約 4 億リットルの水の削減に成功しています。
20年前のXXXX Breweryは、1リットルのビールを作るのに10リットルの水が使われていました。
しかし、2023年時点では1リットルあたり2.2リットル未満まで減っており、限りある資源である水を大切にしていることがわかります。
廃棄物の削減
XXXXビールの原材料に穀物が使用されていることから、醸造所では日々多くの使用済み穀物が発生しています。
使用済み穀物は元々廃棄の対象でしたが、廃棄物削減のためにXXXX Breweryでは再利用への道を模索してきました。
結果として、牛を飼育している施設に使用済み穀物を送ることで、牛の飼料として役立てられています。
また、ビールの醸造では、アルコール発酵のために微生物である酵母を利用します。
XXXX Breweryも酵母を使っており、使用後の酵母の有効利用先はベジマイトの製造工場です。
ベジマイトとは、オーストラリアを代表する黒っぽいペーストです。
独特の香りと塩辛さから「世界一まずいジャム」と言われることも多いものの、オーストラリア国民にはなじみ深い発酵食品となっています。
ベジマイトにはXXXX Breweryの酵母が再利用されており、XXXX ビールの醸造過程で発生する廃棄物を上手く再利用していることがわかります。
XXXX Breweryのビールは日本でも買える?
2009年からキリンの子会社になったXXXXビールは、日本でも購入可能です。
輸入製品を多く取り扱うコストコで販売されていることが多く、日本にいながらオーストラリアのビールを楽しめます。
ただし、コストコの店舗やシーズンによっては、XXXXビールを置いていない可能性も考えられます。
気になる方は、事前にコストコの店舗に在庫状況を問い合わせるのがおすすめです。
また、ヤフーショッピングなどの通販サイトにおいても、XXXXビールが販売されているケースがあります。
オーストラリア現地で買うよりは割高になってしまいますが、「XXXXビールを飲んでエコ活動に貢献したい」「環境に優しい企業のビールを飲んでみたい」という場合はぜひ通販サイトをチェックしてみましょう。
まとめ
オーストラリアで絶対的な人気を誇るXXXXビールは、環境に配慮しながら醸造されています。
元々高い知名度を誇っていましたが、カーボンニュートラルを実現したことでエコ意識の高い企業として認知されるようになりました。
環境保全のために、いち早くカーボンニュートラルに対応したXXXX Brewery。
キリンホールディングスを親会社に持つという日本と意外な関係性のあるXXXXビールをもし見かけたら、エコ活動のことを思い出しながら手に取ってみてくださいね。