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株式会社Kanatta|女性が社会で活躍できるフィールドをつくる

株式会社Kanatta 井口恵社長インタビュー

井口 恵

2010年3月横浜国立大学経営学部を卒業。在学中に公認会計士試験に合格し、同年4月、有限責任 あずさ監査法人に入所。2013年11月、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパン株式会社に転職、アナリストとして日本の市場分析やグループ全体の財務戦略を担う。

2016年6月、自身が感じた女性の働きづらさという課題を解決するべく、ジェンダー平等の実現に貢献することを理念に株式会社Kanattaを創業。男性主体のドローン業界で活躍する女性のドローンパイロットのコミュニティ、ドローンジョプラスを発足し、ドローン業界での女性の雇用創出に貢献している。現在はドローンジョプラスに加え、世界初となる女性チームでの人工衛星の打ち上げに挑戦するコスモ女子などの女性コミュニティを運営し、さらに多くの女性の夢の実現をサポートするためにクラウドファンディング事業を展開している。

introduction

女性が活躍できるフィールドを増やしながら、夢の実現をサポートすることを目的に立ち上げられた株式会社Kanatta。ドローン体験会や勉強会を行う「ドローンジョプラス」や、宇宙業界で活躍できる女性を育成する女性コミュニティコスモ女子の運営など、事業内容は多岐に渡ります。今回は代表の井口恵さんに、詳しい事業内容やそれを始めたきっかけ、さらにSDGs実現に向けた取り組みを伺いました。

男性が多い会社で感じた働きにくさ…自身の経験をきっかけに女性のための会社を設立

–はじめに、事業内容を教えてください。

井口さん:

Kanattaは、SDGsの目標 5「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」をミッションに掲げ、女性が輝ける仕組みとコミュニティを提供することで、女性が活躍できる社会実現に貢献しています。メインの事業は女性ドローンパイロットを育成する「ドローンジョプラス」と、宇宙業界で活躍する女性を育成するための「コスモ女子」というコミュニティの運営です。

–なぜこの会社を立ち上げたのでしょうか。

井口さん:

私自身、女性の活躍できるフィールドが限られている環境で働いていたことです。

公認会計士として監査法人に勤務していたのですが、夜中の3、4時まで働くことが当たり前の環境でした。体力的に厳しく、働きにくさを感じていました。

その後ファッション業界に転職すると女性が8割の環境になりましたが、役員陣は男性ばかり。もっと女性が活躍できる環境をつくりたいと思い、2016年に会社を立ち上げました。

–ご自身の経験から女性のための会社を立ち上げられたのですね。ドローン事業からスタートされたのは、どのような経緯だったのですか?

井口さん:

会社を立ち上げるタイミング的に、ちょうど海外でドローンが流行り始めていたんです。

たまたまドローン業界で活躍されている女性とお会いする機会があり、スマホ1台で操作できる手軽さから、女性も十分に活躍できる場だと考え、そこに特化したコミュニティを作ることにしました。

現在はドローン操縦や空撮の体験会、プログラミング教室などを提供しています。ドローンの実証実験をしている地域の住民の方の中には、上空でドローンが飛んでいることに不安を覚える方もいます。そのため、勉強会等を通してドローンの安全性を伝える活動もしてきました。

–コスモ女子はどのような活動をしているのですか。

井口さん:

2023年に女性だけのチームで人工衛星を打ち上げることを目標に、宇宙についての勉強会やイベントを開催しています。

発足から2年ほどなので、現時点で実際に宇宙業界で活動している方はまだ数名です。いきなり週5勤務の正社員として宇宙業界に転職することは業界のハードルの高さからなかなか難しいのですが、パートタイムなどで小さくチャレンジするなど、柔軟な働き方で関わる人が出てきました。

–女性の働き方を変えようと会社を立ち上げられた訳ですが、何か変化は感じていらっしゃるでしょうか。

井口さん:

立ち上げた当初は予想していなかった複業という形で働く女性が出てきたことは興味深いです。

現在ドローンをメインの仕事にしている方は1、2割ほどで、ほとんどのメンバーは平日は他の会社で勤務し、土日にドローンジョプラスで活躍していただくといった形です。

週に2日だけ働けるといった柔軟な働き方ができると、特に子育て中の女性などにはとてもいいですよね。

「女性のために」で始まったSDGsの取り組みから広がる活動

–女性の働き方を変えるために立ち上げられたKanatta様ですが、社員の方は女性ばかりなのですか。

井口さん:

現在のメンバーは男女半分ずつです。

立ち上げ当初は女性だけだったのですが、会社を大きくしたい、業界No.1を目指したいという思いがあるなら性別にこだわる必要はないというアドバイスを先輩経営者からいただいたからです。

女性のために立ち上げた会社ではありますが、現在は性別に関係なくその人自身の得意分野で活躍していただきたいと思っています。その施策の一つが、各コミュニティで運営しているオウンドメディアです。

–執筆が得意な方向けの場ということでしょうか?

井口さん:

そうですね。さらに現時点でスキルが不足している場合でも、文章力があれば仕事の幅が広がるとの考えから、ライターの育成も始めました。一人一人の発信力があるコミュニティを目指し、部門関係なくみんなでスキルを高めています。その甲斐あって、個人的にライター業を始める方がいらっしゃったり、会社としてPR案件を受けることもあります。

–会社全体で発信力強化に力を入れていることが分かりました。Kanatta様の活動を広く知っていただくために行っていることはありますか?

井口さん:

プレスリリースを配信するなどのアプローチもしていますが、お知り合いの紹介で来てくださる方が多いのが現状です。今後も紹介数が増えるようなアプローチをしていければと思います。

ドローン・宇宙事業から、社会で女性が活躍できるフィールドを広げていきたい

–女性が働きやすく、子育てしやすい環境づくりに取り組もうとしても、なかなか思うようにいかない会社が多いように感じます。ジェンダー平等を実現するために、井口様はどのようなことから着手するのがよいと考えますか。

井口さん:

社外取締役を女性にする、役員会に外部の女性に入っていただくなど、外部の女性の意見を取り入れる方法がおすすめです。

役員が長年その会社で働いてきた男性ばかりといった環境では、女性活躍の機会をつくろうと思ってもアイデアが出にくいと思います。

個人的には、上場企業も含めて、管理職の3割は女性になればいいなと考えています。初めは数字目標を達成することが目的になるかもしれませんが、形を整えることで、徐々に中身も伴ってくると思います。

–最後に、今後の展望をお聞かせください。

井口さん:

女性が活躍できる業界を広げつつ、コミュニティからロールモデルになる女性を輩出していきたいと考えています。

現在はドローンと宇宙の分野がメインですが、自身の得意分野を生かせる女性が増えるよう、いろんな業界にフィールドを広げて行きたいですね。

女性は共感性が高いので、ロールモデルがいるとハードルが高いと思っている場所にも踏み出しやすくなる傾向が高いと感じています。コミュニティ内から業界で活躍する女性を輩出し、あとに続くメンバーを増やしたいですね。

–どのような分野に活動を広げていかれるのか、楽しみにしております。本日はありがとうございました!

取材 大越 / 執筆 荒川

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