#SDGsに取り組む

ペットと温室効果ガスの関係って知ってる?オーストラリアのPetbarnから環境に優しいペットとの生活を学ぼう! 

ペットと温室効果ガスの関係って知ってる?オーストラリアのPetbarnから環境に優しいペットとの生活を学ぼう!

令和4年における日本国内の犬猫の飼育頭数は、約1,588万頭にものぼります。

実に66%の世帯がペットを飼育しているものの、ペットの飼育には温室効果ガスの排出量が増加するという問題も潜んでいます。

環境負荷を抑えながらペットと暮らすことは、サスティナブルな地球環境を維持する上で必要不可欠です。

そこで今回は、ペット大国として知られるオーストラリアのペット用品店・Petbarnが取り組むエコ活動をご紹介していきます。

ペットと環境問題の関係性についても解説するので、環境に配慮しながらペットと暮らす方法を多方面から考えてみましょう。

Petbarnってどんな企業?

出典:Spaceship Earth

Petbarnは、メルボルンに本社を置くGreencross Limitedが運営するペット用品店です。

獣医師によって1994年に設立され、2023年時点でのPetbarnの国内店舗数は140店舗です。

犬猫はもちろん、鳥、魚、爬虫類、ハムスター、うさぎといったバリエーション豊富な動物に対応しており、国内でも抜群の知名度を誇ります。

また、Petbarnはペットショップ以外にも、ペットホテル、ペットシッターとの提携、里親制度、グルーミングサロン、パピースクール、ペット保険、動物病院・Greencross Vetsなどを運営しています。

多彩な動物種への対応と幅広いサービス提供を行っており、近年はエコフレンドリーな運営や商品の販売にも力を入れている大手企業です。

ペットによる温室効果ガスの排出

出典:Spaceship Earth

近年、オーストラリアでは環境に配慮したペットとの暮らしが提唱されています。

その大きな理由のひとつに、ペットによって排出される温室効果ガスへの懸念があります。

犬や猫などのペットを飼うことで、実は膨大な量の温室効果ガスが排出されることはご存知でしょうか?

平均的な体格の猫では、食事や排せつなどによって年間310kgの二酸化炭素が生産されると言われています。

また、小型犬・中型犬の二酸化炭素量は770 kgとされており、大型犬になると実に2,500 kg以上の排出量です。

食事だけに焦点を当てると、犬や猫が肉を食べることで年間約6,400万トンの二酸化炭素が排出されています。

約1,360万台の車が1年間運転するのと同等の排出量となっており、ペットの飼育による気候変動への影響が問題視されています。

オーストラリアのペット事情

出典:Spaceship Earth

2023年に行われた調査によると、オーストラリア国内の69%の世帯がペットと暮らしており、世界でもペット数が特に多い国となっています。

具体的なペットの数は3,000万頭にも及び、そのうちの48%が犬、33%が猫です。

温室効果ガスの影響が大きいのはもちろん、ペットの飼育による糞やトイレ関連のゴミの増加も懸念されており、ペットによる環境問題は深刻です。

環境への負荷を最小限に抑えるためにも、オーストラリアではいかに環境に配慮したペットとの暮らしを意識するかが大切だと考えられています。

Petbarnの環境に優しい取り組み

出典:Spaceship Earth

Petbarnは、ペットと飼い主が健康かつ快適に過ごすための多彩なサービスを提供している企業です。

国内の69%の世帯がペットと暮らしていることを受けて、Petbarnでは温室効果ガスや廃棄物の排出といった環境問題への解決策に力を入れています。

ここでは、実際にPetbarnが行うエコ活動や環境に優しいペット製品の推奨に関して見ていきましょう。

カンガルーを使ったペットフードの販売

出典:Spaceship Earth

オーストラリアでは、日本と同様に牛、羊、鶏といったバリエーション豊富な原材料のペットフードが販売されています。

しかし、家畜を育てる上で必要不可欠な飼料などの影響により、牛や羊は40%弱、鶏では約10%の気候変動への寄与率があるとされています。

そこで注目されているのが、カンガルーを使ったペットフードです。

オーストラリアの固有種であるカンガルーは、家畜として飼育されているわけではありません。

カンガルーは自然界に数多く生息しており、個体数の増加に伴うエコシステムの崩壊が懸念されていました

そのため、オーストラリアではカンガルーの淘汰を行い、カンガルーの肉を食用やペットフードの原材料として活用しています。

家畜と違って温室効果ガスの影響がないのはもちろん、カンガルーの肉をペットフードにすることで廃棄物の削減にも繋がります

また、野生由来のカンガルーの肉は脂肪が少なく、犬や猫にとって良質なタンパク質です。

温室効果ガスの排出量削減と餌としての質の高さを兼ね備えているため、Petbarnでは積極的にカンガルーのペットフードを取り扱っています。

環境に優しい猫砂の紹介

出典:Spaceship Earth

鉱物、粘土砂、紙、木、穀物、シリカゲルなど、オーストラリアではさまざまな種類の猫砂が販売されています。

しかし、使用する猫砂の種類によっては、猫1匹あたり年間で72㎏(自動車260㎏分の走行量)の温室効果ガスの排出量に相当する製品も存在します。

また、土壌汚染や廃棄物増加に繋がる可能性もあるので、多方面から見て環境に優しい猫砂を選ぶことが大切です。

環境保全に貢献しながら猫と暮らすために、Petbarnでは以下の2つのチェックポイントを猫砂選びに取り入れるよう推奨しています。

1.コンポスト化対応の猫砂

生分解性の猫砂は、使用後に堆肥として再利用可能です。

固まる粘土砂、再生紙、穀物、木の猫砂は、庭に掘って埋めると自然分解されます。

廃棄物の削減はもちろん、木々を育てるための堆肥として有効活用できるので、化学物質を含まない天然素材の猫砂がおすすめです。

2.エコな製造方法の猫砂

猫砂を選ぶにあたって、使用後の処理だけでなく、製造方法に関しても着目する必要があります。

猫砂の多くはサスティナブルな製造過程を経ていますが、特にエコなのが木や再生紙を使った猫砂です。

木の削りくずや再生紙をペレットに圧縮しており、本来ゴミとして処理されるはずの廃棄物を再利用している点がポイントです。

エコフレンドリーな製品の販売

出典:Spaceship Earth

扱いやすく低価格なプラスチック製のペット用品も多い中で、Petbarnではエコフレンドリーな製品も多く取り揃えています。

  • リサイクル素材で作られたトイレシートとトイレ用の袋
  • 再生紙やリサイクル素材で作られた猫トイレ
  • コンポスト化対応のトイレ用の袋

一般的なトイレシートとトイレ用の袋には、プラスチックが使用されています。

一方でリサイクル素材の製品であれば、プラスチックの製造過程で必要な石油の使用量を削減できるほか、温室効果ガスの排出量削減にも繋がります。

また、再生紙やリサイクル素材の猫トイレの多くは、使用後に綺麗に洗うことでリサイクルごみとして処分可能です。

コンポスト化対応のトイレ用の袋については、自然分解することで廃棄物を抑えられます。

環境保全に関心のある顧客のニーズを満たすため、Petbarnではエコフレンドリーな製品を積極的に販売しているのです。

廃棄物管理会社とのパートナシップ

店内のゴミを削減すべく、Petbarnは持続可能な総合廃棄物管理サービスを提供する企業・Cleanawayとパートナシップを結んでいます。

Cleanawayの主な目的は、リサイクル率の上昇と廃棄量の削減です。

クライアントである企業の建物内の監査を行い、リサイクル製品が正しい方法でリサイクルされているか、廃棄物の中にリサイクル可能な製品が混ざっていないかなどをチェックします。

CleanawayがPetbarnの30店舗を確認したところ、段ボール以外の全ての廃棄物が誤った方法でリサイクル処理されていたことが判明しました。

監査後の見直しによって、1年後のPetbarnのリサイクル量は57トンから82.9 トンに増加しています。

全店舗の合計リサイクル率は44.6%に到達しており、自社内における環境負荷への軽減を実現しました。

まとめ

出典:Spaceship Earth

日本と同様、ペット大国として知られるオーストラリア。

約70%の世帯がペットを飼育していることから、温室効果ガスの排出量や廃棄物の発生による環境負荷が懸念されています。

Petbarnでは、カンガルーの肉を使ったペットフードの推奨、環境に優しい猫砂の紹介、廃棄物管理会社との提携による自社の廃棄物削減、エコフレンドリーな製品の販売などを積極的に行っています。

企業はもちろん、飼い主も一緒にエコな選択をしていくことで、ペットと快適かつ安心して暮らしていける未来に繋がるのではないでしょうか。