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【意外な盲点!】プラスチック問題を解決するためにオーストラリアのTom Organicが販売する生理用品とは?

【意外な盲点!】プラスチック問題を解決するためにオーストラリアのTom Organicが販売する生理用品とは?

日本を含めて、世界中のさまざまな国においてプラスチック問題への対策が進められています。

最もポピュラーなものがレジ袋の廃止ですが、見落としがちなのが生理用品です。

一般的なナプキンやおりものシートにはレジ袋の何倍ものプラスチックが使用されており、生涯にわたって膨大な量のプラスチックごみを消費し続けているのです。

そこで今回は、オーガニック製の生理用品を販売しているオーストラリアの企業・Tom Organicが取り組むエコ活動をご紹介します。

生理用品がもたらすプラスチックごみの問題についても深堀していくので、「自分にもはじめられる身近なエコ活動が知りたい」「生理用品と環境問題について真面目に考えたことがなかった」という方はぜひチェックしていきましょう。

生理用品とプラスチックごみ問題の繋がりとは?

生理と女性の人生は、切っても切れない関係です。

一般的に、生理は平均35~40年も続くとされており、1回の生理で使用されるナプキンの枚数は約20~23にも及びます。

普段私たちが何気なく使っている生理用品ですが、実は1つのナプキンにつきレジ袋4~5枚程度のプラスチックを含んでいることはご存知でしょうか?

プラスチックごみ問題の影響を受けて、日本では2020年7月1日からレジ袋の有料化がスタートしました。

それに伴い、ストローやカップなどもプラスチックからエコ素材に転換されているものの、日本国内で生理用品が抱えるプラスチック問題について議論される機会はほとんどありません。

2023年時点で、世界では3.5億トンのプラスチックごみが廃棄されています。

プラスチック製のレジ袋やストローを使うことはもちろん大切ですが、その他のプラスチックごみについて考えることも非常に重要です。

Tom Organicとは?

Tom Organicとは?
出典:SpaceshipEarth

そんなプラスチックごみ問題に向き合うべく、南半球のオーストラリアには生理用品のプラスチックごみ削減に力を入れている企業が存在しています。

オーストラリア生まれのTom Organicは、エイミー・マークス氏によって設立されました。

環境と社会の両方への貢献を理念に掲げており、慈善団体への製品寄付などを続けている企業です。

また、従来の生理用品が抱えていた環境・健康面に関する問題を解決すべく、Tom Organicは多種多様な種類のオーガニック素材の生理用品を展開し続けてきました。

その働きが認められ、生鮮食品、乳製品、食料品、医薬品原料といった多方面における認定オーガニック製品の企業やCEOに贈られるAustralian Certified Organic Young Leader Award を受賞しています。

オーストラリアの環境と経済に大きなメリットをもたらす企業として知られており、オーガニック系の生理用品ブランドとして人気を確立しています。

Tom Organicの商品展開

Tom Organicの商品展開
出典:SpaceshipEarth

プラスチック問題への対策に努めているTom Organicですが、生理用品が女性の身体にもたらす悪影響についても懸念しています。

多くの生理用品には、原料として石油が含まれています。

石油由来の生理用品には吸収率の高さやリーズナブルな価格帯といった魅力がある一方で、身体の冷え、癌、ホルモンバランスの乱れを引き起こすというデメリットも指摘されてきました。

女性の身体への優しさと環境負荷軽減の両方を叶えるため、Tom Organicは以下のようなバリエーション豊富な製品を販売しています。

・生理用ナプキン

・タンポン

・おりものシート

・経血カップ

・生理用の給水ショーツ

・マタニティー用シート

Tom Organicは、女性が一生を通して使い続けられるオーガニック製品づくりに力を入れています。

そのため、生理関連の商品だけでなく、マタニティー用のシートなども取り扱っています。

マタニティー用のシートも生理用品と同様に石油由来のものが多いため、オーガニック製の商品展開によって女性の身体と環境を守れる点がメリットです。

Tom Organicが自社製品を通して行うエコ対策とは?

サスティナブルな生理用品として注目を集めているTom Organic。

ここでは、Tom Organicが具体的にどのような点を意識しながら製品を開発・製造・販売しているのか解説していきます。

化学物質の不使用

Tom Organicの生理用ナプキン、おりものシート、マタニティー用のシートは、トップシート及び吸収部分の100%がオーガニックコットンです。

多くの生理用品では、漂白プロセス中にダイオキシンが生成されます。

ダイオキシンは水質汚染、土壌汚染、大気汚染などの環境問題に直結している有害物質ですが、Tom Organicは化学物質を一切使わないことで環境への負荷を軽減しているのです。

サスティナブルな生理用品を取り揃える

サスティナブルな生理用品を取り揃える
出典:SpaceshipEarth

生理用品に対して、使い捨てのイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか?

しかし、オーストラリアを含む欧米諸国では、環境への負荷軽減を目的に再利用可能な生理用品が普及しています。

最も代表的なものが、生理用の吸水ショーツと経血カップです。

生理用の吸水ショーツは、ショーツ自体が経血を吸収してくれます。

通常の下着よりも吸収性が高く、ナプキンやタンポンを使うことなく直接履いて使える製品です。

使用後は通常の下着と同様に水洗いできるため、生理の度に生理用品を買う必要がありません。

また、経血カップは体内に挿入して使うのが特徴で、経血をカップの中に溜める仕組みです。

挿入するという点でタンポンとよく似ていますが、12時間程度の連続使用に対応している優れた吸水性を兼ね備えています。

経血カップも吸水ショーツと同じく洗って再利用できるので、エコな生理用品として注目されています。

Tom Organicの経血カップは医療グレードのシリコンで作られており、環境はもちろん、身体への優しさも配慮しているところがポイントです。

吸水ショーツや経血カップといった再利用可能な生理用品を多く取り扱うことで、根本的な廃棄物の問題の解決を試みているのです。

生分解性の生理用品

生物分解性の生理用品
出典:SpaceshipEarth

Tom Organicの製品は、全て生分解性の有機素材で作られています。

一般的な生理用品には、化学物質などが多く使用されています。

化学物質・薬品などの有害物質はコンポスト化できないため、廃棄物として処理するしかありません。

一方、製品に有害物質を一切含んでいないTom Organicなら、使用後にそのままコンポストに投入可能です。

また、箱や袋を含むパッケージも100%生物分解性となっており、従来の生理用品と比べると廃棄物やプラスチックごみ問題への対策を強化できます。

製品からパッケージまで堆肥として丸ごと再利用できるというメリットを兼ね備えているため、環境意識が高い多くの女性から愛用されています。

リサイクル素材の利用

Tom Organicでは、生産プロセスにおける廃棄物の削減を徹底しています。

リサイクルされた材料や、安全かつ環境に優しい素材を使用することで、不必要な廃棄物を減らした製品の開発・製造を意識しています。

動物実験をしない

動物実験をしない
出典:SpaceshipEarth

Tom Organicでは、動物実験を一切行っていません。

動物の後遺症や安楽死に繋がる恐れのある動物実験は、動物福祉に反する行為です。

あらゆる動物は人間の活動に脅かされずに暮らす権利を持っており、人間と動物の共存という観点から考えてもマイナス要素を多く含んでいます。

エコなビジネス展開を意識しているTom Organicは、より自然に近い形で商品製造・展開していくことを目標にしている企業です。

人間による自然界や生態系への悪影響を最小限に抑えるためにも、動物実験をすることなく製品の開発や改善に努めています。

まとめ

価格帯、デザイン、薄さ、形状など、製品ごとに異なる特徴を持つ生理用品ですが、オーガニック素材や再利用可能なものを選ぶことで環境への負荷を軽減できます。

プラスチックごみや廃棄物の削減と同時に身体への優しさも実現できるので、「自分の健康を守れる生理用品を使いたい」「環境と健康の両方を気遣いながらサスティナブルな生活を送りたい」といったニーズを満たしてくれます。

オーガニック製の生理用品、経血カップ、吸水ショーツは、日本でも実店舗や通販サイトから購入可能です。

バリエーションはまだまだ少ないかもしれませんが、自分自身にできる身近なエコ活動をはじめるためにも導入を検討してみてはいかがでしょう?