近年、ファストフードや飲食店などで、プラスチックストローから環境に優しいストローへの切り替えが加速しています。
「環境に優しいストロー」というと、紙やステンレスを思い浮かべる人も多いと思いますが、最近では竹から作られるストローも普及し始めています。
この記事では、竹ストローについて、メリットやデメリットなどをわかりやすく解説し、おすすめ商品も紹介します。
目次
竹ストローとは
竹ストローとは、その名の通り竹からできたストローです。竹といっても画像にあるような太さのものではなく、直径6〜10mmほどの細い竹を原料とします。
一般的なプラスチックストローのほとんどが直径3.5〜6mmであるため、竹ストローは同等もしくは少し太めであることが特徴です。
近年のサステナブル志向により注目される
近年、プラスチックストローから環境に優しいストローへの切り替えが進んでいる背景には、特にプラスチックごみ問題が関係しています。プラスチックごみ問題は、適切に処理されずに投棄されたプラスチックごみが海に流出してしまうことです。これにより、
- 海洋汚染を引き起こす
- 生態系に悪影響を及ぼす
など、様々な面で環境に負荷を与えていることから、脱プラスチックの取り組みが進められるようになりました。
加えて、メディアでSDGsについて取り上げられる機会が増え、企業・消費者ともにサステナブルへの関心が高まってきたことから、環境に優しいストローへ切り替えが進められています。
もともとは紙ストローへの切り替えが主でしたが、「味が苦手」「使い捨てなのがもったいない」などの声を受け、ここ数年の間にステンレスストローや竹ストローといった、サステナブルな素材を使ったストローが注目されるようになりました。
【関連記事】脱プラスチックとは?プラゴミ削減のメリット・デメリット、企業の取り組み・できること
竹ストローのメリット
続いては、竹ストローのメリットを見ていきましょう。
抗菌作用がある
様々な研究により、竹には抗菌・消臭作用があることが分かっています。また、森林総合研究所の研究によると、竹抽出液にはウイルスや細菌に対してエタノールと同じ消毒効果があることが確認されています。
日本では昔からこの作用を利用して、かごやザル、巻きす、笹寿司など、食品まわりに竹製品が多く使われていました。冷蔵庫がない時代は、竹の自然の抗菌作用を利用して食品を保存していたほどです。
こうした抗菌効果から、竹ストローはカビなどにも強く、衛生的に利用することができます。
耐水性・耐熱性・軽さなど使い勝手が良い
竹ストローは水に濡れても乾きやすく、さらには熱にも強いため、他の自然素材のストローに比べて使えるシーンが多いと言えるでしょう。
口当たりもよく、
- 紙ストローのように唇に張り付くことがない
- 金属製のようにひんやりしすぎない
こともポイントです。
竹は成長サイクルが早い
紙ストローの原料である木は、苗木を植えてから材料として使えるようになるまでに何十年とかかります。
対して竹は、種類にもよりますが、
- 1日で1m以上伸びたという記録もある
- 根も強く、周囲へ伸びていきタケノコを量産する
などからも分かるように、成長が早く繁殖力も強い性質を持ちます。そのため、ストローを製造するために伐採してもすぐに増えていくのです。
また、竹ストローを活用することで、これまで竹林が抱えていた課題の解消にもつながるとされています。
もともと日本では竹製品が多く使われていたこともあり、定期的に竹の伐採が行われていました。しかしプラスチックの登場により、竹の利用頻度が減り、管理の行き届かない放置竹林が増えてしまいました。これにより、
- 土砂災害を引き起こす恐れがある
- 寿命となった竹が急に倒れる危険性もある
- あちこちに根を張って伸びてしまうため、周辺の畑や民家などへの影響する
など、様々な問題が見られるようになったのです。
つまり、竹ストローにするために竹を利用することは、森林減少や放置竹林問題の解決にもつながります。
管理された竹林は地球温暖化対策になる
竹林は、森林と同じように二酸化炭素を吸収する役割を担っています。しかし、放置竹林であればその効果を得ることはできず、かえって二酸化炭素の排出量の方が多くなるとの見方もあります。(参考:国際竹籐ネットワーク(INBAR)「Bamboo and Climate Change Mitigation」*PDF)
今後、管理された竹林を増やしていくことが重要なポイントです。竹ストローなどの竹製品を積極的に利用していくことで竹林の整備が進み、温暖化対策に貢献することができます。
廃棄時に有害物質を出さない
竹は自然素材のため、燃やしても有害物質は発生しません。自然に還る素材のため、もしそのまま地面に埋めたとしても自然に分解されます。
竹ストローの3つのデメリット
メリットが多い竹ストローですが、デメリットもあります。ここでは3つ紹介します。
①コストが高い
代替ストローすべてに共通することですが、プラスチック製に比べてコストが高い傾向にあります。例えば、プラスチックストローが200本入りで110円(税込み)で売っているのに対し、使い捨ての竹ストローは20本入りで110円(税込み)と、10倍の差が見られます。
②手入れが必要
洗って使えるタイプの竹ストローの場合は、手入れが必要になります。使用後はブラシを使って中まで洗浄し、しっかり乾燥させなければなりません。高温多湿の状態で保存し続けるとカビが生える原因になります。
③炭酸飲料には不向き
竹の性質上、炭酸飲料に入れると泡が多く発生して吹きこぼれてしまいます。これは、表面の小さな凸凹に微小な気泡がたくさん作られるために起こる現象です。「メントスコーラ」(コーラのペットボトルにメントスを落とすと勢いよくコーラが吹き出してくる実験)と同じ原理と言えばイメージしやすいかもしれません。
購入する竹ストローの注意書きをよく読み、炭酸飲料には使わないようにしましょう。
※紙製のストローも同じように炭酸飲料には不向きとされています。
竹ストローの選び方のポイント
メリット・デメリットが分かったところで、竹ストローを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
使い捨てor洗って繰り返し使えるもの
まずは、「使い捨てタイプ」か「洗って繰り返し使えるマイストロー」かを選びましょう。使い捨てタイプは、竹繊維を利用することで、プラスチックストローと同等の太さを実現しているものもあります。洗って使えるタイプは、丁寧に磨いてあることが多い傾向にあるため、口当たりがより滑らかで自然素材の良さを感じられるでしょう。
長さと太さ
続いては、長さをチェックしましょう。ペットボトル用なのか、子ども用なのかなど、使うシーンによって必要な長さが変わってきます。スムージーやタピオカに使う場合は、太めのものを選ぶようにしましょう。以下に用途とおすすめの長さをまとめたので参考にしてみてください。
用途 | 長さ |
カフェの持ち帰り、タンブラー用 | 20~22cm |
500mlペットボトル用 | 25cm |
マグカップ用 | 15~20cm |
子ども用 | 10~15cm |
タピオカ、スムージー用 | 太さ8~12mm |
安全性
食品に使用するものであるため、安全性の高いものを選びましょう。着色や無駄なコーティングがないもの、信頼できるメーカーのものや、食品衛生法に基づいて検査を受けたものなどを基準にするといいでしょう。
竹ストローおすすめ10選
次は、竹ストローのおすすめを10商品ほど紹介します。
mama.organic living・竹ストロー
mama.organic livingは、自然素材にこだわり、ゴミを出さないゼロウェイストをコンセプトに掲げるブランドです。mama.organic livingの竹ストローは繰り返し使えるタイプで、ベトナムの農家が一本一本丁寧に手作りしているため、触り心地・口当たりが滑らかです。
ストローの原料は100%オーガニック竹を使用し、防腐剤・漂白剤などの薬剤は不使用。洗浄には食洗器も利用できます。
また、パッケージにもこだわっており、すべてリサイクル、自然分解可能なものを使用しています。
BALIISM・バンブーストロー
BALIISMはサステナブルな暮らしをテーマに「良いものを長く使ってもらおう」という理念を掲げる、バリ島発のサステナブルブランドです。
BALIISMが展開するバンブーストローは、インドネシア・バリ島の竹100%で作られています。竹のカットからやすりがけまで一本一本手作業で製作し、とても滑らかな仕上がりです。竹の臭いや色移りなどもそれほど気にせず使えます。日本の食品衛生法適合品。
【ストロー詳細】
長さ:約19.5cm
内径:5〜7mm
セット内容:ストロー1本、掃除用ブラシ
価格:660円(税込み)
他にも長さ12cmの子ども用、タピオカ用の内径10〜12mmの太いもの、竹製の筒状ケースのセットも。
公式サイトの他、Amazonでも購入可能です。
無印良品・竹材ストロー
無印良品が展開する竹材ストローは、竹・でんぷんを使用した使い捨てタイプの竹ストローです。
公式サイトのレビューでも、「へたらない」「紙のストローよりいい」「においがない」と、高評価を獲得しています。長さ21cm、直径6mmと、一般的なプラスチックストローと同じような感覚で使用できます。
スターバックス・Bamboo Straw Set
スターバックスのBamboo Straw Setは、海外限定品の竹ストローです。写真はタイのものです。他にも台湾で展開しており、いずれも洗って繰り返し使えるタイプです。
ケースはスターバックスのロゴ入りでブランド感があります。ブラシ付きでお手入れにも便利。太さの違うストローの2本セットなので、コーヒーを飲むときは細いもの、フラペチーノを飲むときは太いものなどと使い分けられます。
【ストロー詳細】
長さ:20cm
セット内容:ストロー2本(細、太)、布製ケース、掃除用ブラシ
価格:3400円(税込み)程度
海外限定品のため日本の公式オンラインショップでは購入できず、BUYMAやメルカリ、yahoo!ショッピング、現地店舗で購入可能です。
ひろせプロダクト・しまねっこ竹ストロー
しまねっこ竹ストローは、島根県の観光マスコット「しまねっこ」と地元企業「ひろせプロダクト」のコラボ商品です。化学薬品を一切使用しない、100%自然素材のストローとなっています。
ひろせプロダクトは、エコ意識の高まりから竹ぐしに穴をあける要領でストローが製作できるのではと思いついたそうです。この特殊な竹ストローの製造法は、特許を取得しています。これにより、規格を揃えることができ、口当たりも滑らかなストローとなっています。
しまねっこロゴ入りで洗って繰り返し使用可能で、食品衛生法適合品です。
こども竹ストロー・こども竹ストロー
こども竹ストローは、青森で自給自足生活を送る家族による手作りのストローです。子どもに安心・安全なものを贈りたいという気持ちが込められています。除草剤や農薬なしの竹を使用し、薬剤処理も一切されていません。また、洗って繰り返し使えるのもうれしいポイントです。
加工オプションとして「両丸」と「レ先」が選択可能。「両丸」は両方の先が同じように丸いもの、「レ先」は片方が斜めにカットされたものです。子どもが使いやすいよう、細い竹を使用して滑らかに磨き上げられており、手作りの温かみが感じられます。
【ストロー詳細】
長さ:15cm
内径:3〜5mm
セット内容:ストロー1本
価格:580円(税込み)
他にも子供用10cm、大人用18cmもあります。洗浄用ブラシは別売りで豚毛を利用したものが650円(税込み)です。公式サイトで購入可能。製作できる数に限りがあるため、数量限定での発売です。
IKEA・OKUVLIG 飲み物用ストロー
スウェーデン発祥の家具ブランドIKEAからも竹ストローが販売されています。繰り返し利用することで、化石原料などの限りある原料を無駄遣いしないような生活を提案しています。
口コミには、「太さにバラつきがある」「においがある」などのネガティブなものはあるものの、「繰り返し使えるものとしてはコスパがいい」「エコで良い」という意見もありました。
曲げわっぱと漆器 みよし漆器本舗・竹ストロー
漆器メーカー「三好漆器」による、繰り返し利用できる竹ストローです。楽天ランキング1位獲得、食品衛生法適合品。オリジナルパッケージでプレゼントにもおすすめです。口当たりがよく、自然素材利用であるのにサイズが揃っているのが好印象です。
foci cozi・オーガニックバンブーDrinking Straws
foci coziの竹ストロー「オーガニックバンブーDrinking Straws」は、オーガニック竹を利用し、長さが異なる3サイズ各4本の大容量セットです。繰り返し利用可。
使用するカップや飲む人によって使い分けられ、本数が多いのでパーティーにも活躍します。太さに多少のバラつきはありますが、使ってみるとそこまで気になる点ではありませんでした。
【ストロー詳細】
長さ:6インチ(15cm)、8インチ(20cm)、9インチ(22cm)
セット内容:3サイズのストロー各4本、布製の収納袋、洗浄ブラシ
価格:9,636円(税込み、Amazon価格12/27現在)
Amazonで購入できます。
ダイソー・竹ストロー
100円均一のダイソーでも、使い捨てタイプの竹ストローが販売されています。竹ストローが気軽に手に入れられるのはうれしいですよね。
安価でも竹臭さは感じず、口当たりも良好。大容量なので「ヒンメリ」(北欧で作られているストロー状の麦わらを糸で繋ぎ合わせたモビール)作りなどの工作やDIYにも使えます。
【関連記事】プラスチックフリーのエコストロー5選!「使うたびにワクワクする」
竹ストローのよくある質問
続いては、竹ストローを利用する際の気になるポイントをまとめました。
カビない?
竹は抗菌作用があり、乾燥しやすい素材であるため、カビにくいストローと言えます。とはいえ高温多湿な場所で保管していると、カビが発生することもあります。使用後は洗ってよく乾燥させ、通気性の良い場所で保管しましょう。
国産・外国産どちらがいいの?
それぞれの特徴を理解し、自身の考え方やライフスタイルに合わせて選択するようにしましょう。
国産であれば、竹林の管理や地元産業の振興に役立つような製品が多く見られます。安全性についても問題ないものがほとんどです。また、ふるさと納税の返礼品として用意している自治体もあります。
外国産の竹ストローは、比較的安価に手に入れられる傾向があります。物によっては作りが粗いこともあるのでよく確認しましょう。
竹ストローは自作できる?
細い竹が手に入る場合は、チャレンジしてみてもいいでしょう。作り方の一例をご紹介します。
- 鉛筆のように細い竹を選び、「節から節まで」が入るように切り出します。
- 竹を立てて、日焼けするまで乾燥させます。
- 節の間の部分をお好みの長さに切ります。20cm程度が使いやすいでしょう。
- ストローの端を研磨します。口をケガしないように丁寧に。
- 周りをサンドペーパーで研磨します。
- 1%程度の塩水で10分ほど煮沸消毒します。
- ストロー内部に入り込んだ削りカスなどをよく洗い、乾かして完成です。
使い捨てでも良ければ、竹を切ってきて飲み口をサンドペーパーで磨くだけでも使用できます。竹の節と節の間を利用するので、生えている時点では竹の内部にゴミは溜まらず、周りをよく洗えば清潔に使えますよ。
ストローとして使用しなくなったら、穴を開けて笛として使うこともできます。
竹ストローとSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の関係
最後に、竹ストローとSDGsとの関係を見ていきましょう。
SDGsは、2015年に国連で採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとった国際的な目標です。「人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標」とも言われており、現在地球が抱えている課題の解決を目指し、具体的に17の目標が定められています。
これら17の目標は、
- 貧困や飢餓をなくすことなどの社会的な目標
- 気候変動への対策を求める環境に関する目標
- 働きがいなどの経済的な目標
というように、3つの側面から設定されています。
【関連記事】SDGsとは|1〜17の目標一覧と意味や達成状況、世界・日本の取り組み事例を紹介
17ある目標の中でも、竹ストローと特に関係しているのが目標14「海の豊かさを守ろう」です。この目標は、海を持続可能なものにするために、魚などの乱獲や海洋汚染について言及しています。
海に流れ出ているプラスチックごみの大半が、私たちが生活する街から発生していると言われています。ポイ捨てに加えて、悪気がなくても強い風が吹き、レジ袋などが吹き飛ばされてしまうこともあるでしょう。
プラスチックごみが海に流れ出れば、海洋生物の体にからまったり、餌と間違えて食べてしまったりなど、生態系への影響が見られます。他にも海を漂うプラスチックごみから、温室効果ガスが発生しているという研究結果もあり、環境への負荷も否めません。
竹ストローを使うことで、プラスチックごみの削減につながり、目標14の達成にも貢献できるでしょう。
【関連記事】SDGs14「海の豊かさを守ろう」現状と課題、日本の取り組み事例、私たちにできること
まとめ
この記事では、竹ストローについて詳しく見てきました。
サステナブルな生活を送ることが求められている昨今、竹ストローの活用も選択肢として持っておきたいものです。
竹ストローは、コストや洗う手間などのデメリットはあるものの、環境負荷の軽減、竹林問題などの解決など、サステナブルな要素が詰まった製品です。
この記事を参考に様々な商品を試しながら、お気に入りの竹ストローをみつけてみてはいかがでしょうか。
参考資料
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