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蜜蝋とは?効果や使い方、ワックス・キャンドル・ハンドクリームの作り方を解説

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身近なスキンケアアイテムや生活道具など、あらゆる場面で活用されている蜜蝋は、昔から人々の暮らしの中に取り入れられてきました。

本来ミツバチの生命活動において産生される蜜蝋ですが、近年は自然由来の素材としても注目を集めています。

この記事では、蜜蝋に関する基本的な知識から、蜜蝋を使ったアイテムづくりまで幅広くお伝えします。

蜜蝋とは?

蜜蝋とは、若いミツバチの身体から産生される蝋状の物質のことで、英語ではビーワックス(Beewax)と呼ばれます。

ミツバチから作られた蜜蝋は、本来ハチの巣を構築するための材料として用いられます。

蜜蝋などで作られた仕切りのある六角形の小さな部屋それぞれに、女王バチが卵を産み、若いミツバチたちはそのベッドの中で育つのです。

採取したばかりの蜜蝋は白色をしていますが、時間が経つと黄色く変化します。これは蜜蝋に含まれるプロポリスや花粉の色素が沈着するためです。同様に、ミツバチから産生されたばかりの蜜蝋は液体のように柔らかい状態ですが、しばらくすると固まって蝋のようになることから「蜜蝋」と呼ばれています。

蜜蝋の持つ効果

蜜蝋は本来、ハチの活動に必要なものですが、わたしたち人間の生活にもさまざまな恩恵を与えてくれます。

ここでは、ミツロウが持つ効果について知っておきましょう。

保湿

最初に挙げられるのは、肌への保湿効果です。

蜜蝋にはビタミンAや、水分の蒸発を防ぐ成分が含まれており、乾燥した肌にうるおいを与えてくれます。そのため、さまざまな化粧品やフェイスケア用品に用いられています。

特に唇の荒れには蜜蝋が有効で、リップバームの原料によく使われています。

鎮痛・抗炎症・殺菌効果

蜜蝋には鎮痛・抗炎症作用を持つ成分が含まれているため、皮膚をはじめとした炎症やかゆみを鎮めてくれると言われます。

また殺菌効果も認められ、ニキビ・吹き出物といった肌トラブルにも活躍しますので、自分でできるケアのひとつとして、蜜蝋の塗布を行うとよいでしょう。

蜜蝋だけを塗り込むよりは、肌への浸透をサポートする植物油を混ぜてバームを作ると、肌への馴染みがよくなります。

肝臓の保護

蜜蝋は肌にうれしい効果をもたらすだけでなく、人間の身体においてほかのパーツを助けてくれる可能性を持っています。

そのひとつとして言われているのが、肝臓のサポートです。

2013年、韓国の医学誌が発表した論文によると、ハチの巣を作る際に分泌される、蜜蝋に含まれるアルコール成分に抗酸化作用があるとされ、人間の肝臓を守ってくれている可能性を示唆しています。

この論文のために行われた実験では、肝脂肪疾患を持つ患者が被験者となり、24週間にわたって蜜蝋に含まれるアルコール成分が投与されました。

その結果、肝脂肪の進行を弱め、肝臓の正常な働きを補う傾向が見られたのです。

蜜蝋の使い方

さまざまな効果を持つ蜜蝋ですが、一体どのように使われるのでしょうか。ここからは、具体的な使用例をチェックしてみましょう。

蜜蝋ワックス

まず挙げられるのは、蜜蝋をそのまま固めた蜜蝋ワックスです。

古くから人々の暮らしの中で使われてきた蜜蝋は天然ワックスのひとつとして、さまざまなアイテムの原料として利用されています。

昔からの用いられ方の一例として、リネン糸の強度を高めるため、糸の周りに擦りつけたり、蜜蝋を一度溶かして型に入れ、キャンドルを作ったりと、日常生活の中で欠かせないものとして扱われてきました。

ほかにも、家具や建材のツヤだしに用いられることがあり、子どもやペットがいる家庭でも化学物質と比べて健康リスクが低いため好まれる傾向にあります。

また近年は、蜜蝋ワックスを布にしみこませた蜜蝋ラップの人気が高まっており、エコや脱プラスチックの意識を持つ人を中心に愛用者が増えています。

蜜蝋は固形のまま、もしくは一度液状にしてから加工することも可能なため、蜜蝋ワックスを原料としたアイテムは、今も多く存在します。

蜜蝋キャンドル

(筆者提供)

先述した蜜蝋ワックスの使用例で、最も暮らしに身近な道具のひとつとして挙げられるのが蜜蝋キャンドルです。

現在、市販で売られているキャンドルは、石油から抽出されたパラフィンワックスを原料としたものが主流です。

しかし科学技術がそれほど進歩していなかった時代では、蜜蠟や植物性ワックスから作られたキャンドルがよく用いられていました。

蜜蝋キャンドルは燃やしてもすすが出ず、蝋が垂れてくることもありません。また蜜蝋が持つほのかな甘い香りも楽しめるので、リラックスや癒しの時間のお供にも最適です。

蜜蝋を使ったスキンケア用品(バーム、クリームなど)

もうひとつ、蜜蝋ワックスの主な使われ方として挙げられるのが、バームやクリームといったスキンケア用品です。

特に肌の乾燥や荒れに対し、保湿をして落ち着かせる効果を期待して、市販の商品にもよく含まれています。蜜蝋自体は顔や手・リップをはじめ全身に使えるので、希望する用途にあわせてアイテムを選べます。

もし肌のカサカサした部分やにきび・吹き出物が気になる場合は、蜜蝋の入ったアイテムを試してみるとよいかもしれません。

日用品やスキンケア用品への使用頻度が高い蜜蝋ですが、実は薬としても用いられることがあります。

例えば漢方では、紫雲膏(しうんこう)の原料に使われており、火傷や傷に塗る薬として親しまれています。

なぜ蜜蝋が注目されている?

さまざまなアイテムに利用される蜜蝋ですが、なぜ今、特に注目を浴びているのでしょうか。

自然由来の素材という安心感:健康や脱プラスチックの動き

大きな理由のひとつとして、自然由来の素材であるということが時代の背景とリンクしたと推測できます。

蜜蝋は、ミツバチから産生される物質のため、自然界で生じたものです。

対して現代の暮らしの中では、石油由来や人工的な技術によって生成された化学物質が多く、自身の健康への影響や、化石燃料の採掘による環境破壊などを懸念する声が上がっています。

そうした動きの中で、自然由来の素材である蜜蝋は利用の用途が幅広く、身体によい影響をもたらしてくれることが多いため、注目を集めているのです。

人によっては使えないこともあるので注意!

蜜蝋はハチが体内で産生した物質を用いていることや、ミツバチの巣作りにおいて必要なものを人間が奪っているという考え方から、動物製品を手にしないヴィーガンや動物愛護主義の人々は避ける傾向があります。

また健康上の理由から、特に妊婦・1歳未満の子どもは口にしないほうがよいとされています。そのため商品や、一度商品と触れた食べ物などが口に入る恐れのあるリップバーム・蜜蝋ラップなどは、使用を避けるようにしましょう。

このように、自然由来の蜜蝋は、古くから人々の暮らしの中で親しまれ、各家庭で簡単に加工することができました。

次では、みなさんも簡単にできるDIY蜜蝋アイテムの作り方についてご紹介します。

蜜蝋ラップの作り方

まずは、食品を包むのに便利な蜜蝋ラップの作り方です。

やり方は大きく分けて2つあり、オーブンを使った作り方と、アイロンを使った作り方とに分けられます。

それぞれの作り方については後ほど詳しくご紹介しますが、まずは共通して必要なものを確認しておきましょう。

<材料・必要なもの>

好みの大きさのコットン製布(薄手のTシャツ程度の生地がよい)

蜜蝋(塊の状態でも、チップ状でもOK)

すりおろし器 ※チップ上の蜜蝋なら不要

ベーキングシート

オーブンで作る場合:

オーブン

蜜蝋をしみこませるための筆など(なくても可)

アイロンで作る場合:

アイロン

アイロン台

では、それぞれの作り方をご紹介します。

蜜蝋ラップ①オーブンを使った蜜蝋ラップの作り方

  1. オーブンを85度に予熱しておく。
  2. コットン製の布を好きなサイズにカットする。この際、切った辺がギザギザ模様になるハサミを用いると、仕上げの見た目がよい。
  3. 蜜蝋が固形の場合、すりおろし器で細かくしておく。
  4. 鉄板にオーブンシートを敷き、その上にコットン製の布を乗せる。上から細かい蜜蝋を振りかける。量が足りないとラップのような密着度が得られないので、十分な量を乗せるように。目安としては、20センチ角の布に対して蜜蝋14g、30センチ角の布なら蜜蝋23g程度。
  5. 蜜蝋と布を乗せた鉄板をオーブンに入れ、約5分加熱する。一度取り出したら、溶けた蜜蝋をより密着させるため、はけや筆を使って布にしみこませる。
  6. 十分にしみこませたら、粗熱を取り干して乾燥させる。

注意点としては、蜜蝋に触れたすりおろし器やはけは、通常の料理用のものと分けるようにしましょう。一度蜜蝋が付いてしまうと、完全に落としきるのが難しくなってしまいます。

蜜蝋ラップ②アイロンを使った作り方

  1. アイロンのスイッチをONにしておく。150度が適切。
  2. コットン製の布を好きなサイズにカットする。この際、切った辺がギザギザ模様になるハサミを用いると、仕上げの見た目がよい。
  3. 蜜蝋が固形の場合、すりおろし器で細かくしておく。
  4. アイロン台にオーブンシートを敷き、その上にコットン製の布を乗せる。上から細かい蜜蝋を振りかける。量が足りないとラップのような密着度が得られないので、十分な量を乗せるように。目安としては、20センチ角の布に対して蜜蝋14g、30センチ角の布なら蜜蝋23g程度。
  5. 4の上からさらにオーブンシートをかぶせ、布が焦げないように気を付けながらアイロンをかける。
  6. 蜜蝋が布全体にしみこんだら、粗熱を取り干して乾燥させる。

蜜蝋ラップは、プラスチックのラップの代わりに活躍する優れもので、アイテムによってはほとんど毎日使用しても1年以上使えるものもあります。

ただし蜜蝋は酸に弱いため、レモンのような柑橘類は包まないようにしましょう。また肉や魚類へ使用することもおすすめしません。

主に野菜や食べ残しの入った器に使うのがよいですが、それだけでもプラスチック製ラップの使用量を大幅に節約できます。

使命を果たした蜜蝋ラップは、燃えるゴミで処分できるほか、土に還せる点が魅力です。

蜜蝋バームの作り方

続いては、蜜蝋を使ったバームの作り方です。

バームは適度ななめらかさと保湿力を持ち合わせているため、顔やリップ・手に限らず全身に使える優れものです。

今回は、基本的なレシピをご紹介します。

<材料・必要なもの>

蜜蝋 5g

植物性油(ホホバオイルやオリーブオイル・アルガンオイルなど好みで)25ml

精油(なくても可)6~12滴

保存容器(50ml程度のもの)

耐熱ガラス容器

攪拌するための棒(割りばしなどでもOK)

湯せん用の鍋

<作り方>

  1. 消毒した耐熱ガラス容器に、蜜蝋と植物オイルを入れ、お湯をはった鍋で湯煎をする。
  2. 蜜蝋が溶けたら保存容器に移し、クリーム状になるまで棒で混ぜる。
  3. 粗熱が取れたら精油を好みで加え、更によく混ぜる。
  4. 完全に冷めたらふたをし、冷暗所に保存。

材料を揃えれば簡単に作ることができ、使用期限も約2か月ほどと、長持ちします。精油は香りの好みや期待する効果にあわせて複数種をブレンドするのもおすすめです。

蜜蝋キャンドルの作り方

次に、蜜蝋キャンドルの作り方についても見ておきましょう。

蜜蝋100%でも作れますが、今回はより簡単でスムーズに作れるレシピをご紹介します。

<材料・必要なもの>

蜜蝋 225g

コットン製のたこ糸 

ココナッツオイル 30ml

精油(オプション)50滴

ガラス製の容器(200ml程度のもの)

耐熱ガラス容器

攪拌するための棒やへら(割りばしなどでOK)

湯せん用の鍋

コットン糸を巻き付けておくため柄の棒(割りばしなどでOK)

<作り方>

  1. 耐熱ガラス容器に蜜蝋を入れ、湯をはった鍋で湯煎する。蜜蝋が溶けたらココナツオイルを加える。
  2. 湯煎してまだ荒熱が取れていない1に、コットン糸を浸す。取り出したらまっすぐな状態で放置しておく。すると周りの蜜蝋が固まって扱いやすくなる。
  3. ガラス容器にコットン糸をセットする。2人以上で作業する場合は手で中央に固定できる。しかし、ひとりで作業する場合は難しいため、コットン糸を割りばしなどに軽く巻き付け、ガラス容器の中央にくるよう固定しておく。
  4. 1の材料が全て溶けたら火を止め、粗熱を取る。ここで好みの精油を加えてもよい。
  5. 4をガラス容器へ静かに流し入れる。しばらく置いておき、完全に固まったら完成。糸が長い場合は先端を切る。

蜜蝋に関してよくある疑問

ここで、蜜蝋に関して寄せられる、さまざまな質問にお答えします。

蜜蝋は食べられる?

蜜蝋自体、食品として扱われることはあまりありませんが、漢方薬のように薬として用いられることがあります。ミツバチから産生されるハチミツと同様、口に入れても安全です。

ただし、多量に摂取すると腹痛や下痢の原因になる恐れがあるため気を付けましょう。

また、ハチミツと同じように、ボツリヌス菌による感染症のリスクを避けるため、妊婦と1歳未満の子どもは摂取しないようにしましょう。

蜜蝋はどこで買える?

蜜蝋は、さまざまな店舗やオンラインショップで手に入れることができます。

Amazonや楽天市場といった大きなプラットフォームでも簡単に探せるほか、「国産」「オーガニック」といったキーワードを追加して検索すると、自分の好みの蜜蝋を見つけられるでしょう。

殺菌効果がある?

蜜蝋には殺菌作用があるのではないかと考える人もいるかもしれません。

ミツバチによって蜜蝋が作られた後、巣の修復に使う際にミツバチが分泌した液(唾液)と合わさります。この段階で出来た蜜蝋には、殺菌作用があるのではないかと考えられます。

また、植物が持つ天然の抗菌成分(カテキン、フラボノイドなど)をミツバチが採ってきて蜜蝋とあわせることもあります。

実際、この効果を期待して、民間では古くからにきびや吹き出物の治療薬としても親しまれてきました。

ただし、人間が使えるように精製・加工された蜜蝋は加熱されていることも多いため、必ずしも殺菌作用を期待できるわけではないようです。

このように、何に対して蜜蝋の殺菌効果を求めるかによって変わってきます。

蜜蝋とSDGs12「つくる責任つかう責任」と関連!

最後に、蜜蝋とSDGsの関係について確認しておきましょう。

2015年、国連で採択されたSDGs(Sustinable Development Goals:持続可能な開発目標)は、環境と社会・経済の3つの柱を基に、17項目の目標が定められました。

蜜蝋は自然環境から採れるものであることから、わたしたち人間が適切に扱う必要があります。

今回は17ある目標のうち、SDGs12「つくる責任つかう責任」との関連を挙げてみました。

SDGs12「つくる責任つかう責任」では、アイテムの生産~消費~廃棄までの過程において、環境問題や人権・労働などを考慮したうえで適切に行うことを目指しています。

蜜蝋はミツバチが産生する貴重な物質です。1匹のミツバチが作れる蜜蝋はごく少量なうえ、巣作りのように本来必要とされる蜜蝋の目的を、人間が身勝手に横取りするべきではありません。

その意味で、蜜蝋を原料とするアイテムを生産する場合は、適切に管理された養蜂によって採取された蜜蝋を選ぶ必要があり、わたしたち消費者も貴重な蜜蝋についての知識を身に着け、無駄なく大切に扱うことが求められます。

まとめ

今回は「蜜蝋(beewax)」について、基本的な知識や用途・自分でできる蜜蝋入りアイテムの作り方まで、幅広くお伝えしました。

すでに述べたように、蜜蝋もまたミツバチが創り出す大切な資源のひとつです。まずは蜜蝋が、彼らの生命活動において必要不可欠なものであることを理解し、そのうえでわたしたち人間の暮らしに必要な分を分けて頂いている、という意識を持って扱いましょう。

参考リスト
Beekeeping and sustainable livelihoods|FAO
Beeswax Benefits, Uses, Recipes and Side Effects – Dr. Axe
Effects of D-002, a mixture of high molecular weight beeswax alcohols, on patients with nonalcoholic fatty liver disease – PMC
蜜蝋とは・オーガニックや国産など蜜蝋販売のプラスユー
How to Make Beeswax Wraps: 10 Steps (with Pictures) – wikiHow
How to make beeswax wraps | Natural History Museum
Easiest DIY Beeswax Candle Recipe – Carolina Honeybees
ハチミツによる乳児のボツリヌス症 | 消費者庁