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【SDGs×イベント】オーストラリアのブリスベン・フェスティバルは環境負荷低減を目指したエコなイベント!

温暖な気候が魅力のブリスベンでは、春の訪れを感じられる9月にブリスベン・フェスティバルを開催しています。

州内最大規模のイベントと称されるブリスベン・フェスティバルですが、実は近年ではサステナビリティやエコをコンセプトに掲げています。

この記事では、ブリスベン・フェスティバルが行う具体的な環境保全についてチェックしていきましょう。

ブリスベン・フェスティバルとは?

ブリスベン・フェスティバルは、毎年9月にクイーンズランド州の州都であるブリスベンで開催されているイベントです。

1961年にスタートし、1988年にブリスベンで万博が行われたことを機に「芸術の育成」を目的として大規模なものに発展しました。

ブリスベンの市街地から川を挟んだ反対側のサウスバンクをメイン会場としており、2024年時点でブリスベン・フェスティバルの期間は約20日間にも及びます。

演劇、サーカス、スポーツ、トークショー、コンサート、イルミネーション、グルメ、ファッションショーを含むさまざまなパフォーマンスやイベントが行われ、毎年多くの人々で賑わう一大イベントです。

また、ブリスベンは市内を川が蛇行するように流れている独自の地形を持つことから、川と人々の共存を祝してブリスベン・フェスティバルの初日にはリバーファイアと呼ばれる花火も打ち上げられています。

ブリスベン・フェスティバルはサステナビリティを意識したイベント!

ブリスベン・フェスティバルはサステナビリティに焦点を当てており、環境、社会、経済への悪影響を軽減しながら持続可能性の高い未来を作ることを目標としています。

サスティナブルな世界には廃棄物の削減、資源の節約、二酸化炭素排出量の削減、持続可能性の問題に関するコミュニティの関与と教育の促進が必要不可欠だと考えていることから、イベントを通して以下のようなエコな取り組みを行っています。

さまざまな種類のゴミ箱の設置

ブリスベン・フェスティバルの期間中、メイン会場のサウスバンクではたくさんの種類のゴミ箱が増設されます。

一般廃棄物、リサイクル廃棄物、有機廃棄物などに分けられており、イベント中に発生したゴミをできるだけ細かく分別することでリサイクル率向上を目指しているのが特徴です。

また、各ゴミ箱の廃棄物の流れはモニタリング及びレポート化され、翌年以降に設置するゴミ箱の数や位置の決定に役立てられています。

再利用可能なボトル持参を奨励

来場者に対して、ブリスベン・フェスティバルではマイボトルなどの再利用可能なカップを持参するよう呼び掛けています。

ブリスベン・フェスティバルの開催中は会場内のさまざまなブースでアルコール、ソフトドリンク、コーヒーなどが提供されているものの、カップの廃棄物量に関する問題点も浮上していました。

そこで、イベント中に発生する廃棄物の数を最小限に抑えるべく、再利用可能なボトルを持参することで環境保全に貢献するよう奨励しています。

給水所の増加

どんなに来場者にマイボトルの持参を呼び掛けても、給水する場所がなければ意味がありません。

ブリスベン・フェスティバルでは人々が問題なくスムーズに水を得られるように、イベント期間中はサウスバンクの敷地内の至る箇所に給水所を増設しています。

二酸化炭素低排出な交通手段の推奨

ブリスベン・フェスティバルでは、来場者に対して公共交通機関、自転車、キックボードなどを利用するように推奨しています。

1年に1度行われるブリスベン・フェスティバルは州内最大のイベントと称されており、来場者は実に150万人です。

多くの来場者が車でイベント会場を訪れた場合、車の排気ガスによる二酸化炭素の排出量が膨大になることが予想されます。

2021年に行われた調査により、オーストラリアの乗用車からの二酸化炭素排出量は中国、EU、日本、米国の平均値と比べて53%も高いことが分かりました。

オーストラリア国民の多くが乗用車を日常的に使用していることから、ブリスベン・フェスティバルは来場者が車以外の方法でアクセスしやすいサウスバンクを会場にしています。

サウスバンクは市街地から徒歩10分ほどの場所に位置しており、バス、電車、フェリーでアクセスできるほか、駐輪場やレンタルキックボードの専用置場なども完備されています。

さまざまな選択肢の中から選べるため、来場者が無理なく環境負荷低減に貢献する移動手段でイベントに参加できる点がポイントです。

また、物資やイベントスタッフの移動に関しても二酸化炭素の排出量削減を意識するよう心掛けており、余儀なく乗用車を使う際はカーシェアリングなど持続可能性の高い移動を推奨しています。

サスティナブルな素材の食品容器の導入

大規模なイベントによるプラスチックごみの増加を懸念し、ブリスベン・フェスティバルでは再利用、堆肥化、もしくはリサイクル可能な素材を使った食器容器の導入を徹底しています。

クイーンズランド州では2021年9月から使い捨てプラスチックが禁止されており、ブリスベン・フェスティバルでも参加する食品サプライヤーに対してプラスチック容器の全面撤廃を伝えてきました。

主な食器容器には、ストロー、カップ、カトラリー、袋などが含まれ、ブリスベン・フェスティバルの会場では環境に優しい素材のみ使用を許可しています。

再利用、堆肥化、リサイクルに対応している食品容器を使うことで、イベントによって生じる廃棄物の量を大幅に削減可能です。

また、食品の提供時に過度な包装や装飾などをしないこともルール化しており、不必要な廃棄物を生み出さないように工夫を凝らしています。

すべてのサプライヤーにブリスベン市議会の環境ガイドラインを参照させる

さまざまなサプライヤーが参加するブリスベン・フェスティバルですが、ブリスベン市議会(Brisbane City Council)の環境ガイドラインに従う必要があります。

環境ガイドラインには再生可能エネルギーの使用や水質管理などが含まれており、ルールを守りながら運営することで環境負荷を低減しながらイベントを開催できます。

環境影響マネジメントの策定

再生可能エネルギーの利用、温室効果ガスの排出量削減、リサイクルを意識した運営を行っているブリスベン・フェスティバルですが、エコな取り組みを徹底しているのはイベント期間中だけではありません。

さまざまなエコ活動によってどの程度の環境メリットが得られたのかを明確化するために、イベントの開催後に具体的な消費電力、有機廃棄物の量、リサイクル廃棄物の量、温室効果ガスの削減量などを確認しています。

見直しを行うことによって、効果的な対策の把握や改善点について考えるチャンスが生まれます。

特に廃棄物に関しては細かく分類しながら各廃棄物の量や流れを測定し、翌年以降により多くの廃棄物を削減できるようにマネジメントを行っているのです。

No-Waste Wardrobe at Westfield Chermside

ブリスベン・フェスティバルのメイン会場は市街地から程近いサウスバンクですが、郊外に位置するショッピングセンター・チャームサイド(Westfield Chermside)でも企画イベントを行っています。

チャームサイドでの企画は「無駄のないワードローブ(No-Waste Wardrobe)」をテーマにしており、廃棄物をモチーフにした作品が展示されています。

袋やテープといった私たちの生活でも身近な廃棄物を組み合わせるなど、発想の転換による廃棄物の再利用や有効活用へのアプローチを啓発している点がポイントです。

また、「無駄のないワードローブ」のアーティストによるワークショップも開催し、子どもたちが廃棄物を自由にアートへ昇華させる機会も提供しています。

ワークショップで使用される廃棄物はショッピングセンター内の専用回収ポイントを通じて寄付されており、地元の廃棄物削減にも貢献している取り組みです。

まとめ

ブリスベン・フェスティバルでは、環境に優しいイベントを目指してさまざまなエコ活動を行っています。

特に廃棄物や二酸化炭素の排出量削減に力を入れており、イベント終了後の見直しによってマネジメントの改善にも役立てている点が特徴です。

一見難しそうな環境保全とイベント開催の両立ですが、問題点を明確化することで具体的なアプローチ方法を見つけられます。

私たちもイベントに参加するときは、エコなアイデアについて考えてみることが大切ですね。