週末や大型連休になると、多くの人々で賑わうアウトレットモール。
日本でさまざまな系列のアウトレットモールが展開されているのと同様に、南半球のオーストラリアでも各都市にアウトレットモールが設置されています。
アウトレットモール=ショッピングや食事を楽しむ場所といったイメージを持たれがちですが、実はクイーンズランド州のDFOブリスベンでは環境に優しいさまざまな取り組みも行っています。
この記事では、アウトレットモールであるDFOブリスベンがどのようなエコ活動に力を入れているのか見ていきましょう。
DFOはオーストラリアのアウトレットモール!
リーズナブルにショッピングを楽しめるアウトレットモールは、オーストラリアでも非常に人気の高い施設です。
DFO(Direct Factory Outlet)はオーストラリアの主要なアウトレットモールとして知られており、クイーンズランド州の州都に位置するDFOブリスベンは2005年にオープンしました。
敷地の広さは東京ドームの半分ほどで、アパレル、飲食店、雑貨、チョコレートショップ、化粧品、台所用品をはじめとする144のテナントが入っています。
DFOブリスベンはブリスベン空港が所有するショッピングセンター・Skygate(スカイゲート)の敷地内にあり、市民はもちろん、ブリスベン空港を利用する旅行者も立ち寄る人気観光地となっています。
環境負荷を減らすためのエコ活動
ブリスベン空港が保有するDFOブリスベンは、空港から車で5分程度の場所に位置しています。
空港は航空業界と密接な繋がりがあるため、ブリスベン空港では環境保全によって航空業界が与える環境負荷を軽減しようと試みています。
DFOブリスベンでも同様の取り組みを行っていますが、単なる空港施設と違ってショッピングセンターならではのさまざまなエコ活動を行っているのも特徴です。
ここでは、実際にDFOブリスベンが実践しているエコ活動の詳細について解説していきます。
シューズ4プラネットアース
DFO ブリスベンは、靴のリサイクル率を高めるプログラム・シューズ4プラネットアース(Shoes 4 Planet Earth)の収集場所のひとつです。
シューズ4プラネットアースは2009年に設立された非営利団体で、不要な靴を回収して必要な人々に届けるという取り組みを行っています。
これまでに世界18か国以上で80,000足以上の靴がリサイクルされており、DFO ブリスベンは建物内に回収場所を設けることで靴の廃棄削減に貢献しています。
DFOブリスベンは、150弱の店舗が入っている大型ショッピングセンターです。
靴を取り扱っている店舗も多く、シューズ4プラネットアースへの参加によって新品を購入した顧客が不要な靴をスムーズにリサイクルできる環境が整えられています。
尚、シューズ4プラネットアースでは、靴を回収するにあたって以下のような条件を設けています。
- 回収対象はスポーツシューズのみ
- 穴や破損などがない良好な状態
- 清潔に洗ってある状態
- 2足セットで梱包している
- 靴紐とインソールが付いている状態
条件を満たす必要はあるものの、「新しい靴を買うときは不要な靴を洗ってDFOに持参している」「綺麗な状態だから捨てるのはもったいないけどリサイクルだったら罪悪感も少なくなる」と多くの人々から高評価を得ているエコ活動です。
NIKE Grindへの参加
日本のアウトレットモールで頻繁に見かけるNIKEは、DFOブリスベンでも店舗を構えています。
NIKEが展開するラインのひとつ、Nike Grindをご存知でしょうか?
Nike Grindは古いNIKEシューズのゴム、フォーム、レザー、繊維のスクラップから作られているエコなシリーズで、環境に優しい靴として注目を集めています。
Nike Grindでは環境保全の一環として自社製品である靴の回収も行っており、DFOブリスベンもNike Grindの回収スポットのひとつです。
回収できる靴はNIKE製品に限定されてしまいますが、顧客は古くなった靴を自由に持ち込み可能となっています。
シューズ4プラネットアースのように靴の状態に関する条件が厳しくなく、履き古した靴でも手軽にリサイクルできる点が魅力です。
AI機能付きゴミ箱
リサイクル促進を目指しているDFOブリスベンでは、Oscarスマートリサイクルアシスタントと呼ばれるAI機能付きのゴミ箱を設置しています。
AI機能付きのゴミ箱にはプラスチック、食べ残し、瓶・缶、紙類といったバリエーション豊富な分別先が付いていますが、特徴的なのはゴミ箱の上に搭載されている大きなモニターです。
モニターに向かって捨てたいゴミをかざすと、ゴミ箱が自動で分別先を表示する仕組みになっています。
AIが瞬時に分別先を教えてくれるため、利用客が不適切なリサイクルを行うリスクを軽減できる点がメリットです。
空港から程近い場所に位置しているDFOブリスベンには、外国人やクイーンズランド州外からの観光客も頻繁に訪れます。
国や州によってゴミの分別の仕方に関する違いがあることも多く、リサイクル用のゴミ箱を設置しても上手く分別されていないといった問題点が挙げられていました。
リサイクル用のゴミ箱に不適切なゴミが投入されると、汚染などの原因になるためリサイクルが難しくなります。
全体的なリサイクル率の低下と廃棄物の増加が懸念されていたものの、AI機能付きのゴミ箱の導入によって正しい分別とリサイクル率の向上を叶えられます。
再生可能エネルギーの導入
DFOブリスベンは、ブリスベン空港の関連施設・Skygateの中に位置しています。
ブリスベン空港が再生可能エネルギーの導入に力を入れていることから、DFOブリスベンの敷地内にも数多くのソーラーパネルが設置されています。
2023年にはDFOブリスベンを含む空港関連施設に5,500枚のソーラーパネルを設置し、1.4MWの再生可能エネルギーを確立しました。
また、2024年内にはさらに2.4MW分の消費電力をまかなえる分だけのソーラーパネルを加える予定にしており、アウトレットモール内で消費する電力を再生可能エネルギーで補填できるように取り組んでいます。
ペットボトルの寄付用マシーンの設置
DFOブリスベンの敷地内には、ペットボトルを寄付するための専用マシーンが置かれています。
DFOブリスベンが位置するクイーンズランド州では、空のペットボトル1本につき10セントが返却されるのが一般的です。
しかし、ペットボトルの寄付用マシーンでは、返却ではなく寄付のみを行う仕組みになっています。
寄付先の中には環境関連の団体などが含まれているケースも多く、使用済みのペットボトルを投入するだけで自然環境の保護に貢献できるところが特徴です。
ペットボトルをゴミとして捨てるよりも有効利用できるため、エコ意識が高い人々はもちろん、普段はゴミの分別などに関心がない層の興味を惹きつけることにも成功しています。
リサイクルによる収益の有効活用
DFOブリスベンは、リサイクルによって出た収益を地元団体であるブリンバクリーク流域調整委員会(Bulimba Creek Catchment Coordinating Committee)に寄付しています。
ブリンバクリーク流域はブリスベン郊外に位置しており、湿地、森林、丘陵地帯などの保護区も多く含まれているエリアです。
生態系を維持する上で非常に重要な役割を担うことから、DFOブリスベンはブリンバクリーク流域調整委員会への寄付を通して地元の自然環境保護を行っています。
遺失物のリサイクル
大人から子どもまで多くの人々が訪れるDFOブリスベンでは、遺失物が頻繁に届けられます。
最も多いのは衣類ですが、ほかにも小型の電子機器やアクセサリーなど、遺失物の種類はさまざまです。
以前は3ヶ月保管した後に廃棄されていたものの、施設全体の廃棄物削減を目指して現在では遺失物を寄付しています。
遺失物の種類に応じて慈善団体などに寄付されており、必要な人々に使ってもらうことで廃棄量を減らしています。
まとめ
DFOブリスベンは、単にショッピングを楽しむだけなく、利用客が自然とエコ活動に貢献しやすい環境が整えられたアウトレットモールです。
新しい物を買うたびに古い物を廃棄物してしまいがちですが、消費と同時にSDGsを意識するなど、私たちもできることから少しずつはじめてみましょう。