毎年4月22日は、「アースデイ(Earth Day)」です。
聞いたことがある人もいれば、初めて耳にする人もいると思います。アースデイはかつてアメリカで、地球や環境のことを考える日として提案されました。近年、地球温暖化や海洋汚染問題が叫ばれるようになり、アースデイはより注目を集めています。
この記事では、アースデイにまつわる歴史や世界のイベント、日本国内で行われている取り組みについて紹介します!
目次
アースデイ(Earth Day)とは
アースデイとは、地球環境について考え感謝し、行動する日とされており、世界中で環境にまつわるイベントや、企業による企画が開催されます。国内では東京や大阪で、毎年アースデイにちなんだイベントが開催されます。
また、2019年のアースデイでは、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデ、レオナルド・ディカプリオなど豪華アーティストが参加した動画「Earth(地球)」が公開されました。著名人も含め、世界中でムーブメントが起こり、みんなで地球環境に向き合おうと意思表示をする日となっているのです。
アースデイの歴史
簡単にアースデイの歴史を振り返りましょう。
アースデイは1970年4月22日に、米国上院議員のゲイロード・ネルソンが環境問題の討論集会を開催したことをきっかけに生まれました。その集会では、同じ意志を持ったアメリカ国民約2,000万人が集まり、デモ行進をしました。アメリカでも類を見ない大きな集会となったことでアースデイは米国中に広まり、その後世界中で祝われるようになったのです。
アースデイには何をするのか
アースデイには特別に決められたルールはなく、個人や企業がそれぞれの方法で、地球環境を大切にするきっかけとなる日です。街のゴミ拾いをしたり、自動車をボイコットして自転車で通勤したりと、「環境のために何かしたい」というように、誰もが自由にアクションを起こせることもアースデイの特徴です。
では、なぜアースデイが近年注目されるようになったのでしょうか。
アースデイが注目される理由
その理由の1つに、近年環境問題が深刻化していることが挙げられます。ここでは、アースデイを考える際に重要な、
- 地球温暖化
- 海洋汚染
- 土壌汚染
について見ていきましょう。
地球温暖化
気象庁は、2021年の世界の平均気温は基準値より0.22℃高く、1891年の統計以来、6番目に高い数値になったと記録しています。グラフを見ると、1990年代半ば頃から高温となる年が多く、地球温暖化が進行していることが分かります。
世界自然保護基金(WWF)は、このまま地球温暖化が進むと、下のような影響があると指摘しています。
- 海面が上昇し、一部の土地や国が沈む
- 乾燥した地域で水不足が深刻化する
- 異常気象による災害が増える
- 生態系が変化し、生き物が消える
- 森林火災が増える
上のような取り返しのつかない被害が起こる前に、早急に改善への取り組みを進める必要があります。
海洋汚染
人間が出すごみや排水によって引き起こされる海洋汚染も、非常に深刻な問題です。
海洋汚染の主な要因は、
- 生活から出るプラスチックごみ(マイクロプラスチック問題)
- 工場から出る排水
- 船やタンカーなどから漏れた油
- 生活排水
などが挙げられます。これらの要因は全て私たちの生活から発生しています。海洋汚染が悪化すると、海や海辺が汚れるだけでなく、海で暮らす生き物が減ったり、私たちが食べる魚に有害物質が含まれたりと、多方面への影響を引き起こすのです。
土壌汚染
土壌汚染は、有害な化学物質や排水などが土に蓄積されている状態を指します。工場から流れ出る有害物質や排水が主な原因で、それらは土の中に蓄積されるため、目に見えず気づきにくいという危険性があります。
汚染された土の中で育てられた農作物を食べることで人体に影響がでたり、その土地の生態系への悪影響が引き起こされたりと、さまざまな面から問題があると考えられています。また、汚染された土壌が気化して大気上に有害物質を拡散する可能性もあるのです。
このように、環境問題は年々深刻化しています。これらの問題がメディアで取り上げられる機会が増え、加えて最近ではSDGsへの関心が高まりつつあるなど、環境に対する危機感を持つ人も増加したことで、アースデイにも注目が集まっていると考えられます。
世界のアースデイの取り組み事例/イベント
ではここで、世界のアースデイの取り組み事例を見ていきましょう。
【ニューヨーク】アースデイフェスティバル
アメリカでは各地でアースデイを祝うイベントが開催されますが、特に大規模に行われるのがニューヨークです。活動家や俳優などが集まり、スピーチが行われます。他にも車をボイコットしニューヨーク市内を歩く企画や、市内の数カ所が車の利用を禁止するなど、イベントを通して楽しみながら環境問題について学ぶことができます。
2022年のアースデイでは、他の地域にいる人々も参加できるよう、イベントの様子がオンラインで配信されました。
【ロンドン】ステラ マッカートニー
英国に拠点を持つファッションブランド「ステラマッカートニー」は、アースデイにちなんで環境問題について呼びかけました。2020年には”毎日がアースデイ”というメッセージを4月21日7時から4月26日深夜まで、ロンドンを象徴する場所ピカデリーサーカスのスクリーンを通して発信しました。
このように、アースデイには地域のイベントだけでなく、企業も行動を起こしています。
【NASA】学びに役立つコンテンツを無料公開
各国で開催されるイベントの他に「NASA」によるユニークな事例もあります。日頃から気候変動の報告を行うNASAは、アースデイが近くなると、学びに役立つコンテンツを配信します。
NASAの公式ウェブサイトで公開されている内容には、きれいな地球の写真や環境問題の解説動画などがあります。環境問題について学ぶだけでなく、地球を守りたいという気持ちを持たせてくれる内容です。
日本のアースデイの取り組み事例/イベント
続いて、日本国内で開催されている取り組み事例を紹介します。
【東京】アースデイ東京
日本国内で開催される大規模なアースデイのイベントが、「アースデイ東京」です。1990年に第1回目が開催されたことを機に、毎年4月22日前後の土日に代々木公園で行われています。
イベントでは、活動家やアーティストが共同で気候変動や平和、生物多様性などについて提起し、解決に向けた具体的なアクションを促すための企画を展開しています。地球に優しい食にこだわったフードエリアや、行動喚起を目的とする音楽ライブイベントなど、子供から大人まで楽しめる内容となっています。
また、ボランティアの募集も行われており、イベント参加とは違う形でイベントに貢献することも可能です。
【大阪】ハッピーアースデイ
「ハッピーアースデイ」は、大阪で行われる地球のことを考えるためのイベントです。2010年に学生を主体に開催されて以来、毎年3月に行われています。2022年は、3月27日に開催されました。
イベントでは、環境に配慮した店舗による出店や、楽しく環境について学べる企画がされています。企画メンバーには学生も多く在籍しており、地域のつながりを重視したイベントとなっています。
【F・G・J株式会社】Fruit GATHERING eco-Friendly Project
「より実りある生活」を目標に掲げるF・G・J株式会社は、アースデイを機に新たな環境への取り組みを開始しました。
2022年4月22日から5月31日までの期間に、役目を終えたカラーコスメをクレヨンにする『COSME no IPPO』に賛同し、F・G・Jのフルーツギャザリングエキュート品川店で使用済みコスメの回収を実施しています。また、マイバッグを持参したお客さんにポイントを加算し、ビニール袋の使用削減に努めています。
次の章では、個人レベルでアースデイにできる取り組みを紹介します。
アースデイに私たち個人ができること
記事の前半で紹介したように、アースデイには規則や従うべき先導者はいません。ルールが無くても、自主的に行動を起こすことに意味があるのです。ここでは、私たち個人ができることを3つ紹介します。
環境を大切にした生活をする
アースデイで最も大切なことは、環境問題について学んだ上で、行動を起こすことです。
など、個人ができる環境問題への対策はたくさんあります。また、山や海にハイキングに出かけ自然を満喫するのも、アースデイの楽しみ方と言えます。
イベントに参加する
2つ目のアクションは、イベントに参加することです。アースデイにちなんだイベントは全国各地で開催されているため、興味のあるものに足を運んでみましょう。アースデイ東京はイベントの一部をオンラインで見られるため、自宅からでも参加が可能です。
イベントに参加することは、環境問題に対して行動を起こしている団体や企業をサポートすることにつながります。例えばアースデイ東京では、オリジナルグッズを購入することで一部が寄付につながり、環境問題に貢献できます。
サステナブルな企業を知る
消費者として、サステナブルな企業を知ることも大切です。
全ての商品を再生素材や環境負荷の低い素材のみで製造するファッションブランド「ECOALF」や、使用済みペットボトルを再利用するアイウェアブランド「PLAGLA」など、国内外には環境問題に取り組む企業が多く存在します。これらを知ってサポートすることで、消費者としての責任を果たすことにつながります。
アースデイをきっかけにこれらのアクションを起こし、続けていくことで、美しい地球を守っていくことができるのです。
オウン合同会社|使用済みペットボトルを再利用!サステナブル・メガネ「PLAGLA」に込められた想いとはアースデイとSDGsの関係
先述したように、アースデイへの関心の高まりは、SDGsとも大きな関わりを持ちます。ここでは具体的に、3つの目標を挙げてアースデイとの関わりを解説します。
まずは、SDGsとは何か、簡単におさらいしましょう。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」にて掲げられた国際社会共通の目標です。日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。17の目標と169のターゲットから成り、目標を達成していく上で、世界中の誰一人取り残さないことを誓っています。
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、世界中で発生している気候変動やその影響を減らすための対応を行っていくことを掲げています。気候変動は干ばつや集中豪雨、大型台風などを引き起こす要因となるため、一刻も早く改善することが求められています。
気候変動への対策は、アースデイでも大きく取り上げられる環境問題のひとつです。実際に2022年4月22日には、アースデイ東京2022主催で気候会議が開催されました。
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」は、海の環境や生態系を持続可能な形で管理し、守り続けていくことを目指しています。
地球の7割を占めると言われる海について考えることは、アースデイに欠かせない要素です。目標14の達成のために個人ができることも多く、具体的には、※海のエコラベルが貼られた水産物を購入したり、プラスチックごみを出さないようにしたりなどの取り組みが挙げられます。
>>海のエコラベルについて詳しく…MSCが推進するMSC認証ラベルとは?注目理由や認証商品を紹介!
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、森林や陸の生態系を保護、回復、持続可能な方法で利用することを目指しています。加えて、砂漠化への対処や土地の劣化の阻止・回復も目標に含まれています。
目標14と同様に、美しい地球を守るために生まれたアースデイでは、森林や動物を保護していくことが不可欠です。森林や陸を守ることは、地球上の生物を守るだけでなく、自然災害を阻止し、私たちの住む土地を守ることにもつながるのです。
まとめ
アースデイは、地球のために一人ひとりが行動を起こすために生まれた1日です。そして、最も大切なことは、取り組みをアースデイだけで終わらせずに継続していくこと。アースデイは、世界中の人たちがアクションを起こしているから自分ひとりではない、と再確認できる日でもあります。
地球温暖化や海洋汚染は、もはや他人事ではありません。日本でも台風や洪水の被害が続いており、一刻も早く対処をする必要があります。アースデイをきっかけに、環境について考え、行動を起こしてみてはいかがでしょうか。