食品ロス(フードロス)とは?世界や日本の現状・個人ができることまで

現代の日本では、飲食店ではおいしい料理を食べることができ、スーパーやコンビニではたくさんの食品が並び、私たちの食事を豊かにしてくれています。

その一方で、食品ロスという大きな問題が発生しており、近年ニュースや新聞で取り上げられる機会が増えました。

食品ロスというと、なんとなく食べ物を捨てることだと分かりますが、その現状やどのような問題が発生しているのかまでは把握できていない人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では食品ロスについて詳しく解説していきたいと思います。

まずは、食品ロスの意味や似ている言葉との違いから確認していきましょう。

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)

目次

食品ロスとは

食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物のことです。

言葉自体は30年ほど前から使われていますが、近年、飢餓や環境の問題解決が急がれていることにより、注目を集めるようになりました。

また、最近では食品廃棄フードロスという言葉を目にする機会も増えています。

食品ロスとこれらの言葉に違いはあるのでしょうか。

食品廃棄とは違う?

食品ロスと食品廃棄、よく似ている言葉ですが実は意味が異なります。

食品廃棄

食品廃棄は可食部に加え、肉や魚の骨、貝の殻といった元々食べられない部分(不可食部)を廃棄すること。

食品ロスとは

食品ロスはまだ食べられる食品(可食部)を捨ててしまうこと

つまり、食品廃棄=食品ロス+不可食部であるといえるのです。

食品ロス?フードロス?

食品ロスとフードロス、単語としては同じ意味を持つ言葉のように思えますが、こちらも食品廃棄同様に意味が異なります。

食品の生産から消費までの流れを簡単に表すと、

生産→製造・加工→流通(卸業など)→小売(スーパーなど)・外食→家庭(消費者)

となります。

国連食糧農業機関(FAO)の定義では、食品の生産から流通までに生じた食品ロスをフードロス(Food Loss)、小売や外食から家庭間の食品ロスをフードウェイスト(Food Waste)としています。*1)

一方で、日本では生産から家庭での消費までのすべての流れで発生した食品廃棄物を食品ロスと表現しています。

つまり、日本における食品ロスは海外でいうフードロスとフードウェイストを合わせたものといえるでしょう。

この記事においても食品ロス=フードロス+フードウェイストとして進めていきたいと思います。

食品ロスによる問題

では、食品ロスはなぜ問題とされているのでしょうか。

ここからは食品ロスによる環境への影響をピックアップして見ていきたいと思います。

環境への影響

食品ロスは地球温暖化埋め立て問題バーチャルウォーターの減少など、環境に大きく影響を及ぼすことがわかっています。

1つずつ確認していきましょう。

焼却時に排出する温室効果ガスによる地球温暖化

家庭や事業所から発生する食品ロスの多くは、生ごみとして焼却処理され、大量の温室効果ガスを排出します。

世界資源研究所(WRI)によると、食品ロスから排出される温室効果ガスの量は全排出量の約8%を占めています。*2)

食品ロスが増えれば増えるほど、地球温暖化が加速してしまうのです。

埋立地の不足

たくさんの食品を廃棄するとたくさんの焼却物=灰が発生します。しかし近い将来、その灰の行き場がなくなる恐れがあるのです。

日本の一般廃棄物(いわゆる普通ごみ)の最終処分場は1,639施設ありますが、平均するとあと21.6年で満杯になってしまうといわれています。*3)

最終処分場の新設は、周辺住民の反対が多いことや、海を埋め立てたり森を切り開くなど広大な土地が必要になるといった課題が生じるため容易ではありません。

今ある施設や土地資源を守るためにも食品ロスの削減が求められています。

バーチャルウォーターの減少

バーチャルウォーターとは、輸入食料を自国で生産する場合にどのくらいの水が必要かを推定したものをいいます。

食品を生産するにはたくさんの水が必要になります。

例えば、オレンジジュースを1杯入れるには170リットルとうもろこし1kgを生産するには1,800リットルもの水(バーチャルウォーター)が必要になります。*4)

つまり輸入した食品を廃棄することは、間接的に現地で使用された水を無駄にすることと同じ意味を持ちます。

このように、食品ロスはさまざまな影響を及ぼすのです。

【世界】食品ロスの現状と原因

続いて世界の食品ロスの現状を見ていきましょう。

世界の現状

2019年に発表されたFAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では毎年約13億トンの食料が廃棄されています。これは、世界の食料生産量の3分の1に当たる量です。*5)

地域ごとに見ると、ヨーロッパや北アメリカ・オセアニアなど、先進国で多くの食品ロスが生まれていることが分かります。

先進国における食品ロスの原因の1つに、外観品質基準があります。

外観品質基準

先進国では、商品の外観品質基準が高いために、製造しても販売されずに捨てられてしまう物がたくさん存在します。それは食品も例外ではありません。

外観品質基準とは

製品の形や色などといった製品の見た目上の規格のことを指します。

例えば、製造過程でクッキーの端が欠けてしまった場合、味や賞味期限などの品質には問題がなくとも商品の見た目の規格から外れるために破棄されてしまいます。

農作物でも同様の問題が生じています。生産の過程で傷がついたり、形が歪んでしまった野菜などは消費者から敬遠されるため、出荷販売されないことが多いといわれています。

このように、食べられるのに廃棄される食品がたくさんある一方で、2020年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」によると、飢餓に苦しむ人は2019年時点で約6億9,000万人おり、前年の2018年からは1,000万人近く増加したと推定されています。*6)

まだ食べられるのに捨ててしまう地域もあれば、飢えに苦しむ貧しい人々もいる。この地域による食の格差を「食の不均衡」と呼びます。

では、なぜ飢餓に苦しむ人々は減らないのでしょうか。

途上国ではインフラの未整備が食品ロスの原因に

実は、世界では年間約40億トンの食料が生産されており、適切に配分されれば世界の人口を賄うには十分な量といわれています。*7)

しかし、途上国ではインフラの未整備による食品ロスが見られ、40%以上が出荷前に発しています。これが飢餓の原因の1つとなっているのです。*5)

順を追って見ていきましょう。

交通インフラの未整備

収穫した作物を売るには、まず市場に運ぶ必要があります。

しかし、途上国では道路が舗装されていないために、輸送中に食品を落としてしまい、食品ロスが生まれるケースがあります。

また、車やバス、電車といった交通手段が整っていないため、一度に多くの物を運べなかったり、遠くの市場まで食品を運べないなどの理由で食品が余り、結果的に傷んで捨てられてしまいます。

電気が通っていないことによる弊害

また、電気が使えないことも食品ロスの原因となります。

世界には日常的に電気を使用できない人々がたくさん存在しています。

IEA(国際エネルギー機関)によると、2018年時点で、世界には約8.6億人もの人々が電力供給を受けていません。この人数は日本の人口の約7倍にあたり、その多くがサハラ以南のアフリカや南アジアで暮らす人々です。

電気が通っていないと食品加工設備や冷蔵庫などの保存設備を利用できません。そのため、長期間の保存ができずに、廃棄されてしまうのです。*2)

つまり、収穫できても売り物にならなければ、途上国の人々は収入を得られません。お金がなければ、食料を買うこともできないため、飢餓に苦しみ続けてしまうのです。

【日本】食品ロスの現状と原因

ここからは、日本の食品ロスの現状を確認しましょう。

東京ドーム5杯分の食品ロスが発生している

令和2年度における日本の食料自給率は37%であり、残りの約6割を他国から輸入してまかなっています。*8)

それにも関わらず、農林水産省・環境省によると平成30年度の日本の食品ロス量は年間600万トンと推計されています。これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量であり、日本人1人当たりお茶碗1杯分のごはんが毎日捨てられている計算になります。*9)

また、日本の食品ロス量は国連世界食料計画(WFP)の年間食品援助量(約420万トン)の1.5倍にあたります。*10)

次に食品ロスの内訳を確認します。

食品ロスの内訳

日本の食品ロスは、事業者から発生する事業者系食品ロスと、家庭から発生する家庭系食品ロスに分けられます。

出典:農林水産省 食品ロスとは

事業系食品ロスは324万トンで全体の54%家庭系食品ロスは276万トンで全体の46%となっており、割合はほぼ半々です。

つまり、食品ロスを効果的に削減するには事業者と私たち消費者、どちらもが積極的に行動する必要があるのです。

次の項では事業系食品ロス、家庭系食品ロスについてそれぞれ詳しく見ていきましょう!

事業系食品ロス

事業系食品ロスは、

  • 食品製造業(食品メーカー)
  • 食品卸売業(食品メーカーと小売店・飲食店を繋ぐパイプ役)
  • 食品小売業(スーパーやコンビニなど)
  • 外食産業(レストランなど)

から発生する食品ロスのことで、平成30年度におけるそれぞれの食品ロスの割合は、食品製造業は126万トン、食品卸売業は16万トン、食品小売業は66万トン、外食産業は116万トンとなっています。*9)

続いて、各事業者による食品ロスの発生原因を見ていきましょう。

食品製造業

食品製造業とは、食品を生産する食品メーカーのことです。

食品製造業で発生する食品ロスはパンの耳などの製造工程のロスや、包装容器の印刷ミスといった規格外品の破棄、定番カット食品*などの返品が原因として考えられます。*11)

定番カット商品とは

新商品販売や規格変更に合わせて店頭から撤去された食品のこと。商品のリニューアルなどによる旧商品がこれにあたります。

食品卸売業

食品卸売業とは、食品メーカーと小売店(スーパーなど)や飲食店を繋ぐパイプ役です。

食品卸売業は、一般的には小売店から注文を受けてメーカー商品を販売するため、食品ロスは発生しない仕組みになっています。

しかし、輸送中の破損検疫などで輸入禁止となるなどの理由で食品ロスが発生しています。*12)

食品小売業

食品小売業とは、スーパーやコンビニなどのお店のことを指します。

食品小売業で発生する食品ロスは、新商品の販売商品の規格変更による店頭からの撤去納品期限切れ売れ残りや破損品などが理由として挙げられます。

外食産業

外食産業とは、レストランや居酒屋などといった飲食店のことです。

外食産業での食品ロスの発生は、お客さんの食べ残しや、提供できなかった仕込み済みの食材などが原因として考えられます。

3分の1ルールの影響も

また、日本の食品流通には3分の1ルールというものがあります。これは食品メーカー、小売店、消費者の3者が、製造から賞味期限までの期間を均等に分け合うという考えに基づいて生まれたルールです。このルールは法律ではなく、あくまで慣習です。

賞味期限はその食品をおいしく食べられる期間であり、長期間保存できる食品に設定されています。

賞味期限は消費期限とは違って、期限が切れたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。

しかし3分の1ルールが適応されると、食品メーカーは賞味期限が3分の1過ぎてしまった商品を小売店(スーパーなど)に卸すことができなくなります。

また多くの小売店でも賞味期限が残り3分の1を切ってしまうと商品棚から撤去する傾向がみられています。

まだまだ食べられる食品が廃棄される可能性が生じるのです。

そこで食品ロスを解決するために、平成24年度から農林水産省が中心となって食品製造業・卸売業・小売店が連携してルールの見直しに取り組んでいます。

現在も農林水産省と企業が手を取り合い、納品期限を賞味期限の2分の1に見直した場合の食品ロス削減効果を検証しており、平成25年度から平成29年度にかけての返品率(3分の1ルール以外の返品も含む)は0.81%から0.47%減少したという結果も出ています。*13)

続いては、家庭系食品ロスについて見ていきましょう。

家庭系食品ロス

環境省 食品廃棄物等の発生抑制及び再生利用の促進の取組に係る実態調査報告書より作成

家庭系食品ロスは手つかず食品(直接廃棄)過剰除去・食べ残しの3種類に分類できます。

環境省によると、平成30年度の家庭系食品ロスは276万トンと推計されており、割合としては手つかず食品(直接廃棄)は95.6万トン、過剰除去は57.1万トン、食べ残しは123万トンとなっています。*14)

手つかず食品(直接廃棄)

手つかず食品(直接廃棄)とは、期限が切れてしまい開封しなかった食品や使わないまま傷んでしまった食品など、何も手がつけられずに捨てられている食品のことです。

食品を買いすぎない、家にある食品の消費期限・賞味期限をこまめにチェックするといった対策が求められます。

過剰除去

過剰除去とは、野菜の皮を厚くむき過ぎるなど、本来食べられる部分を捨ててしまうことをいいます。キャベツの外側の葉や玉ねぎの外側をたくさんむいて捨ててしまうことも過剰除去に当てはまります。

野菜の皮や皮の境目は栄養が豊富な部分でもあります。できる限り薄く皮をむいたり、皮も料理に使用するなどして食品ロスを削減できるよう心がけたいですね。

食べ残し

食べ残しとは、食べきれずに冷蔵庫などで保存して結局食べなかった料理や、調理の際に部分的に使って余った食材などのことを指します。

対策としては料理を作りすぎない、余った食材は冷凍保存する、などが挙げられます。

ここまで食品ロスの概要について詳しく見てきました。次からは、食品ロスの削減に焦点を当てて見ていきましょう。

食品ロスの削減を目指した国の取り組み

日本では、生産から消費までの全てにおいて、国と国民が一丸となって食品ロスを削減しようという食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)が始まっています。

食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)

食品ロス削減国民運動は、農林水産省、消費者庁、文部科学省、経済産業省、環境省の5省庁が連携し、国をあげて食品ロス削減を目指していく運動です。

ろすのん」というキャラクターが、食品ロス削減への啓蒙を行っているのも特徴です。

「ろすのん」の名前は、食品ロスをなくす(non)という意味で、外見の真ん中の赤丸は「お皿」を、下の二本線は「お箸」をイメージしています。*15)

農林水産省 日本の食品ロスの現状と食品ロス削減のマーク「ろすのん」について教えてください。

ろすのんが食品ロスについて説明している動画もありますのでぜひチェックしてみてくださいね。

また、企業や飲食店がHPや包装、ポスターなどにろすのんを活用することを推進することで、事業所を通じて消費者の食品ロス削減への意識が高まるように働きかけています。

さらに、映画「0円キッチン」とのタイアップ3きり運動など、さまざまな活動を通して食品ロス削減の啓蒙が行われています。*16)

3きり運動とは

「使いきり」「食べきり」「水きり」の3つの「きり」を心がけた、生ごみを減量する取り組みです。

食品ロスの削減を目指した自治体の取り組み

近年では国だけではなく、自治体や企業も食品ロス削減を目指した取り組みを行っています。

それぞれの取り組みについて詳しく見ていきましょう。

姫路市食品ロスもったいない運動

姫路市では「もったいない」を合言葉に、姫路市食品ロスもったいない運動が行われています。

姫路市内の飲食店やホテルなどの事業所を対象にした「姫路市食品ロスもったいない運動推進店」登録制度の開始や、自治体都市では全国初となる食品ロス削減マッチングサービス「Utteco Katteco by タベスケ」の運用など、事業者系食品ロスの削減に取り組むとともに、市民への意識改革を図っています。

さらに、姫路市食品ロスもったいない運動は令和3年10月より姫路市近隣の市町にも拡大し、播磨圏域連携中枢都市圏食品ロスもったいない運動を展開しています。

長野県松本市や鳥取県では子ども向けに絵本を作成

長野県松本市や鳥取県では子どもの頃から食べ物を大切にする心を育むため、食品ロス削減をテーマにした絵本を作成しています。

絵本はそれぞれの自治体ホームページからダウンロードが可能です。

子どもだけではなく大人も食品ロスについて意識できるような絵本です。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

食品ロスの削減を目指した企業の取り組み

食品ロスを削減するためには、国や自治体だけではなく、企業の取り組みが不可欠です。

次の項では、どのような取り組みが展開されているのかを見ていきましょう。

江崎グリコ

江崎グリコでは、豊かな地球環境を未来につないでいくためGlicoグループ環境ビジョン2050を策定しています。

その取り組みの1つに「食品廃棄物の削減」を掲げており、商品の生産から流通までに食品ロスを発生させない取り組みに力を入れる他、品質には問題がない規格外商品をアウトレット販売することで2050年まで食品廃棄物の95%削減(2015年比)を目指しています。

食品ロス削減アプリの展開

食品ロス削減のためにさまざまな企業がアプリを展開しています。

例えば、食品ロス削減国民運動に参加している株式会社レットが運営しているアプリ「Let(レット)」。

このアプリでは規格外品B級品などといった「訳あり品」を、事業者は簡単に出品することでき、消費者も手軽に購入することができます。

食品ロス削減に貢献しつつお得に買い物ができるのは魅力的だと思いませんか。

私たちにできること

ここまでは国や自治体、企業の取り組みを見てきましたが、私たち個人の行動も食品ロスの削減には重要です。

実際に、不要不急の外出を控えるようになったコロナ禍では、家庭で食べ物を捨てる量が減ったと回答した割合は18.0%に上るなど、食品ロスが削減されたというデータも出ています。*17)

そこで、ここからは私たちが今すぐ行える取り組みについて見ていきたいと思います。

計画的に買い物しよう

お買い得商品を見かけるとついつい購入してしまう人も多いと思います。

割引されている商品を買い、節約することは経済的で大切なことです。しかしその結果、家の中に賞味期限切れ・消費期限切れの食品が発生してしまったら節約の意味がなくなり、食品ロスも増え、良いことがありません。

買い物をするときは本当に必要なものか、家の中に在庫は眠っていないかを確認しましょう。冷蔵庫の管理はPantry Photoといったアプリを使うと簡単に確認できるのでおすすめです。

また、空腹時は余分に食品を購入しがちになります。買い物に行くときはお腹を満たしてからにすると良いでしょう。

残さないためのレシピを考えよう

1人で暮らしていても家族と暮らしていても、ちょうど良い量の食事を作るのは大変です。ついついたくさんの料理を作り、余らせてしまう方もいるのではないでしょうか。

そのような場合、元々のレシピの分量を作りたい人数分の量に計算してくれるレシピサイトの活用がおすすめです。

例えばKicthen Storiesというレシピアプリでは、分量を任意の人数分に設定する機能がついていて、食品をどのくらい購入したら良いかを教えてくれるため食品の買いすぎを防いでくれます。

さらには、作りたい人数分の食材分量を自動で計算してくれるため、世帯の構成に合わせた調理が可能になります。

適切な量を購入し、食べ切れる量の料理を作る。ぜひ実践してみてくださいね。

皮ごと食べよう

野菜や果物の皮を食べることは食品ロス削減に効果的なことはもちろんですが、栄養学的にも良い効果があります。

例えばにんじんの皮。皆さんはスーパーで購入するにんじんは皮を剥く必要がないことをご存知でしょうか。

実はにんじんの皮は収穫・洗浄の際にほぼ剥がれ落ちており、残った薄皮はそのまま食べても問題はありません。

それどころかにんじんは皮の部分にβ-カロテンを多く含むため、そのまま食べた方がより多くの栄養を摂取できるのです。

とはいえ皮をそのまま食べるのは農薬が気になる、そんな方もいると思います。その場合は「ほたてパウダー」を利用するのもひとつの手です。

ほたての貝殻を高温で焼いてできたほたてパウダーは、水に入れると強アルカリとなり、残留農薬を除去する効果があるといわれています。

ほたてパウダーは洗濯や消臭にも使用できるので、気になる方はぜひ使ってみてくださいね。

【私たちにできること】食品ロスの削減に向けて皮ごと食べてみよう

外食時には食べられる分だけ注文しよう

外食時や宴会時、ついつい頼みすぎてしまって料理を残してしまった経験はありませんか。

先述したように、外食産業による食品ロス量は116万トンもあり、この中には私たちが外食時に食べ残した食品ロスも含まれています。

外食時には人数に合った量を注文したり、食べ切ってから再注文することを心がけてみることが大切です。

また、宴会時は3010運動を意識してみましょう。

出典:環境省

3010運動とは、宴会時の食べ残しを減らすために乾杯後の最初の30分とお開き前の10分は席に着いて料理を食べましょうというキャンペーンです。

もとは2011年5月、長野県松本市の市長が宴会での食べ残しの多さを問題視し、市のゴミ削減を担当する部署と協力して展開させた運動です。

その後、各自治体が賛同を重ね、全国にじわじわと運動が広がり、最終的に日本の省庁が運動を支援するに至りました。

宴会ではたくさんの人との交流も大切ですが、提供された料理が手つかずのまま捨てられてしまうことが多いのも事実です。

幹事が料理を楽しみましょうなどと呼びかけること、出席者もまずは料理を味わうことで宴会時の食品ロスを大きく削減することができます。

現在はコロナ禍のため宴会を自粛している方がほとんどだと思います。コロナが収束し、再び宴会を楽しめる世の中になった際にはぜひ3010運動を心がけてみましょう。

食品ロスサイトやアプリを活用しよう

気軽にお得に食品ロス削減に貢献できる食品ロスサイトやアプリを活用してみましょう。

現在日本では、全国の在庫ロスを抱える生産者などと消費者をつなぐロスオフというオンラインサイトや、コンビニなどで廃棄予定となった商品の割引クーポンがもらえるNo Food Lossなど、さまざまな食品ロスサイトやアプリが展開されています。

自分のニーズに合ったアプリを見つけて食品ロス削減に取り組んでみましょう。

食品ロスアプリ・サイト28選!有効活用すれば節約にも!

フードドライブ・フードバンクを利用しよう

家庭で食品ロスを減らすには、フードドライブやフードバンクといった活動に参加するのも良いでしょう。

フードドライブとは

フードドライブとは、家庭で食べきれない食品を持ち寄って、フードバンク団体や地域の福祉施設などに寄付する活動のことです。

農林水産省や環境省などの省庁では、災害用備蓄食品を入れ替える際にそれまで保管していた備蓄食料をフードバンクに寄附する活動を行っています。*18)

フードバンクとは

フードバンクとは安全に食べることができるにもかかわらず、包装の印字ミス賞味期限が近いなどといった理由で廃棄されてしまう食品を企業や農家、家庭などから寄付してもらい、食品を必要としている施設団体困窮世帯に無償で提供する活動のことです。

フードバンクは1967年にアメリカで発祥したといわれており、世界各国で活動が行われています。

日本においても、農林水産省が活動を把握しているフードバンクは令和3年8月31日時点で151団体にものぼり、日本各地で積極的に活動が行われていることがわかります。*19)

フードドライブ・フードバンクは全国各地の自治体や企業、団体を通じて実施されています。

いただきものをもらったけど食べきれそうにない、災害備蓄品の消費期限がきれてしまいそう、などといった食品をお持ちの場合はぜひ活動に参加してみてください。

【補足】SDGsとの関係

食品ロスはSDGsと深い関わりがあります。

この章ではSDGsについて簡単に触れていくとともに、食品ロスとSDGsの関係を見ていきたいと思います。

SDGsとは

SDGsとはSustainableDevelopmentGoalsの頭文字をとった言葉で、読み方は〝エスディージーズ〟です。日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

SDGsは、2015年9月に開催された国連サミットにて加盟国の全会一致で採択された国際目標です。

2016年から2030年までの間に、環境・社会・経済に関する課題を「地球上の誰一人も取り残さない」という誓いのもと、「その場限りの解決ではなく継続して取り組んでいく」ことで、より良い世界を目指していこうというもので、17の目標169のターゲットから構成されています。

ここからはSDGs中でも特に食品ロスと関連深い目標2目標11目標13について掘り下げていきたいと思います。

目標2「飢餓をゼロに」に関連

目標2は、正式には「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」と訳されています。

FAO(国連食糧農業機関)によると、2019 年には世界全体で約 6億 9,000 万人が栄養不足の状態にあり、2030年には約8億6,000万人へ増加すると推定されています。*20)

SDGsの目標2では、その飢餓で苦しむ人々をゼロにするため、「飢餓をゼロに」をキャッチコピーに、

  • 妊婦や乳児から高齢者まですべての人々が飢餓で苦しむことなく、十分な栄養を確保できるようにすること
  • そのためにも土地やインフラを整備すること
  • 適切な雇用および農業・牧畜の生産システムを安定させ適切な所得と食料生産をうみだせるようにすること

などを目標としています。

途上国における食品ロス削減は、インフラ整備が必要であることを先述しました。インフラ整備により、飢餓で苦しむ人が減り、食品ロスも削減するのです。

目標12「つくる責任 つかう責任」に関連

目標12は食品ロスと特に関連深い目標です。

キャッチコピーは「つくる責任 つかう責任」で、「持続可能な生産消費形態を確保する」が目標として掲げられています。

これまでの私たちの暮らしはたくさんの地球資源を使った大量生産、大量消費、大量廃棄のもと成り立ってきました。しかし、今後世界の人口増加が進むと資源が不足し今のままの生活を過ごせなくなるといわれています。

そのため、今までの暮らし方を見直し、効率的で継続可能な生産と消費、廃棄方法を作り上げて地球環境を守っていく、それが目標12の目的となります。

特に食品ロスに関連しているのが

12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」

です。

世界の人口は今後も増え続け、2050年には96億人まで増加すると予想されています。それに合わせて世界の食料需要も増加し、2050年には約69億トンもの食料が必要になるといわれています。*20)

食品の生産から消費までの過程を見直し食品ロス削減に取り組むこと、それは未来の私たちを守ることに繋がっていくのです。

目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連

食品ロスとSDGs目標13との関連も見ていきましょう。

目標13のキャッチコピーは「気候変動に具体的な対策を」、目標の正式な和訳は「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」です。その言葉通り、世界中の気候変動に対して対策をとり適応できるように掲げられた目標です。

世界では地球温暖化による異常気象や災害が発生しており、人々の安全が脅かされています。

世界の年平均気温は19世紀後半以降100年あたり0.72°C の割合で上昇しています。日本においては100年あたり1.19℃の割合で上昇しており、世界平均よりも速いペースとなっています。

気温上昇は、海水温の上昇や北極海の海氷の減少などを引き起こし、大雨や台風の発生、海面上昇による国土の水没を招きます。

さらに、米や果実といった農林水産業の品質や収穫への影響を及ぼしたり、自然生態系(植物や野生生物の分布など)が変化してしまうこともわかっています。*21)

地球温暖化はただ気温が上昇するだけではなく、地球の環境と生態系に影響が出てしまうのです。

先述した通り、食品ロスは地球温暖化を加速させる要因となり得ます。地球温暖化を防ぐためにも食品ロス削減に努めなければなりません!

まとめ

食品ロスは世界中で発生しており、環境問題や食の不均衡問題などを引き起こしていることがわかりました。

食品ロスを削減するために私たちが今すぐ行える取り組みは、

  • 計画的に買い物をする
  • 料理や食材を残さないためのレシピを考える
  • 外食時は食べられる量だけを注文する
  • 食品ロス削減アプリを活用する
  • フードドライブ、フードバンク活動に参加する

などが挙げられます。

まずは自分でも行えそうな対策から取り組み、食品ロス削減を目指していきませんか。

参考・引用文献 

1)The State of Food and Agriculture 2019
2)Reducing Food Loss and Waste: Setting a Global Action Agenda
3)環境省 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状
4)環境省 virtual water

5)FAO 世界の食品ロスと食料廃棄
6)2020 THE STATE OF FOOD SECURITY AND NUTRITION IN THE WORLD
7)国連WFP 考えよう、飢餓と食品ロスのこと
8)農林水産省 食料自給率とは
9)農林水産省 食品ロスとは
10)消費者庁 食品ロス削減関係参考資料(令和3年3月9日版)
11)とやま食ロスゼロ作戦

12)JORA 食品廃棄物発生抑制推進事業報告書(平成22年度)
13)農林水産省食料産業局 1/3ルール等の食品の商慣習の見直し 
14) 環境省 令和2年度食品廃棄物等の発生抑制及び再生利用の促進の取組に係る実態調査1報告書
15)農林水産省 日本の食品ロスの現状と食品ロス削減のマーク「ろすのん」について教えてください。
16)農林水産省 NO-FOODLOSS PROJECT
17)グランドデザイン株式会社 新型コロナ感染症への対策でどう変わる?食品のお買い物における「フードロス」意識について

18)農林水産省 国の災害用備蓄食品の提供ポータルサイト
19)農林水産省 フードバンク
20)農林水産省

21)~日本の気候とその変動~気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018