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株式会社GOOD NEWS | 森との共生がキーワード!那須の観光・農業・福祉を結びつけ持続可能なまちづくりを目指す取り組みとは

株式会社GOOD NEWS

株式会社GOOD NEWS 広報 磯さん インタビュー

株式会社GOOD NEWS

株式会社GOOD NEWS
2010年 に那須朝市(マルシェイベント)を開催

2014年 12月 に栃木・那須塩原に那須朝市から派生したChus開店
2018年 3月 にChusにて「バターのいとこ」販売開始
2019年 5月 栃木・那須に「バターのいとこ」本店開店
2020年 12月 株式会社GOOD NEWS設立
2022年7月に栃木・那須に「森との共生」をテーマにした「GOOD NEWS」を開業 。「ブラウンチーズブラザー」や 「コナとスパイス」 の販売も開始。ブラウンチーズブラザー本店開店コナとスパイス本店開店いとこのドーナツ本店開店
2023年6月 栃木・那須に「里山ワルツ」本店開店

introduction

地元那須町の観光・農業・福祉に着目し、東京ドーム約1個分の手つかずの森で、自然と共生しながら皆が笑顔で暮らせるまちづくりを目指している株式会社GOOD NEWS。

この事業に賛同し一緒にまちを盛り上げたいと、日本中からそれぞれユニークな活動をしている店舗も集まり、多くの観光客を惹きつけています。

今回は広報担当の磯杏子さんに、魅力あふれる店舗や商品、サステナブルなまちづくりの目的やビジョンなどについて伺いました。

個性豊かな店舗が作る持続可能な新しいまち「GOOD NEWS NEIGHBORS」

–まず最初に、株式会社GOOD NEWSのご紹介をお願いいたします。

磯さん:

株式会社GOOD NEWS(グッド ニュース)は、那須の資源である観光・農業と福祉をかけ合わせ、自然と人が共生できる持続可能なまちづくりを展開している会社です。

現在は、栃木県那須町に手つかずだった約4万5千平米の森を開拓・開発し、その内の9千平米に作った「GOOD NEWS NEIGHBORS(グッド ニュース ネイバーズ)」という商業施設の運営や、廃棄されてしまう未利用食材を使って作る商品の製造・販売などをしています。

社名のGOOD NEWSは、日本語で「良い知らせ」という意味に加えて、NEWSは英語の「North(北)East(東)West(西)South(南)」の頭文字を取り、合わせたものでもあります。東西南北いろいろな場所から人が集まり、皆が笑顔になれる場所を作りたいと名付けられました。

GOOD NEWS NEIGHBORS

–では、観光の分野においてどのような取り組みをされているのかお聞かせいただけますか。

磯さん:

森との共生をテーマにした商業施設「GOOD NEWS NEIGHBORS」を運営しています。

GOOD NEWS NEIGHBORSは、弊社が所有している森を開発してオープンさせた施設です。開発するにあたって、「森に人の手が入ることでより良い環境にし、共生していく」ことを最も大切なポイントとしました。

GOOD NEWS NEIGHBORS

そのため、森の手入れはもちろんですが、来てくれる観光客の方が自然を楽しめるように、遊歩道を作ったり、ベンチやテーブルを置いたりして、休憩や食事ができるようにしています。小川もありますので、自然の中でリフレッシュできる良い場所です。

施設の中には弊社が直接運営している4店舗と、日本中から参画してくれている5店舗がオープンしています。

《GOOD NEWS直営店》

《GOOD NEWS直営店》

                                                               

《参画店舗》

《参画店舗》
GOOD NEWS NEIGHBORS

–出店してもらう会社に声をかける際は、どのようなことを重視しているのでしょうか。

磯さん:

お互いに事業を理解したうえで、それに賛同でき、一緒に自然との共生・那須町の発展を考えてくれる方に声をかけさせていただいています。

今あるお店も、この流れで出店を決めていただいており、皆さん個性豊かな取り組みをされています。例えば、店舗で出るコーヒーかすを農家と提携して「コーヒー培養土」にする取り組みをしている「ONIBUS COFFEE」、規格外の花(ロスフラワー)に価値をつける「SAVE THE FLOWER PROJECT」に取り組む「Norfolk Gallery by Dear,Folks&Flowers」、アグロフォレストリー(森林の中で自然環境に配慮して作る農法)で栽培されたカカオをはじめ、世界中に自ら買付に出向く「USHIO CHOCOLATL」などがあります。これらのお店目当てで来てくださるお客様もたくさんいるんです。

また、月に一度オーナー会を開いています。自分達に何ができるか、それぞれ違う分野から意見をもらい、弊社だけではできないことも可能にするアイデアを積極的に出してもらっています。

各店舗のオーナーさんからは那須という観光地に出店したことにより、今まであまり関わりのなかった客層と出会うことができ、そこがリピートにも繋がっているなどという声を聞いています。

使わないのはもったいない!那須の人や産業は資源で宝、余すことなく活用したい

–では続いて農業に対する取り組みをお聞かせください。

磯さん:

観光と並んで農業・酪農・養鶏は那須の資源です。これらの資源をこの先も継続できるように、使われないまま廃棄されてしまったり、安価でしか販売されなかったりする食材を弊社で利用できないかと考え、観光客の方にお土産としても喜んでもらえるような商品を開発することにしました。

現在、5つの商品を開発し、「GOOD NEWS NEIGHBORS」から徒歩3分のところにある「GOOD NEWS DAIRY」というカフェエリアでそれぞれ販売しています。

GOOD NEWS DAIRY

弊社が最初に作った商品は「バターのいとこ」という焼き菓子です。

この商品開発は、那須で酪農を営んでいる「森林ノ牧場」の経営者の方からクラフトバターを作りたいと相談を受けたことから始まりました。

牛乳からできるバターは約4%のみです。残りは無脂肪乳で、これは安価で販売するしかありません。しかし小さな酪農家にとって、牛乳のほとんどの部分である無脂肪乳を安価で取引することは経営に大きく影響します。ですからどうにか他の活用方法がないかと考え、無脂肪乳の価値を高められるお菓子として「バターのいとこ」が完成しました。

「バターのいとこ」

地元のチーズ工房から相談を受けてできたお菓子が「ブラウンチーズブラザー」です。

牛乳からチーズを作るときに「ホエイ」という上澄み液が大量に出ます。

このホエイは、パン屋さんに卸したり、豚のエサなどとして活用されたりしますが、大部分が泣く泣く廃棄されていました。

ホエイはタンパク質が豊富で栄養があるため、プロテインドリンクなどに配合されているのをご存じの方も多いと思いますが、プロテインとして使うには大きな設備投資が必要で、地域のチーズ工房では難しかったんです。

そこで、このホエイを煮詰めてブラウンチーズにしてお菓子を作りました。

「ブラウンチーズブラザー」

また、規格外の野菜を提携農家から仕入れ、焼きカレーパンも開発しました。

カレーとして煮込んでしまえば形が悪い野菜でも関係ないですし、味も良いのでとても美味しいカレーができます。より賞味期限を長く、家でも楽しんでいただくために冷凍での販売もしているんです。

焼きカレーパン

その他にも、那須の酪農などをもっと知ってもらうために、「里山ワルツ」というブランドを立ち上げました。里山は人の手が入り、なおかつ人と自然が共生する場所です。しかし、最近はそんな里山も減ってきてしまっています。

「里山ワルツ」では、那須の里山で酪農をしている方々が生産する素材を使い、タルトを製造販売しています。合わせて酪農家や養鶏場の取り組みも一緒に発信し、もっと関心を持ってもらい、里山について考えるきっかけになれば良いなと考えています。

–観光・農業の取り組みに福祉をどのように取り入れているのでしょうか。

磯さん:

弊社ではすべての商品を自社で製造していますが、そのための工場「GOOD NEWS FACTORY」を敷地内に併設し、障がいのある方々の就労支援をしています。

工場での生産業務に興味がある方に来ていただき、他の従業員と一緒に働いてもらいます。サポートするスタッフがいますので、自分ができることを相談しながら見つけられるようになっているんです。

GOOD NEWS FACTORY

また、小さいお子さんがいたり、何らかの事情で長時間働けず、就労が難しい方々にも働いていただいています。1分単位のタイムカード制にしており、1日3時間から労働が可能です。優秀な人材が時間の制約があり働けないことが多く、そういう方に積極的に働いてもらえるような制度を作っています。

「GOOD NEWS」を人口減少を食い止め、持続可能なまちをみんなで作るきっかけにしたい

–このような事業を始めようと考えたきっかけは何だったのでしょうか。

磯さん:

那須町は人口が少なく、若い世代が外に出て帰ってこないという課題があります。一方で、観光客は多く来てくれる場所なんです。

そこでより多くの観光客が来てくれて、なおかつ人口の流出を止められるようなまちづくりをしたいと思ったのがきっかけです。

「GOOD NEWSがあるから帰りたい」と若い世代に思ってもらい、この地域がもっと活気溢れる場所になってくれたらと考えました。

現在の会社のもとになったのは、2010年にはじめた年2回の「那須朝市」でした。

多くの方に来ていただき賑わっていたので、それを日常的に来てもらえる店舗にしようと2015年に「Chus(チャウス)」をオープンしました。

現在もレストラン、ゲストハウス、マルシェでの商品販売、パーティーやウエディングの開催などプラットフォーム的な場所として「那須の大きな食卓」と呼ばれ親しまれています。

「Chus(チャウス)」

–御社の事業そのものがSDGsの考えに基づいていると思いますが、他にもサステナブルなまちづくりのために取り組んでいることがありますか。

磯さん:

施設全体でゴミゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト」に取り組んでいます。

飲食店から出る野菜くずや、コーヒーかす、「GOOD NEWS NEIGHBORS」の「バーバーヒラヤマ」で切った髪の毛などをゴミとして捨てずに堆肥にして、森やハーブガーデンに撒いています。

「Chus(チャウス)」

また、飲料を扱う飲食店では使い捨てのカップは使わず、リユースカップを使用しています。

「Chus(チャウス)」

お客様にも一緒にまちづくりに関わっていただけるように「GOOD NEWSアプリ」も展開してるんです。

株式会社GOOD-NEWSアプリ

このアプリは、会員登録をしていただき、お買い物のときに提示いただくと買物代金の1%がサステナブルポイントとして溜まる仕組みになっています。溜まったポイントは金額換算され、コンポストやリユースカップの購入代金、設備投資等に使われます。

お客様に還元されるわけではありませんが、一緒に協力してより良い森を作っていくためのポイントです。弊社のサイトで毎月サステナブルポイント活用例の報告もしています。

皆さんに共感していただき、できる限り多くの方にアプリをダウンロードしていただけるようにしていきたいですし、発信した情報を見てまた来ていただけたらと思っています。

これらの取り組みを進めるにあたり、私たちスタッフがきちんと当事者意識を持つことも大切です。

ハーブの植え付け

そこで月に一日ある店休日には、スタッフ皆でハーブの植え付けや森の手入れをしています。

森の手入れ

–地域の方達は御社の取り組みをどのように見ているのでしょうか。

磯さん:

自然を感じられるイベントとして、昆虫採集や森の川で自生しているホタルの鑑賞会などを開くなどをしているので、地域の方々もよく来てくださいます。参加した方からは、子どもが四季を感じられる場所になっているなどの声を聞きます。

また、ペット連れの方も施設を利用し、テラス席で食事などもしていただけるので、日常的に親しむきっかけになっているようです。

–最後に今後どのように事業を展開していくのか、展望をお聞かせください。

磯さん:

今後も「GOOD NEWS NEIGHBORS」の店舗を増やし、商店街のようなまちにしたいと思っています。

また、東京や北海道に商品販売の店舗を出しているのですが、販売するお菓子を通して弊社の取り組みを多くの方に知って貰える場所をたくさん増やしたいです。

–「GOOD NEWS」にぜひ行ってみたいと思いました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

関連リンク

株式会社GOOD NEWS :https://gooooodnews.com/

GOOD NEWS Online Shop :https://goodnews-shop.com/item

Chus : https://chus-nasu.com/