#インタビュー

愛知県一宮市|SDGsを意識し、都会と自然が調和した「心ふれあう躍動都市」を目指して

一宮市

一宮市は、繊維産業を基盤として栄え、近年では地場産生地「尾州」のブランド力強化を進めると同時に、企業誘致の推進により産業の複合化を図っています。また、市内には高速道路の9つのインターチェンジと一宮ジャンクションがあります。東西の大動脈である東名・名神高速道路と、太平洋側と日本海側をつなぐ東海北陸自動車道の結節点として、重要な位置にあります。
市北部から西部へと約18キロメートルにわたって接する木曽川がはぐくんだ豊かな自然や、これまで蓄積された歴史・文化を礎に、安心・元気・協働の基本理念のもと、「木曽の清流に映え、心ふれあう躍動都市 一宮」を将来像としたまちづくりを目指しています。

-本日はよろしくお願いいたします。

第7次一宮市総合計画では、実施計画部分に目標アイコンが掲載されていますが、これは以前の総合計画から行われていたのでしょうか。

また、市の総合計画にSDGsを取り込むきっかけも教えてください。

一宮市:

第7次一宮市総合計画で、各施策や事業と関係するSDGsとの紐づけを行ったのは、令和3年3月に作成した令和3年度実施計画からになりますが、それに先立ち、令和2年3月に策定した「第2期 一宮市まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、各基本目標とSDGsのゴールを紐づけたのがきっかけとなります。

一宮市:

総合計画で掲げる、「木曽の清流に映え、心ふれあう躍動都市 一宮」には、当市に隣接する木曽川の豊かな自然環境の恩恵を受けつつ、本市の特長を生かしながら、尾張西部を代表する中核的な都市として成長を遂げていくとともに、市民が心にゆとりを持った暮らしを続けていけるようにとの願いが込められています。

一宮市:

これは、自然と調和を図りながら、経済成長や暮らしやすい社会を目指すことで、誰一人取り残さない、持続可能なまちづくりを進めるSDGsの理念と非常に親和性が高く、また公益性を追求する市の事業、行政サービスのほとんどは、SDGsのいずれかのゴールに結びつくと考えられます。

一宮市:

SDGsを意識して各施策に取り組むことで、より一層、都市将来像に近づくと考え、総合計画にもSDGsを掲載することとなりました。

-ここまできっかけをお伺いしてきましたが、一宮市にはどのような課題があったのでしょうか。

一宮市:

一宮市が抱える地域課題の1つとして、総人口が平成24年7月の386,722人をピークに緩やかな減少傾向にあり、高齢化率も年々上昇していることが挙げられます。このため、市税等の増収も見込めない一方で、社会保障関係費が年々増加する傾向にあります。

一宮市:

そこで、プラン1「健やかにいきる」で、誰もが健やかに暮らせるよう健康寿命の延伸や、医療、福祉、子育て支援の充実に努めるとともに、マネジメント1「人を呼び込む」で、適度に都会で、適度に田舎な「トカイナカ」の特徴を活かした子育てのしやすいまちをPRすることで、子育て世代を呼び込み、バランスの取れた人口構成の実現を目指しています。

-具体的にどのような取り組みを進められたのでしょうか。

一宮市:

子育て支援の例としましては、市内6カ所に子育て支援センターを設け、来所された方同士の交流の促進や子育てに関する相談、情報提供、子育て家庭を対象としたイベント等を実施しており、多くのお母さんお父さんにご利用いただいています。

他にも、地域の子ども達の遊び場として児童館が25館、保護者が仕事等の理由により、小学生のお子さんを預けることができる放課後児童クラブが60カ所あり、子育て世代に選ばれるまちづくりに取り組んでいます。

一宮市:

また、「リニアインパクト」や、「高度情報化社会の進展」「地域経済の停滞」「社会のグローバル化」「地震や風水害、防犯、交通事故などに対応した安全・安心な社会の構築」「循環型社会の推進」など、様々な社会潮流を踏まえたうえで、一宮市が「今から、やっておくべきこと」を「5つのプラン」として定め、それらを着実に実行するための共通の考え方として、行財政基盤の強化や、市民と行政の連携などといった「2つのマネジメント」を定めました。

-ありがとうございます。ではここからは一宮市SDGsパートナー制度についてお伺いします。どのような制度のもと活動を展開されているのでしょうか。

一宮市:

一宮市SDGsパートナー制度は、一宮市内でSDGsに関する活動をしている、または関心を持っている企業・教育機関・団体等から「パートナー」を募集し登録することで、パートナーの活動を広く周知するとともに、パートナー同士の交流や連携を促し、各パートナーのSDGsの達成と、一宮市域の課題解決に向けた取組みを推進することを目的とした制度です。

一宮市:

本制度における主な活動としては、次の3点です。

1つ目は、パートナーのSDGs活動のPRです。

市のウェブサイト等で、パートナーのSDGsに関する活動を周知しています。

また、パートナーにはオリジナルの一宮市SDGsロゴマークの使用を許可し、自団体のPRにご活用いただいております。

一宮市:

2つ目は、パートナー限定の交流会やセミナーを開催します。

パートナー同士の交流を深め、マッチングによる新たなSDGsに関する取り組みや各パートナーのSDGs活動の促進を図るため、交流会を開催します。

一宮市:

また、SDGsに対する理解を深め、各パートナーが課題解決のヒントとなるよう、セミナーを開催します。

今後、パートナーの活動の参考となるよう、SDGsに関する取組事例を発表する機会を設けたいと考えております。

一宮市:

3つ目は、サポーターによる支援です。

本制度には、パートナーの他に、パートナーのSDGsに関する活動を支援する「サポーター」にご協力をいただいております。

例えば、パートナー企業が社員を対象に行うSDGs関連セミナーの講師を引き受けていただいたり、どんなことから始めればよいかアドバイスをしていただいたり、課題解決に向けた業務提携先を紹介したりと、パートナーを支援していただいております。

-さまざまな取り組みを行なっていますね。市民の方の反応はいかがでしょうか。

一宮市:

現在、市民の皆様に対してSDGsに関するアンケートを実施しています。結果はまだ出てきておりませんが、最近になってSDGsに関する出前講座のご依頼を何件かいただいておりますので、市民の皆様の関心は高まってきていると感じております。

企業につきましても、ありがたいことに、現在、260社以上もの企業に一宮市SDGsパートナー制度へのご登録をいただいており、かなり関心は高いのではないかと思います。

-これまでSDGsと関連した取り組みを進める中で課題はありましたか?

一宮市:

市のセクションや職員間でSDGsに対する意識に差があることです。

先ほど、総合計画に位置づけられている各施策や事業に、関連するSDGsを紐づけしているという話をいたしましたが、例えば、「当課の仕事は、ゴール8には関連するけれども、ゴール5は目指していないから、関連していない」と言った声を聞くことがあります。

しかし、行政サービスには、多面的な波及効果が期待できるものもありますので、一つの事業が一つのゴールにしか関連しないとは限りませんし、事業を進める中で、あらかじめ複数のゴールを意識することで、より効果の高い事業になると考えられます。

-その課題を受けて、SDGs達成に向けてどのような取り組みを進めていこうとお考えでしょうか。

一宮市:

そうしたゴール間での繋がりを意識することで、部署間の縦割りが解消され、もっと進むと「この事業はこのゴールに悪影響だから考え直さなければ」とか、「この課の事業も同じゴールを意識しているから連携して取り組んだ方が有効だな」など、総合計画の各目標と関連するSDGsの達成が期待できます。

職員の意識を深めるため、職員向けセミナーやSDGsに触れるきっかけを増やしていきたいと考えております。

-本日は貴重なお話をありがとうございました!

関連リンク

一宮市 公式サイト https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/