エコ大国として知られるオーストラリア。
さまざまな分野で保全活動が促進されていますが、レストラン、バー、カフェなどの飲食店でも積極的にエコ活動を行っています。
グレートバリアリーフから程近い場所に位置するHemingway’s Breweryは、特に海洋保全に積極的に取り組んでいるレストランです。
この記事では、Hemingway’s Breweryがどのようにエコな取り組みを進めているのか詳しくチェックしていきましょう。
目次
Hemingway’s Breweryの基本情報
醸造直営のレストランであるHemingway’s Breweryは、オーストラリアのクイーンズランド州に位置しています。
自社で醸造したビールを販売しているほか、カクテルや料理なども提供しており、週末には醸造所のツアーなども行っています。
クイーンズランド州発祥のビールを飲める観光スポットのひとつとして人気を博しているのはもちろん、地元住民の憩いの場としても知られ、ランチ・ディナータイム問わずに多くの人々で賑わうレストランです。
また、企業名を印刷したビール缶の販売などもしており、マーケティングツールとしてHemingway’s Breweryを活用する地元企業も存在します。
海辺に位置するHemingway’s Brewery
Hemingway’s Breweryは、クイーンズランド州北部のケアンズとポートダグラスに店舗を構えています。
いずれも海辺に位置しており、美しい海を眺めながらビールや食事を楽しめる点が魅力です。
クイーンズランド州北部にはオーストラリアを代表する観光地・グレートバリアリーフがありますが、ケアンズとポートダグラスはどちらもグレートバリアリーフから1時間程度の立地です。
グレートバリアリーフへ出かける観光客が利用することも多く、Hemingway’s Breweryは自社にとって身近な自然環境である海の保全活動に強い関心を持っています。
Hemingway’s Breweryが行うエコ活動
グレートバリアリーフが身近なHemingway’s Breweryでは、海洋保全に繋がるさまざまなエコ活動を行っています。
また、二酸化炭素の排出量削減といった気候変動への取り組みにも力を入れている点がポイントです。
ここでは、Hemingway’s Breweryが実際に行う保全活動の詳細について深堀していきます。
グレートバリアリーフへの寄付に繋がる製品の販売
海洋保全への意識が高いHemingway’s Breweryでは、7th Heaven Troical Aleと呼ばれるビールを提供しています。
7th Heaven Troical Aleはエコ商品として販売されており、売上の50%がパートナー提携を結んでいるGreat Barrier Reef Legacyに寄付される仕組みです。
Great Barrier Reef Legacyはグレートバリアリーフとサンゴ礁の長期的な存続の確保を目的に設立された非営利団体で、研究、プロジェクト、教育コンテンツを通して保全や市民への啓発を行っています。
Hemingway’s Breweryはグレートバリアリーフ保護のために店舗及びオンラインで7th Heaven Troical Aleを販売しており、オーストラリアの海の持続可能性を高めています。
廃棄物の削減
Hemingway’s Breweryの店舗内では、タップから直接ビールをグラスに注いで提供しています。
缶やボトルなどを使わずに済むエコな提供方法ではあるものの、持ち帰り用やオンラインショップでの販売に関しては缶を使用することになります。
Hemingway’s Breweryでは回収可能な場合は缶を集めて、リサイクルを行っています。
また、Hemingway’s Breweryでは自社の製品だけでなく、他社製品のアルコール類も販売しています。
仕入れの際は気密性の高いグロウラーを使用することで缶やボトルの廃棄物削減に繋がっており、風味と自然環境の両方を守るための解決策として役立てられています。
使用済み穀物の再利用
醸造所で発生する穀物のリサイクル率アップを目指して行っているのが、穀物を餌とする家畜を飼育している畜産農業への無償提供です。
醸造産業から出る穀物は繊維含有量が高く、適度な量のタンパク質を含むことで知られています。
通常の餌に混ぜることでサプリメントとしての機能を果たすため、Hemingway’s Breweryはまとめた穀物を地元の畜産農家へ配布しています。
本来は廃棄物として処理される穀物を有効利用することによって、環境負荷への低減を実現しているのです。
プラスチック製ストローの廃止
2021年、クイーンズランド州にてプラスチック製の使い捨てストローの使用が禁止されました。
しかし、Hemingway’s Breweryはそれ以前からプラスチックがもたらす環境問題を懸念しており、いち早くプラスチック製のストローの使用を廃棄していました。
Hemingway’s Breweryでは極力ストローを使わずにドリンク類を提供していますが、必要な場合は紙製といったリサイクル素材のストローを利用しています。
ビーチ清掃のボランティア活動
Hemingway’s Breweryは海辺に店舗を構えていることから、海の保全活動に積極的です。
Hemingway’s Breweryのケアンズ及びポートダグラスの両店舗のスタッフは、定期的にTangaroa Blue Foundationのボランティアとしてビーチの清掃活動に参加しています。
Tangaroa Blue Foundationは海洋ゴミの除去と防止を目的とした非営利団体で、2024年時点で4,400を超えるエリアで72万時間以上の清掃活動を実施してきました。
参加ボランティアの数は22万人以上となっており、1,700トンもの海洋ゴミの除去に成功しているほか、ゴミの種類のデータベース化とゴミの発生源を突き止めて解決策を考えることまで行っています。
Hemingway’s BreweryはTangaroa Blue Foundationの清掃活動に参加することで間接的に海洋ゴミの根本的な問題解決に貢献しており、海の自然環境を守ることに繋がっています。
地元からの野菜や果物の仕入れ
Hemingway’s Breweryはビールだけでなく、カクテルや食事も楽しめる場所として地元住民や観光客から高い人気を獲得しています。
食事メニューにはハンバーガー、ピザ、ステーキ、サラダ、タコスなどがあり、カクテルにもさまざまな種類の果物が使われています。
Hemingway’s Breweryが位置するクイーンズランド州には数多くの農家や農場がありますが、Hemingway’s Breweryで使用されている野菜や果物は全て地元産です。
遠方から農作物を仕入れる場合、輸送に伴って二酸化炭素の排出量が増加します。
一方、地元産であれば二酸化炭素の排出量を最小限に抑えられるため、Hemingway’s Breweryでは地元産の野菜や果物を仕入れることにこだわっています。
Fighting for our Farmersへの寄付
Hemingway’s Breweryは地元の農家を干ばつの被害から経済的に支援するため、2018年に「Fighting for our Farmers」への寄付を行いました。
オーストラリアは全域を通して干ばつが発生しやすく、気温上昇や降雨量の減少によって乾燥した状態が1年以上続くことも珍しくありません。
干ばつは森林火災のリスクを高めるほか、国内の農家へも大きな影響を及ぼします。
もし地元産の農作物が不足した場合、遠方から農作物を輸送するために余計な二酸化炭素を排出することになります。
国土が広いオーストラリアにとって、各エリアの農家は環境保全の強化に欠かせない存在です。
そこで、Hemingway’s Breweryは特に干ばつの被害が深刻化した2018年に、基金団体を通して農家へのサポートを行いました。
まとめ
オーストラリアを代表する大自然・グレートバリアリーフが身近なHemingway’s Breweryでは、海や自然環境全体への保護活動を行っています。
自然の大切さや重要性について改めて考えながら食事するきっかけにもなるので、ケアンズやポートダグラスを訪れる機会があったらぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう?