健康や美容を目的としたボディケア製品は、日本と同様にオーストラリアでも数多く販売されています。
近年オーストラリアの若い世代を中心に特に注目を集めているのが、ポップなパッケージが目を引くFrank Bodyです。
ボディケア効果の高さや比較的リーズナブルな価格帯が人気の理由ですが、実は環境保全への意識が高い層からも絶大な支持を得ているボディケアブランドです。
廃棄物削減、カーボンニュートラル、ヴィーガン、森林保全といった多方面における環境保護に力を入れており、エコなボディケア製品を取り揃えていることで知られています。
今回は、そんなFrank Bodyが環境負荷低減のために行っているエコ活動の詳細について解説していきます。
目次
Frank Bodyの基本情報
Frank Bodyは、2013年に設立されたボディケアブランドです。
本社をメルボルンに構えており、オーストラリア国内の化粧品ショップ・MECCA、スーパー、薬局などで製品を販売しています。
ボディウォッシュ、セラム、保湿剤といった幅広い製品展開を行っていますが、特に人気なのがコーヒーを主成分としたスクラブです。
コーヒー豆による皮脂のザラつきを除去するとともに、配合されているココナッツやローズヒップオイルによる肌のなめらかさも実感できるとしてオーストラリア国内で人気を集めています。
Frank Bodyが目指すClimate Positiveとは?
Frank Bodyは、コーヒー豆、ココナッツ、ローズヒップオイルをはじめとする自然由来の成分にこだわっているボディケアブランドです。
サスティナブルな未来をつくるためには自然との共存が重要だと考えていることから、Climate Positiveをスローガンに掲げています。
Climate Positiveとは、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするだけでなく、プラスアルファでさらに多くの二酸化炭素を除去することで環境保全に貢献するという概念です。
Climate Positiveと同じ意味の言葉としてCarbon negativeがあり、Frank Bodyでは自社の環境負荷低減はもちろん、ビジネスを通して自然環境への利益を生み出したいと考えています。
以下では、そんなFrank Bodyが実践しているエコ活動の事例についてご紹介していきます。
エコなパッケージ
元々は自社製品のチューブにプラスチック素材を採用していたFrank Bodyですが、2022年からカーボンニュートラル認定の新しいパッケージを導入しました。
41%のサトウキビ、41%の産業用のリサイクル材料を含んでおり、実に82%が持続可能な素材で作られているパッケージです。
フェイスウォッシュとボディウォッシュのボトルに関しては50%がリサイクル素材で、サンプル製品にはコンポスト化可能な素材を採用しています。
また、Frank Bodyの専用ショッパーはBioPEと呼ばれるサトウキビ由来のものとなっており、従来のプラスチック素材の袋と比べると3kgの二酸化炭素、80%の化石燃料の削減に成功している点がポイントです。
TerraCycleの導入
パッケージのリサイクル率を向上させるべく、Frank Bodyではリサイクルプログラム・TerraCycleを導入しました。
TerraCycleは大手化粧品ショップのMECCAが主体で行っており、オーストラリア国内のMECCAの全店舗にて専用の回収ボックスを設置しています。
Frank BodyもTerraCycleに参加していることから、使用済みのパッケージをMECCAに持ち込むことでリサイクル品として処理できる仕組みです。
対象はボトル、パウチ、チューブと幅広く、回収後のパッケージは新たな包装素材として生まれ変わります。
「どうやってリサイクルすればいいか分からない」「汚染されている素材はリサイクルできないって聞いたけど中まで完全に洗うのは難しい」といった悩みの解決に繋がっており、これまでに100万個以上のパッケージがリサイクル品として回収されてきました。
森林管理によるカーボンニュートラルの実現
エコなパッケージやリサイクルの促進に努めているFrank Bodyですが、二酸化炭素の排出量を完全にゼロにすることは実質不可能です。
そこで、製品の製造による二酸化炭素排出量を相殺するために、Frank BodyはImpact Internationalからニューサウスウェールズ州の森林を購入しました。
Impact Internationalは持続可能な包装に関するサービスを提供するオーストラリアのエコ企業で、自社が保有する森林を他社に割り当てています。
森林内には固有種の植物や野生動物が多く生息しており、他社が支払う割り当て代はImpact Internationalが森林管理のために使用する仕組みになっています。
オーストラリアの生態系保護はもちろん、森林保全によって二酸化炭素の排出量削減にも繋がると考えたFrank Bodyは、2021年に森林を購入することで自社の環境負荷を相殺してきました。
森林の購入による具体的な環境保全の成果として、100mlのチューブ3,000万本分の二酸化炭素の排出量が相殺できています。
100%ヴィーガンの製品
Frank Bodyは動物由来の製品がもたらす環境負荷を懸念して、100%ヴィーガンの製品づくりにこだわっています。
ボディケアの中にはミルク、プラセンタ、コラーゲンといった動物由来の成分を含む製品もたくさんあるものの、家畜の飼育には二酸化炭素の排出がつきものです。
飼料となる穀物の生産や、家畜のゲップ・糞などから多くの二酸化炭素が排出されるため、サスティナブルな未来をつくるためには植物由来への切り替えが必要不可欠と言われています。
Frank Bodyでは全製品がヴィーガンとなっており、環境への負荷を最小限に抑えながら人々がボディケアできる製品を提供しています。
Beauty Without Bunniesプログラムへの参加
動物福祉への配慮を追求するために、Frank BodyはPETA(People for the Ethical Treatment of Animals)が行うBeauty Without Bunniesプログラムに参加しています。
PETAは直訳すると「動物の倫理的扱いを求める人々」という意味があり、動物実験や動物虐待の禁止を提唱している動物保護非営利団体です。
Frank Bodyは全製品ラインにおいて動物実験を行わない宣言をしており、動物や生態系を守ることでサスティナブルな地球づくりに貢献しています。
100%再生可能エネルギーのオフィス
二酸化炭素の排出量を削減すべく、Frank Bodyは2021年8月からオフィスに100%再生可能エネルギーを導入しています。
本社であるメルボルンオフィスを100%再生可能エネルギー供給している建物に移転し、社内で必要な電力を風力、太陽光、水力からまかなっています。
また、同年9月にはニューヨークオフィスにもエコな電力供給を採用しており、プロバイダーをClearview Energyへ切り替えました。
Clearview Energyは100%再生可能エネルギーを供給するグリーンエネルギープロバイダーで、Frank Bodyは世界2か所の主要オフィスにおける二酸化炭素排出量削減に成功しています。
FSC認証の紙類使用
Frank Bodyでは、製品、オフィス、製造工場にて日常的に多くの紙を消費しています。
紙1トンの製造に17本もの木が必要になることから、Frank BodyはFSC (森林管理協議会)で認証を受けた紙類のみを使用してきました。
FSCは森林の保護・管理を行う非政府組織で、特定の環境基準を満たす森林から調達されている場合のみ承認されます。
紙類の使用を完全になくすことは難しいものの、Frank BodyはFSCから認証された紙類を使うことで環境への負荷低減を目指しています。
まとめ
さまざまなメーカーが販売するボディケア製品ですが、Frank Bodyは環境への優しさが特徴的なブランドです。
ボディケア製品としての効果も高く、多くのオーストラリア国民から高評価を得ています。
どんなに環境に良い製品であっても、使い心地や効果がイマイチでは繰り返し使用することはできません。
Frank Bodyは環境面と品質の両方にこだわることで、長期的な環境保全を目指しているのです。