太陽光発電とは?SDGsとの関連性と導入メリット・デメリットを解説

政府は、2030年までに新築戸建て住宅の6割に、太陽光発電設備の設置を目標にしています。実際に東京都の小池百合子知事は、一定の基準を満たした都内の新築に対して、太陽光発電設備の設置を義務付ける方針を発表しました。

なぜ、このような太陽光発電の導入に対する取り組みが進められているのでしょうか?

この記事では、太陽光発電の概要から日本や海外での事例、SDGsとの関係まで紹介していきます。

目次

太陽光発電とは?

太陽光発電とは、自然エネルギーである太陽の光を利用した発電方法です。

自然エネルギーを利用した発電方法は他にも風力、水力などが挙げられます。これらは「再生可能エネルギー」とも呼ばれ、地球温暖化の原因ともなる二酸化炭素の排出量が少ない発電方法として近年注目されています。

続いて、太陽光発電の歴史を見ていきましょう。

太陽光発電の歴史

1883年、アメリカの発明家チャールズ・フリッツによって世界初の太陽電池「セレン光電池」が誕生しました。しかし、セレン光電池の発電効率は数%に満たず、実用化には至りませんでした。

1958年、人工衛星の電力供給を目的に、初めて太陽電池が実用化されました。太陽電池が取り付けられた人工衛星は6年間機能を維持したといわれてます。しかし、この太陽電池もコストの面から使用される場面は限られており、一般的には普及していません。

その後1973年第一次オイルショックにて、石油の供給制限や価格高騰がおこり、石油を利用しない発電方法が世界的に注目を集めます。日本においても、長期的なエネルギー計画である「サンシャイン計画」のなかで、太陽光発電が盛り込まれ、低コスト化が目標に掲げられました。

1990年以降になると、日本を含めた世界中で太陽光発電設備が一般的に実用化され、普及に向けた取り組みも始まります。

そして現在でも、太陽光発電の低コスト化や発電効率の向上に向けた研究開発が世界中で行われています。

簡単な歴史が分かったところで、ここからは、太陽光発電についてより踏み込んで見ていきましょう。

覚えておきたいキーワードは「太陽電池」「蓄電池」「太陽光パネル」

太陽光発電について知らべると「太陽電池」「蓄電池」「太陽光パネル」などのキーワードが頻出します。覚えておくと理解が進むので簡単に説明します。

太陽電池とは太陽光に含まれる光エネルギーを電力に変換する機器のことです。「電池」という言葉が含まれていますが、電力を蓄えておく機能は持っていません。そのため、太陽電池で発電した電気を蓄える場合、「蓄電池」が必要となります。

また、太陽電池を複数集めて枠に入れ、パネル状にしたものを「太陽光パネル(ソーラーパネル)」と呼びます。

続いては、太陽光発電の種類について確認します。

太陽光発電の種類と仕組み

太陽光発電は一般的な業務用、住宅用という2つのシステムと、現在開発が進められている宇宙太陽光発電、海外で導入されている集光型太陽熱発電という発電方法があります。

それぞれ見ていきましょう。

産業用太陽光発電(メガソーラー)

産業用太陽光発電は、発電規模が10kW以上の大きな発電所です。

広い空き地などに設置されているものは野立ての太陽光発電所で、投資目的に導入されているケースがほとんどです。

そして、設備規模が1,000kWを超える発電所をメガソーラーといい、投資目的以外にも企業が自社の発電源にするために導入するケースもあります。

メガソーラーは、数千~数万枚の太陽光パネルを敷き詰め、100~1,000軒分の家庭の電力を生み出せるのが特徴です。

住宅用太陽光発電

住宅用太陽光発電とは、一般住宅やマンションなどの屋根、カーポートに十数枚~百枚程度の太陽光パネルを敷き詰め、建物内で使用する電力をまかなうシステムです。

家庭での電気使用量を考慮して、設置する太陽光パネルの数も異なるのが特徴です。メーカーや材料にもよりますが、住宅一軒分の太陽電池を敷き詰めるには畳み20枚分程度の面積が必要とされています。

また、そこで発電し余った電気を電気会社に売電することも可能です。

近年電気代高騰により、電力会社から電気を購入するよりも、自宅で発電した電気を利用する方が電気代が安くなるということもあり、節電目的に導入するケースが多いです。

また自宅に太陽光発電を設置しておくと、災害時でも電力会社を介すことなく電気を使うことができるので、東北大震災や千葉の台風被害の影響を受けて、太陽光発電を設置するご家庭が年々増えているのが実態です。

宇宙太陽光発電

宇宙太陽光発電とは、宇宙空間に光を集めるためのミラーを設置することで、24時間365日太陽光を利用できる発電システムです。

地上で太陽光発電を行う場合、どんなに適している場所でも太陽は沈んでしまうため、一日の稼働時間9時間~12時間とされています。一方、時間や気候に関係なく発電し続けられる宇宙太陽光発電の発電量は、地上とは比べ物になりません。

当然、

  • 上空約4kmへ必要な設備を打ち上げる
  • 発電した電気を地上へと送り込み、必要な場所へと送電する設備の整備

など、様々なコストが必要であるため、宇宙太陽光発電の普及にはコスト削減が課題となっています。

集光型太陽熱発電

引用元:WIRED

集光型太陽熱発電とは、太陽光を集めて熱へ変換、その後火力発電などと同様、蒸気タービンを用いて発電するシステムです。

日本ではあまり一般的ではありませんが、世界では有力な発電技術の一つとして認知されており、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の資料でも取り扱われています。

集光型太陽熱発電は一度熱に変換するため、蓄熱システムを利用できるのが特徴です。蓄熱システムは蓄電池に比べて低コストで利用できるため、大量導入しやすく、電力需要にも柔軟に対応できます。

こうしたメリットがある反面、直射日射しか利用できないというデメリットを抱えているため、設置場所を選びます。

例えば、砂漠地帯などの乾燥した直射日照量が高い地域での設置が有効と言えるでしょう。

日本では、

  • 湿度が高く光が拡散しやすい
  • 日照時間があまり長くない

などの理由から実用化には向かっていないものの、将来を担う再生可能エネルギーとして注目されています。

続いては、太陽光発電のメリットを見ていきましょう!

太陽光発電のメリット

太陽光発電のメリットは主に、

  • 燃料が無限
  • 発電時に二酸化炭素を排出しない
  • 他の発電方法に比べて消音

の3つです。

1つずつ確認していきましょう。

燃料が無限

日本で主流となっている火力発電は、

  • 資源量は有限で、将来的に枯渇する可能性がある
  • 採掘コストが発生

といった課題を抱えています。

一方、太陽光発電に必要な燃料は太陽光のみです。太陽がある限り、燃料が枯渇する心配がありません。

発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギー

太陽光発電は、パネルに照射された太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電しており、これらの発電過程で二酸化炭素を排出しません。火力発電などの二酸化炭素を排出する発電方法に比べて、地球に優しい発電方法と言えます。

他の発電方法に比べて消音

火力発電や風力発電、水力発電は、発電時にモーターの回転音が発生します。

これにより、発電設備周辺に住宅地があると、住民と騒音トラブルが発生する場合があるのです。

太陽光発電の場合、大きな音をたてること無く発電するので、大きなトラブルを避けられます。一方で、発電時にモスキート音がするという口コミも見受けられるため、導入する際は事前にメーカーに問い合わせてみるのも良いでしょう。

太陽光発電のデメリット

続いて太陽光発電のデメリットとして挙げられる

  • 天気によって発電量が左右される
  • 発電効率がやや悪い
  • 導入時に多額の費用が掛かる

について見ていきましょう。

天気によって発電量が左右される

他の自然エネルギーを利用した発電方法にも言えることですが、太陽光発電は、発電量が自然の状況に左右されます。具体的に晴天の日と比べると、曇りの日には20~30%程度低下し、雨天時は10%ほどまで、発電効率が下がると言われています。

また、日本では梅雨や台風など、一年を通して悪天候が続く時期があります。このような日本独自の環境も考慮すると、太陽光発電のみで地域一帯の電力需要をまかなうことは困難です。

晴天時に発電した電力を充電しておく蓄電池の技術開発も進んでいるものの、一般家庭で導入するにはコストが高いという課題を抱えています……。

発電効率がやや悪い

発電効率を見ると、火力発電が約43%、原子力発電が約33%であるのに対して、一般的な太陽光発電は15~20%程度と言われています。

また、再生可能エネルギーを利用した発電方法と比べても、水力発電が約80%、風力発電が約25%であることから、発電効率という点では見劣りします。

発電効率がその他のエネルギーと比較して少ないのには、太陽の光がある時間帯以外では発電できないという太陽光発電の弱点があるからです。

この弱点を補うために、太陽光パネルの改良や蓄電池の導入が進められています。

現在、世界中で太陽光発電の発電効率を上げるための研究開発が進められており、さらなる向上が望まれています。

導入時に多額の費用が掛かる

太陽光発電は、技術開発によって以前よりも導入コストは低下しています。

しかし、日本においての導入に必要なコストは依然として高く、一般住宅での設置価格の目安は120万~170万円とされており、世界的に見ても高値となっています。

国際再生可能エネルギーエネルギー機関による資料「Renewable Power Generation Costs in 2020」によると、イギリスでは2010年から2020年の間に太陽光発電の設備を導入する際の値段は約90%減少したと報告されています。2

一方、日本は2010年から2020年までの間で約67%しか減少していません

ドイツや中国など、太陽光発電の導入量が進んでいる国では10年間の間で80%以上減少していることが多く、普及にはコスト削減が必要であることが伺えます。

ではここで、世界の太陽光発電普及状況を見ていきましょう!

世界の普及状況との比較

国際エネルギー機関(以下:IEA)が毎年発表している世界の太陽光発電市場の動向についての報告書「Snapshot of Global PV Markets 2021」では2020年における太陽光発電の導入量上位10か国が記されています。

報告書によると、合計導入量1位が中国(253GW)、2位がアメリカ(93.2GW)、その後に日本(71.4GW)、ドイツ(53.9GW)、インド(47.9GW)と続きます。

【71GWってどのくらい?】WやWhを用いて見てみよう

そもそも、W(電力量)とは1時間あたりの電力のことです。一般的にはkWと使用されることも多く1kW=1,000Wです。単位の関係は以下のようになります。

1GW=1,000MW=1,000,000kW=1,000,000,000W

また、一定時間当たりの消費電力(必要な電力量)をWhと表されます。

例:1,000Wのドライヤーを1時間使用すると、消費電力は1,000Wh

資源エネルギー庁が発表している電力調査統計の2021年6月分需要電力合計(2021年10月5日公表時点)より、日本(2021年6月)での1時間あたりの需要電力量は約91GWhとなります。

つまり、数値上で見ると日本で必要な電力量の多くを太陽光発電でまかなえる計算です。(正確には太陽光発電も発電できない時間(日没後)や日(雨や曇りの時)があるため、常にこの発電量を維持できるわけではありません。)

次に、日本の普及状況を紐解いていきます。

日本における太陽光発電の普及状況

先述したように、日本における太陽光発電システムの導入量は2020年末で合計71GWに達しています。

導入量の推移を見ると、2012年頃から急激に導入量が増えてきたことが見て取れますが、これは政府が太陽光発電の普及に向けて行った政策が関係しています。

太陽光発電の普及率をあげるためのFIT制度(固定価格買取制度)とは?

政府が行った政策のうち、特に固定価格買取り制度(以下FIT:Feed-in Tariff)は、太陽光発電の普及に大きな影響を与えました。

FITとは、太陽光発電など再生可能エネルギーによって発電した電力を、送電事業者が固定の価格で買い取ることを義務付けた制度です。

太陽光発電での発電事業を行っている電力会社は、買取開始から10年間(FITの対象期間)は安定した売電が可能です。これにより、太陽光発電市場を活性化させ、生産規模を拡大、量産化によるコスト削減などを狙いとしています。

2000年代に、ドイツを中心にヨーロッパで取り組みが開始されたことをきっかけに、世界中で注目され始め、日本でも2012年より導入されました。

もう少し踏み込んでFITのメリットを見ていきましょう。

FITのメリット

FITには主に、

  • 太陽光発電を市場競争から保護する
  • 桁違いの助成金の実現

の2つのメリットが挙げられます。

1つずつ確認します。

太陽光発電を市場競争から保護する

再生可能エネルギーが注目され始めた当初は、技術が発達途上であったため、他の発電事業とくらべても競争力がありませんでした。

そこでFITによって、発電した電力の買取を義務付けることにより、経済競争から保護され、着実に成長することができたのです。

桁違いの助成金の実現

また、技術の発展には多くの資金が必要になります。FITが導入される以前、事業者は政府からの補助金を頼りに太陽光発電事業を行っていました。しかし、国の予算には限界があります。

そこでFITによって補助金の資金源をすべての消費者に負担してもらう形をとったのです。これによって、太陽光発電事業者は膨大な資金を得ることが可能になりました。

こうしたメリットがある反面、FITには決定的なデメリットがあります。

FITのデメリット

FITの主なデメリットは以下の2つが挙げられます。

  • 消費者への過度な負担
  • 結果的には産業の発展に影響を与えなかった

それぞれ具体的に見ていきましょう。

消費者への過度な負担

FITは、再生可能エネルギーによる発電事業を市場からの競争から保護・推進するため、通常の売電価格に比べて、「固定価格」が高めに設定されています。これにより、高価な固定価格を目的に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを用いた発電事業者が増加していきます。

しかしこの流れは、太陽光発電の普及を達成に近づくものの、消費者の負担である賦課金額の増加は避けられません。そのため、政府が決定している固定価格が適正価格に抑えられていない場合、消費者の負担は膨大なものになってしまうのです。

FITによって大きな負担を強いる結果となったドイツと日本の事例を見ていきましょう。

【貧困世帯が耐えられないほどの賦課金額】ドイツの事例

2000年時点でドイツは、再生可能エネルギーによる発電電力量が総消費電力量に占める割合はわずか6.3%でしたが、今では25%を上回っています。

こうした背景には2000年代より導入してきたFITが成果を上げてきたという側面があるものの、再エネルギーによる発電賦課金額は一般的な世帯で、年間3万円程度にまで膨らんでいるとされています。

これほどまでに消費者負担が高額になると、貧困世帯では電気料金を支払うことができずに、電力供給を停止される事態も発生しているのです。

【世界でも例に見ない上昇傾向】日本での事例

日本では、2012年7月の制度導入からわずか4年程度で、賦課金額(国民の負担金額)は倍々の勢いで増加しています。

平成24年度賦課金額:2,000億円
1kWh当たり単価:0.22円
平成25年度賦課金額:3,000億円
1kWh当たり単価:0.35円
平成26年度賦課金額:6,500億円
1kWh当たり単価:0.75円
平成27年度賦課金額:1.3兆円
1kWh当たり単価:1.58円

これは世界でも例に見ないほどの上昇傾向とされており、ドイツと比較しても急激な増加であることが分かります。

賦課金額が、全て消費者である国民が背負わなければいけなくなったことで、生活に欠かせない電力料金の上昇につながっているのです。

結果的には産業の発展に影響を与えなかった

FIT導入の本来の目的は、再生可能エネルギーが拡大していくことへの道筋をつけることです。

そのため、FITによる再生可能エネルギーの普及に伴って、より効率的な生産方法が可能になり、再生可能エネルギー事態のコスト低減につながることが期待されていました。

しかし、総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会の第4回会合に提出された野村浩二慶応義塾大学産業研究所准教授の資料によれば、

FIT導入(2012年Q3)以降、価格下落率は加速するのではなく鈍化した

総合資源エネルギー調査会

と指摘されています。

国内産業の育成も期待されていましたが、FIT導入後、太陽光発電システムの輸入比率は急上昇し、現在でも70~80%は輸入に頼っている状況です。

FITを改善した新たな制度FIPとは?

このように、FITは様々なメリットやデメリットがありますが、結果的に太陽光発電の導入量自体は増え続けてきました。

しかし、このままFITによって消費者負担を増やしたまま、太陽光発電を普及していくには限界があると考えた政府は、新たな制度としてFIP(Feed-in Premium)の導入を検討しています。

市場での競争を促すFIP制度

FIPとは、再生可能エネルギーで作った電気も卸電力市場での売買を義務付け、そのかわり市場価格に対して一定の上乗せ額(プレミアム)を提供することで市場でも競争できるようにする制度です。

FIT制度下で売電事業を行うと、全て固定価格での取引となります。そのため、どの時間帯で取引を行っても収入は変わりません。

しかし、本来の発電市場では時間帯によって需要量も供給量も異なるため、需要が多く・供給も少ない時間帯での売電価格は高くなります。

そこでFIP制度下では、売電価格が高くなる時間帯に取引を行うと、通常の取引額とは別にプレミアムとして追加報酬を受け取ることができるのです。

これにより、発電事業者は蓄電池などを用いて、需要が大きく市場価格が高くなるような季節や時間帯に、電気を供給する工夫が求められます。

つまり、FITとは別の上乗せ額を付けることによって、

  • FITの固定買取額を減少
  • 消費者全体の負担を減らしつつ、再生可能エネルギーによる発電事業もサポート
  • 蓄電池の利用を促進

していくということになります。

上乗せ額は市場の状態に依存することによる懸念

懸念されるのは、価格の変動が生じてしまうことで、発電事業者にとってはリスクが大きいのではないかという点です。これに関しては、市場(卸電力取引市場)と連動した価格のため、変動幅もある程度予見できるとの考え方もあり、断定的な答えは出ていません。

いくつかの指摘はあるものの、FITからの移行期間にあたる制度としてFIPは考えられています。日本での導入は2022年の4月からであり、さらなる続報が望まれています。

これからの太陽光発電投資はどうなる?!

ここまでFITやFIPについて紹介しましたが、これから投資目的で太陽光発電を始めようと考えている方もいると思います。そこで次では、投資目線での太陽光発電について紹介していきます。

まずは、太陽光発電事業者の間で話題になった「2019年問題」について見ていきましょう。

【これから参入する事業者には関係なし!】2019年問題とは?

先述したようにFITは、2012年から制度が運用されていますが、もともと2009年より「太陽光発電余剰電力買取制度」として、太陽光発電の買取制度はスタートしています。

つまり、2019年問題とは、2009年より太陽光発電の売電事業を行っていた事業者が、FITの対象期間を終了することを指します。そのため、これから太陽光発電投資をはじめようか考えている人には2019年問題は関係ないため、心配する必要はありません。

FIT・FIPの目的の違いとこれからの太陽光発電投資

FITは、発電事業者が保護されているのが特徴でした。そのため、2012年ごろは小規模な発電事業者であってもFITによって保護され、利益を出すことができていたのです。(2012年:42円/1kWh)

ところが、太陽光発電設備の導入拡大に伴い、FIT制度の買取価格も減少しています。(2020年:21円/kWh)

一方でFIPは、再生可能エネルギーによる発電市場を、完全自由競争にすることが目的になります。

これからの太陽光発電は、昼間に発電した電気は自分で消費し、余った電力は蓄電池で充電。FIPによるプレミアム(上乗せ額)を考慮しつつ、自分たちで使うのか、いつ売電するのか、どちらがより利益を残せるかを見極めることが重要になってくるでしょう。

ここまでが太陽光発電に関する説明となります。続いては、太陽光発電普及のために行われている企業の取り組みや事業を紹介します。

太陽光発電普及のために行われている企業の取り組み・事業

企業での取り組みとしては、自社の必要な電気を再生可能エネルギーで賄う目的の場合と、発電事業として行う場合の2種類に分けられます。

ここではそれぞれの目的で事業を進める2社を紹介します。

村田製作所は2050年までに再エネ使用比率を100%を目指す

京都府に本社を置く電子部品メーカー株式会社村田製作所は、2021年10月に子会社の使用電力を100%再生可能エネルギーにすることを発表しました。工場に導入した太陽光発電システムと蓄電池ユニットおよび、再生可能エネルギー由来の電力調達を組み合わせることで100%を達成する見通しを立てています。

これによって

  • 年間の発電電力量は74万kWh
  • 年間のCO2削減効果は368トン

に上る計算です。

(※1世帯当たりの1年間の消費電力は全国平均約4,300kWH、杉の木約71本が1年間に吸収するCO2は約1トン)

村田製作所の社長中島規巨氏は

当社は、経済価値と社会価値を循環させることをうたっている。社会価値は、“非財務価値”といわれることも多いが、そうは考えていない。エレクトロニクス産業に携わる企業としては、訴求していかなければならない価値であり、それをビジネスに転換していきたい

Yahoo!ニュースJAPAN

と語っています。

ENEOSがメガソーラーに単独出資

2021年8月、石油元売り国内最大手の株式会社ENEOSは、兵庫県三田市の大規模太陽光発電(メガソーラー)事業に単独出資したと発表しました。出力規模は12万1,000kWで、ENEOSが国内で手掛ける太陽光発電所としては最大の開発案件です。

再生可能エネルギーを利用した発電方法を広めていくには、政府だけでなく企業の取り組みも必要です。このような取り組みは日本における太陽光発電の普及に大きく貢献していると言えるでしょう。

自治体の取り組み

企業の取り組みの他に、自治体でも太陽光発電の普及に向けて取り組んでいます。

九州で広がる太陽光発電

自然エネルギーを基盤とする社会の構築を目的に設立された自然エネルギー財団のコラムによると、2020年3月末時点における九州エリアでの太陽光発電設備導入量は9,440MWとなっています。

2020年末の日本における太陽光発電設備の導入量が71,000MWとなっており、九州エリアのみで約13%以上が導入されている状況です。

また、九州内での送電系統に接続契約を申込中、もしくは接続検討を申込中の発電事業者を加えると、太陽光発電のみで九州エリアの電力需要に匹敵するほどの設備容量に達します。

このような事例は日本各地で見られ、太陽光発電を導入する取り組みが加速しつつあります。しかし一方で、解決しなければいけない課題も数多くあります。

次は日本で太陽光発電を普及させるための課題を紹介していきます。

日本で太陽光発電を普及させるための課題①発電量が不安定

太陽光発電のデメリットとして「発電量が不安定」ということは先述しました。

発電量が不安定ということは「発電量が足りない場合」と「発電量が過剰な場合」が考えられ、それぞれの対応策に課題が残っています。具体的に見ていきましょう。

【バックアップ電源の整備が必要】発電量が足りない場合

地域一帯の電力需要をまかなえるほどの太陽光発電設備を導入しようとする場合、梅雨の時期や曇りの日が続く事態を考慮する必要があります。その結果、導入する太陽光発電設備に見合った規模の火力発電設備をバックアップ電源として抱えなければいけません。

さらに、導入した火力発電設備はバックアップ電源としての役割であるため、稼働率は極端に低く、維持費や固定費の支払いも迫られます。

【太陽光発電による余剰電力問題】発電量が過剰な場合

大量の太陽光発電設備を導入している九州地方でも、過剰な発電量が問題視されています。

九州電力は2018年の10月13・14日、20・21日の週末2週連続で、一部の太陽光発電の一時停止を求める「出力制御」を実施しました。このタイミングの九州は晴天が続き、太陽光発電に発電量が増える一方、気温低下で電力需要が伸びない見通しがされていました。

過剰な発電量によって電力の需給バランスが崩れると、広い範囲での停電につながる恐れがあります。そのため、九州電力は発電事業者に出力制御に踏み切ったのです。こうした余剰電力問題を解決するためには、需要に対して過剰な分の電力を蓄電池でためておくことが有効です。

しかし、現状では大規模な電力を溜めることができる蓄電池の開発と導入には莫大なコストがかかるため、実用化が進んでいません。

日本で太陽光発電を普及させるための課題②太陽電池の供給は輸入に依存している

また、日本では太陽電池の供給についても課題を抱えています。

太陽光電池の生産量は3か国が85%を占めている

世界の太陽電池の生産量は中国が1位の73%、続いて韓国6%、マレーシアが5%であり、上位3か国のみで約85%を占めています。

また2019年時点では日本国内生産の太陽電池は20%を切っているのが現状です。

こうした、中国製の太陽光パネルに頼っている状況による危険性は、日本での技術開発が進まないことだけではありません。

中国からの輸入は強制労働を容認する?

中国の低コストな太陽光パネルの生産の背景には、ウイグル地区での安価な強制労働があるのではないかという指摘があります。こうした指摘は既に綿花や繊維産業で国際的に問題視されており、不買運動やアメリカ政府による輸入禁止の措置が取られています。

もし、このまま中国製太陽光パネルを大量輸入して発電事業を行っていると、世界中から「強制労働を容認・助長している」という批判が向けられるリスクがあります。中国製品を輸入しなくなった場合、太陽光発電設備導入にかかるコストの高騰は避けられないものの、中国の人権問題にも目を向けなければいけません。

最後に太陽光発電とSDGsとの関係を見ていきましょう!

太陽光発電とSDGsとの関係

SDGsとは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。

17個の目標とそれぞれを達成するための具体的な指標である169のターゲットで構成されており、全ての国連加盟国が賛同し、SDGsの達成に取り組んでいます。

太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを利用した発電設備を増やすことは、目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」目標13「気候変動に具体的な対策を」に関係しています。

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

世界で利用されている化石燃料を利用した発電方法は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを大量に発生させるため問題視されています。また、化石燃料は有限であり、供給に対して需要が追い付かなくなることや、地域によっては価格が高騰することも課題です。

地球の環境を守りながら、世界中の全ての人が安定して電力を使い続けていくには、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの割合を増やしていく必要があります。

太陽光発電の普及は、SDGsが目指している持続可能な開発の実現に欠かせないのです。

>>関連記事

SDGs7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の現状と取り組み事例、私たちにできること

SDGs目標13「気候変動に対して具体的な対策を」

現在、世界中で氷河の減少、干ばつ地域の増加、記録的な大雨の増加など様々な気候変動による異常気象が問題視されています。これらは地球温暖化によって引き起こされていると考えられており、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない社会の実現が求められます。

太陽光発電の普及は気候変動への対策として、重要な意味を持っているのです。

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SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の現状と取り組み、私たちにできること

まとめ

世界では環境問題に対する対応策として、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの利用が推進されています。日本でもFITやFIPなどの制度だけでなく、東京における太陽光パネル設置の義務化などの動きが見られます。

太陽光発電自体も様々な課題が残っていますが、私たちが普及に対して取り組めることは環境問題に対して理解を深めることです。

もし、この記事を読んで環境問題に対して関心を持ったなら、ぜひ他の記事もご覧になってみてはいかがでしょうか!

〈参考文献〉
1,PV OUTLOOK 2050|JPEA
2,IRENA Renewable Power Generation Costs in 2020|IRENA
3,資源エネルギー庁 電力調査統計 2021年6月分
4,総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会 第4回会合 野村浩二慶応義塾大学産業研究所准教授の資料
ドイツのエネルギー変革に関する動向調査
ENEOS、メガソーラーに単独出資 出力規模12.1万キロワットの国内有数案件|SankeiBiz
福島県双葉町の復興に向けたまちづくり|国際環境経済研究所
九州エリアにおける太陽光・風力発電の出力抑制に関する分析結果と出力抑制電力量率の低減策(2020年版)|自然エネルギー団体
台風21号の猛烈な風、太陽光パネルに「これまでにない損傷」、経産省が公表|日経XTECH
埼玉・小川町メガソーラー設置めぐる大混乱の深層|東洋経済ONLINE
メガソーラー建設中、近隣住人とトラブルになった場合、どう対応すべきですか?日経XTECH
メガソーラービジネス 雨水が土を侵食、土砂崩れの例も|日経BP
九州「太陽光で発電しすぎ問題」とは何なのか|東洋経済ONLINE
太陽光大量導入の不都合な真実|国際環境経済研究所
日本も中国製太陽光発電パネルの輸入を止めるべきだ|キャノングローバル戦略研究所
【3-1-4】日本の太陽光発電導入量の推移|エネ百科
Snapshot of Global PV Markets 2021 |IEA

太陽光発電メリットとデメリット
SOLACHIE

太陽光発電の売却について

この記事の監修者
阪口 竜也 フロムファーイースト株式会社 代表取締役 / 一般社団法人beyond SDGs japan代表理事
ナチュラルコスメブランド「みんなでみらいを」を運営。2009年 Entrepreneur of the year 2009のセミファイナリスト受賞。2014年よりカンボジアで持続型の植林「森の叡智プロジェクト」を開始。2015年パリ開催のCOP21で日本政府が森の叡智プロジェクトを発表。2017年には、日本ではじめて開催された『第一回SDGsビジネスアワード』で大賞を受賞した。著書に、「世界は自分一人から変えられる」(2017年 大和書房)