#SDGsに取り組む

街中で緑を感じられる癒しの場!環境関連の国際認定を受けたオーストラリアのサウスバンク・パークランドが取り組むエコ活動

クイーンズランド州のブリスベンは、シドニー、ブリスベンに次ぐオーストラリア第3の都市です。

人口は230万人以上で、市街地には商業施設やオフィスビルなどが密集しています。

そんな大都市のブリスベンですが、市街地から徒歩圏内の場所には大規模な公園のサウスバンク・パークランドがあります。

環境への持続可能性を評価する国際認定も受賞しており、オーストラリア国内でも注目されているエコ意識の高い公園です。

今回は、そんなサウスバンク・パークランドが行っているエコ活動について解説していきます。

サウスバンク・パークランドとは?

サウスバンク・パークランド(South Bank Parklands)は、クイーンズランド州の州都であるブリスベンに位置しています。

東京ドーム3つ分以上に匹敵する広大な敷地を有しており、ブリスベン市街地から徒歩5分程度の場所となっています。

第88回の万国博覧会が1988年に開催され、跡地を有効活用すべく1992年に公園として作り替えられました。

市民の憩いの場として長年愛されてきましたが、現在では人気観光スポットのひとつとして多くの観光客も訪れています。

サウスバンク・パークランドで楽しめる施設

公園という位置づけのサウスバンク・パークランドですが、エリア内にはさまざまな施設が完備されています。

子どもが遊べる遊具、芝生広場、遊歩道、観覧車、カフェ、フードコート、レストラン、ホテルのほか、亜熱帯地域を活かした熱帯雨林エリアもあります。

また、ブリスベンが海からやや遠い場所に位置しているということを受けて、人々が手軽にマリンスポーツを満喫できるように複数のプールが設置されているのもポイントです。

1988年の万国博覧会のために建設されたネパールのパゴダも園内に残されており、異文化を楽しめる公園となっています。

さらに、教育機関も多く、エリア内には大学、図書館、美術館、博物館などがあります。

花火大会、マーケット、音楽イベントなどの開催地でもあり、地元住民、観光客、学生といったさまざまな層が集まるスポットです。

Green Flag Awardの受賞

サウスバンク・パークランドは、Green Flag Awardの受賞公園です。

Green Flag Awardとは、環境への持続可能性、遺産、マネジメントをはじめとする8つの選考基準を満たすことで認定される国際基準のことです。

オーストラリア国内ではわずか5か所しか認定されていないにもかかわらず、サウスバンク・パークランドは2023年時点で9年連続にわたって認定を受けています。

以下は、サウスバンク・パークランドがGreen Flag Awardに認定される上で特に高い評価を受けたエコ活動です。

水の再利用に関する取り組み

1年を通して温暖なクイーンズランド州は、干ばつなども発生しやすい地域です。

干ばつが続くと公園内の自然環境を維持することが難しくなるため、サウスバンク・パークランドでは非飲料水の再利用システムを構築しています。

既存のインフラであった大型のパイプを改修して、灌漑、トイレ、水道設備などの非飲料水として年間7,700万リットルの雨水を再利用しています。

貯蔵タンクの容量は200万リットルで、公園の芝生への水まきや清掃といった非飲料水における消費量の最大85%に匹敵する代替水を供給しています。

非飲料水の再利用システムによって、干ばつが頻発するブリスベンでもサウスバンク・パークランド内の亜熱帯の景観を維持できるようになりました。

また、雨水の貯留と処理の改善により、ブリスベン川に直接排出されていた大量の汚染物質の除去にも成功しています。

ボランティア活動

サウスバンク・パークランドの環境保全を行う上で欠かせないのが、ボランティアスタッフの存在です。

植物の管理や野生動物の監視などがボランティアプロジェクトに含まれており、「環境を守るために何かしたい」「身近な地元の環境保全に協力したい」と考えている市民たちが集まって活動しています。

ボランティアを通して環境保全に関する正しい知識を身につけられるため、人々への教育や啓発活動としての役割も担っています。

尚、サウスバンク・パークランドでは定期的にボランティアスタッフの募集を行っているものの、すぐに定員数に達するほどの人気です。

サウスバンク・パークランドのホスピタリティビジネスが行うエコ活動

ブリスベン有数の観光スポットであるサウスバンク・パークランドには、たくさんのホスピタリティ施設があります。

ここでは、サウスバンク・パークランドにて環境保全に力を入れているホテルとレストランを1つずつご紹介します。

Novotel Southbank

サウスバンク・パークランドのすぐそばにあるのが、フランスを拠点とするホテルのNovotelです。

Novotel自体はブリスベン市街地やオーストラリアのほかの都市にもありますが、サウスバンク・パークランドのNovotelはEco Tourism Australiaに認定されているエコホテルとして知られています。

Eco Tourism Australiaとは、持続可能な観光をビジネスプランに組み込んでいる企業に与えられる環境プログラムです。

サウスバンク・パークランドのNovotelはオーストラリア国内でも特にエコ意識の高いホテルで、アメニティなどの使い捨てプラスチックを廃止しています。

また、食品廃棄物の管理に対する取り組みでも高い評価を受けており、環境保全に関心を持つ観光客から人気を集めています。

Stokehouse Q

Stokehouse Qは、南半球の高級レストランではじめてGreen Starの5つ星を獲得したビジネスです。

Green Starはサスティナブルな建築やプロジェクトを基準に認定する国際的な評価システムとなっており、Stokehouse Qは以下のような取り組みを経てGreen Starを受賞しています。

水の節約

限りある資源の水を大切に使うため、Stokehouse Qでは雨水タンク再利用システムを導入しています。

敷地内に3万リットル分の雨水タンクを設置しており、再利用した水は芝生への水まきやトイレ洗浄などに有効活用されています。

また、水の消費量節約に繋がる設備や機器を選択するなど、さまざまな方法で水の節約を行っている点が特徴です。

スクリーンの活用

Stokehouse Qでは、レストランの外側に出し入れ可能なスクリーンを設置しています。

スクリーンを閉じるとレストラン内に入る太陽熱が遮断されるため、室温が上がり過ぎないというメリットがあります。

夏場の空調の利用を最小限に抑えることによって、温室効果ガスの排出量削減に努めているのです。

再生木材の利用

Stokehouse Qでは、店舗の外装や内装の床などに再生木材を採用しています。

農場にて倒れかけていた木々を積極的に使用しており、本来であれば廃棄されるはずであった木々の再利用に繋がっています。

インテリア性の高さを保ちつつ、廃棄物の削減と同時に不必要な森林伐採も防いでいる点が特徴です。

エコな移動手段の提供

レストランの利用客向けに、電気自動車の充電設備を設置しています。

また、36か所の自転車置き場を設けることで、利用客がよりサスティナブルな手段でレストランに来店できるようにしています。

地熱冷暖房

温室効果ガスの排出量を抑えるために、地下の一定の温度を利用して施設を冷暖房する地熱ハイブリッドシステムを備えています。

深さ50~60メートルの井戸を備えた冷媒は 18台のユニットを循環しており、需要に応じて施設を加熱または冷却を行います。

太陽光発電と蓄電池システム

再生可能エネルギーによるビジネス運営を心掛けているStokehouse Qでは、レストランの屋根に28kWの太陽光発電システムを設置しています。

また、210kWhのバッテリーシステムも組み込まれており、日中の太陽光発電を蓄えて相殺しています。

持続可能なホスピタリティを目指して、再生可能エネルギーによるビジネス運営を心掛けているのです。

まとめ

サウスバンク・パークランドは、持続可能性の高い公園として高い評価を受けています。

水の再利用システムの構築のほか、ホスピタリティ事業やボランティアスタッフとも協力して公園内の環境保全を進めています。

もしブリスベンを訪れる機会があったら、ぜひサウスバンク・パークランドを散策してみてはいかがでしょう?