JCBは、業界のパイオニアとして、日本のクレジットカード市場を牽引してきた国際ペイメントブランドです。読者の皆さんも、JCBクレジットカードを持っている方も多いのではないでしょうか。
現代は、ありとあらゆる人・モノ・情報がつながるIoT社会へと変革期を迎え、買い物など日常生活における決済方法も進化しました。そんな中でも、あらゆるニーズに応えられるサービスをと挑戦し続けてきたJCB。
ブランドメッセージ「世界にひとつ。あなたにひとつ。」を掲げるJCBが、これからの成長において大切にしている価値を、SDGsの目標と照らし合わせながら見ていきましょう。
JCBのビジョン・事業内容
企業名 | JCB |
SDGs | 3.4.8.9.11.13.15 |
サステナビリティレポート |
ビジョン
「世界にひとつ。あなたにひとつ。」これがJCBが掲げるブランドメッセージです。
国際ペイメントブランドであるJCBが大切にしているのは、「お客様志向」と「日本的」の2つです。JCBの根底を貫くカルチャーともいえる「お客様志向」は、日本だけでなく、世界のどの国や地域で活動するときも、常にお客様志向でありたいという願いが込められています。
「日本的」というのは、日本で生まれた国際カードブランドであるJCBにとっては「アイデンティティ」ともいえる特性です。「おもてなしの心」「きめ細やかな心づかい」で、お客様一人ひとりの期待に応え、「便利だ」「頼れる」「持っていてよかった」と思えること。これが、JCBがブランドメッセージに込めた「世界にひとつ」のステートメントです。
事業内容
日本で唯一の国際カードブランドであるJCBは、世界を舞台に大きく4つの事業を展開しています。
JCBは1961年に誕生し、1981年には日本発唯一の国際カードブランドとして海外展開を開始しました。
それ以来、国内外のパートナーとJCBブランドカード会員を世界に拡大し、JCBカードを利用できる加盟店ネットワークを展開しています。現在のJCBカード会員数は、アジア地域を中心に1億4,000万人にのぼります。高品質なブランドサービスの提供や、現金に代わる新しい決済ソリューションの開発・推進を行い、世界の決済インフラの拡充に取り組んでいます。
国内すべての加盟店との契約を自社で担う「シングルアクワイアリング」の強みを活かして、国内最大級の加盟店ネットワークを構築・維持しています。店頭での決済だけではなくオンラインショッピングやデリバリーなどの非対面決済や教育市場など、多くの分野でカード決済の充実・拡大を目指しています。
JCBは自社で個人・法人カードを発行するほか、金融機関やその関連会社とフランチャイズ契約を締結し、JCBカードの発行と会員基盤を拡大しています。クレジットカードのほかにも、デビットカードやプリペイドカードなど、さまざまな決済手段を展開することで、利用促進を目指します。企業向け決済ソリューションも提供することで、幅広いお客様に向けて「キャッシュレス」を推進。地域の特性やパートナーのニーズに柔軟に対応し、お客様に高品質なサービスを提供しています。
JCBが保有するシステム・業務基盤を活用することで、クレジットカード事業者などから決済スキーム全般を受託するプロセシング事業を展開しています。クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどの入会申込受付、請求管理、照会対応などの決済スキーム全般の業務を通じて、お客様のニーズにあわせて事業継続性や成長戦略までを見越した提案をしています。
JCBが展開するすべての事業は、先進的なシステム基盤と高品質・低コストの業務基盤によって支えられています。優れた災害対策やノンストップの処理体制、柔軟なシステム設計によってお客様の信頼に応えるシステムと業務基盤を確立しています。事業継続の向上を踏まえた業務基盤構築のため、日本だけでなく海外にも業務処理の拠点を配置しています。
JCBのSGDsの取り組み|~日本発の未来基準で持続可能な成長を~
日本発唯一の国際カードブランドであるJCB。
持続可能な社会の発展に向けて、経営のあらゆる側面からグローバルな視点で重点的に取り組むべきCSR(企業の社会に対する責任)の分野を選定しました。「JCB憲章」で10の大枠を公表し、項目の7番目にはSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」にも通ずる、「地球環境の保全に努め、豊かで住みやすい社会作りを心掛けます」を明記しています。
また、「JCB憲章」に基づく企業と全従業員の行動に関する指針を「JCB行動指針」に定めています。環境問題への貢献として挙げているのが以下の3つです。
1.環境関連法規の遵守はもとより、事業活動に伴い発生する環境負荷を軽減させます
2.省エネルギー・省資源・廃棄物削減・リサイクル推進等により循環型経済社会の実現に寄与します。
3.環境に優しい暮らし(エコライフ)を重視し、グリーン購入などに努めます。
引用:JCB行動指針
それではここからは、事業との関連を踏まえて、JCBのSDGsへの取り組みを見ていきましょう。
事業に基づいた活動
JCBブランドが海外進出した初期段階から、メインの展開先であるハワイ。2016年3月からは、貴重な文化財の保全支援を目的に、浮世絵などアジアの美術品を多数保有するホノルル美術館を支援しています。この活動は、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に通じる活動の一つにもなっています。
利用明細書などの書面の発行など、資源をたくさん使うカード事業者として、紙の主要な原料となるマングローブの植林を支援しています。2016年4月からインドネシアのジャワ島で開始し、植林によって沿岸部の生活・住環境の保全・改善にも寄与しています。
2016年6月、ミャンマーにタイ現地法人のヤンゴン支店を開設しました。発展著しい同国の教育環境の充実に貢献するため、地方の学校の校舎増築を支援しています。2017年2月には、ミャンマー・バゴー地域ピー県の寺院学校に校舎や図書設備を贈呈しました。
会員からのポイントによる寄付を通じて、日本ユニセフ協会や国境なき医師団日本など、約10の団体の活動を支援しています。2006年4月から2020年3月まで累計で256,421,344円を寄付しました。
JCBはこれまでに、国内外で発生した災害に関して、被害を受けた方々を支援するため寄付してきました。東日本大震災では3,000万円、熊本地震では1,000万円、2018年7月と2020年7月の豪雨災害にはそれぞれ500万円の義援金を拠出しました。
災害発生時にJCBのWEBサイトで受け付けた義援金は、東日本大震災では169,992,030円、熊本地震では25,909,589円、2018年7月豪雨災害では8,460,199円、2020年7月豪雨災害では1,540,685円に上りました。
東日本大震災で両親を亡くした子どもたちに、小学校から高校卒業まで奨学金を支給する奨学基金を2012年1月に設立しました。2018年1月には支給対象を大学、短大、専門学校(専門学校に相当する過程の学校も含みます)まで拡大。震災発生時の未就学児が高校・大学などを卒業するまでの長期にわたって応援を続けています。
(参考:公益信託JCB東日本大震災に負けない子どもたちの未来を応援する奨学基金)
JCBならではの復興支援の取り組みとして、2011年から「『5』のつく日。JCBで復興支援」を実施しています。2月~5月の「5」のつく日(5日、15日、25日)にJCBカードを利用すると、国内利用「1回につき1円」を、JCBから東日本大震災などの自然災害をはじめとする災害に取り組む団体へ、支援金として寄付する活動です。
公益社団法人日本フィランソロピー協会などを通じて、NGO/NPOなどこれまでに140以上の団体の取り組みを支援してきました。
(参考:「5」のつく日。JCBで復興支援 | JCB グローバルサイト)
※現在は実施していません
従業員参加型の活動
JCBが創立50周年を迎えた2011年から、全役職員が年1回以上、社会貢献活動に参加する全社活動「JCB社会貢献プログラム」を行っています。これまでにのべ2万人が、さまざまなNPOとの協働によって社会貢献活動に参加しました。
具体的な活動内容としては、日本の絵本に東南アジア新興国の国語のシールを貼って子どもたちに届ける活動や、外貨コイン仕分けなどNPOが活動資金を得る取組みへの参加、NPO事務所での事務手伝いなど、さまざまなプログラムを毎月提供。個々の役職員の働き方に応じた参加しやすい体制を整えています。
プログラムに参加するごとにピンバッジを獲得でき、3年以上にわたって3回参加すると銀色のピンバッジが、6年以上に渡って6回参加すると間伐材から作られた木製のピンバッジを獲得できる仕組みです。
社会に貢献し、社会課題への理解を深めるきっかけとするだけでなく、この活動を通じて充実感・達成感などを得ることで、参加者の自信・成長にもつながっています。
NPOが支援する国の特産品などを従業員が購入することで、NPOの支援活動に役立てられています。ESAアジア教育支援の会、ピースウィンズ・ジャパンなど、NPOによる商品の社内販売会を毎年2回実施しています。
役職員に対して「使用済み切手」などの収集を呼びかけています。収集物はNPO等に寄贈し、さまざまな支援活動に役立てられています。
地域貢献活動
町内会主催の防犯・防災訓練をはじめ社会福祉協議会主催のイベント、近隣の障がい者施設で作るパンの販売などに、JCBカードセンターのスペースを利用しています。
JCBは東京都三鷹市が取り組む障がい者施設等の自主製品展示即売会「みたかまるっとマルシェ」にJCBカードセンターのエントランス前広場のスペースを提供しています。このイベントは、パンやクッキーなどの焼き菓子や手作りの小物雑貨類などが展示・販売され、地域住民をはじめ多くの方が来場する大きなイベントになっています。
JCBの各事業所周辺で清掃活動に参加しています。
お客様満足の実現に向けて
ブランドメッセージにも掲げている「お客様志向」を実践し、より一層の顧客満足と信頼 の獲得を目指しています。
お客様から寄せられる意見・要望を収集している「お客様の声データベース」により、「お客様の声」をより詳細・効率的に分類・分析し、社内で情報共有します。自律的な品質向上活動は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」に通じます。
コンプライアンス・情報セキュリティへの取り組み
JCBは、個人情報の保護を重要な責務として考え、「JCBプライバシーポリシー」(個人情報保護方針)を策定。さらに、法令を遵守するだけでなく、法令で定められたレベルをつねに上回ることを社会的責任の履行と認識しています。コンプライアンスの徹底として、法令・社会ルールの遵守や反社会的勢力との取引排除やマネー・ローンダリングとテロ資金供与の防止などに取り組んでいます。
また、年々脅威を増すサイバー攻撃に対し、サイバーセキュリティへの取り組みにも注力しています。
従業員が誇れる会社への取り組み
明るく健康的な職場を目指して、従業員が誇れる会社へ取り組みを進めます。
メディカルルームの設置やメンタルヘルスケアの推進、労働時間の適正管理と長時間労働の防止を積極的に推進しています。
また社員が誠実に仕事に取り組み、自らが考え・学ぶことができる支援プログラムを用意。社員の自立(自律)を支援することで、人材開発と育成につなげます。
まとめ
JCBは、日本で生まれたただひとつの国際カードブランドです。「日本的」であることを重視しながらも、グローバルな視点で一人ひとりの期待に応えていくビジネスマインドがブランドの根底を支えています。
地域に根ざし、徹底して社会やお客様との信頼関係を構築しながらも、「未来基準」で次代を見据えるJCB。経済発展と社会課題解決の両立に向けて、新たな持続的成長の軌道へ乗せるべく、人や地球とともにひとつ先の未来へと歩を進めています。
参考:https://www.global.jcb/ja/about-us/responsibility/index.html