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SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは?企業が取り組むSX事例の紹介も

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SX、DX、GX…どれも「X」のつく2文字のアルファベットですが、それぞれの意味は理解できていますか?それぞれ、これからの社会に必要な「X」です。

この3つの「X」を、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を中心に、どのようなものか理解を深めましょう!世界・日本の企業が取り組むSX事例も紹介します。

あなたも社会の一員としてSXは無関係ではありません。SXを推進するのは、社会の進む方向を理解した「正しい選択と行動」なのです。

SXとは

SXとはSustainability Transformation(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の略語です。「Transformation」が「X」に略されるのは、英語では「Trans(移行する・変化する・横断する)」は「Cross(交差する・横断する・十字)」と意味が似ているため、TransもCrossも、Crossの象徴する「十字」を表すアルファベット「X」に略されるためです。

SXのイメージ
  • Sustainability=持続可能性→S
  • Transformation=変身・変換・変形→X

つまり、SXとは持続可能な形・スタイルへの変換・移行を意味します。SXの提唱者伊藤邦雄氏は、

「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォー メーション)を指す。

引用:経済産業省『伊藤レポート3.0』(2022年8月)

と、定義しています。

SXは単に企業や政府機関がそれぞれ持続可能性のある経営に移行するだけでなく、「社会全体の持続可能性」と、「企業や政府機関のそれぞれの持続可能性」を同時に考え、どちらにも貢献する経営へ移行することです。

【SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは】

SXは人間社会が地球で生き続けるために必要

これまで、経済活動は短い期間で大きな収益を上げることを追求する傾向がありました。その結果、

  • 地球の再生能力を超えた資源の搾取
  • 大量生産・大量消費・大量廃棄
  • 温室効果ガス排出や汚水放出、廃棄物による環境破壊

などが凄まじい速度で進み、「このままでは地球が、人間をはじめ生物の住めない環境になってしまう」という危機的状況に陥りました。

  • 平均気温の急激な上昇
  • 大気汚染
  • 河川・海洋の水質汚染
  • 土壌汚染
  • 森林・野生生物の急激な減少
  • 異常気象

など、ほとんどの人が環境や気候に異変が起きていることを実際に感じるほど、状況は深刻です。地球の環境は全てつながっているので、これは世界全体の問題で誰ひとり無関係ではありません。

【地球の限界と現在(2019年)の地球の状況】

生物が住み続けられなくなった地球になる前に、地球環境を大きく破壊してしまった私たち人間は、いま全力で「地球と生き物の暮らしの持続可能性」のために努力する時なのです。

そのためには、私たちの社会の仕組みも持続可能なシステムに変える必要があります。例えば近年、その存在を知る人もずいぶん増えた「SDGs」も、目指す方向は同じです。

SXもSDGsも経済・産業・生活などの仕組みを、地球の再生能力の範囲内で循環できて持続可能な仕組みに変えることを目指しています。このような循環型経済をサーキュラーエコノミーと呼びます。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進

これまでの目先の利益を追求した経済を、リニアエコノミー(線型経済)と呼びます。その頃の経済活動は「今、利益を出すこと」が重視され、ほとんどの人がその繰り返しが当たり前に続いて行くと思っていました。

一方で多くの研究者が、半世紀以上前から現在の地球の姿を予測して警鐘を鳴らしていました。しかし「環境問題は余裕がある企業が取り組む慈善事業」といった考え方が社会全体に存在していたのです。リニアエコノミーによる地球の回復力を超えた経済活動は、「このままでは地球に住み続けられなくなる」という疑う余地のない科学的根拠に基づいた事実を世界が突きつけられてもなお、すぐに止めることはできず続いているのです。

【リニアエコノミーとサーキュラーエコノミー】

【関連記事】循環型社会とは?現状と日本・世界の取り組み事例・私たちにできること、SDGsとの関連性

筆者は普段、生物を研究する現場にいますが、そこにいると「本当に間に合うのか」と思ってしまうほど、地球は危機的な状況です。将来も人間を含めた地球の生物が生き続けていくためには「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」、「持続可能な社会」に変える、つまりSX(サスティナビリティ・トランスフォーメーション)が必要なのです。

DXとの違い

なんとなくSXについて理解できたところで、DXとの違いについても確認しておきましょう。

DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略称です。ここでもTransformation(トランスフォーメーション)をXに省略しています。

DXとは、直訳すると「デジタルへの変換・移行」です。つまりデジタル技術(AI・IoT・クラウド・ビッグデータなど)を取り入れて、より便利に、より効率的な社会を構築することです。

【DXリテラシー※の重要性】

DXリテラシー

DX(デジタルトランスフォーメーション)についての知識やデジタル技術を使いこなす能力

日本の目指すDXは、単にこれまでのビジネスの効率化のためにデジタル技術を導入するだけでなく、

  • 収益に直結する既存ビジネスへの付加価値向上
  • 新規デジタルビジネス(デジタルでしかできないビジネス)の創出
  • 新しい仕事のシステム・働き方
  • 企業全体で一斉に革新的なデジタル技術の導入し、これまでの仕組みから脱却する

など、古いやり方を打破し、DX推進により顧客や他社とつながり、協調しながら産業界を将来も持続的に成長する「エコシステム型構造」へ変革させることです。

【DX(デジタルトランスフォーメーション)の目指す姿】

この図からわかるのは、これまでの多重下請け構造(サプライチェーン)の中では上から下への流れしかなく、同じサプライチェーンの中にいても自社に直接関わっている企業以外とのつながりは生まれにくい環境でした。しかしDXによって、

  • あらゆる業種・特性・規模の企業が直接繋がり合うことができる
  • 間に他の企業を挟まないことによるコストダウンや企業規模を問わない技術提供や協力関係

など、これまでより効率的で新しいビジネスチャンスが生まれます。これを産業の「エコシステム型構造」と呼びます。

GXとは?

【カーボンニュートラルの広がり】

GXGreen Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略語です。GXとは、化石燃料の使用を削減し、クリーンで持続可能なエネルギー(再生可能エネルギー)を中心に利用する産業・社会へと移行することです。

【2050年までのカーボンニュートラルを表明した国(125カ国・1地域)】

世界では「2050年カーボンニュートラル」を目指しています。日本も2020年10月にカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。

2021年には世界の154の国と地域がカーボンニュートラルを宣言し、これらの国々のGDP※の合計は世界の約90%です。日本は2030年までに2013年から比較して46%の温室効果ガス削減を目標に掲げています。

GDP

Gross Domestic Productの略語。国内総生産。一定期間内にある国内で新たに生産された付加価値(売り上げから原価を差し引いた額)の総額。国内に限るため、その国の企業などが海外で生産した付加価値は含まれない。

【各国の2030年温室効果ガス削減目標】

※赤色は2030年までに2013年に比べて削減される温室効果ガスの割合の目標値。青色は現状2030年までに2013年に比べて増加が予想される温室効果ガスの割合の予想値。

【関連記事】脱炭素とは?カーボンニュートラルとの違いや企業の取り組み、SDGsとの関係を解説

【3つのX】SX・DX・GXの関係

SX・DX・GXの「3つのX」は、

  • SX…サステナビリティトランスフォーメーション(循環型社会へのX)
  • DX…デジタルトランスフォーメーション(デジタル社会へのX)
  • GX…グリーントランスフォーメーション(再生可能エネルギーへのX)

とそれぞれ違う「X=変換・移行」ですが、密接な関わりがあります。SXのためにはDXとGXのどちらへの取り組みも必須と考えられているからです。

SXは循環型社会への変換ですから、再生可能エネルギー社会への変換であるGXはSXの内容の1つと捉えることができます。では、SXとDXはどう関係があるのでしょう?SXの目指す将来の循環型社会は、現在の社会よりはるかに高いレベルで

  • データの管理・共有
  • 情報の共有による広範囲の企業間での協調・協力
  • 各企業の情報開示
  • デジタル技術・デジタル空間の利用

が社会全体に浸透した、あらゆる政府機関・企業・個人などがつながった社会なのです。DXはこの広く透明なつながりと迅速なデータ管理・共有・利用によって、効率的に資金や資源を循環させながら、持続的に社会が利益を上げ成長していくために必要不可欠です。

SXが実現した社会とは?

SX後の社会の姿が把握できないと、自社をどのように変革させていけば良いか正しい選択ができません。それでは、政府の計画する将来SXが実現した未来の社会とはどのような姿なのでしょうか?

日本はSXによって将来人々が幸福で豊かに暮らす社会を構築するために、

  1. 社会:急進的イノベーションで少子高齢化時代を切り拓く
  2. 環境:地球環境を回復させながら都市文明を発展させる
  3. 経済:科学・工学などの高度な知識・技術で時代の最先端を開拓する

の3つの領域から、革新的な研究開発を行っています。これらの大胆な研究開発は「ムーンショット型研究開発」と呼ばれ、

  1. 身体、脳、空間、時間の制約からの解放
  2. 疾患の超早期予測・予防
  3. 自ら学習・行動し人と共生するAIロボット
  4. 地球環境の再生
  5. 2050年の食と農
  6. 誤り耐性型汎用量子コンピューター
  7. 健康不安なく100歳まで
  8. 気象制御による極端風水害の軽減
  9. 心の安らぎや活力を増大

の9つの目標の実現を目指しています。

【ムーンショット型研究開発制度の9つの目標】

これらの目標の中には「非現実的だ」と感じるものがある人もいるかもしれません。しかし、現在は技術の進歩の速度は以前とは比べ物にならないほどに加速しています。そして、その速度は将来に向けてさらに加速すると予想されています。

この技術の進歩の加速は、DXに支えられています。以前はなかなか得ることができなかった広い分野の情報の早期取得や、他の企業や能力のある個人との協調・協力などの可能性がデジタル化が進むことにより開かれてきたのです。

SXが実現した社会の姿の一部を、ムーンショット型研究開発のプロジェクトから知ることができます。この変化の速度に乗り遅れないために、政府機関や大企業だけでなく、中小企業や個人も世界や日本がどこに向かって進んでいるのかを常に理解しておく必要があります。*1)

【関連記事】ムーンショットとは?計画・目標一覧、取り組み事例をわかりやすく解説

このような背景を踏まえながら、次の章ではSXを実現するために必要な「企業のサステナビリティ」と「社会のサステナビリティ」について考えてみましょう。

SXを実現するための2つの観点

持続可能な環境の循環を実現するためには、持続可能な経済の循環も実現しなくてはなりません。気候変動や生物多様性の喪失などの問題に関心があっても経済の問題には関心がなかったり、今の経営で手一杯でSXに取り組む余裕がない、関心がなかったりする人が多いのが現状です。

しかし経済は社会の血液のようなものです。地球の資源も経済もどちらも循環しなければ私たちの生活はいずれ行き詰まってしまいます。

【SXの全体像】

そこで、SXを理解し取り組むために、今後の社会で「価値の創造」とは、どのようなものに変わっていくのかを捉えておく必要があります。これからの「価値創造」は、自社だけの利益を追求するのではなく、消費者やステークホルダー※など関係者全体で意見を交換するなどして、企業が持続可能な利益を生み出し続けるために関係者全体や社会全体の利益を生む活動をすることです。

これまで、

  • 自社の利益さえ上がれば、他社や関係者の一部がある程度損害を被ってもやむを得ない
  • 他社の評価を落とすような行為で自社の利益を得ようとする

などの経営も多く見られました。しかし、自社が将来も息の長い経営と成長を続けるためには、関係者全体も同じように持続可能な経営ができること、地域の協力などが大切なのです。

ステークホルダー

直接的・間接的な利害関係者。企業や組織の活動に影響を受ける個人や団体。

【これからの企業の価値創造とは】

企業のサステナビリティ

近年、世界的に

  • 気候変動
  • 国際情勢
  • 人権問題
  • 資源価格・物価の高騰
  • 国際的な物流の分断
  • 新型コロナウイルス感染拡大

などの急激な変化により、将来への様々なリスクに直面しています。このような不安定な状況の中で、企業活動の長期的な経営方針や、多様なリスクへの対応策を明確にできない企業は、投資家・消費者・労働者から「企業のサステナビリティ」に欠けると評価され、事業活動の維持が難しくなっていきます。

また、サイバーセキュリティの重要性もますます高まっています。これらの影響が将来的に自社にどのような影響を及ぼすかを分析し、それに備えることは今後の事業経営においては必須なのです。

これらを踏まえて、企業は

  • DX
  • GX
  • 技術革新
  • 開発・発明
  • ビジネスの機会の創造
  • リスクへの対策
  • 社会への貢献

などへの長期的な取り組み計画を策定し、それを開示して自社の持続可能性と方向性を投資家・消費者・労働者に理解してもらう必要があります。このような長期的で建設的な経営計画は「企業のサステナビリティ」として自社の信用を獲得し、資金調達や利益確保につながるのです。

今後の企業の「価値創造」には、

  • SXへ取り組み「企業のサステナビリティ」を明確にすること
  • 常に事業の状況や市場の動向、社会情勢などを考慮して柔軟に経営計画を調整していくこと

が求められます。将来も企業が生き残っていくためには、「余裕がない」と取り組まずにいては危険なのです。

社会のサステナビリティ

世界規模でSX・DX・GXが進む中、日本では企業全体の99.7%、総従業者数の約70%を占める中小企業の取り組みが将来を大きく左右すると考えられます。中小企業のサステナビリティは「社会のサステナビリティ」に大きく影響するのです。

【日本の企業数と従業者数に占める中小企業の割合と付加価値額】

「社会のサステナビリティ」を考える上では、

  • SDGs(国連が採択した持続可能な世界のための17の目標)
  • ESG投資(環境への取り組み・社会貢献・ガバナンスなど企業の財務以外の要素)

も大きな存在となっています。この2つについてはこの後解説しますが、「企業のサステナビリティ」のための長期的な視野での経営戦略を策定する時、「社会のサステナビリティ」を目指すSDGsとESG投資への理解なくしては、今や投資家・消費者・労働者の評価を得るのは難しいと言えます。

【SDGs・ESGを考慮した製品に対する消費者の考え方】

また、消費者も「社会のサステナビリティ」に貢献する製品を購入したいと思う傾向が年々強くなっています。つまり「企業のサステナビリティ」のために「社会のサステナビリティ」に貢献する取り組みは、結果として自社の競争力の強化にもつながるのです。

SXの本質は稼ぐ力とサステナビリティを両立させる

しかし、これまでの「社会問題への取り組み=慈善事業」という考え方のままでは、「企業のサステナビリティ」も「社会のサステナビリティ」も実現しません。なぜならSXが実現した「社会のサステナビリティ」が安定した社会とは、「循環型経済」が滞りなく機能している姿であり、社会問題に配慮した持続可能な経済活動によって利益を生み出し、成長を続ける社会だからです。

この将来の社会像に向けて、いち早くこれまでの短期的利益重視の経営戦略を脱却し、中小企業であっても取り組み可能なことを洗い出して経営戦略に反映する必要があります。世界のESG投資額※も年々増加傾向にあり、「社会問題への取り組み=慈善事業」ではなく「社会問題への取り組み=ビジネスチャンスと投資を呼び込む」という時代が到来しつつあります。*2)

ESG投資

環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素を投資判断に組み込んだ投資

【世界のESG投資額の推移】

※EUのESG投資額が減少しているように見えるのは、ESG投資の定義に変更があり、サステナビリティ基準に関する規制強化がったため

日本企業のSXへの取り組みの現状

とはいえ、日本企業のSXへの取り組みはまだまだ広がってはいません。

これまでの短期的な利益を獲得することに重点が置かれていた事業活動から、「SX=サステナビリティに対応した事業活動へ変換する」ことが必要ですが、具体的にどのように取り組めば良いか、また事業活動との合理性があるか(その企業の事業にサステナビリティを織り込むことができるのか)を見出すのが難しく、結局は

  • 自社にはサステナビリティにまで気にかける余裕がない
  • サステナビリティの課題が多様すぎてどれに取り組めば事業活動に良い効果が出るのかわからない
  • そもそもサステナビリティ自体に価値・必要性・魅力を見出せない

などの理由で、特に中小企業ではSXへの取り組みが進んでいないのが現状です。また、このような企業の多くがDXにも取り組めていません。

【DXに取り組んでいる企業の割合推移】

※棒グラフの青色部分はDXへの取り組みが先進的と評価される企業の割合。灰色部分はDXへの取り組みができていないと回答した企業の割合。

日本でSXがなかなか進まない問題の1つに、「企業のダイナミック・ケイパビリティ」が足りないことが指摘されています。次の章では「ダイナミック・ケイパビリティ」について確認しましょう。

SXの推進に必要なダイナミック・ケイパビリティ

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このように将来の不確実性が高まっている世界で、SXへの取り組みが求められているものの、企業がどう進むべきかは難しい問題です。そこで提唱されたのが「ダイナミック・ケイパビリティ(Dynamic Capability)論」です。

直訳の意味は、

  • Dynamic…動的・力学的・力強い
  • Capability…能力・才能・手腕

ですが、このSXの推進に必要な「ダイナミック・ケイパビリティ」とはどのようなものなのでしょうか?

ダイナミック・ケイパビリティとは

「ダイナミック・ケイパビリティ論」はカリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール教授のデイヴィッド・J・ティース氏に提唱され、近年注目されている経営戦略論です。現代の環境や状況の激しい変化と将来の不確実性の高まりのなかで、企業がその変化に対応して競争力を維持するためには、どのようにあるべきかを提唱しています。

経済産業省はこのダイナミック・ケイパビリティを「企業変革力」としています。これは企業の「通常能力」と対になるもので、このどちらも高めることが競争力の持続には必要です。

【通常能力】オーディナリー・ケイパビリティ

ダイナミック・ケイパビリティを理解するために、まず企業の基礎となる「通常能力(オーディナリー・ケイパビリティ)」とは何かを把握しましょう。これは、企業の経営資源※を効率的に利用して、利益をより大きくするための能力です。

企業の通常能力を高めることが重要なのは確かですが、現代ではこのような基礎的な経営手法は優れているほど他の企業にも広まりやすく、他社との差別化を長期に図ることが難しくなっています。また、環境や状況の変化に企業が対応できるかは「通常能力(オーディナリー・ケイパビリティ)」では判断材料として充分ではありません。

つまり企業の通常能力を高めるのは経営の基礎で、持続可能な成長のためにはさらに「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」も高めることが必要なのです。

経営資源

企業の人材・資金・資産・設備・材料・情報・時間・知識・技術など

【企業変革力】ダイナミック・ケイパビリティ

「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」は、「通常能力(オーディナリー・ケイパビリティ)」の追求だけでは適応しきれない、環境や状況の変化に合わせて企業活動を変革していく能力です。現状の企業活動が現在・将来の環境や状況に適合するために、常に世界・社会・自社を分析し、企業を変革させて新たな企業の「通常能力」を構築します。

「ダイナミック・ケイパビリティ論」を提唱したデイヴィッド・J・ティース氏は、

  • 通常能力(オーディナリー・ケイパビリティ)=ものごとを正しく行うこと
  • 企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)=正しいことを行うこと

と表現しています。さらに、「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」を以下の3つの能力に分類しています。

  1. 感知(センシング):脅威や危機を感知する能力
  2. 捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力
  3. 変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力

このような能力は他企業が模倣するのも難しく、

  • 企業の長期にわたるデータ・経験などの情報の蓄積
  • 過去・現在・未来にわたる情報収集や予測

などから生み出される企業独自の能力です。企業は消費者の好み・ビジネス上の問題・技術開発などを推測し、継続的な変化を前提とした経営をすることにより、競争力を維持します。

ダイナミック・ケイパビリティを獲得するためには

【スマートファクトリーの例】

ダイナミック・ケイパビリティを獲得するために、ここでもDXが鍵となります。DXは先ほどのダイナミック・ケイパビリティの3つの能力を強化するのに必要不可欠だからです。

【DXによるダイナミック・ケイパビリティの強化】

今後の日本では少子高齢化の影響による労働人口の減少も懸念されています。社会全体のDXによる新たな働き方、新たなビジネス、新たな協力は企業のダイナミック・ケイパビリティを高めます。

この「企業変革力」で企業のSXを推進することが、社会全体のSXを進めます。社会のSXが進めば、ますますサステナビリティに欠ける経営は難しくなっていくでしょう。

また、SXはこれから世界で日本が競争力を維持していくためにも不可欠なので、日本の政府をはじめ国全体がダイナミック・ケイパビリティを高めて、臨機応変な「変革」ができる体質になる必要があります。つまり、

  1. SXを推進するためにはダイナミック・ケイパビリティが必要
  2. ダイナミック・ケイパビリティを高めるためにDXが必要
  3. DXを推進するためにIT人材の育成と市場・自社分析の高度化が必要

と考えることができます。*3)

次の章では、世界の動きからSXを考えてみましょう。

【SXとSDGsの関係】世界ではどのようにSXが進んでいるか

SXによって、中小企業や個人であっても、国際的なビジネスや協力が可能になります。また、長期的なリスク管理の面でも、世界の動向は常に理解しておきましょう。

世界のSXへの取り組み【持続可能な開発目標SDGs】

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SXは日本で提唱されたもので、日本独自の経済戦略とも言えます。世界では「サステナビリティへの取り組み」「サーキュラーエコノミーへの取り組み」といった形で推進されています。

その中でも世界を大きく動かしたのが2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)です。

  • 貧困問題の解決
  • 地球環境の保護
  • 全ての人の平和と豊かさ

などを目指した17の目標からなり、世界の様々な社会問題解決のために世界のすべての国と地域の人々が「正しい選択」をすることで将来の地球が生物の住み続けられる持続可能なものに改善することを目指しています。

SXは「持続可能な循環型経済への変換・移行」を目指すものですから、SDGsと重なる部分が多くあります。もちろん日本も様々なレベルでSDGsに取り組んでいますが、

  • SX=日本経済を重点においた持続可能な循環型経済への変換・移行(日本の産業・経済の持続可能性と成長のための社会構築)
  • SDGs=世界の持続可能性と「誰一人取り残さない」社会の実現(世界の社会問題の解決)

といった違いがあると理解しておきましょう。SXへの取り組みはSDGsの目標達成に貢献しますし、SDGsの目標はSXを進める上で、どのように自社の経営にサステナビリティを取り入れるかの指標になります。

フィンランドのサーキュラーエコノミーへの取り組み

日本国外のサーキュラーエコノミーへの取り組みとして、様々な条件に恵まれ、「カーボンニュートラルに最も近い国」の1つ、フィンランドの事例を見てみましょう。日本とはそもそもの条件が違いますが、フィンランドはSX・DX・GXの全てにおいて進んでいると言えます。

【フィンランド:ピーパリンマキ陸上発電】

「世界循環経済フォーラム※」を主導するフィンランドは、「サーキュラーエコノミー推進のための戦略プログラム」を2021年4月に策定し、循環経済の実現によって2030年までに20〜30億ユーロの経済価値の創出を見込んでいます。このプログラムの内容は、

  • 税制改正等による循環経済移行へのインセンティブの付与
  • 一般向け循環経済関連サービス情報(シェアや修理・リサイクル情報など)の整理・提供  
  • デジタル化を活用した循環経済の推進及び国際社会の牽引
  • 立法、経済政策、デジタル化を通じた魅力的な循環経済市場を創造
  • 建設、運輸、エネルギー等の公共部門における低炭素循環経済社会の設計及び調達
  • 学校・職業教育における、循環経済に関する専門知識教育の強化

などから構成され、「世界で一番最初のカーボンニュートラル社会」の実現を目指しています。フィンランドはSDGsへの取り組みも積極的で、国民のデジタルリテラシー※も高く、それらを総合的に評価してもSXにおいて先進国です。*4)

世界循環経済フォーラム

循環経済の有識者が世界中から集まり議論する公開討論会。 World Circular Economy Forum(WCEF)

デジタルリテラシー

デジタルに関する知識やデジタル技術を活用する能力

【関連記事】【2023年最新】SDGsランキング1位フィンランドの取り組み

世界の企業が取り組むSX事例

【ベスタスの風力発電機のブレード】

サステナビリティと企業の経営、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを見事に同期化し、2022年の「世界で最もサステナブルな企業ランキング」1位に輝いた企業を紹介します。

風力を利用したクリーンな発電ができるだけでなく、リサイクル可能な設計でタービンを生産することで廃棄物ゼロの「自社製品を売れば売るほど社会のサステナビリティに貢献」という企業です。

Vestas Wind Systems A/S:風力発電機

Vestas Wind Systems A/S(ベスタス)はデンマークに本拠地のある風力発電機の設計・製造・販売会社です。2022年1月「第18回世界で最もサステナブルな企業ランキング※」で世界1位に選ばれました。

「Sustainability in Everything We Do=私たちの活動の全てに持続可能性」を目指し、組織全体でサステナビリティを追求しています。具体的には、

  • 循環型(リサイクル可能な)製品設計
  • 製造からのCO2排出量と廃棄物の削減
  • 自動車・設備などのすべてを電化
  • 関連企業との持続可能性目標の調整

などに取り組んでいます。風力発電機は非常に大きな設備の場合が多い傾向にあります。それらをリサイクル可能な設計で作ることで、温室効果ガスの排出ゼロの発電を廃棄物問題のない設備で行うことができます。*5)

世界で最もサステナブルな企業ランキング

「Gobal 100」とも呼ばれ、カナダのメディア・投資調査会社であるコーポレート・ナイツ社(Corporate Knights)が世界のあらゆる業界の大企業(収益が10億米ドルを超える約7,000社)を対象に、ESGなどの観点から持続可能性を評価し、上位100社を選出するもの。

【ベスタスのサステナビリティ目標】

ベスタスのサステナビリティ目標
出典:Vestas『Vestas ranked the most sustainable company in the world 2022』

左上:2030 年までにカーボンオフセットの使用なしでカーボンニュートラルな企業 

右上:2040年までに廃棄物ゼロの風力発電タービンを生産

左下:エネルギー産業で最も安全・最も包括的※・最も社会的責任のある企業

右下:世界の持続可能なエネルギーへの移行を先導する

包括的

総括的・総合的。全体をまとめて網羅している様子。

世界で最もサステナビリティへの取り組みが素晴らしいと評価された企業の次は、日本の企業のSXへの取り組みを見ていきましょう。

日本の企業が取り組むSX事例

全体的にSXへの取り組みが遅れていると指摘される日本産業界ですが、高いダイナミック・ケイパビリティと圧倒的な広い視野・分析力でSXを進めている企業もあります。また、中小企業がSXを進める事例も見てみましょう。

TOYOTA:独自の分析力で世界をリードする

【TOYOTAの多様な「電動車」】

世界が「全車種EV化」を目指すことを次々と宣言した中、トヨタは「全車種EV化は最適解ではない」との姿勢を貫きました。そこには将来の「多様なモビリティ社会」を見据えた、世界中のあらゆる地域、気候、用途などのニーズに対応するためには「EV一択」では対応できず、多種多様なエネルギー・動力・装備を揃えた「豊富なラインナップ」が重要という信念があったからです。

「使う人の快適さ」「生産・発電による環境への影響」などの分析が不十分な状態で自動車のEV化を急いだ結果、それらの国々では、

  • 充電スポットの不足
  • 充電スポットの耐久年数が一斉に到来
  • リチウムイオンバッテリーのリサイクル問題
  • バッテリー生産に係る環境・人権問題
  • 増加した電気需要による発電のための温室効果ガス増加

など様々な問題に直面しています。また、トヨタは日本の「高いエンジン製造技術」と、「エンジン製造に関わって働く人々の雇用」を守るべきだと考えました。

【TOYOTAの水素エンジン車】

日本は将来的に「水素を中心とした多様なエネルギー社会」を目指しています。直接水素をエネルギーとして使う「水素エンジン」をはじめ、水素から作られる合成燃料※を使うエンジンの開発で、これまで培ってきた日本の高いエンジン製造技術と、その現場で働く人々の生活を守りつつ、「水素を中心とした多様なエネルギー社会」に対応した変革を図っているのです。

水素と二酸化炭素(CO2)を合成して作られる燃料で、メタン・メタノール・アンモニアなど用途に合わせて多様な物質を合成でき、カーボンリサイクルによる脱炭素燃料として期待されている。

【関連記事】水素エネルギーとは?メリットやデメリット、実用化に向けた課題と将来性、SDGsとの関係

【水素とCO2から作られる合成燃料】

SXにはDX・GXも重要ですが、これまで培ってきた経験・技術・人材などを自社の強みとして活かし、「使う人」「働く人」の幸せも追求することが大切なのがわかる事例です。また「EV一択」のような多様性を排除した考え方では、様々なリスクへの対応に限界があることもわかります。

有限会社瑞穂:自社の課題に合わせて支援制度を活用

【伝統的な熊野筆の技術で職人の手により作られる瑞穂の製品】

有限会社瑞穂は広島県安芸郡熊野町の伝統工芸品「熊野筆」の製造販売を行う企業です。瑞穂は従業員30人、資本金1,000万円で、「中小企業」に分類されます。

瑞穂はSNSを活用した国内外への情報発信や海外の有名雑誌での紹介などのプロモーション活動のほか、

  • JAPANブランド育成支援等事業※
  • JETROの新輸出大国コンソーシアム※

などの国の支援制度を活用し、海外事業も実施しています。瑞穂の職人による伝統的な熊野筆は主にメイクブラシとして、欧米や中国など17カ国に直接輸出されているほか、2019年には越境EC※を利用した直販も行っています。

また、JAL(日本航空)とのコラボレーション開発によるブラシの発売や、新型コロナウイルス感染拡大のために在宅時間が増えた状況を捉え、洗顔など「体を洗うための筆・ブラシ」の販売を伸ばしました。SXへの取り組みは、長期的な成長の可能性を広げるための工夫から始め、DXを活用してGX・SDGs・ESGなどを取り入れながら経営戦略を調整していくことで、中小企業も実践できるという良い事例です。*6)

JAPANブランド育成支援等事業

中小企業庁による海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディング、新規販路開拓などの取組を行う経費の一部を補助する支援事業

JETROの新輸出大国コンソーシアム

日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開を目指す中小企業のためのワンストップの支援サービス

越境EC

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SXは企業の規模や業種・特性によって、様々な取り組み方が考えられます。続いては、この記事でSXの重要性が理解できた次のステップに、さらにSXの知識を広げるために役立つ読み物を紹介します。

SXを学ぶためにおすすめの本

SXを理解するためには、違った著者による解説書を読み比べてみるのも有効です。なかなか理解が進まず悩んでいる人は、この記事を読んだら次は、SXに取り組む企業が実際どのような戦略をとっているかの事例をもっと多く知ることから始めてみましょう。

サステナビリティ・トランスフォーメーション戦略

SX初心者向けの、これからSXに取り掛かるための基本が学べる一冊です。SXに取り組むトップ企業の事例が豊富に紹介され、企業と社会のサステナビリティの両立や、実際に利益を出すポイントなどもわかりやすく解説されています。

SX サステナビリティ経営 実践編

SXをどのように進めれば良いか実践するための具体的な方法論を中心に解説した一冊。電子版でも読みやすく、ビジネス書を読むのが好きな人におすすめです。*7)

まとめ:SXはSDGsと合わせて社会全体で取り組む!

そもそも「利益」とは社会のために役に立った時に生まれるものです。しかし、高度成長期の経済活動で、その原点がすっかり忘れ去られ、「とにかく多く利益を」「他を出し抜いても多くの利益を」「信用できるのは自分(自社)だけ」というような風潮がありました。

しかしこのような競争の結果、地球の資源は枯渇し、気候変動による異常気象の被害が増大し、生物多様性は失われ、貧富の差は拡大しました。これまでのやり方にはっきりと限界が見えたのです。

SX「本当の利益」を生み出すこと、つまり社会問題を解決し社会のために役に立つ活動をするという原点を取り戻すための変革とも考えることができます。この点で、SDGsの目指す未来と重なることがわかります。

かつて人間も地球の生態系の一部として滞りなく循環しながら暮らしていました。世界にはまだ様々な段階の暮らしがありますが、日本のように都市化が進んだ先進国はSXによって、循環型に経済の流れを構築し直す必要があるのです。

そのために、企業は規模にかかわらずSXに取り組みましょう。個人でも社会のサステナビリティを意識した選択を心掛け、社会のSXに貢献しましょう。

また、SXを進めるために欠かせないDXに対応できる知識や技術を身につけるために、学習を続けることも大切です。

〈参考・引用文献〉

*1)SXとは
経済産業省『伊藤レポート3.0』(2022年8月)
環境省『平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 第1章 第五次環境基本計画に至る持続可能な社会への潮流 第1節 持続可能な社会に向けたパラダイムシフト』(2018年6月)
環境省『令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 第2節 循環経済への移行 1 循環経済(サーキュラーエコノミー)に向けて』(2021年6月)
循環型社会とは?現状と日本・世界の取り組み事例・私たちにできること、SDGsとの関連性
経済産業省『DXリテラシー標準』p.7(2022年3月)
経済産業省『DX レポート 2.2(概要)』p.2(2022年7月)
資源エネルギー庁『カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは?』(2021年5月)
脱炭素とは?カーボンニュートラルとの違いや企業の取り組み、SDGsとの関係を解説
経済産業省『クリーンエネルギー戦略中間整理を踏まえた GXの実行推進に向けて』p.12(2022年11月)
内閣府『ムーンショット型研究開発制度』
ムーンショットとは?計画・目標一覧、取り組み事例をわかりやすく解説
*2)SXを実現するための2つの観点
経済産業省『事務局説明資料』p.29(2021年10月)
経済産業省『事務局説明資料』(2021年5月)
経済産業省『DX レポート 2.2』p.3(2022年3月)
中小企業庁『2022年版 中小企業白書 中小企業白書・小規模企業白書について』
財務省『ESG投資について』p.22(2021年12月)
経済産業省『伊藤レポート3.0』p.21(2022年8月)
資源エネルギー庁『第1節 エネルギーを巡る情勢の変化 ①ESG投資の増加』
*3)SXの推進に必要なダイナミック・ケイパビリティ
経済産業省『製造基盤白書(ものづくり白書)2020年版 第2節 不確実性の高まる世界の現状と競争力強化 2.企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強化』
経済産業省『製造業におけるDX』p.1(2022年2月)
*4)【SXとSDGsの関係】世界ではどのようにSXが進んでいるか
経済産業省『第1回 サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)事務局説明資料』p.78(2021年5月)
経済産業省『SDGs』(2022年10月)
在フィンランド日本国大使館『フィンランド経済の概要 環境・サーキュラーエコノミー』p.33(2022年12月)
【2023年最新】SDGsランキング1位フィンランドの取り組み
WCEF『THE WORLD CIRCULAR ECONOMY FORUM 2022 About』
環境省『世界循環経済フォーラム(WCEF)について』
経済産業省『DXリテラシー標準』p.5(2022年3月)
*5)世界の企業が取り組むSX事例
Vestas『Environment Zero-Waste』
Vestas『ベスタスは、2022年世界で最もサステナブルな企業に選ばれました』
*6)日本の企業が取り組むSX事例
TOYOTA『地球環境への取り組み』
水素エネルギーとは?メリットやデメリット、実用化に向けた課題と将来性、SDGsとの関係
経済産業省『CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクトの研究開発・社会実装の方向性(案)』p.7(2021年10月)
Mizuho Brush『瑞穂について』
中小企業庁『2022年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要』p.43(2022年4月)
日本経済新聞『熊野筆の瑞穂、JALとコラボ美容品 CAら600人から意見』(2022年4月)
*7)SXを学ぶためにおすすめの本
『サステナビリティ・トランスフォーメーション戦略 (日経ムック) 』
『SX サステナビリティ経営 実践編』