オーストラリア土産と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
コアラのぬいぐるみ、ティムタム、ジャーキーなどが定番として挙げられますが、実はイギリス文化が浸透しているオーストラリアではたくさんの紅茶も販売されています。
特に人気を集めているのが、紅茶専門店のT2です。
オシャレなパッケージと豊富な茶葉が魅力で、観光客はもちろん、地元住民からも支持されています。
そんなT2では、サスティナブルな茶葉の追求などサスティナブルなビジネス経営を目指しています。
この記事では、廃棄物削減、リサイクル促進、二酸化炭素の排出量削減を目的にT2が実施しているエコ活動についてチェックしていきましょう。
目次
T2はオーストラリアを代表する紅茶専門店!
T2は、ビクトリア州の州都・メルボルンが発祥の紅茶専門店です。
ティーバッグ、ルーズリーフ、マグカップ、インフューザー、ティーポッドといった紅茶関連製品を販売しており、一般的な紅茶以外にも抹茶、ハーブティー、ウーロン茶、カフェインレスをはじめとするバラエティー豊富な製品を取り扱っています。
T2はオーストラリア国内に60店舗、イギリスとニュージーランドに5店舗、アメリカに4店舗、シンガポールに3店舗を構えているほか、オーストラリアの主要なスーパーでも購入可能です。
お土産やギフトとしても活用される機会が多く、オーストラリアを代表する紅茶専門店のひとつです。
また、社会的および環境的取り組みの基準を満たす企業のみ受けられるBコーポレーションに認定されており、エコ意識の高い企業としても知られています。
T2が取り組むエコ活動とは?
廃棄物削減とリサイクル促進に特に力を入れているT2では、環境問題に対して以下のような理念を掲げています。
・自社製品から不必要なパッケージを取り除く
・リサイクル可能、または堆肥化可能な梱包材を選択する
・管理された森林からの調達
また、廃棄物に対する取り組み以外にも、二酸化炭素の排出量を削減するためにクリーンエネルギーの導入を実施しています。
ここでは、T2が行っているエコ活動についてさらに詳しく見ていきましょう。
コンポスト化可能なティーバッグ
2021年6月から、T2のティーバッグはコンポスト化に対応しています。
ティーバッグ本体は植物ベースの材料で作られており、植物性インクで印刷された紙タグが付いています。
従来使われていた接着剤やホッチキスはヒートシールに変更されており、紐に使用されているのもサスティナブルな素材です。
ティーバッグごと全てコンポスト化可能なので、分別の手間を大幅に削減できると利用客から高評価を得ています。
ルーズリーフの袋のコンポスト化
紅茶専門店のT2では、ティーバッグだけではなく茶葉の状態として売られているルーズリーフもあります。
ルーズリーフは植物由来のポリ袋に入っており、ティーバッグ同様にコンポスト化可能です。
本来廃棄物として処理される袋を堆肥として再利用できるため、廃棄物削減に繋がるのはもちろん、植物の育成に役立てられるのもメリットです。
尚、T2ではルーズリーフを堆肥として使いたいユーザーのためのアドバイスを公式ホームページで公開しており、柑橘系のルーズリーフは避ける、少量から使って様子を見るといった使用上の注意を促しています。
サスティナブルな茶葉の追求
T2では、環境に優しい茶葉の厳選を行っています。
2018年に自社製品を調査したところ、茶葉のうちのわずか2%しか持続可能な方法で調達されていないことが分かりました。
そこで、T2は100 種類以上の茶葉の試飲や原材料の比較を実施し、従来の製品と近い風味を維持しながら環境への負荷も軽減できる茶葉をリサーチしました。
見直しを続けた結果、2020年にはハーブ原料の100%を自然由来で調達することに成功しています。
また、第三者認証機関でも検証が実施され、2021年6月以降は全ての自社製品が持続可能な方法で調達されています。
ラッピングの見直し
オーストラリアの定番土産としても人気の高いT2の製品は、ギフトとして用いられることも多々あります。
ラッピングは全てリサイクル可能な素材を使用している、もしくは必要最低限のラッピングにしており、ギフトとして渡した後に廃棄物が極力でないように工夫しています。
例として挙げられるのが、ショッピング用の紙袋です。
コンポスト化可能な素材で製造されており、紙袋を再利用しない場合には自宅で手軽にコンポスト化できる仕組みになっています。
また、さまざまなギフトボックスを販売するT2では、多くの製品にイタリアの製粉紙を採用しています。
製粉紙は水力発電と太陽光発電によって製造されており、企業の持続可能性を評価するプラットフォーム・EcoVadisでゴールド評価を得ている点が特徴です。
さらに、リサイクルプログラムを実施する団体と提携し、利用客がショッピング用の紙袋やプラスチック製の袋などを持ち込めるシステムを構築しました。
収集された素材はリサイクルされ、公園のベンチや屋外用家具といった新たな製品へと生まれ変わっています。
廃棄物監査レポートの作成と運用
企業全体の廃棄物削減を目指して、T2では廃棄物の転用に関する監査人システムを導入しています。
廃棄物の流れをより深く理解している専門機関に依頼し、T2の各店舗、サポートオフィス、流通センターをはじめとするさまざま施設での廃棄物管理を徹底しています。
監査人による廃棄物監査レポートが作成され、各都市における具体的な転用率を確認できる点がポイントです。
転用率は廃棄物が埋め立て地から再利用されるパーセンテージを表しており、T2の各店舗では平均90%の目標を達成しています。
特に人口が多いニューサウスウェールズ州の店舗では91%を2021年と2022年に記録しており、転用率の高い店舗の取り組みを転用率が低い店舗に活かすなどの具体策を取りながら改善を試みています。
サスティナブル店舗のオープン
環境への優しさを追求するT2は、2020年にニューサウスウェールズ州のボンダイ・ジャンクションにてサスティナブル店舗をオープンしました。
T2初のサスティナブル店舗はGreen Starストアの愛称で親しまれており、2021年にはさらにオーストラリア国内で3店舗をオープンしました。
T2の全てのGreen Starストアは、リサイクル木材や持続可能な認証を受けた素材といったサスティナブルな素材で作られています。
例として、ディスプレイ用の什器には80%にリサイクルガラスを採用したベタストーン(Betta Stone)が使われています。
ベタストーンはメルボルンで開発・製造されているため、メルボルンに本社を置くT2はベタストーンを積極的に活用することで地元産業への貢献も実現しているのです。
また、床材にもこだわっており、エコ企業であるEarp Brosが販売するタイルを使用しています。
Earp Brosの床タイルは、従来の床タイルと比べると製造で消費する原材料、水、エネルギーが59%、温室効果ガス排出量が57%も削減されています。
クリーンエネルギーの導入
地球温暖化の悪影響を最小限に抑えるために、店舗や工場でグリーンエネルギーを選択しています。
2020年2月にはメルボルンのサポートオフィスにソーラーパネルを設置し、2021年にはサポートオフィスの年間エネルギー使用量の約51%に匹敵する50,040kWhのクリーンエネルギーを生産しました。
また、各店舗におけるクリーンエネルギー達成率も2020年から2021年にかけて45%から50%まで増えており、3,226.4トン分の二酸化炭素の排出量(約23万本分のスギの木が1年間に吸収する量に匹敵)の削減に繋がっています。
しかし、ネットゼロを目標に掲げているT2は、さらなる二酸化炭素量の削減を目指しています。
現状に満足することなく見直しと対策の徹底を続けることで、自然環境に優しい企業として成長できると考えているのです。
まとめ
オーストラリアで人気を集めるT2は、製品の風味やバリエーションだけでなく、環境に配慮された企業としても高い評価を得ています。
特に廃棄物削減に力を入れており、自社での廃棄物削減に努めるほか、利用客が手軽にリサイクルできるように工夫を凝らしています。
サスティナブルな紅茶の製造と販売に取り組むT2。
オーストラリアを訪れる際は、ぜひT2でお土産探しをしてみてはいかがでしょう?