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【大学機関が行うエコ活動】オーストラリアのクイーンズランド大学が実践する環境に優しい取り組み

オーストラリアのクイーンズランド大学

オーストラリア東部に位置するクイーンズランド大学は、クイーンズランド州で最も古い歴史を持つ大学です。

州を代表する知名度の高い大学ということもあり、研究や学術だけでなく環境保全活動にも力を入れています。

地域や国全体の環境改善を目標としているため、学生のエコ意識改革に貢献するさまざまな取り組みを行っている点が特徴です。

今回は、そんなクイーンズランド大学が実施するエコ活動についてお話ししていきます。

クイーンズランド大学の基本情報

クイーンズランド大学の基本情報
出典:Spaceship Earth

クイーンズランド大学(The University of Queensland)は、通称「UQ」として親しまれている総合大学です。

クイーンズランド州の代表的な大学のひとつで、州都であるブリスベン市街地から約7㎞の場所にメインキャンパスを有します。

メインキャンパスではエンジニアリング、法律、ビジネス、アート、サイエンス、言語学、ツーリズムをはじめとする幅広いコースを提供しており、ほかにも農学部の拠点となっているGattonキャンパスや医学部を主とするHerstonキャンパスがあります。

5万人以上もの学生が在籍していますが、そのうちの約2万人は国外からの留学生という国際色豊かな大学です。

メインキャンパスのSt Luciaキャンパスにおける最大の見どころが、クイーンズランド州遺産に登録されている建造物・Great Courtです。

紫、ブラウン、クリーム色のパッチワークのような色合いのGreat Courtは、世界三大花木であるジャカランダの花の色とも相性が良く、毎年10~11月にキャンパス内を美しく彩ることで知られています。

オーストラリアの主要な大学のひとつ

クイーンズランド大学は、2023年に発表された世界大学ランキングで46位にランクインしています。

日本の偏差値に換算すると80前後と言われており、オーストラリアでは「The Group of Eight」のひとつに入っている有名大学です。

「The Group of Eight」は国内でも特に研究分野が優れている大学に与えられる称号で、以下の8大学が含まれています。

  • オーストラリア国立大学
  • ニューサウスウェールズ大学
  • シドニー大学
  • クイーンズランド大学
  • メルボルン大学
  • モナッシュ大学
  • アデレード大学
  • 西オーストラリア大学

「The Group of Eight」のひとつであるクイーンズランド大学は、国内でも影響力の高い大学です。

そのため、クイーンズランド大学が主体となって環境保全に取り組むことで、オーストラリア全体のエコ意識向上に貢献すると考えられています。

クイーンズランド大学で行われているエコ活動

ここでは、実際にクイーンズランド大学が行っている環境保全について見ていきましょう。


在来野生動物との共存

クイーンズランド大学St Luciaキャンパスのトカゲ
出典:Spaceship Earth

市街地から程近い場所に位置するクイーンズランド大学St Luciaキャンパスですが、敷地内には木々や大きな池があります。

カメ、トカゲ、魚、鳥類をはじめとするさまざまな野生動物が生息しているため、生物多様性管理プログラムを導入して動植物の保護を徹底しています。

大学スタッフや専門職員が敷地内の環境を定期的にチェックし、エコシステム破壊する恐れのある害虫や植物を積極的に排除するという取り組みです。

さらに、田舎に位置するGattonキャンパスでは、ワラビーやコアラなどの小型哺乳類が怪我をしている状態で発見されることも多々あります。

クイーンズランド大学は負傷している野生動物の保護やレスキュー隊への連絡などを行うことで、より多くの野生動物たちが健康に過ごせるよう工夫しています。

【関連記事】オーストラリアが行う野生動物とエコシステムを守りながら人間と共存するための取り組み【害はあるけど害獣じゃない!】

UQ Repair Café


クイーンズランド大学は、学生たちに廃棄物の削減意識を持ってほしいと考えています。

そのため、大学内にUQ Repair Caféと呼ばれる修理施設を設置し、学生が私物を修繕して使い続けられる環境を整えています。

UQ Repair Caféで修理を依頼した場合、修繕費は無料です。

ベテランスタッフの指導及び監督の下で見習いスタッフが修理を行う仕組みになっており、修理作業以外にも学生に対するスキル指導をしています。

持ち主が自身で修理するスキルを身につけることで、不必要な廃棄物の削減を実現しているのです。

Unwrappedプログラム

クイーンズランド大学のUnwrappedプログラム
出典:Spaceship Earth

5万人以上の学生が在籍するクイーンズランド大学ですが、特にメインキャンパスのSt Luciaキャンパスには多くの学生が通学しています。

大学内にはチェーン店をはじめとするレストランやファストフード店を集めた大規模なフードコートがあり、膨大な量の食品が日々オーダーされています。

当然、使い捨てプラスチックなどの環境に悪影響を及ぼすゴミの量も増えたことから、クイーンズランド大学はUnwrappedプログラムをスタートさせました。

エコフレンドリーな素材で食品を提供することにより、環境を意識した大学運営を目指しています。

尚、Gattonキャンパスではビュッフェスタイルの学食を提供することで、使い捨て容器やカトラリーの消費を最小限に抑えています。

UQ WARPit

クイーンズランド大学では、UQ WARPitと呼ばれるプログラムを実施しています。

WARPit はWaste Action Reuse Portalの略で、クイーンズランド大学のスタッフが不要になった家具、事務用品、実験装置などを寄付できるシステムのことです。

UQ WARPitに寄付された物品はwebサイトに掲載され、欲しい物品があればオンライン経由で手に入れることができます。

不要になった物を必要な人が手にすることで、廃棄を最小限に抑えて再利用率をアップさせているのです。

また、送料にかかる費用以外は実質無料となっており、学生の経済的な負担を軽減している点もポイントです。


リサイクルステーションの設置

クイーンズランド大学のリサイクルステーション
出典:Spaceship Earth

クイーンズランド大学では、大学内に100か所以上のリサイクルステーションを設置しています。

ゴミとリサイクルに関するガイドが掲示されており、学生が正確に各製品を分別できるシステムが整えられています。

また、クイーンズランド大学では、軟質プラスチック、電子機器廃棄物、化学廃棄物、蛍光管などの廃棄物を収集しているのも特徴です。

分別方法が分かりにくい素材を大学側が回収することで、各素材が汚染されることなくリサイクルされるように努めています。

SDGsに関するブログの投稿


サスティナブルな暮らしを推奨するために、クイーンズランド大学では定期的に環境関連のブログを更新しています。

身近に挑戦できるエコシステムの保全方法、食品ロスの減らし方、クリスマスやイースターをはじめとするシーズンイベントに合わせたエコトピックなどを投稿することで、学生たちや一般読者に環境保全の意識を高めてもらうことが狙いです。

また、クイーンズランド大学の学生コミュニティが行う環境イベントやワークショップの情報も公開しており、エコ活動に興味のある学生が参加しやすい環境を作っています。

グリーンアンバサダープログラム

環境保全と学生のキャリア支援を同時に叶えているのが、グリーンアンバサダープログラムです。

グリーンアンバサダープログラムでは、教授や専門スタッフのアドバイスを受けながら、学生が主体で環境問題への解決策やサスティナブルな未来へのアイデアを発案します。

大学内のリソースやネットワークを学生に提供するほか、サステナビリティ評議会の会議への参加なども促しており、学生が実践的な知識を培えるプログラムです。

実際の現場で環境に関するさまざまな経験を積めることから、就職活動を行う上でもメリットの多いエコ活動となっています。

尚、グリーンアンバサダープログラムには、バリエーション豊富な参加方法があります。

対面・オンライン、参加する時間や頻度、ジャンルなど、学生自身のキャパシティや希望に合う活動ができることから、無理なく環境保全を続けられる点も魅力です。

まとめ

オーストラリアクイーンズランド大学
出典:Spaceship Earth

クイーンズランド大学は、大学自体が行う取り組みのほかに、学生がエコ意識を高められる活動やプログラムにも力を入れています。

在学中に環境や動植物への保護を考えさせることで、卒業後も環境に配慮できる学生の教育に繋がります。

長期的なオーストラリアの環境保全を実現するためにも、クイーンズランド大学では常に新たなエコ活動を導入し続けているのです。