#17の目標

蜜蝋を食品用ラップの代わりに?オーストラリアが生み出したハニービーラップでプラスチックごみを減らそう!

ここ数年、プラスチックごみの問題が懸念されています。

買い物袋有料化やプラスチックストローの取りやめといったさまざまな取り組みが世界的に広がっていますが、家庭で頻繁に使用しているプラスチック・食品用ラップについて意識したことはありますか?

食品用ラップは、日常的に使い捨てることで膨大な量のプラスチックごみになります。

そんな中、環境への負荷を軽減するために作られたのがオーストラリア生まれのハニービーラップです。

再利用・コンポスト化可能、優れた抗菌作用、持続可能性の高さを兼ね備えており、食品用ラップのエコな代替品として注目を集めています。

この記事では、ハニービーラップの概要、持続可能性、使い方、メンテナンス方法などについて解説していきます。

食品用ラップが抱える問題点

普段わたしたちが日常生活で何気なく使っている食品用ラップは、プラスチック素材でできています。

家庭ごみの中の6割近くが容器包装材と言われており、食品用ラップの年間廃棄量は280万トンにも相当します。

薄くて軽いという特徴から問題視されにくい傾向にある食品用ラップですが、実は一人当たりでは年間17kgも消費しているのです。

石油由来のプラスチックは、原則として自然分解されない素材です。

紫外線分解によって上手く分解されたとしても400~1000年かかると科学者は想定しており、自然環境はもちろん、鳥類、哺乳類、海洋生物といったさまざまな野生動物へも悪影響を及ぼします。

2018年、神奈川県鎌倉市でプラスチックごみを食べたクジラの赤ちゃんが打ち上げられました。

オーストラリアでもプラスチックごみによる悪影響を受けた野生動物が多く存在しており、ウミガメがクラゲと間違えてプラスチックごみを食べたり、プラスチックごみを餌と勘違いして親鳥が雛鳥に餌付けして餓死させたりといった痛ましい事例がたくさんあります。

環境保全への第一歩として、食品用ラップの代替品を積極的に取り入れることが必要不可欠なのです。

そこで登場したのがハニービーラップ!

日本では、食品用ラップの代替品としてシリコンラップやシリコン製の蓋などが販売されています。

食品用ラップの使い捨て問題を解決するという意味では有益であり、オーストラリアでも量販店などでシリコン素材の製品が購入可能です。

しかし、シリコンもプラスチックと同様に、自然分解されにくいというデメリットを兼ね備えています。

コンポスト化には対応していない素材なので、廃棄する際に自然環境に悪影響を及ぼす可能性が高くなっています。

そこで、オーストラリア最東端の街・バイロンベイのハチミツ農場は、プラスチックごみ問題を解決するための代替品としてハニービーラップ(Honey Bee Wrap)を生み出しました。

ハニービーラップは、蜜蝋を使った食品用ラップです。

蜜蝋のほか、ココナッツオイル、天然松ヤニ、ホホバオイル、オーガニックコットンなどを使用しており、養蜂及び製造は全てオーストラリア国内で行っています。

ハニービーラップはツヤツヤとした手触りで、食品をそのまま直に包んだり、ボウルや皿にかぶせたり、食品用ラップのように使用できる点が特徴です。

サイズ展開も幅広く、ニーズに合わせてベストな製品を選べます。

尚、ハニービーラップは適切なメンテナンスによって、約1年間にわたって使用できます。

古くなったハニービーラップはコンポスト化できる仕組みになっており、年間で約800 万トンのプラスチックの削減に繋がるところも大きなメリットです。

蜜蝋の持続可能性

ハニービーラップが注目されている大きな理由に、持続可能性の高さが挙げられます。

ハニービーラップの主な原料は、ハチミツの生産過程で発生する蜜蝋です。

蜜蝋はハチミツ抽出の副産物であり、自然由来の蜜蝋は再生可能な素材としても知られています。

長期的に供給できる食品用ラップの代替品ということもあって、オーストラリア国内の多くの家庭で使用されています。

また、ハチミツ抽出の際に残る蜜蝋は、いわばハチミツを作る上で不必要なものです。

本来であれば廃棄される運命をたどりますが、ハニービーラップとして作り替えることで蜜蝋の廃棄量削減にも繋がります。

プラスチックごみと蜜蝋の両方の廃棄量を減らせるため、環境負荷の軽減に貢献する製品です。

尚、ハニービーラップには100%オーガニックコットンが使用されています。

オーガニックの繊維製品の基準と認証を行うGOTS 認定サプライヤーから調達しており、環境への影響を考慮した染料を採用しています。

ハニービーラップの使い方

普段あまりなじみのないハニービーラップですが、使い方はとても簡単です。

使用前のハニービーラップは、やや固い紙のような状態をしています。

そのままでは食材を包んでも形状を保てないので、表面が温まることで形が変化するという蜜蝋の特性を活かす必要があります。

ハニービーラップに食品を包んだら、ハニービーラップの上に手をのせて形状を整えながら押さえましょう。

食品とハニービーラップを密着させるように手を沿わせていくと、手の温度によって少しずつハニービーラップの形状が変化していきます。

一度ハニービーラップが形状をしっかりと保てるようになったら、冷蔵庫などで冷やしても形が戻ることはありません。

食品を出すときは優しくハニービーラップを開いて、再び手の温度で温めれば何度でも再利用可能です。

また、食品をそのまま包む以外にも、ボウルや皿の蓋代わりとしても使えます。

ボウルや皿に沿うように手を添えて温めれば、密封性と抗菌作用を高めながら食品を守れます。

ハニービーラップの衛生面や安全性について

プラスチックごみと蜜蝋の廃棄量削減に繋がるハニービーラップですが、「食品を包むのに何度も使いまわして本当に大丈夫なの?」「繰り返し使うなんて衛生面が気になる」といった抵抗意識を持つ方もいるかもしれません。

ハチミツは抗菌・殺菌効果が非常に高く、蜜蝋にも同様の効果が期待できます。

傷口への塗り薬などに使われている国もあり、プラスチック製の食品ラップよりも衛生管理しやすいというメリットがあります。

ハニービーラップは優れた抗菌・殺菌効果に加えて、製造過程においても抗菌ブレンドの成分を使用している製品です。

耐久性も高く、繰り返し使用しても破れたり形が崩れたりしにくくなっています。

密閉性を損なうことなく長期的に使用可能となっており、食品の鮮度を保てるところもポイントです。

また、しっかりとしたメンテナンスを意識することで、食品のヌメリなども防げます。

以下では、ハニービーラップの具体的なメンテナンス方法を詳しく見てみましょう。

ハニービーラップのメンテナンス方法

食品を包んだ後のハニービーラップには、中性洗剤を使うのがおすすめです。

清潔な布巾に中性洗剤をしみ込ませて、ハニービーラップを軽く拭いていきます。

その後、冷水で中性洗剤をしっかりと洗い流し、自然乾燥させればOKです。

ハニービーラップを包める食材とは?

衛生管理を徹底しながらハニービーラップを長く使うためにも、包める食品について知っておくことが大切です。

ハニービーラップは、野菜、果物、パン、サンドイッチ、ナッツ類といった幅広い食品を包むのに適しています。

ただし、蜜蝋が熱に弱いという特性上、汚れても熱湯消毒などができません。

ハニービーラップの汚染を防ぐためにも、菌が繁殖しやすい肉や魚などの生ものには使用しないのがおすすめです。

また、原料が蜜蝋のハニービーラップの中には、ボツリヌス菌がいる可能性も考えられます。

乳児が口にする食品は別に包むなど、使用上の注意を守ることが大切です。

ハニービーラップは日本でも買える?

ハニービーラップは、日本からでも公式オンラインショップで購入可能です。

ハニービーラップ以外のメーカーが販売する蜜蝋パックは日本国内の大手通販サイトなどで取り扱いがありますが、もし蜜蝋パックの元祖・ハニービーラップを手に入れたいという方は公式オンラインショップをチェックしてみましょう。

まとめ

ハニービーラップは、手軽にプラスチックごみ問題解決への取り組みに貢献できる便利な製品として注目されています。

使うだけでプラスチックごみの削減に繋がるため、一人ひとりが簡単に取り入れられる方法です。

「プラスチックごみを減らすために何かしたい!」と思っているのであれば、食品用ラップの代替品を考えることからはじめてみるのがおすすめです。