オシャレなオーストラリア土産として人気の高いUGG オーストラリア。
ファッション性の高さが魅力ですが、実は環境に配慮した製造や販売を行っていることはご存知ですか?
この記事では、UGGオーストラリアがどのように環境保全とファッションの両立を目指しているか解説していきます。
UGGオーストラリアとは?
UGGオーストラリアは、オーストラリア人のサーファー・ブライアンスミス氏によって1978年に創立されました。
オーストラリア生まれのブランドとして認識されているUGGオーストラリアですが、実は企業が設立されたのはアメリカのカリフォルニア州です。
オーストラリアでは昔から親しまれているシープスキンのブーツがアメリカでは流通していないことから、ブライアンスミス氏が販売を開始したという歴史があります。
ブーツ以外も!UGGオーストラリアの商品展開
モコモコ素材のUGGブーツのイメージが強いUGGオーストラリアですが、実はそのほかにも多彩な製品を取り扱っています。
・サンダル
・スリッポン
・革靴
・スニーカー
・靴下
・ジャケット
・帽子
・手袋
UGGオーストラリアの魅力でもあるモコモコ素材のスリッポン、帽子、手袋、ジャケットはもちろん、夏に使えるシンプルなサンダルなども販売されています。
良質な素材を使っていることから、UGGオーストラリアのさまざまな製品を愛用している国民も多いのが特徴です。
UGGオーストラリアのエコ活動
オーストラリアの文化を取り入れた製品で知名度を高めたUGGオーストラリアでは、近年環境に優しい以下のような取り組みも実践しています。
持続可能な調達
アパレル、スニーカー、スリッパといったバリエーション豊富な製品を販売するUGGオーストラリアですが、メインの製品として人気が高いのはやはりUGGブーツです。
モコモコとした肌触りの良いUGGブーツには、シープスキンが使われています。
UGGオーストラリアでは、よりサスティナブルな素材調達を行うべく、食用に動物を飼育している農場からシープスキンを仕入れています。
つまり、UGGオーストラリアで使われているシープスキンは、食用産業の副産物として生まれた素材です。
環境保全と動物福祉の観点から、UGGオーストラリアはシープスキンを調達するためだけに動物を飼育することには反対しています。
そこで、オーストラリアとニュージーランドの農家と契約を結び、食用に処理された後の羊皮をシープスキンとして仕入れているのです。
本来は廃棄されるはずであったシープスキンを有効活用できるのはもちろん、動物福祉にも配慮している取り組みとなっており、動物由来製品に対する倫理問題を懸念する層からも高い支持を得ています。
また、UGGオーストラリアのシープスキンの仕入れ先は、羊毛基準 (RWS)を満たしている農家に限定しています。
羊毛基準とは、羊と土地のマネジメントを徹底した農場からの仕入れ及び製造が一定の基準をクリアしている場合に受けられる国際認証です。
UGGオーストラリア自身も基準を満たしている企業として認定されており、自社のウール製品の99.94%を食品産業や認証済みの契約先から仕入れています。
サスティナブルな植物ベースの材料
持続可能なファッションを目指すべく、UGGオーストラリアでは植物由来の素材に着目しています。
代表的なものが、バンブー素材の靴下です。
ナイロンやポリエステルなどの靴下に含まれる繊維は、製造の段階で大量の水を必要とします。
繊維工業における年間の水の消費量は930億立方メートルとされており、東京ドーム約75,000個分にも匹敵します。
また、製造に伴い、温室効果ガスが排出される点も忘れてはなりません。
合成繊維はコットンなどの植物由来製品と比べると3倍もの温室効果ガスを排出するため、国連貿易開発会議は繊維・アパレル業界を環境汚染産業の2位にランクインさせています。
そこでUGGオーストラリアは、環境保全とファッションを両立させるためにバンブー素材の靴下の製造・販売を行っています。
竹は成長速度が非常に速く、切っても自然に再生する植物です。
他の植物と比べるとサスティナブルな素材となっており、不必要な天然資源の利用を抑えることにも繋がります。
合成繊維と比較すると耐久性も高く、長く使うことで廃棄物削減に貢献できるところもポイントです。
サトウキビEVAアウトソール
UGGは、靴の裏側に使われているアウトソールにサトウキビを使用しています。
従来は石油ベースのエチレンが利用されていましたが、製造過程において水質汚染や大気汚染などが懸念されてきました。
そんな中、植物由来の代替品として採用されたのがサトウキビです。
サトウキビは竹と同様に急速に成長するため、長期的に活用できる素材としてUGGオーストラリアでは重宝されています。
サスティナブルなレザーの導入
UGGオーストラリアでは、リサイクルレザーを積極的に採用しています。
自社製品の裏地にスクラップ素材が由来となっているリサイクルレザーを使用しており、廃棄されるはずであったスクラップ素材を高品質の新しい素材に加工することに成功しています。
また、持続可能な皮革の構築を目的とするコミュニティ・レザーワーキンググループ (LWG)と提携しており、本革を使う場合も環境に優しい仕入れを心掛けているのが特徴です。
リサイクルレザーの導入やレザーワーキンググループとの提携によって、UGGオーストラリアは5,300台分の車に匹敵する温室効果ガスの排出量と、54億人の飲み水の削減を実現しています。
UGG plushシリーズ
UGG plushは、再利用されたウールとリサイクルポリエステルなどの繊維をブレンドして製造しているシリーズです。
リサイクル素材を多く使用しているものの、シープスキンのような滑らかな感触を維持しています。
顧客の満足度を高めながら環境負荷を減らせるため、エコシリーズとして人気を博しています。
製造工場における温室効果ガスの排出量削減
UGGオーストラリアの製品を製造するにあたって、膨大なエネルギー消費と温室効果ガスの排出が伴います。
ファッション産業は特に温室効果ガスの排出量が多いジャンルとして知られており、UGGオーストラリアでは環境に優しい製造を追求してきました。
エコな製造を実現するため、UGGオーストラリアは石炭をエネルギー源としていた中国から、水力発電エネルギーをベースとするベトナムに製造工場を移行しました。
水力発電は水の流れを使った自然に近い発電方法で、温室効果ガスの排出量削減に繋がるというメリットがあります。
尚、さらなる排出量削減を行うべく、UGGオーストラリアは工場内で特に排出量が多いエリアの特定と改善にも力を入れています。
廃棄物を減らすためのテクノロジー導入
ファッション業界は、サンプルの製造に大量の廃棄物が発生しています。
サンプルの廃棄量を最小限に抑えるべく、UGGオーストラリアでは3Dプリンターをデザイン部門に導入しました。
オンライン上でのデザインと3Dプリンターを使うことにより、実際にサンプルを作る前にデザインを視覚化できるようになりました。
製造するサンプルの数を絞れるため、不必要なサンプルを生み出さないことで環境への負荷を軽減しています。
環境に優しい梱包材の採用
UGGオーストラリアでは、製品を販売した後の廃棄物問題にも配慮しています。
従来、UGGオーストラリアは箱やプラスチック素材の包装紙などで梱包を行っていました。
しかし、「再利用しにくい」「結局すぐにゴミになってしまう」といった顧客の声を受けて、現在ではコンポスト化可能な梱包を導入しています。
メジャーなものがダストバッグで、ナップサックのような形状をしているのが特徴です。
ナップサックは自宅でコンポスト化することもできますが、荷物を入れてバッグとして再利用する顧客も多くなっています。
再利用率がアップすることにより、廃棄物の根本的な解決に貢献しています。
まとめ
UGGオーストラリアは、責任ある製造や販売に力を入れている企業です。
シープスキンの仕入れ、製造過程での水、二酸化炭素の排出量、廃棄物の削減はもちろん、サスティナブルな植物を使った製品の開発にも努めています。
オーストラリアを訪れる機会があったら、ファッションとエコを両立するUGGオーストラリアの製品をぜひチェックしてみてくださいね。