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アンプラグドプログラミングとは?実践例をもとにメリット・課題などをわかりやすく解説

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IT技術の進歩により、私たちの生活や働き方は大きな変革の最中にあります。そんな中、プログラミングの知識ITリテラシーがないと、将来的に社会で不利になる可能性があります。

未来を担う子供たちに必要なスキルとして注目されるプログラミング教育。その中でも、コンピュータを使わずに学ぶ「アンプラグドプログラミング」の効果が注目されています。

しかしアンプラグドプログラミングとは何か、まだ知らない人も多いでしょう。そこで、アンプラグドプログラミングのメリットや実践例、課題などを、ITに詳しくない人にもわかりやすく解説します。

目次

アンプラグドプログラミングとは?

【実際のアンプラグドプログラミングの様子】

アンプラグドプログラミングとは、コンピュータや電子機器を使わずにプログラミングの基礎を学ぶ方法です。主な目的はプログラミング教育において基礎となる、

  • ロジカル思考(論理的思考)
  • 問題解決能力
  • チームワーク

などを育むことです。

また、アンプラグドプログラミングは、子供たちの創造性やロジカル思考を育むだけでなく、デジタルリテラシー※の基礎を身につける重要な手段でもあります。

アンプラグドプログラミングは、ITに詳しくなくても、誰でも簡単に始めることができ、さらには、子供の年齢や発達段階に合わせて、さまざまな活動を取り入れることが特徴です。

デジタルリテラシー

デジタル技術を使って情報を安全に収集・処理・共有するための能力やスキルのこと。現代社会において不可欠な能力。以下の3つの要素が含まれる。

  • 情報リテラシー:情報を収集・整理・評価する能力
  • メディアリテラシー:メディアの特徴や意図を理解する能力
  • テクノロジリテラシー:デジタル技術の原理や使い方を理解する能力

アンプラグドプログラミングの学習方法

【アンプラグドプログラミングの書籍の一例】

アンプラグドプログラミングでは、身近な素材や身体動作を使って、プログラミングの概念やアルゴリズムを体験的に学びます。例えば、色や形を使ったパターン作りや、指示を出す役割と実行する役割に分かれて行動するゲームなどがあります。

この方法は、幼稚園や小学生の子供たちにとっても分かりやすく、楽しく学ぶことができます。また、ITに詳しくないお母さんや小学校の先生にとっても、専門知識や機器の準備が不要なため、気軽に取り組むことができます。

次の章では、アンプラグドプログラミングが近年注目を集めている背景を確認しておきましょう。*1)

アンプラグドプログラミングが導入される背景

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世界経済フォーラムのレポートによると、2020年時点で、世界127カ国のうち、40カ国以上が初等教育でプログラミング教育を導入しています。また、2030年までに、すべての国で初等教育にプログラミング教育を導入することを目指しています。

プログラミングの授業が必修化

日本では、2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されました。2022年度からは、中学校でも必修化されています。高校では、2022年度から「情報I」が必修化され、プログラミング教育の要素が含まれています。

小学校

小学校のプログラミング教育では、子供たちが「プログラミング的思考」を養うことが目的です。具体的には、「ループ」や「条件分岐」などの基本的なプログラミングの概念を理解し、それらを用いて問題解決を行う能力を育てます。

これらの概念は、コンピュータがどのように指示を解釈し、タスクを実行するかを理解するための基礎となります。

そのため、小学校のプログラミング授業は、

  • プログラミング的思考の基礎
  • コンピュータの基本
  • プログラミングによる制作
  • 情報モラル

を中心に学習します。その際、

  • コンピュータを使わずにプログラミングの基本的な考え方やロジックが学べるアンプラグドプログラミング
  • Scratch※などのビジュアルプログラミング言語

を用いて授業が進められるのです。

Scratch(スクラッチ)

プログラミング初心者でも簡単にプログラムを作成できるブロック型プログラミング言語。ビジュアルなブロックを組み合わせることでプログラムの作成が可能。文字入力などのプログラミング言語に必要な専門的な知識がなくても、プログラムを作成することができる。

ビジュアルプログラミング言語

プログラミングのコードをテキストではなく、グラフィカルな要素やブロックを使って表現するプログラミング言語。プログラムを作成する際に、ブロックを組み合わせたり、つなげたりすることで、プログラムの流れや処理を視覚的に表現することができる。

中学校

中学校では、2021年度からプログラミング教育が全面的に開始されましたが、それ以前から「技術・家庭」の授業で「プログラムによる計測・制御」やネットワークの基本的な情報利用の仕組みなどに関する学習が行われていました。

中学校では、小学校よりも具体的な内容が求められ、プログラミングの基礎的な知識と技能、プログラミング的思考の育成をさらに深め、応用力を身につけることを重視しており

  • プログラミングの基礎的な知識と技能
  • プログラミング的思考の育成
  • 情報モラル

を中心に学習します。具体的には、Python※やJava※などのテキストプログラミング言語※を用いて、小学校より高度なプログラミングを学びます。

Python(パイソン)

シンプルで読みやすい文法を持つ高水準のプログラミング言語。Pythonは汎用性が高く、ウェブ開発、データ分析、人工知能など、さまざまな分野で広く使われている。

Java(ジャヴァまたはジャバ)

オブジェクト指向プログラミング言語の一つで、高い移植性、安全性、信頼性を持つ。Javaは、Webアプリケーション、モバイルアプリ、デスクトップアプリなど、幅広い分野で利用されている。

テキストプログラミング言語

コンピュータに対して命令を伝えるために文字や記号を使用するプログラミング言語。テキストプログラミング言語では、プログラムをテキストファイルに記述し、そのファイルをコンピュータが解釈して実行する。

高校

高校では、中学校よりもプログラミングの基礎的な知識と技能をさらに深め、より高度なプログラミングを学び、自分の興味や関心に合わせてプログラミングを活用できるようになることを重視しており、

  • プログラミング的思考の育成
  • 情報活用能力の育成
  • 創造性の育成

を中心に学習します。PythonやJavaなどのテキストプログラミング言語に加えて、C言語※やC++※などのより高度なプログラミング言語を用いて、より専門的なプログラミングを学ぶことができます。

C言語

プログラミング言語の一つで、高いパフォーマンスと低レベルの制御を提供する。システムプログラミングや組み込みシステムなど、効率的な処理と直接的なハードウェア制御が必要な場面で広く使用されている。

C++

C言語を基にしたオブジェクト指向プログラミング言語。C言語と互換性があり、C言語の機能を継承しつつ、クラスやオブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどのオブジェクト指向の機能を追加している。ゲーム開発、組み込みシステム、高速処理などの領域で広く使用されており、パフォーマンスと柔軟性を求める場合に特に適している。

プログラミング教育の現状

2023年9月現在、プログラミング教育の必修化から3年が経過していますが、まだすべての学校で授業が実施されているわけではありません。プログラミングの授業が実施されている場合でも、その内容や時間数は学校によって異なります。

また、アンプラグドプログラミングのみで実施している学校も少なくありません。つまり、アンプラグドプログラミングを含めたプログラミングの授業の普及状況は、まだ十分ではないのが現状です。

次の章ではアンプラグドプログラミングの役割について解説します。*2)

アンプラグドプログラミングの役割

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今後さらに学校教育などで推進されるプログラミング教育において、アンプラグドプログラミングの役割は重要です。アンプラグドプログラミングで身につくものを確認しましょう。

抽象化の理解

プログラミングでは、現実世界の問題をコンピュータが理解できる形に変換する抽象化の概念が重要です。アンプラグドプログラミングでは、物理的なオブジェクトやアクティビティを使用して、抽象化のプロセスを体験することで、抽象化の理解を深めることができます。

アルゴリズムの学習

アンプラグドプログラミングでは、手順や手続きを明確に定義して問題を解決するアルゴリズムの概念を学ぶことができます。物理的なアクティビティを通じて、アルゴリズムの流れ手続きの重要性を実感することができます。

チームワークとコミュニケーション

チームワークとコミュニケーションは、プログラミングにおいて重要なスキルです。チームでプロジェクトを進める際には、メンバー間の意思疎通や協力が不可欠です。

アンプラグドプログラミングは、グループでの活動やパートナーとの協力を通じて行われることが多く、チームワークコミュニケーションの重要性を学ぶことができます。

論理的思考の発展

アンプラグドプログラミングは、問題解決や論理的思考を養うために役立ちます。物理的なアクティビティを通じて、問題を分析し、解決策を見つけるための論理的思考を発展させることができます。

このように、アンプラグドプログラミングは、初心者や子供にとって特に有益です。コンピュータやデバイスを使用せずにプログラミングの基礎を学ぶことで、概念やスキルをより具体的に理解することができます。また、アンプラグドプログラミングは、コンピュータへのアクセスが制限されている環境でも実施できるため、幅広い環境で活用することができます。

*3)

アンプラグドプログラミングの実践例

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それでは、アンプラグドプログラミングの実践例を見ていきましょう。

【小学校低学年】ゲームを用いたアンプラグドプログラミング

【実際の授業の黒板】

小学校低学年の子供たちには、ゲームを通じてアンプラグドプログラミングを学ぶことが効果的です。例えば「人さがし」は、たくさんの情報の中から必要な情報を選択し、順次処理を用いて、絵の中の特定の人物を探す問題を作るというゲームです。子供たちは、フローチャートの見方、書き方を確認し、プログラミングの基本的な概念を学びます。このようなゲームを通じて、子供たちは命令の順序や条件分岐などの基本的なプログラミングの概念を楽しみながら学ぶことができます。

【実際の低学年向けアンプラグドプログラミングの内容の一部】

【小学校高学年】プリントを使用したアンプラグドプログラミング

【実際の学習プリント】

小学校高学年の子供たちは、ワークシートなどのプリントも使用してアンプラグドプログラミングを学びます。例えば、算数「正多角形と円」のプリントでは、子供たちは指定されたプログラムづくりに従って課題を解きます。このような活動を通じて、子供たちはアルゴリズムの作成問題解決のスキルを学びます。また、プリントを使うことで、子供たちは自分で考えて解答を書き込み、論理的思考力を鍛えることができます。

【実際の高学年向けアンプラグドプログラミングの内容の一部】

【中学校】トランプを使ったアンプラグドプログラミング

中学生には、トランプを使ったアンプラグドプログラミングも効果的です。例えば、「トランプソート」では、トランプのカードを特定の順序に並べ替えるという課題を通じて、ソートアルゴリズムを学びます。この活動を通じて、複雑な問題を解決するためのアルゴリズムの概念を深め、論理的思考力を鍛えることができます。

【高校】高度なアンプラグドプログラミング

高校生には、より高度なアンプラグドプログラミングが求められます。例えば、「バイナリーサーチ」では、数列の中から特定の数を見つけるためのアルゴリズムを学びます。この活動を通じて、効率的な検索アルゴリズムの理解を深め、より高度な論理的思考力を鍛えることができます。

【バイナリーサーチ図解】

このようなアンプラグドプログラミングの活動は、デジタルデバイスに依存する現代社会において、子供たちがコンピューターを使わずにプログラミングの楽しさを体験したり、現実社会とのつながりを理解したりできる大きなメリットがあります。次の章では、さらにアンプラグドプログラミングのメリットに注目してみましょう。*4)

アンプラグドプログラミングのメリット

アンプラグドプログラミングのメリットは多岐にわたります。具体的な理解からコスト効率、そして教育の機会均等まで、その利点を確認していきましょう。

デジタルデバイス不要

アンプラグドプログラミングは、PCやタブレットなどのデジタルデバイスを必要としません。これは、特にデバイスへのアクセスが制限されている状況や、デバイスの準備や管理に時間とコストがかかる学校教育の現場で大きなメリットとなります。

ITに詳しくなくても始めやすい

アンプラグドプログラミングは、コンピューターなどのデジタルデバイスを必要としないため、ITに詳しくない人でも始めやすいというメリットがあります。具体的なコーディングスキルや専門的な知識を必要とせず、ゲームやアクティビティを通じてプログラミングの基本的な概念を理解することができます。

子供の年齢や発達段階に合わせて学べる

アンプラグドプログラミングの活動は、子供の年齢や発達段階に合わせて調整することが可能です。例えば、小さな子供にはシンプルな命令の順序を学ぶゲームを、より年齢が上の子供には複雑な問題解決を必要とするアクティビティを提供することができます。

論理的な思考力や問題解決力を育むことができる

アンプラグドプログラミングは、子供たちが自分で考え、問題解決のためのステップを考え出すことを促します。これにより、論理的思考力や問題解決力を鍛えることができます。

創造性を育むことができる

アンプラグドプログラミングのアクティビティは、子供たちが自分でアイデアを出し、そのアイデアを形にすることを促します。これにより、創造性を育むことができます。例えば、子供たちは自分でゲームのルールを作り出したり、物語を作り出したりすることで、創造的な思考力を鍛えることができるのです。

これらのメリットを通じて、アンプラグドプログラミングは生徒たちがプログラミングの基本的な概念を具体的に理解し、コンピュータ上で同じ概念を適用する際に役立つ基礎知識を身につけることができる強力な教育ツールであることがわかります。これらの活動は、生徒たちが技術と創造性を組み合わせて問題を解決する能力を育むための重要な第一歩となります。

アンプラグドプログラミングのメリットは他にも、

  • 子供達が楽しくチームで取り組むことで、お互いの絆を深めることができる
  • 個々の特性を理解し、役割を分担することを学べる
  • 現実世界とプログラミングのつながりを理解できる

など、たくさんあります。*4)

アンプラグドプログラミングのデメリット・課題

アンプラグドプログラミングは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを理解し、より効果的な教育方法を見つけることが大切です。

教員の指導力や教材の不足

アンプラグドプログラミングは、従来のプログラミング教育とは異なるため、教員の指導力や教材の不足が課題となっています。

教員の中には、アンプラグドプログラミングの経験や知識が十分にない場合もあります。また、アンプラグドプログラミングに適した教材は、まだ十分に整備されていません。

コーディングスキルの習得には限界がある

アンプラグドプログラミングは、プログラミングの基本的な概念を学ぶのには有効ですが、具体的なコーディングスキル※を習得するのには限界があります。具体的なプログラミング言語を学ぶためには、やはりPCなどのデバイスを使って実際にコードを書く経験が必要です。

コーディングスキル

プログラミング言語を用いて、コンピュータープログラムを記述するスキル。

複雑なプログラムを理解するのは難しい

アンプラグドプログラミングは、比較的単純なプログラムの概念を学ぶのには適していますが、より複雑なプログラムを理解するための教育には限界があります。複雑なデータ構造やアルゴリズムを理解するためには、具体的なコードを書き、その動作を確認することが重要です。

ジェンダーギャップ

プログラミング教育におけるジェンダーギャップは、現在のところ、かなり顕著な問題となっています。特に日本では、STEM(科学・技術・工学・数学)教育分野におけるジェンダーギャップが大きい状況にあります。

例えば、日本の工学系の大学で学ぶ女性は15%しかおらず、「女性は理工系は苦手」という偏見も根強いのが現状です。また、プログラミング分野では「男女比8対2」の社会的損失※が指摘されています。

「男女比8対2」の社会的損失

プログラミング分野における「男女比8対2」の社会的損失とは、ITやプログラミング分野で活躍できる職業を選択する女性が少ないことによる問題を指す。この状況は、ITエンジニアという職業を選択する女性が少ないため、採用する側も結果として男性に偏ってしまうことが原因とされている。

今後は、これらの課題を解決しながら、プログラミング教育のさらなる普及と充実が求められます。

これらのデメリットを考慮に入れることで、教師や学習者はアンプラグドプログラミングの限界を理解し、それを補完するための他の学習方法を探求することができます。アンプラグドプログラミングはあくまで一つの手法であり、最終的にはそれがどのように組み合わされ、適用されるかが最も重要です。

しかし、現状深刻な課題となっているジェンダーギャップについては、アンプラグドプログラミングによって男女問わず、誰でも平等にプログラミングを学ぶ機会が得られるようになり、プログラミング教育におけるジェンダーギャップが解消される可能性もあります。

*6)

アンプラグドプログラミングに関してよくある疑問

特に子供達の保護者世代から上の年齢層には、まだまだよく知られていないアンプラグドプログラミングについての、よくある疑問に答えていきます。

アンプラグドプログラミングはどの年齢層に適しているの?

アンプラグドプログラミングは、幼児から大人まで、あらゆる年齢層に適しています。活動は参加者の年齢や経験に合わせて調整することができ、基本的なプログラミングの概念から高度な概念まで幅広くカバーすることができます。

アンプラグドプログラミングはどのように始めればいい?

アンプラグドプログラミングは、様々な方法で始めることができます。例えば、ビーズや折り紙を使ってプログラムを作成するなど、手軽に始めることができるものも多くあります。また、書籍やオンライン教材も豊富にありますので、自宅で始めることも可能です。

親や教員の負担にならない?

アンプラグドプログラミングは、特別な機器やソフトウェアを必要としないため、親や教員の負担を軽減することができます。また、多くのアンプラグドプログラミングの活動は、指導者がプログラミングの専門知識を持っていなくても実施できるように設計されています。

未就学児でもできる?

アンプラグドプログラミングは、未就学児からでも始めることができます。ゲームやパズル、物理的な活動を通じて、子供たちはプログラムの作成やデバッグ※、アルゴリズムなどを学びます。また、視覚的な要素を取り入れた教材も多く、子供たちが楽しみながら学ぶことができます。

デバック

プログラムの実行時に発生するエラーや不具合を修正すること。プログラムの動作を確認して、エラーが発生している箇所を特定し、修正することによってプログラムを正常に動作させることが目的で、プログラミングにおいて欠かせない作業の1つ。

教材はダウンロードできる?

インターネット上には多くのアンプラグドプログラミングの教材が無料で提供されており、ダウンロードして使用することができます。ただし、教材を使用する前には著作権に注意し、必要な許可を得ることが重要です。

次の章ではアンプラグドプログラミングとSDGsの関係を考えてみましょう。*7)

アンプラグドプログラミングとSDGs

アンプラグドプログラミングとSDGsは、一見無関係に思えるかもしれませんが、実は深い関連性があります。アンプラグドプログラミングは、未来を担う子供たちがプログラミング思考を身につけ、持続可能な未来の創造に貢献するために重要な教育手法となる可能性があります。

特に関連の深いSDGs目標を確認しましょう。

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」

アンプラグドプログラミングは、子供たちにプログラミングの基本的な思考を身につけさせることで、質の高い教育の実現に貢献します。プログラミング思考は、問題解決能力や論理的思考力を養うための重要なスキルであり、これらのスキルは持続可能な未来を創造するために必要不可欠です。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

アンプラグドプログラミングは、ジェンダー平等を実現することができます。現在、STEM(科学・技術・工学・数学)教育分野においては、男女間の格差が大きい状況にあります。しかし、アンプラグドプログラミング教育の実践による報告では、STEMでの男女の能力差はなく、幼少期にこうした機会にふれたことがあるかどうかが影響していることが示唆されています。そのため、アンプラグドプログラミングは、女性の子供たちにもプログラミングへの興味や自信を持たせることができます。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」

アンプラグドプログラミングによって、ITへの興味や関心を高めることで、将来的にITを活用した仕事に就く可能性を高めることができます。ITは、さまざまな分野で活躍が期待されるため、働きがいも経済成長も実現する社会の実現に貢献することができます。

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

アンプラグドプログラミングは、子供たちが技術革新を推進する力を育むための手段でもあります。プログラミング思考を身につけることで、子供たちは新たな技術を生み出すための基盤を築くことができます。これは、持続可能な産業の発展に直結します。

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」

アンプラグドプログラミングを活用することで、より多くの人がプログラミング的思考力を身につけ、ITへの興味や関心を高め、持続可能な社会の実現に貢献することができます。

アンプラグドプログラミングは、ITにあまり精通していない人でも、身近な道具や素材を使って取り組むことができます。誰もが気軽に参加することができるので、人や国の不平等をなくし、SDGsの達成に向けた取り組みを広げることができると考えられます。

>>SDGsの目標について詳しくまとめた記事はこちらから

まとめ

プログラミング教育アンプラグドプログラミングは、今後の社会の変革において重要な役割を果たします。プログラミング教育は、単にコードを書く技術を身につけるだけでなく、論理的思考や問題解決能力を養うための重要な手段です。

テクノロジーの進歩により、私たちの生活はますますデジタル化されていきます。このような状況下で、プログラミングスキルは新たな「リテラシー」となりつつあります。

しかし、全ての人がコンピュータを使ってコードを書くことができるわけではありません。そこで重要となるのがアンプラグドプログラミングです。

アンプラグドプログラミングは、コンピュータを使わずにプログラミングの基本的な概念を学ぶ手法です。また、誰でもアクセスしやすい形でプログラミング教育を提供します。

アンプラグドプログラミングは子供たちにプログラミング思考を身につけさせ、未来を創造する力を育むための重要な手段です。アンプラグドプログラミングによるプログラミング教育は、SDGsの多くの目標実現にも貢献することができます。

アンプラグドプログラミングは手軽に取り組むことができるため、初心者はまず、アンプラグドプログラミングから始めてみることをおすすめします。また、子供たちのプログラミング教育だけでなく、大人もプログラミング学習に取り組むことで、未来のグローバル市場に対応するための競争力を身につけることができます。

ぜひ、アンプラグドプログラミングを活用して、プログラミング教育・プログラミング学習に取り組んでみてください。アンプラグドプログラミングは、加速するデジタル化へ適応するための第一歩を、誰でも簡単に踏み出すことができる重要なツールなのです。

〈参考・引用文献〉
*1)アンプラグドプログラミングとは?
東京都教育委員会『No.140 PETSのプログラミングにちょうせんしよう』
Amazon『親子でかんたん スクラッチプログラミングの図鑑 【Scratch 3.0対応版】 (まなびのずかん) 単行本(ソフトカバー)』(2019年7月)
文部科学省『小学校プログラミング教育の手引』
山梨大学『小学校におけるプログラミング的思考の育成を促すため授業計画及びその指導法の提案』(2021年)
武川 亮平『各教科の学習の助けとなるアンプラグドプログラミング学習の試み-複雑な手順を論理的に操作する活動を通して-』(2022年)
プログラミング能力検定『プログラミング教育とは?小中高別のプログラミング学習内容や必修化の理由を解説!』(2023年2月)
尼崎市立教育総合センター『プログラミング教育』
*2)アンプラグドプログラミングが導入される背景
兼宗 進『小中高で必修科されるプログラミング教育とそれに向けた研究の紹介』
倉橋 農,・越智 徹『子ども向けアンプラグド・プログラミング教材「ハンバーガー・ロボ」』(2020年)
武川 亮平『各教科の学習の助けとなるアンプラグドプログラミング学習の試み-複雑な手順を論理的に操作する活動を通して-』(2022年)
向田 茂,安田 光孝『小学校プログラミング教育導入にむけたプログラミング的思考の領域理解』(2020年3月)
前橋市『プログラミング教育の推進を目指した情報主任の取組―プログラミング教育の実践に向けた校内サポートを通して―』(2020年)
加古川市教育委員会『プログラミング教育について』(2021年3月)
*3)プログラミング教育とアンプラグドプログラミング
プログル『プログル情報』
尼崎市立教育総合センター『プログラミング教育』
高知県『ICT活用ハンドブック』
*4)アンプラグドプログラミングの実践例
東京都教育委員会『No.51 PETSのプログラミングにちょうせんしよう』
岐阜県『小学校プログラミング教育実践事例集』
東京都教育委員会『No.32 やってみよう プログラミング』
ソースコード探険隊『バイナリーサーチ/二分探索』
田中 良研,中田 充『小学校におけるアンプラグド形式のプログラミング教育実践』(2019年12月)
日本STEM教育学会『小学校第1学年におけるプログラミング教育導入時のカリキュラム開発に関する一考察』
早川 裕貴『既存の授業でプログラミング的思考力を高める指導方法の工夫-4年「垂直・平行と四角形」の授業を通して-』(2021年)
柏原 永知『プログラミング的思考を育む小学校理科学習指導の工夫― 「順次」「分岐」「反復」の三つの思考の型を取り入れた学習活動を通して ― 』
プログラミング能力検定『プログラミング教育とは?小中高別のプログラミング学習内容や必修化の理由を解説!』(2023年2月)
プログラミング能力検定『小学校で学ぶプログラミング教育を解説!小学校での授業事例や家庭のプログラミング学習方法も紹介』(2023年4月)
内田洋行『新学習指導要領で行われるプログラミング教育』
永田 奈央美『プログラミング的思考を育成するためのアンプラグド型の教育実践』
*5)アンプラグドプログラミングのメリット
文部科学省『小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について』(2016年6月)
千葉県学校教育情報ネットワーク『CSアンプラグドに基づく授業実践-情報処理教育での数値処理・アルゴリズムを楽しく学ぶ-』
足利 昌俊『ロボットトイが拓く先進的統合型プログラミング教育』
*6)アンプラグドプログラミングのデメリット・課題
みんなのコード『〈シンポジウム〉全国の学校教育におけるプログラミング教育・高校「情報I」の実態と未来』(2023年9月)
*7)アンプラグドプログラミングに関してよくある疑問
鹿児島県総合教育センター『小学校プログラミング教育Q&A』
広島大学『プログラミング的思考を育成する学習指導に関する研究― アンプラグドコンピュータサイエンスに基づく教材開発を通して ― 』
名古屋芸術大学『未就学児向けプログラミング学習教材の開発と実践』(2022年)
*8)アンプラグドプログラミングとSDGs
経済産業省『SDGs』