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VCSとは?導入のメリット・デメリット、企業事例も

VCSと言われても、まだ聞き慣れない言葉かもしれません。実は、VCSは国際的な認証基準に基づいた、温室効果ガス排出削減や人々の生活向上のためなどのプロジェクトへの投資を可能にする画期的なツールなのです。

本記事では、VCSの基本的な仕組みから、導入のメリット・デメリット、活用している企業の事例もわかりやすく解説します。今後さらに重要性を増していくと予想されるVCSについての基本を理解し、ビジネスチャンスを増やしたり、社会人としてより良い選択に役立てましょう。

目次

Verified Carbon Standard(VCS)とは

【VCS標準】

Verified Carbon Standard(以降VCS)は、

  • 温室効果ガス排出削減や除去
  • 人々の生活改善
  • 自然保護

などを目的としたプロジェクトに資金を提供する、Verra(ヴェラ)※という非営利団体によって運営されている民間主導のカーボン・クレジットプログラムです。このプログラムは、これまで10億トン以上の二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出量を削減・除去してきました。

VCSは、環境保護に取り組むための重要なプラットフォームとして、国際的な認知度も高く、世界中の参加者に支持されています。

※Verra

2006年に設立され、温室効果ガス排出削減プロジェクトの認証とクレジット発行を行う国際的な認証機関。VCS(世界で最も広く利用されている温室効果ガス排出削減プロジェクトの認証プログラム)はVerraの主な活動のうちの1つで、ほかにもSustainable Development Verified Impact Standard (SD VISta:SDGs目標への貢献を認証するプログラム)やClimate Action Reserve (CAR:北米における温室効果ガス排出削減プロジェクトの認証プログラム)などがある。

立ち上げの背景

VCS立ち上げの背景には、京都議定書※による気候変動対策があります。京都議定書では、途上国の温室効果ガス排出削減事業は「クリーン開発メカニズム(CDM)」※として取引を承認しましたが、先進国の削減プロジェクトは対象外でした。

このため、2005年に米国カーボン市場投資アドバイザーのClimate Wedge社とそのビジネスパートナーであるCheyne Capitalが共同で、Verraの前身である自主的カーボン基準(VCS : version1.0)を立ち上げ、先進国も取引対象としました。

※京都議定書

1997年に京都で行われた国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された国際条約。先進国の温室効果ガス排出量削減義務、削減目標、削減方法などが検討され、地球温暖化対策の国際的な枠組みを構築するとともに、先進国の排出削減義務を初めて明確化した。

※クリーン開発メカニズム(CDM)

京都議定書に基づく市場メカニズムの1つで、先進国が途上国において温室効果ガス排出削減プロジェクトを実施し、その削減量を自国の排出量削減目標達成に充当できる制度。プロジェクトによって削減された排出量をCER(Certified Emission Reduction)として認証し、先進国がCERを購入することで、自国の排出量削減目標達成に充当できる。

カーボン・クレジットとは

カーボン・クレジットとは、温室効果ガスの排出削減・吸収量を1トンあたり1クレジットとして計量化し、取引可能な証書にしたものです。VCSは、カーボン・クレジットの発行・認証を行う国際的な制度の1つです。

【関連記事】カーボンクレジットとは?仕組みや種類、ビジネスの活用事例、個人で取引可能?

ボランタリー・クレジットとは

ボランタリー・クレジットとは、国連や政府の規制に基づくものではなく、企業や個人の自主的な取り組みとして購入されるカーボン・クレジットです。ボランタリー・クレジットは、以下の2つの側面から定義されます。

  1. 民間認証機関による認証に基づいて発行されること
  2. 法的な排出削減義務の履行ではなく、自主的な取り組みとして購入されること

つまり、VCSはカーボン・クレジットの中でもボランタリー・クレジットに分類されます。*1)

【関連記事】ボランタリー・クレジットとは?種類や日本の現状、購入方法も

Verified Carbon Standard(VCS)の仕組み

【VCSが重点をおくブルーカーボン※への取り組み例】

VCSは、厳格な評価プロセスを経たプロジェクトに対してVerified Carbon Unit(VCU)※を発行し、カーボン・クレジット市場での収益化を可能にする仕組みです。このシステムの特徴と振興の手順を確認しましょう。

※ブルーカーボン

海草藻場、干潟、マングローブ林などの沿岸・海洋生態系に蓄積された炭素のこと。これらの生態系は、陸上森林よりも多くの炭素を蓄積する能力があり、地球温暖化対策において重要な役割を果たしている。

【関連記事】干潟とは?仕組みや役割、生息する生き物、守るための取り組みも

※Verified Carbon Unit(VCU)

Verraが発行するVCSに基づいて認証された排出削減クレジット。発行から取引まで全てブロックチェーン上で管理されており、透明性の高い取引が可能。

システムの特徴

VCSプログラムでは、以下の3つの特徴があります。

①独立した監査

VCSプログラムプロジェクトは、Verraスタッフと資格のある第三者による独立した監査を受けます。これにより、プロジェクトが標準のルールと要件を遵守していることが確認されます。

②会計方法論

プロジェクトで削減された温室効果ガスの効果を数値化するために、具体的なステップが決められています。さらに、専門家によって検証された排出削減の計算式も使われます。

③レジストリシステム

VCSプロジェクトに関連するすべての情報はレジストリシステムに保存され、一般に公開されます。Verraレジストリは、すべてのVCUの生成と廃止※も追跡します。

VCSのレジストリシステムは、Verraの基準とプログラムの実施の要となります。このシステムでは、認定されたプロジェクトの情報や発行されたクレジット、取り消されたクレジットが透明にリスト化され、クレジットの取引を可能にします。プロジェクトを登録したり、ユニットを発行・取り消し・移転したい法人は、アクティブなVCSのレジストリアカウントが必要です。

※廃止

VCUは、二重発行、不正行為、プロジェクトの失敗などの理由で廃止(無効化)される場合があり、VCUが廃止されると、レジストリシステムから削除される。

プロジェクトの進行手順

プロジェクトの進行手順は以下の通りです。

【VCS 植林による吸収量クレジット認証までの流れ】

①プロジェクト実施者が、VCSにプロジェクトを登録

プロジェクト実施者は、VCSにプロジェクトを登録し、厳密な基準に従ってプロジェクトを実行します。

②第三者機関による厳格な審査

プロジェクトは、VCSの基準に従って独立した第三者機関による厳格な審査を受けます。これにより、プロジェクトが要件を満たしていることが確認されます。

③審査合格後、削減・吸収量に見合ったクレジット発行

プロジェクトが審査に合格すると、削減または吸収された二酸化炭素量に応じたVCUが発行されます。

【VCS 小規模植林プロジェクトのCO2吸収量算定プロセス(ケニアでのプロジェクトの例)】

④企業などがクレジットを購入し、排出量を相殺

発行されたVCUは企業などによって購入されます。そして、カーボン・クレジット市場で取引され、温室効果ガス排出量の相殺(カーボン・オフセット)※や気候変動緩和活動の支援に活用されます。

※カーボン・オフセット

企業や個人が排出する温室効果ガス(主に二酸化炭素)を、別の場所で削減することで、排出量を埋め合わせる仕組み。カーボン・クレジットを購入することでも、クレジット相当分のカーボン・オフセットが可能。

【関連記事】カーボンオフセットとは?仕組みや目的、カーボンニュートラルとの違いや企業事例を解説!

VCSの仕組みは、国連主導のカーボン・クレジット(CDMなど)と比較して柔軟で幅広い種類や規模のプロジェクトがあり、その補完的な役割も担うものですが、まだ「誰にもわかりやすく、誰でも参加しやすい」というまでには達していないのが現状です。今後、さらにクレジット発行・取引が活性化する中で、より良いシステムを開発していくことが求められています。*2)

Verified Carbon Standard(VCS)を導入するメリット

【ルワンダにおけるデルアグア・クリーン・クッキング・グループ化プロジェクト】

VCSは、数あるカーボン・クレジット制度の中でも、特に高い信頼性と透明性を誇る国際的な認証基準です。VCSを選ぶことで、以下のようなメリットを得ることができます。

政府主導・国連主導との比較:VCSの独自性

VCSは、政府や国連などの国際機関が主導する制度とは異なり、民間主導のプログラムです。そのため、以下のような点で柔軟性と多様性に優れています。

  • プロジェクトの種類:革新的な取り組みなど、多種多様な種類のプロジェクトが認証されている
  • プロジェクト規模:小規模なものから大規模なものまで、さまざまな規模のプロジェクトが存在
  • プロジェクト地域:世界中の地域で実施されているプロジェクトから選択できる

このような特徴から、VCSには、より企業や団体のニーズに合ったプロジェクトを選択できるという大きなメリットがあります。

その他ボランタリー・クレジットとの比較:VCSの強み

VCSは、他のボランタリー・クレジット制度と比較して、以下のような点で高い信頼性透明性が評価されています。

  • 厳格な審査基準:Verraが定める厳格な審査基準
  • 第三者機関による監査:Verra認定の独立第三者機関による定期的な監査
  • 公開情報:プロジェクト情報や認証情報などが公開されており、誰でもアクセスできる

このように、VCSは、クレジットの質と効果を保証する仕組みがしっかりと構築されているため、安心して利用することができます。

これらのメリットからVCSは、現状では国際的なボランタリー・クレジットの中でもクレジット発行量・取引量ともに最も多い認証機関です。*3)

Verified Carbon Standard(VCS)を導入するデメリット

カーボンクレジット市場は近年急速に成長しています。しかし、まだ発展途上であるため、VCS導入にはいくつかデメリットや課題も存在します。

コストと時間

VCS認証取得には、審査や監査などの手続きが必要で、コストと時間がかかります。特に、プロジェクト規模が大きかったり、複雑だったりする場合は、認証取得までに数ヶ月から数年かかることもあります。

また、認証取得後の維持管理にも継続的なコストがかかります。

複雑な手続き

VCS認証手続きには、

  • プロジェクト設計書の作成
  • 書類提出
  • 審査
  • 監査

など、多くのステップが必要ですが、専門的な知識や経験が必要となる複雑な作業が必要な箇所が多く存在します。そのため、専門家への依頼が必要となる場合が多く、さらにコストがかかります。

基準の複雑性

VCSは、国際的な基準に基づいて運営されていますが、その基準は非常に複雑で、専門知識がないと理解することが難しい場合があります。VCSの基準は定期的に更新され、情報は、VCSの公式サイトで公開されています。

クレジット価格の変動

VCSクレジットの価格は、他のカーボン・クレジットと同様に、市場の需給関係によって変動します。そのため、企業が購入するクレジット価格は、将来にわたって保証されるわけではありません。

グリーンウォッシュの可能性

グリーンウォッシュとは、実際よりも環境に配慮しているように見せかける行為を指します。VCS認証取得は、グリーンウォッシュを防ぐための手段の1つですが、万能ではありません。

VCS認証を取得すれば、企業は環境に配慮していることをアピールすることができます。しかし、認証取得だけで十分な排出削減効果を達成しているとは限りません。

国際的な基準との整合性

VCSは、各国の排出削減目標や政策との整合性がない場合があります。各国の排出削減目標や政策も、年々変化する場合があるので、注意を払う必要があります。

VCS導入には、コストや時間、複雑な手続き、各国の政策との整合性など、いくつかのデメリットがあります。これらのデメリットを理解した上で、メリットと比較して導入を検討することが重要です。*4)

Verified Carbon Standard(VCS)を導入している企業事例

VCSは、世界中の多様な企業が参加する、国際的に認知度の高いカーボン・クレジットプログラムです。エネルギー、製造業、農業など、幅広い業界の企業がVCSを導入し、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいます。

世界の企業事例:Google

【世界各地のGoogle Cloud Platformのカーボンフリー エネルギー使用割合】

Googleは、自社のオペレーションで発生するCO2排出量をオフセットするために、VCS認証のカーボン・クレジットを購入しています。これにより、Googleは2020年までにカーボンニュートラルを達成し、持続可能なビジネスモデルへの移行を加速させています。

さらに、Googleは2030年までに、すべての業務をカーボンフリー※のエネルギーで運営することを目指しており、これは巨大テック企業の中で最も積極的な環境公約と言えるでしょう。

また、Googleは、カーボンフリーエネルギーの常時利用に注力することで、電力網の脱炭素化を実現するための政策を長くにわたって強く提唱しています。

※カーボンフリー

二酸化炭素(CO2)や他の温室効果ガスを排出せずに活動を行うこと。具体的には、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)の利用、エネルギー効率の高い技術の導入、森林保全や植林によるCO2吸収の増加など、さまざまな手段がある。

日本の企業事例:三菱重工業

【三菱重工のMISSION NET ZEROに向けたロードマップ】

三菱重工業は、2030年度までに事業活動における温室効果ガス排出量を2013年度比で30%削減し、2050年度までにカーボンニュートラルを実現することを目指しています。VCSは、これらの目標達成に向けた取り組みの1つとして活用されています。

三菱重工業は、2021年からVCS認証を取得したプロジェクトに投資を開始しており、2023年までに累計約1億円を投資しています。投資先は、中国における風力発電プロジェクトや、インドにおける太陽光発電プロジェクトなどです。

VCSはこのように、グローバルな事業を展開する大企業が中心に活用しています。しかし、扱っているプロジェクトの幅が広いので、現状でも企業の規模に関係なく参加することが可能です。*5)

Verified Carbon Standard(VCS)の購入方法

【インドネシア、リンバ・ラヤ生物多様性保護区プロジェクトより】

ここでは、VCSクレジットの大まかな購入方法を確認しましょう。

① 購入方法の選択

VCSクレジットを購入する方法は大きく分けて3つあります。どの方法を選択するかは、購入者のニーズや条件によって異なります。

  • 仲介業者を利用する:専門知識を持つ仲介業者を通じて、ニーズに合ったクレジットを見つけることができます。また、購入手続きも代行してもらえるため、手間を省くことができます。
  • 直接取引を行う:クレジットの発行者や保有者と直接交渉し、仲介手数料なしでクレジットを購入する方法です。直接取引には、市場の知識や交渉スキルが求められます。
  • 入札に参加する:政府や国際機関が実施する入札に参加することで、クレジットを購入する方法です。入札による購入は、比較的安価にクレジットを手に入れることが可能ですが、競争が激しい場合もあります。

② 購入手続き

希望に合ったクレジットを見つけたら、購入手続きに移ります。手続きの流れは、選択した購入方法によって異なります。

  • 仲介業者を利用する場合:仲介業者との間で購入契約を結びます。仲介業者が全ての手続きを代行してくれるため、比較的スムーズに購入が完了します。
  • 直接取引の場合:クレジットの発行者や保有者と直接交渉し、購入契約を結びます。直接取引では、契約内容の確認や交渉が重要になります。
  • 入札による購入の場合:入札に参加し、落札した場合は落札価格でクレジットを購入します。入札プロセスには、事前の準備や戦略が必要です。

③購入後のクレジットの管理

クレジットを購入した後は、その履歴や有効期限を管理し、計画的に利用することが大切です。購入したクレジットの活用方法には、カーボンオフセットによる自社の温室効果ガス削減、他の組織との取引、環境プロジェクトへの寄付などがあります。

また、専門家や仲介業者のサポートを活用することで、クレジットの管理や活用をより効果的に行うことができます。VCSクレジットの購入は、地球環境への貢献だけでなく、企業の社会的責任(CSR)活動の一環としても価値があります。

適切なクレジットを選び、賢く管理しましょう。*6)

Verified Carbon Standard(VCS)とSDGs

VCSとSDGsは、地球環境の保全と持続可能な社会の実現という共通の目標に向かっています。VCSによるクレジットの購入・活用は、温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギーの普及といった形で、SDGs目標に貢献します。

VCSと特に関連の深いSDGs目標を見ていきましょう。

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

VCSプロジェクトには、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーに関連するものが多くあります。これらのプロジェクトは、クリーンで持続可能なエネルギーへのアクセスを提供し、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成に貢献します。

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」

VCSは、気候変動対策の核心に位置づけられます。温室効果ガスの排出量を削減し、そのオフセットを通じて、気候変動の影響を軽減することが目的です。

この活動は、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接貢献しており、VCSを通じたプロジェクトは、気候変動の影響を受けやすい地域の保護や、再生可能エネルギー源への移行を促進します。

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」

森林保護や再植林プロジェクトもVCSのプロジェクトの範囲に含まれます。これらのプロジェクトは、生物多様性の保護や砂漠化の防止に貢献し、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」の目標達成に貢献します。

森林はCO2を吸収する重要な炭素吸収源であり、その保護と管理は気候変動対策に不可欠です。

SDGs目標16「平和と公正を全ての人に」

VCSは、地域の経済発展や雇用創出に貢献することで、貧困や不平等を解消し、紛争の潜在的な原因を取り除くことができます。また、透明性と説明責任を重視しており、プロジェクトに関わる汚職の防止や公正な社会の実現に貢献することができます。

このことからVCSはSDGs目標16「平和と公正を全ての人に」にも影響を与えると言えます。

VCSとSDGsは、それぞれが持続可能な未来への道を切り開くための重要な役割を担っています。個人や企業がVCSクレジットを購入することは、SDGsの達成に貢献するだけでなく、地球環境の保全と持続可能な未来への投資となるのです。*7)

>>各目標に関する詳しい記事はこちらから

まとめ

【VCSは土壌有機炭素を定量化する測定法の開発を推進】

VCSは、世界で広く利用されている温室効果ガス削減のためのボランタリー・クレジット制度であり、企業や個人が自主的に自身の温室効果ガス排出量をオフセットすることができます。VCSは、

  • 国際的に信頼性の高い認証制度
  • 政府や国連主導のカーボン・クレジットより柔軟で多種多様なプロジェクトがある

などの特徴があります。

VCSを含むボランタリー・クレジットは、今後ますます重要性を増すでしょう。地球環境保護や社会的責任の観点から、VCSを通じたプロジェクトへの投資やクレジットの購入によって、企業価値向上につなげるという方法は、より広く選択される手段となることが予想できます。

VCSをはじめとするカーボン・クレジットには、

  • 国際的な温室効果ガス排出削減目標達成への貢献
  • 企業の環境戦略
  • 新たなビジネスチャンスの創出

などの効果が期待されており、企業・個人どちらにとっても、地球環境問題への貢献とビジネスチャンスの両面で活用できるツールです。しかし、いくら信頼性と透明性が高く評価されているとはいえ、デメリットや課題がまだあるので、「Verified Carbon Standard(VCS)を導入するデメリット」の章で触れたことに注意して、グリーンウォッシュにならない、より良い地球環境や人間社会のために効果的な取り組みを心がけることが重要です。

VCSをはじめとするカーボン・クレジット、ボランタリー・クレジットはまだその歴史を歩み始めたばかりです。今後のカーボン・クレジット市場の成長のためにも、企業・個人はその仕組みやメリット、課題などを正確に理解して、積極的に参加してみてはいかがでしょうか。

<参考・引用文献>

*1)Verified Carbon Standard(VCS)とは
Verra『VERIFIED CARBON STANDARD』
環境省『VER(Verified Emission Reduction)認証機関・方法の概要』
環境省『カーボン・クレジットの認証等の制度例』
green carbon『Verified Carbon Standard(VCS)での販売開始』(2022年8月)
経済産業省『カーボン・クレジット・レポート』(2022年6月)
日本経済新聞『気候変動で脚光 カーボンオフセットってなに?』(2021年12月)
カーボンクレジットとは?仕組みや種類、ビジネスの活用事例、個人で取引可能?
環境省『気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書(和文)』
JETRO『ボランタリーカーボン市場のクレジット発行量、ブラジルは世界4位』(2020年5月)
JETRO『世界で導入が進むカーボンプライシング(前編)炭素税、排出量取引制度の現状』(2021年9月)
JETRO『世界で導入が進むカーボンプライシング(後編)炭素税、排出量取引制度の現状』(2021年9月)
国土交通省『CDM(クリーン開発メカニズム)』
*2)Verified Carbon Standard(VCS)の仕組み
Verra『重点分野 – ブルーカーボン』
干潟とは?仕組みや役割、生息する生き物、守るための取り組みも
林野庁『途上国森林づくり活動貢献可視化事業』(2023年3月)
カーボンオフセットとは?仕組みや目的、カーボンニュートラルとの違いや企業事例を解説!
Verra『Welcome to the Verra Registry』
Verra『過去の過ちを繰り返すアジアの気候変動報道(Nikkei への公開書簡)』(2022年8月)
*3)Verified Carbon Standard(VCS)を導入するメリット
Verra『WHO WE ARE』
環境省『オフセット・クレジット(J-VER)制度案に対する意見募集結果とその対応方針について』
Verra『CCB Standards 気候・地域社会・生物多様性 プロジェクト設計スタンダート 第2版』
Sell『ボランタリーカーボンマーケットに関する考察とトレンド2022』
*4)Verified Carbon Standard(VCS)を導入するデメリット
日本総合研究所『カーボン・クレジットがもたらす効果と課題~効率的な脱炭素と家計の脱炭素意識の醸成に向けて~ 』(2022年7月)
林野庁『令和 2 年度途上国森林保全プロジェクト体制強化事業』(2021年3月)
*5)Verified Carbon Standard(VCS)を導入している企業事例
Google『最新データで見るクラウドのカーボンフリー達成度』(2021年3月)
Google『Explore how we’re putting our ambitions into action every day.』
Google『社会的課題の解決に取り組む組織をサポート』(2020年12月)
Google『地球にも、人にも​優しいプロダクトを​構築。』
Google『Google Cloud の温室効果ガス排出量を削減する』(2021年10月)
日本総合研究所『クリーンなカーボン・クレジット市場をいかにつくるか』(2022年12月)
経済産業省『世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会』(2021年3月)
環境省『海外におけるカーボン・オフセットの取組事例の紹介』
日本経済新聞『Google、5つのデータセンターで「脱炭素」ほぼ達成』(2021年4月)
三菱重工『カーボンニュートラル社会の実現に向けた三菱重工グループの取り組み』(2022年)
三菱重工業『試運転用蒸気ボイラ燃料で、CO2排出量実質ゼロとなるカーボンニュートラル都市ガスを導入』(2022年9月)
三菱重工『CO2と再生可能エネルギーからクリーン燃料を生成へ エレクトロフューエル技術でリードするインフィニウム社に出資』(2021年1月)
JETRO『三菱重工、カーボンリサイクル燃料の日本市場への展開で、米インフィニウムと覚書を締結』(2022年4月)
三菱重工『排ガスから電力をつくる、中国の鉄鋼業界の脱炭素化を推進』(2021年6月)
GX League『ボランタリーカーボンクレジット情報開示検討 WG』(2023年12月)
*6)Verified Carbon Standard(VCS)の購入方法
Verra『VERIFIED CARBON STANDARD』
Verra『Invitation to Apply: Sustainable Development Advisory Group』
*7)Verified Carbon Standard(VCS)とSDGs
経済産業省『SDGs』
JOGMEC『天然ガス・LNG最新動向 ―新たな脱炭素処方箋:欧州メタン戦略とカーボンニュートラルLNG、効能と副作用―』(2021年4月)
*8)まとめ
Verra『Verra Advances Development of Measures to Quantify Soil Organic Carbon』