#インタビュー

株式会社ビジョンメガネ|不要になったメガネを回収し、途上国に寄贈。お客様のメガネへの思いを大事にするために

株式会社ビジョンメガネ

株式会社ビジョンメガネ 糸川 さつきさん インタビュー

糸川 さつき

1974年生まれ、大阪府出身。2001年パート社員として同社に入社。嘱託社員を経て2017年正社員として営業企画部に配属、広告・販促制作業務を担う。2020年マーケティング本部発足により異動、主に広報担当として認知活動に注力する他、デジタル領域でのマーケティング活動推進を行っている。

introduction

株式会社ビジョンメガネは、1976年に創業した老舗のメガネ専門店チェーンです。
関西を中心に全国展開をしていて、メガネやコンタクトレンズ、補聴器などを取り扱っています。

今回は、2022年から開始された「メガネのリサイクル」について、担当者の糸川さんにお話を伺いました。

お客様の大事にしていたメガネとその思いを、次につなげるために始まったプロジェクト、そこには、ビジョンメガネが考えるSDGsへの思いも込められていました。

「メガネのマエストロ」として、一人一人のお悩みにあったメガネをご提案したい

–始めに株式会社ビジョンメガネのご紹介をお願いいたします。

糸川さん:

ビジョンメガネは1976年に東大阪で創業し、去年の10月で47年目を迎えたメガネ専門店です。メガネの販売に加えて、補聴器やコンタクトレンズ、関連商品なども取り扱っており、北は群馬から北九州まで、全国で102店舗(2024年2月現在)を展開しています。

創業者は、元々メガネのフレームを作っている工場のご子息として生まれ育ちました。そこでフレームを作りながら、製造したものを世の中の人に届けたいという思いが生まれ、小売業、流通を始めたのが成り立ちです。

–御社の事業にかける思いをお聞かせください。

糸川さん:

最近だと、メガネは手軽に買えて、服装に合わせてかけ替えられるアイテムとして使用されることが増えており、ファッション感覚が強くなっていると感じています。

ただ、メガネの本来の重要な目的は、見えづらさを改善させることにあって、使用者の生活を豊かにするものなんですよね。

例えばお子さんであれば、見えづらいという理由で、クラスで席替えがあっても優先的に一番前にされてしまうことってありますよね。教室の一番後ろからでも黒板の字がしっかり見えるようになれば、場所の制約がなくなり、席替えのワクワク感も味わえるようになるはずです。

大人であれば、普段は用途に応じてメガネを使い分けているけど、旅行にいく場合は遠近両用メガネ一本で済ませて荷物を減らしたい、煩わしさを解消したいとお思いになる方もいます。

このように、お客様によって見えずらい理由、使いたい目的、環境、年齢は全然違うんです。私たちは、ただ単に見えるようになって、かっこよければいいだけではなく、しっかりお客様一人一人にあったメガネを作ることを目指しています。お客様がメガネを作りたい目的をしっかり把握して、それにあったものをご提案させていただきたいですね。

そこで、私達ビジョンメガネのスタッフは、全ての社員のことを「メガネのマエストロ」という独自の名称で呼んでいます。この「メガネのマエストロ」には、一人一人のお悩みやお声に寄り添う最適なメガネを提案するプロフェッショナルでありたいという思いが込められています。

マエストロのように、その人の見たい世界や、行きたいところに導いていけるような、お客様の一番そばにいて寄り添っていけるようなメガネ専門家を目指しております。

不要となったメガネと共に、ユーザーの思いを届ける「メガネのリサイクル」活動

–続いては、御社で行っているサステナブルな取り組みをご紹介ください。

糸川さん:

弊社では2022年10月から、度数が合わなくなったり、好みが変わったりして不要になったメガネやサングラスの回収を開始しました。

回収したものは、ライオンズクラブ(ライオンズクラブ国際協会 335 複合地区ガバナー協議会)が実施しているプログラムを通して、経済的にメガネを手に入れる事ができないグローバルサウス(新興・途上国)に届けています。

また、回収させていただいたお客様へは、メガネや補聴器の購入の際に5%オフでご提供する特典をお付けしています。

–この取り組みを始めたきっかけについて教えてください。

糸川さん:

弊社では以前、NPO団体を通じて、不要になったメガネを途上国に寄贈する活動を行っていました。当時、その活動の先頭に立っていたのが、現代表の安東です。

安東は、この活動を長く続けていきたいという思いを持って取り組んでいましたが、その頃から弊社の業績が悪化し、2013年には民事再生法の申請を余儀なくされました。


つまり、支援したくてもできない状況になってしまいましたし、なにより会社の建て直しが急務だったんです。安東はこの時期に社長に就任したのですが、全員を率いて導いてくれたことで、現在は業績の挽回を果たすことができました。

このような背景がある中で、最近「お客様から使わなくなったメガネの処理方法がわからない」というお言葉をいただいたんです。

メガネは、人の印象を作るものなので、思い入れが強くなることが多いんですよね。だから、ポイッと捨てちゃうのもなかなか難しくて…。

「そのようなお客様の思いを何とかしたい!どうしたらいいんだろう」と考えたときに、以前のメガネリサイクルの活動を思い出しました。

WHOによると、世界には約8億人の人がメガネを手にすることができなくて困ってると言われています。

私たちが民事再生という、本当に大変な時期を乗り越えられたのも、お客様や取引先様の支援があったからです。そこで、今度は私たちビジョンメガネの活動が、少しでもお役に立てればと思ってこの取り組みをスタートさせました。

この活動も、2023年の10月で1年が経ち、約2,200本のメガネを回収することができました。

また、ライオンズクラブからも、我々の行動がきっかけでライオンズクラブの活動も活発になってきてるという声をいただいています。これからもちょっとずつ役に立っていければ嬉しいですね。

【店頭で回収した中古メガネ

–この活動を通して、社員の皆様やユーザーの皆様に意識の変化はありましたか?

糸川さん:

具体的な行動の変化としては、スタッフたちがお客様に対して、メガネの買い替えを提案するときに、再利用させていただくということでお声がけしやすくなったという声はあります。

特にお子さんの場合は、視力も体格も変化しやすいので、すぐに合わなくってしまうんです。そこをもったいないからと使い続けてしまうのではなくて、リサイクルの提案をできるのは、選択肢として良かったと思っています。

我々の意識変容にスポットを当てると、実は何か劇的に変わったという所はないんです。

というのも、何か大きくスタッフの意識を変革しようと思って活動はしていなくて、みんなが少しずつ意識することが、結局は大きなSDGsとか、サステナブルに繋がっていくんじゃないかなと思っているんですよね。

一人一人が日常の中で、少しずつ意識している勿体ないとか、リサイクルできるかもという気持ちが私は良いことなんだなと感じています。

また、この活動を通して、誰かの大切にしてたメガネが誰かの大切なものになることもとても大事だとも思っています。

お客様が「支援したい」と考えて、メガネを送ってくれた思いが、世界の誰かにつながっていけばいいですね。

リサイクルの意識は確実に芽生えている

–その他社内で進めているSDGsの取り組みについて教えてください。

糸川さん:

大したことではないんですけど、ちょっとしたリサイクルを進めています。新型コロナウイルスが蔓延してたときに、弊社ではアクリルのパーティションを設置していました。

その後、コロナウイルスが5類感染症に移行した際に、そのパーティションをそのまま捨てるのはもったいないよねという話になったんです。そこで再利用して店舗の什器に活用することを決め、各店舗で実践しています。

このような取り組みやメガネのリサイクルを通して、少しずつ社内の中にもったいないとか、リサイクルとかの意識が芽生えてるのかなと思います。

私たちの活動を通して、小さな意識の変化が連鎖していくことを大事にしたい

–今後の展望や取り組みにおける計画についてお聞かせください。

糸川さん:

まず、ビジョンメガネとしては、多くのことをたくさんやるのは苦手だと思っています。だから、今の活動をコツコツと続けることがまず一つの目標です。

その中で現在感じている課題の一つは、子ども向けのメガネの回収がまだまだ伸びていないことですね。ライオンズクラブからいただいた情報でも、特に子ども向けのメガネが不足していると聞いていて、どうにかしたいという思いがあります。

今日本では、子どもたちの視力低下が深刻化してきていて、中学生になるとクラスの半分ぐらいの方がメガネをかけているという情報を聞いています。私が子どもの時は、クラスでメガネをかけている子は1人か2人だったんですが、もう今はどんどんメガネを必要とする子どもが増えているんです。

この子どもたちの視力低下は日本の大きな問題の一つですが、子どものメガネ使用率は高いのに、使用後の回収に繋がっていないことは、活動の大きな課題だと考えています。

子どもの場合、早い子だと1年に1回メガネを買い換えるはずなのに、回収数がすごく少ないのは、やっぱり私たちの活動や必要な情報を伝えられていないんだろうなと。

なので、私たちの思いをお客様や世間の皆様にお伝えしていくことは、続けていきたいと考えています。

例えば、ライオンズクラブから現地にメガネを届けてきましたという報告をいただいているんです。現状だと社内公表に留まってしまってるので、今後はお客様にも現地の活動の情報を積極的にお伝えできればと思っています。

子どものときに視力が守られていることは、感情を豊かにしたり、将来の方向性にも影響することだと考えています。

それは日本の子どもだけでなく、世界の子どもも同じだと思うので、この活動をきっかけにみんなが明るい未来のために、ちょっとずつ協力することができたらとても良いことですよね。

–ビジョンメガネ様のメガネに対する思い、お客様に対する思いがとても伝わるお話でした。貴重なお話をありがとうございました。

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