私たちにとって身近な存在であるスーパーマーケット。
単なる買い物をする場所として考えがちですが、オーストラリアの大手スーパーマーケット・Woolworthsではサステナビリティを意識したさまざまなエコ活動を実施しています。
この記事では、マイクロプラスチックごみ、電子廃棄物、地球温暖化、食品ロス、水質汚染などの環境問題に対してWoolworthsがどのように向き合っているのかをご紹介していきます。
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目次
Woolworthsとは?
ニューサウスウェールズ州に本社を構えるWoolworthsは、1924年に創業しました。
2023年時点におけるオーストラリア国内の店舗数は1,098店で、Colesと並ぶオーストラリアの2大スーパーマーケットのひとつとなっています。
2年連続でFinder Green Supermarketを受賞
Woolworthsは、2021年と2022年にFinder Green Supermarketを受賞しました。
Finder Green Supermarketとは、環境保全意識が高いスーパーマーケットを選出する賞のことです。
選出時には、スーパーマーケットごとに以下のようなポイントをチェックされます。
- 梱包の削減
- プラスチックの削減
- 食品ロス
- 再生可能エネルギーの普及
- 食糧救助パートナーとの連携
その他にも、サプライヤーと協力してCO2排出量の少ない貨物輸送を選択するなど、多方面における環境問題への対策が基準となります。
なお、スーパーマーケットのエコ意識向上に繋がるのはもちろん、環境保全に興味がある顧客にとっても大きな意味のある賞です。
よりサスティナブルなスーパーマーケットで買い物をしたい場合、受賞結果を基に自分が使うスーパーマーケットを決められます。
Woolworthsはどんなエコ活動をしているの?
ここでは、Woolworthsが行うエコ活動や一般市民への影響について解説していきます。
ビニール袋の完全廃止
マイクロプラスチックごみの深刻化を受けて、オーストラリアの大手スーパーマーケットでは日本同様にプラスチック製買物袋を有料化しました。
しかし、プラスチックごみの問題を根本的に解決すべく、Woolworthsではビニール袋の完全廃止をスタートさせます。
紙製品の袋を15セント(日本円で約13円)で提供しており、環境への優しさから導入後は多くの一般市民に利用されています。
6キロ相当の食品を運べる耐久性も兼ね備えた紙袋なので、複数回にわたって再利用できる点も特徴です。
また、Woolworthsの各店舗では、自社製品である「Bag for Good」と呼ばれる再利用可能な厚手の買い物袋も90セント(日本円で約82円)で販売されています。
破損した場合には購入時期を問わずに無償交換できる仕組みになっており、顧客が生涯使える買い物袋を提供しています。
再生利用可能な野菜・果物袋
Woolworthsの野菜・果物売り場で販売されているのが、再利用可能な袋です。
従来、野菜や果物を入れる袋にはビニール袋が使用されていました。
しかし、新しい野菜・果物袋は80%がリサイクル素材で作られており、メッシュのような質感となっています。
繰り返し使用できることから、ビニール袋ではなく再利用可能な野菜・果物袋を使う顧客の姿が頻繁に見られます。
電子廃棄物用リサイクルボックスの設置
Woolworthsの店舗前には、電池、携帯電話、充電器、イヤホンを含む電子廃棄物用のリサイクルボックスが置かれています。
電子廃棄物用リサイクルボックスが設置され始めた2021年時点では、オーストラリアは電子ごみのリサイクル率が低い国として知られていました。
イギリスやドイツにおける電子ごみのリサイクル率が40%前後であるのに対して、オーストラリアでは家庭用電池のわずか10%しかリサイクルされていませんでした。
廃棄された電子ごみは焼却・埋め立てられ、処分のプロセスで大量のCO2や有毒ガスが発生します。
地球温暖化や大気汚染に拍車をかけることから、環境保全のためにも電子ごみのリサイクル率を上げることが重要です。
Woolworthsでは、電子廃棄物用リサイクルボックスを設置することで一般市民に電子ごみのリサイクルを促しています。
回収された電子ごみは提携しているリサイクル業者に引き渡され、部品を分解して再利用される仕組みです。
使用済みペットボトルのリサイクル
多くのWoolworthsの店舗は、ペットボトルのリサイクル回収場のそばに設置されています。
一般市民が回収場に使用済みペットボトルを持って行くと、1本につき10セント(日本円で約9円)が返却されるシステムです。
買い物のついでに気軽にペットボトルをリサイクルできるように、リサイクル回収場から近い場所で店舗を営業しています。
また、Woolworthsが販売する自社製品のペットボトルの水にも、回収場所に返却する旨を記載したラベルが取り付けられています。
プラスチック削減を意識したパッケージ
Woolworthsでは、牛肉製品に対して紙製トレイを導入しています。
以前はプラスチック製のトレイとフィルムを使っていたWoolworthsですが、新しいパッケージでは実に75%のプラスチックが削減されています。
サプライチェーン全体では毎年114トンのプラスチック減となっており、持続可能な包装として注目を集めているパッケージです。
また、使用済みの紙トレイは、Woolworthsの店舗に設置されているリサイクルボックスで回収しています。
紙トレイ入りの牛肉製品には「Recyclable(リサイクル可)」の表記がされており、顧客が簡単に分別できるように工夫が凝らされています。
LED導入によるCO2の削減
Woolworthsでは、CO2削減を目指して全店舗にLEDライトを導入しています。
一般電球とLEDライトを比較すると、LEDライトは4万時間の使用で1,096kgのCO2排出を抑えられます。
1,096kgを分かりやすく例えると、50年生育のスギの木78本分の吸収量と同等です。
LEDライトをWoolworthsの全店舗で使用することにより、大幅なCO2削減と地球温暖化防止に繋がります。
また、2025年までに全店舗の電力を再生可能エネルギーでまかなうという目標も掲げており、Woolworthsグループ関連施設へのソーラーパネルの設置も進められています。
食品ロス対策
2025年までに食品廃棄物をゼロにするという目標を掲げているWoolworthsでは、熟れすぎたバナナをバナナブレッドに作りかえるというエコ活動を行っています。
処分ではなく再利用することで、オーストラリア全土の店舗における食品ロス削減に繋がっているのです。
また、バナナブレッド1斤につき50セント(日本円で約45円)がチャリティー団体に寄付されており、余ったバナナブレッドは食料救助パートナーを通して食料支援が必要な人々に提供されています。
年間2,300万食以上が消費されているため、コミュニティ支援と食品ロス問題の両方において大きな貢献となっています。
Macro Whole Living製品を展開
Woolworthsのプライベートブランド・Macro Whole Livingは、環境に配慮した商品展開を行っています。
主に家庭用の掃除用品を取り扱っており、キッチン用と多目的用の掃除洗剤容器では100%、洗濯用洗剤容器は75%がリサイクル素材です。
また、洗濯用洗剤には折りたたみ式の紙製スクープが付属しています。
Macro Whole Livingの掃除用品を使うだけでリサイクル効果が高まるため、環境保全の意識を持つ顧客から高い評価を得ています。
さらに、ビーガン認証済みで合成香料や着色料も含まれておらず、水質汚染への悪影響が少ない点もポイントです。
まとめ
2年連続でFinder Green Supermarketを受賞しているWoolworthsは、多方面における環境保全を行うスーパーマーケットです。
LED導入や食品ロス対策などのWoolworthsが中心となる取り組みはもちろん、野菜・果物袋の販売や電子廃棄物用リサイクルボックスの設置といった顧客のエコ意識を高める活動も実施しています。
もしオーストラリアに旅行する機会があったら、環境問題に向き合うWoolworthsでぜひ買い物をしてみましょう。