世界的に深刻化しているプラスチックごみの問題に対処すべく、オーストラリアのZero Coでは画期的な製品の販売を行っています。
エコ大国なイメージが強いオーストラリアですが、国内でのプラスチックごみのリサイクル率はわずか15%程度と非常に低くなっています。
シャンプーや掃除用品などのパッケージがプラスチックごみとして捨てられるケースも多いことから、Zero Coでは顧客が無理なくプラスチックごみの削減やリサイクルできるシステムを導入しました。
この記事では、Zero Coの製品の特徴やそのほかのエコ活動の詳細に着目していきましょう。
Zero Coとは?
2019年に設立されたZero Co は、ニューサウスウェールズ州のバイロンベイに本社を構える掃除用品とボディケア製品の企業です。
Zero Coはシャンプー、デオドラント、ハンドウォッシュ、食器用洗剤、洗濯用洗剤、バスルーム用洗剤、染み抜き剤といったバリエーション豊富な製品を取り扱っており、家庭のニーズを満たすブランドとして人気を博しています。
2024年4月時点で実店舗は設けておらず、オンライン及びオーストラリア国内の提携スーパーマーケットでのみ購入可能です。
Zero Coはプラスチックごみの削減に繋がるサスティナブルな商品の開発と販売に力を入れており、15%前後にとどまっているオーストラリアのプラスチックごみのリサイクル率アップを目指しています。
オーストラリアを代表するエコ製品のひとつとして挙げられることも多く、環境問題に関心がある国民から高い支持を得ている企業です。
Zero Coの製品の特徴
Zero Coは、プラスチックごみの削減に繋がる製品の開発と販売を目的に設立されました。
シャンプーや掃除用品などのプラスチックごみを減らす場合、最もポピュラーな方法が詰め替え用製品の販売です。
しかし、市場では詰め替え用ではないボトル入りの製品も販売されていることから、「わざわざ詰め替えるのが面倒」「詰め替え用が売り切れていたからボトル入りを買った」という顧客も後を絶ちません。
そこでZero Coでは、顧客が製品を100%詰め替えて使えるように空のボトルと詰め替え用のパウチのみを提供しています。
掃除用品やボディケアの液体が入ったボトルを販売していないため、製品がほしい顧客は必ず詰め替え用を買わなければならないという仕組みです。
Zero Coでは、既に製品が詰められた状態のボトルが販売されている限りプラスチックごみの問題を解決するのは難しいと考えています。
顧客の意識改善にも貢献しており、国内全体で詰め替え用の製品の使用率が上がることを目標としています。
サスティナブルなパッケージ
環境負荷の低減を目指すZero Coでは、再利用可能、詰め替え可能、持続可能なパッケージの製造を行っています。
空のボトルと詰め替え用のパウチは、埋め立て地から転用された再生プラスチックとビーチや海から除去されたプラスチックから作られています。
陸と海の両方のプラスチックごみの削減に貢献しており、数値で表すと4Lの掃除用品の詰め替えパウチを1つ購入するごとに海洋廃棄物のペットボトル20 本分の削減に繋がるという計算です。
Closed-loop system
プラスチック問題の解決のためにZero Coが導入しているのが、パウチのリサイクル・Closed-loop systemです。
Zero Coの製品を購入すると、製品と共に切手代込みの返信用大型封筒が同封されています。
顧客は使用後にパウチをZero Coに返送できるシステムになっており、使用済みパウチはZero Coの工場にて洗浄及び詰め替えを行って再度販売されます。
あらかじめ切手代込みの返信用大型封筒が同封されていることで、顧客がリサイクルするハードルを大幅に下げているところがポイントです。
尚、輸送時に発生する二酸化炭素の排出量を減らすために、Zero Coでは15個を1セットとしてまとめて返送することを推奨しています。
返送の期限は特になく、顧客の使用ペースに合わせて返送できる仕組みです。
また、実店舗を持たないオンラインベースの商品販売を主としているZero Coですが、パウチの返送は提携しているスーパーマーケットでも対応しています。
スターターパック
国内全体の詰め替え用製品の使用率アップを目的に、Zero Coではボトル入りの製品を販売しない取り組みを進めています。
しかし、はじめてZero Coの製品を使用する場合は、詰め替え用製品を入れるためのボトルが必要です。
そこでZero Coが提供しているのが、スターターパックと呼ばれる空の容器と詰め替え用製品のセット商品です。
掃除用品、ボディケア、全製品のセットといったバリエーション豊富な展開で、詰め替え用製品のパウチの色とマッチするボトルが届く仕組みになっています。
詰め替え用製品がピッタリ入るサイズのボトルが付いており、耐久性も高いので長期的に使えるというメリットも兼ね備えています。
尚、スターターパックにおいても、通常の製品と同様にパウチを無料で返送可能です。
環境に優しい配合
プラスチックごみの削減に努めているZero Coですが、中身の成分にもこだわっています。
市場で販売されているハンドウォッシュ、ボディウォッシュ、洗濯用洗剤、食器用洗剤、トイレクリーナーなどの液体製品の中には、化学薬品を含むものや水質汚染などに繋がる成分が含まれるものも数多く存在します。
一方でZero Coは、化学物質を含まず排水にも安全な毒素フリーの製品を作るべく、全て植物ベースの配合にしている点がポイントです。
100%ビーガンなので、家畜の飼育によるメタンガスを由来とした二酸化炭素の排出量削減にも繋がっています。
動物実験なども一切行っておらず、自然環境との共存で欠かせない動物福祉を重視しています。
尚、もし掃除用品やボディケア製品の十分な効果を感じられない場合、30日以内であれば返金保証を利用可能です。
環境はもちろん、効果の高さも兼ね備えているため、顧客が快適に使用できるブランドとして信頼を獲得しています。
コラボ製品による寄付活動
掃除用洗剤とボディケア用品を主に販売しているZero Coですが、2023年からは環境コラボ製品としてワインの販売も行っています。
南オーストラリア州のワイナリー・The Hidden Seaとコラボレーションした限定ワインで、収益の100%が海の清掃活動に寄付されます。
Zero CoとThe Hidden Seaは世界中の海から10億本分のペットボトルを除去するという共通の使命を掲げており、1ケース(6本入り)の販売ごとに1,000本の海洋廃棄物の回収に繋がる仕組みです。
プラスチックごみの直接的な削減に繋がるのはもちろん、海の清掃活動資金の創出にも役立つコラボ企画として注目を集めています。
環境キャンペーンの実施
Zero Coでは、環境への慈善活動の一環として環境キャンペーンを実施しています。
例として、期間内に対象商品を購入した顧客に対して抽選で20万円相当のアクティビティのプレゼントやZero Coの製品の1年間無料サービスなどが挙げられます。
キャンペーンの売り上げはオーストラリア国内で開催される大規模な清掃活動に寄付され、間接的にプラスチックごみを減らすための取り組みに役立てられる点がメリットです。
Zero Coの実績
2019年からビジネスをスタートさせたZero Coですが、2023年までに多くのプラスチックごみが削減されました。
埋め立て地からのペットボトル300万本の転用を目標にしていましたが、わずか4年間で400万本のリサイクルに成功しています。
また、海洋ゴミとして捨てられていたペットボトルに関しては、500万本の目標に対して1400万本がリサイクルされました。
Zero Coでは、これからも詰め替え用製品と空のボトルを使ったエコな取り組みを継続していく予定です。
まとめ
環境に優しい製品を作るべく、Zero Coではプラスチックごみの削減、リサイクル率の向上、水質汚染、動物福祉などに関するエコ活動を行っています。
特に詰め替え用製品を促進するために空のボトルを提供するという取り組みは画期的であり、顧客が確実にプラスチックごみを減らすことに繋がっています。
環境に関するさまざまなアイデアを生み出すことが、持続可能性の高い未来の実現に繋がっていくのかもしれませんね。