バリエーション豊富な製品が販売されているホームセンターは、私たちにとって身近な存在です。
単に買い物をする場所として考えられがちですが、オーストラリア最大のホームセンター・Bunningsではエコを意識した経営を行っています。
この記事では、森林保護、廃棄物削減、リサイクル促進、水質・土壌汚染への対策、環境教育といった多方面における分野でBunningsが取り組んでいる活動について解説していきます。
目次
Bunningsってどんな企業なの?
Bunningsは、オーストラリア最大規模のホームセンターです。
1886 年に西オーストラリア州のパースで創業され、2023年時点での店舗数は国内に513、スタッフ数は5万3,000人にものぼります。
Bunningsで取り扱っている商品は、日用雑貨、住宅設備、大工用品、建築資材、ガーデニング用品、電化製品、キッチン用品など多岐にわたります。
また、Bunningsの各店舗で毎週末に開催されているのが、「Sausage sizzle」です。
店舗の前でソーセージと玉ねぎ入りのホットドッグを作って販売しており、売上はコミュニティ団体の資金源となります。
25年以上続く名物行事として知られており、オーストラリアを代表する文化のひとつとして挙げる国民もいるほどの人気です。
Bunningsが行うエコ活動の事例
ここでは、Bunningsが実際に行っているエコ活動を深堀していきます。
サスティナブルな木材調達
ホームセンターであるBunningsは、木材を多く取り扱っている企業です。
違法伐採による森林破壊を懸念して、2003年に社内の木材調達方針を制定しました。
2007年にはオーストラリアWWFの設立参加者になり、2020年12月までの森林保護を意識した木材調達の確立がルールに含まれていました。
森林を守りながら木材を調達するには、合法かつ適切に管理された森林経営が必要不可欠です。
森林管理協議会(FSC)や森林認証承認プログラム (PEFC)の基準を満たすべく、森林へのリスクが低いインドネシアの木材生産者とパートナーシップを結びました。
2023年時点で、Bunningsの木材の実に99%以上が認証された森林低リスク農園から提供されています。
違法伐採を回避することによって、森林破壊や生物多様性の損失を防ぐことに繋がっています。
リサイクル回収プログラム
適切なリサイクルを行うべく、Bunningsでは顧客向けのリサイクル回収ボックスを設置しています。
リサイクル回収プログラムの対象となっているのは、電池、電気製品、廃塗料、梱包材です。
各店舗を訪れた顧客がリサイクル可能な素材や製品をボックスに投げ込み、Bunningsが正しい分別とリサイクル作業を担っています。
特にリサイクル回収プログラムに力を入れているメルボルンの店舗では、都市部の13店舗を通じて年間7,500kg以上が集まりました。
同様に、環境意識が高い南オーストラリア州の店舗は150万kg分の電子廃棄物を回収しており、Bunningsが開催したリサイクルイベントには4万kgの廃塗料と梱包材が寄せられました。
Bunningsの月間利用者数は1,130万人と言われていることから、店舗にボックスを設置することで効果的なリサイクルの促進に繋がっています。
包装の改善による廃棄物削減
廃棄物による環境負荷を問題視しているBunningsは、2025年までに100%持続可能な包装を実現するという目標を掲げています。
環境に優しい包装を推進するオーストラリア包装規約機構 (APCO)に署名しており、自社はもちろん、サプライヤーとも協力してAPCOのガイドラインに則った包装を導入してきました。
また、製品を購入した顧客が包装を正しく処分できるように、製品の包装部分にリサイクルラベルを貼っています。
2023年11月時点で約500製品の包装にリサイクルラベルが付けられており、今後もラベル数を増やしていく計画です。
顧客が正しくリサイクルできるように工夫を凝らすことで、余計な廃棄物の削減に貢献すると考えられています。
Bunningsワークショップコミュニティの運営
Bunningsの店舗の一角に設置されているのが、顧客を対象としたワークショップエリアです。
DIYに関する疑問点や改善策をBunningsのスタッフに質問できる仕組みになっており、顧客のニーズ、制作したいもの、目的、住んでいる場所、状況などをヒアリングして環境に優しいDIYを提案します。
顧客の環境意識改善にも直結する取り組みとして知られており、誰でも気軽にワークショップのメンバーになれる点もポイントです。
また、Bunningsの公式ホームページでは、ワークショップコミュニティも運営されています。
スタッフへの質疑応答のほか、顧客同士が自身のDIYを写真付きで公開しており、特に環境に優しいDIYはプロジェクトとして大々的に取り上げられます。
具体的な制作方法なども併せて解説されているので、エコなDIYに興味がある人々が真似しやすい人気コンテンツです。
環境に優しい掃除用品の販売
Bunningsでは、環境に配慮した成分の掃除用品を提供しています。
市場で販売されている掃除用洗剤の中には、合成界面活性剤やリン酸塩を含む合成洗剤も多く存在しています。
汚れに効果的にアプローチできるというメリットがある一方で、水質汚染、土壌汚染、生態系への影響などが懸念されてきました。
そこでBunningsでは、以下のような環境に優しい掃除用洗剤を展開しています。
Green Care:野菜や果物などの有機廃棄物を発酵させて生成した有機酵素ベースの洗剤で、洗浄力の高さにも定評があるブランド
Eco Turtles:認証済みの天然成分のみ使用された洗剤とリサイクル素材のボトルが魅力のエコブランド
Simple green:環境保護局(EPA)が認めた安全性の高い洗剤ブランドで、家庭用、業務用、掃除専門業者用などから選べる
バリエーション豊富なエコ洗剤を販売することで、環境保全と顧客のニーズの両方を満たしています。
雨水の再利用
Bunningsでは、1994 年から雨水の収集と再利用を行っています。
オーストラリア国内の店舗に270を超える雨水収集タンクが設置されており、トイレの散水や店舗の屋外エリアの清掃などに使われています。
雨水を上手く有効活用することで、限りある資源である水の消費を最小限に抑えているのです。
エネルギー消費の見直し
気候変動への影響を最小限に抑えるために、Bunningsでは2025年までに100%再生可能エネルギーを導入すると公言しています。
Bunningsの店舗や施設内に100 台を超える太陽光発電システムが設置されており、2023年時点で供給されている再生可能エネルギーの比率は60%です。
残り40%の電力を再生可能エネルギーでまかなうべく、Bunningsはさらなる太陽光発電システムの増加を計画しています。
また、各店舗にはLED照明が標準装備されており、1 店舗あたり30%以上のエネルギー使用量を削減しています。
Schools Tree Dayの公式サポーターに就任
オーストラリアでは、毎年7月最後の金曜日をSchools Tree Dayとしています。
Schools Tree Dayとは、子どもたちが自然の大切さを学べるように、学校規模で開催・参加している環境イベントです。
国内の何千もの学校を対象としており、具体的な環境アクティビティには植栽や野生動物の生息地の構築が含まれています。
BunningsはSchools Tree Dayの公式サポーターで、過去10年以上にわたってイベントを通した教育を行っています。
遊びながら学べるプログラムを提供しているほか、子ども向けのワークショップなども多く、子どもたちが実践的かつサスティナブルな活動やDIYに挑戦する機会を作っているのです。
まとめ
オーストラリアを代表するホームセンターのBunningsは、多方面における環境保全活動を行っています。
リアルタイムで環境問題を改善するための対策はもちろん、未来の地球を担う子どもたちへの教育にも力を入れており、長期的な視点での環境保護を意識しています。
もしオーストラリアを訪れる機会があったら、ホームセンタープラスアルファの取り組みを行うBunningsをぜひ覗いてみてくださいね。