年間を通して温暖な気候のオーストラリアは、観光地として人気の国です。
マリンスポーツ、グルメ、動物とのふれあいはもちろん、ショッピングに最適なスポットも多いことから、「オーストラリアで買い物を楽しみたい」「旅行の思い出にお土産をたくさん買って帰りたい」と考えている方もいるのではないでしょうか?
もしオーストラリア旅行中にショッピングをするなら、オーストラリアの大手百貨店・David Jonesに立ち寄ってみましょう。
老若男女のニーズを満たすバラエティー豊富な製品を販売しているだけでなく、環境に優しいサスティナブルな取り組みも行っている点が魅力です。
この記事では、David Jonesの基本情報とエコ活動の事例についてご紹介していくので、オーストラリアに旅行する予定がある方はもちろん、国外の百貨店が実施する環境保全について知りたい方もぜひ参考にしてくださいね。
目次
David Jonesってどんな店?
David Jonesは、1838年にシドニーで創設されました。
185年の歴史を持つ老舗百貨店で、2023年時点は本社をビクトリア州に構えています。
オーストラリア主要都市に合計45の店舗を構えるDavid Jonesは、アパレル、化粧品、キッチン用品、雑貨、スポーツ用品、装飾品などを幅広く取り扱っている百貨店です。
競合であるMyerと並ぶオーストラリア国内の2大百貨店の1つとして知られており、7,000人弱の従業員を雇用しています。
David Jonesが行う環境に優しい取り組みとは?
オーストラリア国内で高い知名度を誇るDavid Jonesは、環境保全にも力を入れている企業です。
ここでは、実際にどのようなエコ活動を実施しているのか見ていきましょう。
①動物福祉への配慮
David Jonesでは、動物福祉に関する厳しいルールを設けています。
自然環境と調和しながら生きていくためには、森や海などの自然を守ることはもちろん、そこで生息する動物達と共存していくことが必要不可欠です。
David Jonesは動物が人道的かつ敬意を持って扱われることを保証すべく、自社やサプライヤーが動物福祉の規定に遵守することを義務付けています。
動物福祉の規定には、以下のような内容が含まれています。
- 非人道的な屠殺の禁止
- 動物実験の禁止
- 8時間以上の動物輸送の禁止
- 歯や尾の切断の禁止
- 動物にとって有害な製造プロセスの禁止
- 絶滅危惧種から作られた製品の使用・販売禁止
- 毛皮の使用・販売禁止
特に毛皮に関しては、サプライヤーに対しても関連製品の供給を行わないように明記しています。
高級デザイナーズブランドのテナントも多いDavid Jonesですが、非人道的な製造過程を経て作られる毛皮製品を全面的に禁止しています。
動物に優しいビジネス運営を行うことで、人々と動物が共に暮らせる環境づくりを目指しているのです。
②BeautyCycleの導入
David Jonesの化粧品売り場には、BeautyCycleと呼ばれる箱が設置されています。
BeautyCycleとは、美容用パッケージに特化したリサイクルプロジェクトのことです。
スキンケアやメイク用品が入っている美容用パッケージは、使用後に各家庭でゴミとして廃棄されるのが一般的です。
しかし、リサイクル可能な素材の容器なども多いことから、David Jonesでは美容用パッケージの回収を行っています。
利用条件などは特になく、立ち寄った利用客は使用済みのパッケージを気軽にBeautyCycleに投入可能です。
BeautyCycleの中身はDavid Jonesとパートナーシップを結んでいるリサイクル専門業者・TerraCycleが分別するため、パッケージの汚染などを防ぎながらリサイクル作業を進められる点がポイントです。
本来ゴミとして廃棄されるパッケージの再利用に繋がるBeautyCycleは、環境保全に関心のある消費者から高い支持を得ています。
③包装に関するリサイクルの促進
David Jonesでは、商品の包装にビニール袋などのプラスチック素材を長年使っていました。
しかし、廃棄物が増えることで環境への負荷が大きくなるため、現在ではリサイクルに適した素材の包装を推進しています。
リサイクル可能な素材の包装を増やすことで、廃棄物の削減に繋がります。
包装の素材はオーストラリア包装規約(APC)のガイドラインに則って決められており、ギフト以外の製品に関しては利用者の希望がなければ包装無しで提供する点も特徴です。
また、耐久性の高い包装紙や袋を採用することで、包装をできるだけ長く消費者が有効利用できるように工夫しています。
④有害物質の使用禁止
さまざまな商品を取り扱っているDavid Jonesでは、自社とサプライヤーに対して有害物質の使用を禁止しています。
カドミウム、鉛、水銀などの重金属、有機スズ化合物、塩素系溶剤、過フッ素化化学品をはじめとする有害物資は、製造過程での利用によって環境に悪影響を及ぼします。
長期的な使用で水質汚染、大気汚染、土壌汚染が発生するほか、土壌を通して動植物に負荷がかかる恐れもあるので、エコシステムを含む環境保全のためにエコな製造を推奨しているのです。
⑤災害救援・復興基金への寄付
David Jonesは、環境保護に関する経済的な支援も行っています。
2019年から2020年にかけてオーストラリアで続いた大規模森林火災の際には、200,000ドル(約1,900万円)以上を災害救援と復興に携わる団体に寄付しました。
アパレルブランドやデザイナーズブランドなどがテナントとして入っているDavid Jonesでは、季節ごとにファッション系のイベントを実施しています。
しかし、大規模森林火災によって多くの動植物が被害を受けていたことから、2020年はイベントの開催を取りやめ、イベントに使われる予定だった資金を寄付金に回しました。
David Jonesは大規模森林火災への寄付を複数回にわたって行ったほか、「傷ついた動植物を助けるために寄付したい」「森林火災の復興に協力したいけど何をすればいいのか分からない」という利用客のためのオンライン寄付金システムも構築しました。
利用客からは150,000ドル(約1,400万円)を超える寄付金が集まり、大規模森林火災の救援と復興に大きく貢献した企業として認知されています。
⑥100%再生可能エネルギーの導入
オーストラリア国内に45店舗を構えるDavid Jonesでは、膨大な量の電力が日々消費されています。
電力消費に伴う温室効果ガスの排出を懸念して、David Jonesは2030年までに100%再生可能エネルギーを導入することを決定しました。
2023年時点で既に敷地内への太陽光発電システムの設置が完了しており、環境破壊リスクの少ないエネルギー供給の確立に努めています。
⑦カーボンニュートラルのアパレルブランド・bassikeとのコラボ環境Tシャツの販売
David Jonesでは、オーストラリア生まれのアパレルブランド・bassikeとのコラボ企画として環境Tシャツを販売しています。
bassikeはオーストラリア政府が規定するカーボンニュートラル企業の基準を満たすアパレルブランドで、風力発電プロジェクトや野生動物の回復プログラムへの寄付などを行っています。
より良い地球づくりに力を入れていることから、同じく環境保全に貢献するDavid Jonesとのコラボ環境企画が実現しました。
コラボ環境Tシャツの背面にはカーボンニュートラルの文字が記載されており、環境コラボTシャツ1枚につき通常のTシャツよりも1.9㎏の温室効果ガスを削減しています。
実に2.5時間分の電気の使用量に匹敵するため、コラボ環境Tシャツの購入者はアパレルを通して環境保全に参加できる点が魅力です。
まとめ
オーストラリアを代表する百貨店・David Jonesは、環境保護を意識したビジネス運営を行っています。
有害物質の使用禁止、100%再生可能エネルギーの導入、災害救援・復興基金への寄付、動物福祉への配慮、包装におけるリサイクルの促進などに取り組んでいるほか、BeautyCycleプログラムやコラボ環境Tシャツといった百貨店ならではのエコ活動も特徴的です。
もしオーストラリアに行く機会があったら、多方面から環境保全活動を実施するDavid Jonesでぜひショッピングを楽しみましょう。