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【バナナペーパーとは】作り方やメリット・デメリット、おすすめ商品3選

近年、SDGsサステナブルに対する注目の高まりから、地球や人に優しい製品が続々と誕生しています。なかには、意外なものを原材料に使用している製品も見かけます。その内のひとつが、「バナナペーパー」です。栄養価も高く、子どもから大人まで年齢を問わずに食べられているバナナが、どのようにして紙になるのでしょうか。

本記事では、バナナペーパーの作り方、メリットやデメリット、実際に販売されている商品を紹介します。まずは、バナナペーパーがどのようなものかを知りましょう。

バナナペーパーとは

引用元:バナナペーパーとは|One Planet Paper

バナナペーパーとは、オーガニックバナナの茎から採取した繊維古紙やFSC森林認証のパルプを合わせて作られた紙です。製造には和紙の技術を取り入れているため、表面はツルツル、裏面はザラザラとした質感になっており、よく見るとバナナの茎の繊維が透けて見えます。

しかし何故、原材料としてバナナの茎の繊維が選ばれたのでしょうか。実は、バナナの茎の繊維は、貧困や環境・女性などの社会問題を解決するサステナブルな素材として期待されているのです。その理由をより深く理解するために、バナナペーパーの歴史を見ていきましょう。

森林を適切に管理し環境や地域社会に配慮しているかを、第三者認証によるシステムで評価する仕組み。FSC森林認証された紙を積極的に使うことによって、林業者の支援や森林保全につながる。

バナナペーパーの歴史

バナナの茎の繊維が選ばれた背景には、スウェーデン人であるペオ・エクベリさんと、妻の聡子さんが長年行ってきた活動が関係しています。

【2011年】 バナナペーパー事業を開始

ザンビアのエンフウェ村では、貧困が原因で違法な森林伐採や密猟が多発していました。

そこで、ペオ・エクベリさんと聡子さんが立ち上げたサステナビリティの啓発を行う「ワンプラネット・ペーパー協議会」は、村人たちに雇用機会をつくれないかと考え、注目したのが廃棄されたバナナの茎です。

エンフウェ村では、オーガニックバナナの生産が盛んに行われています。これまでバナナの木は、一度収穫すると実が取れなくなることから、茎は廃棄されていました。協議会の人は、バナナの茎から取れる繊維が紙の原料になると知り、バナナペーパーづくりを決意し、2011年に事業を開始します。

【2014年】バナナペーパー工場を建設

2014年には、クラウドファンディングによって得た資金をもとに、環境に配慮したバナナペーパー工場を建設しました。従業員には、これまで雇用経験のない人や基礎教育を受けていない人も多数採用しています。地球環境に優しい紙を製造するだけではなく、貧困層へ新しい雇用の機会もつくったのです。

【2016年~2020年】日本初となるフェアトレード認証紙に

バナナの茎はザンビアで繊維にされ、その後、日本の和紙工場でバナナペーパーになります。そのため、バナナペーパーは「Made WITH Japanの紙」でもあるのです。2016年には、日本の紙業界で初となるフェアトレード認証を取得しました。

その後ザンビアの工場では、バナナ繊維を取るだけではなく手漉きの紙づくりも行うようになり、現地従業員のスキルアップや雇用拡大を実現。2020年時点でワンプラネット・ペーパー協議会のバナナペーパーは、世界11ヶ国で販売されています。

【関連記事】「サステナブル」を具体的に伝えたい バナナペーパーなど3つの事業から持続可能な社会へアプローチ | 株式会社ワンプラネットカフェ

バナナペーパーの表示マークについて

引用元:フェアトレードのバナナペーパー|One Planet Café

バナナペーパーには、下記のような表示マークがついています。

中央のマークは、雑誌やネットなどでバナナペーパーを紹介する際に使用できるマークです。

下記の左の2つは、バナナペーパーを使用した製品にのみにつけることが許されているマークです。オーガニックバナナ繊維の含有量によって使い分けます。

引用元:OPPバナナロゴまとめ.numbers | One Planet Paper

左側の「5」と書かれたマークは、オーガニックバナナの繊維を5%以上配合した紙を使用した製品であることを表します。右側は、20%以上配合した紙を使用した製品であることを証明したマークです。

また、配合率20%以上のバナナペーパーはクライメート・ポジティブをクリアした紙であり、それを使用した製品はWFTO認証マークをつけることができます。

その他にも、世界フェアトレード機関が決めた社会・環境・経済・ガバナンスに関する10個の指針と、約100の基準を満たす製品に与えられる第三者認証マーク「WFTO認証マーク」。クライメート・ポジティブ※な製品の証である「クライメート・ポジティブマーク」などがあります。

クライメート・ポジティブ

事業や製品生産の工程で、二酸化炭素の吸収量が排出量を上回る状態。パリ協定で定められた1.5度の目標に沿って二酸化炭素の排出量削減を目指す。

バナナペーパーのメリット

バナナペーパーの概要が分かったところで、メリットを確認しましょう。今回は、生産者・環境・生物・消費者のそれぞれに、どのようなメリットがあるのかを見ていきます。

生産者:人々の暮らしや健康が安定する

フェアトレード認証を受けているバナナペーパーの製造工場では、職場環境も整えられており、劣悪な状況のなか長時間働かされることはありません。賃金も、働きに見合った金額が得られるようになっています。

これにより人々は、受け取った報酬で安全な飲み水や栄養のある食事をとれるようになりました。また工場のあるアフリカでは、蚊を媒介して起こる感染症「マラリア」が問題となっていますが、収入が安定したおかげで、予防するための蚊帳を買うことや、病院へ行くことができるようになりました

その他にも、売上の一部が女性の教育支援にあてられていたり子どもの就学費用になったりと、貧困問題を根本から断ち切る活動のために役立てられています。

環境面:森林の保全

バナナペーパーの原材料は、古紙やFSC森林認証を受けた紙と廃棄されるバナナの茎から採れる繊維です。つまり、通常の紙のように木を使用しないため、森林を伐採する必要がありません。さらに、FSC森林認証を受けた紙を使うことによって、森林保全や適切な森林管理を行っている林業者への支援にもなります。

森林は、地球温暖化の原因の1つである二酸化炭素を吸収してくれます。また、クライメート・ポジティブのバナナのペーパーは、紙づくりを行う際に排出される二酸化炭素量より50%多く吸収し、その状態を固定化しなければならないと決まっています。

過剰に木を切る必要がなく、森林保全にもつながるバナナペーパーは、地球環境に優しい紙といえるでしょう。

生物面:動植物の保護

原材料調達のために森林伐採を行う必要がないため、絶滅危惧種を含む野生動物や植物の生息地を守ることにもつながります。クライメート・ポジティブも、国連が推奨する「REDD+※」を採用しており、現地の人や野生動物と一緒に森を守る仕組みになっています。

例えば、アフリカ最大のREDD+のカーボン・オフセットプロジェクトを行っている「バイオカーボン・パートナーズ(BCP)」は、日本のバナナペーパーを製造している会社「ワンプラネット・カフェ」とパートナーシップを締結。協力して行った取り組みによって、サッカー場130面以上分の森が守られ、23,000頭のゾウの保護に貢献できたそうです。

REDD+

途上国で起きている森林減少や劣化の抑制、持続可能な森林経営などによる温室効果ガス排出量の削減、または吸収量の増大を目指す取り組みにインセンティブを与える気候変動対策。その1つに、現地の人や野生動物と一緒に森を守る方法があり、BCPはそれを行っている。

消費者:気軽に支援ができて、貧困や環境問題の解決にも貢献

フェアトレード認証を受けたバナナペーパーは、

  • 適切な労働条件
  • 従業員に適切な賃金の支払いがされている
  • 児童労働の禁止
  • オーガニックの材料やグリーン電力を使用するなどの環境配慮が行われている

などが守られています。

そのため商品の質が良いことに加え、どのような環境で製造され、製造過程で人や環境が犠牲になっていないとてもクリーンな製品だということの証明になるのです。私たちがバナナペーパーを購入することによって、生産者の支援、貧困や環境問題の解決につながります。

「無理のない範囲で社会貢献がしたい」という人に、バナナペーパーを使用した製品の購入はおすすめです。

バナナペーパーのデメリット・課題

バナナペーパーには多くのメリットがある一方で、デメリットや課題も残されています。

通常の紙より割高

バナナペーパーの価格は、通常の紙の2〜3倍です。フェアトレードによって生産者を支援する目的もあるため、どうしても金額が高い製品が多くなります。フェアトレード以外にも、生産量や使用量の少なさも理由の1つでしょう。

繊維の配合率が多いと金額も高くなります。金額を抑えて使用したい場合は配合率20%以上ではなく5%以上の製品を選びましょう。普段使い用と特別な場面で使いたい用など、用途によって使い分けるのも良いかもしれません。

バナナペーパーを使用できない印刷機がある

バナナペーパーは、バナナの茎の繊維という特殊な素材を原材料として使用しています。そのため、印刷を施したい場合も使用できる印刷機が限られてくるのです。印刷会社に印刷をお願いする際は、しっかりとイメージや要望を伝え、それに合った印刷機とバナナペーパーを提案してもらいましょう。

バナナペーパーとSDGsの関係

バナナペーパーの普及は、SDGsの17個ある目標のなかでも「社会」「経済」「環境」すべての課題解決につながります。

そもそもSDGsは、2015年に国連で採択された国際的な目標です。持続可能な社会を実現するために、

  • 貧困などの社会に関する課題
  • 働きがいやまちづくりなどの経済の課題
  • 海洋汚染や温暖化などの環境に関する課題

というように、3つの側面から17の目標と169のターゲット(より具体的な行動を示した指針のようなもの)が設定されています。

【関連記事】SDGsとは|1〜17の目標一覧と意味や達成状況、世界・日本の取り組み事例を紹介

特に目標1/8/13と関係する

バナナペーパーは、

と特に関係します。

バナナペーパーのメリットの章で説明したように、雇用を生み出すことで安定した収入を得られるようになり、貧困からの脱却家を目指せたり、さらには森林の違法伐採を防いだりなど、様々な課題の解決につながります。

つまり、バナナペーパーが普及することで、SDGsが掲げる目標の達成にも貢献し、持続可能な社会の実現が近づくと言えるでしょう。

バナナペーパーの作り方

引用元:バナナペーパーとは|One Planet Paper

バナナペーパーについて理解したところで、続いては作り方を見ていきましょう。

ステップ1~2 原材料の買い付け~工場へ搬入

まずはバナナペーパーの原材料であるオーガニックバナナの茎を、ザンビアのバナナ農家からワンプラネットペーパー協議会が買い付けます。買い付けはフェアトレードに沿って適正な価格で取り引きされ、バナナ農家の人たちにとって不利な内容で行われないようになっています。その後、買い取った茎は繊維を取るために工場へ搬入されます。

ステップ3~6 繊維の取り出し・天日干し・輸出

搬入されたオーガニックバナナの茎は1mの長さに加工され、専用の機械にかけられます。余分な皮や水分などを除き、繊維だけを採取するためです。その後、工場の敷地内で天日干しされ、梱包後、日本国内の工場または海外の工場へ船で輸出されます。

船を使用する理由は、飛行機を使用した時より、二酸化炭素の排出量を90%削減できるからだそうです。

ステップ7~8 抄造・バナナペーパー製品の開発・販売

ザンビアから届いた繊維を、古紙やFSC森林認証されたパルプと混ぜ合わせ抄造※します。抄造することによって、和紙の風合いがでて美しく仕上がります。

完成したバナナペーパーは、ワンプラネット・ペーパー協会に属する企業や専門機関・大学の手に渡り、多様な製品に姿を変え販売されます。主に、メッセージカードや名刺・賞状・ラッピング用品として使用されています。

抄造(しょうぞう)

紙の原料を漉いて紙をつくること。

おすすめのバナナペーパー商品3選|どこで買える?

続いては、バナナペーパーを使用したおすすめ商品と購入できる企業を紹介します。

【名刺】株式会社 山櫻

株式会社山櫻は、封筒やカードなど普段使いできるものから、プリンター用ロール紙といった事務用品まで、さまざまな種類の紙製品を取り扱う会社です。バナナペーパーを使用した商品も販売しており、オーガニックバナナの茎から採取した繊維を20%配合し、FSC森林認証の紙を合わせた「名刺」は特におすすめです。

名刺には、バナナペーパーのマークを入れることもでき、名刺交換の際の話題作りにもなるでしょう。

【関連記事】株式会社山櫻 | 紙製品のメーカーが挑戦するエシカル商品の開発

【ノート】ミヤザワ株式会社

ミヤザワ株式会社は、卒業証書や証書ケースなど学校に関する事業を中心に展開しています。バナナペーパーを使用した商品の製造・販売も行っており、リングノートは、素朴な質感とうっすら黄色い紙が特徴です。そして、鉛筆でも書きやすいとリピーターも多い商品の1つ。A5とA6の2サイズあり、表紙の色もA5が3種類、A6は4種類となっています。

ミヤザワ株式会社では、バナナペーパー商品の収益の1%を、ザンビアの支援を行う「NPO法人ワンプラネット・カフェ・ザンビア」に寄付しています。

>>ミヤザワ株式会社

【ギフトボックス】ミヤザワ株式会社

こちらも、ミヤザワ株式会社で製造されているギフトボックスです。500mlの缶に近いサイズのギフトボックス(小)は、ハサミやペンなど文房具を入れてペンスタンドにもなります。サイズは(小)以外に、ひとまわり大きい(大)の2種類です。

(小)は「白草木」「紫草木(上記写真)」、(大)は「グレー草木」「クリスマス」と、どちらも2種類の柄から選べます。バナナペーパーというと素朴なイメージですが、商品によっては華やかな印刷を施せます。

>>ミヤザワ株式会社

まとめ

廃棄されるオーガニックバナナの茎から誕生したバナナペーパーは、日本で初めてフェアトレード認証を受けた生産者や動物・自然環境に優しい紙です。私たち消費者は、バナナペーパーを使用した製品を購入することによって、貧困と環境問題の解決に貢献できます。

しかし、通常の紙製品より高価なため、これまで使用していたものを全てバナナペーパーの製品にすることは難しいと思います。まずはノートやメモ帳など、試しやすいものから取り入れてみましょう。贈り物に、バナナペーパーの製品を選ぶのも良いかもしれません。

もし「人や動物、自然環境に優しい世界を実現するために何かしたい」と思っているのであれば、バナナペーパーを使用した製品の購入も検討してみてくださいね。

〈参考文献〉
バナナペーパーの使用|ミヤザワ株式会社
WFTO フェアトレード認証|One Planet Paper
バナナ繊維の配合率とWFTO認証ラベル|One Planet Paper
Climate Positive クライメート・ポジティブの紙!|One Planet Café
Story|One Planet Paper
Climate Positive クライメート・ポジティブの紙!|One Planet Café
バナナペーパー|株式会社 山櫻
海外で健康に過ごすために|厚生労働省検疫所 FORTH
森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献しています|林野庁
REDD+とは?|REDD+プラットフォーム