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布おむつとは?使い方や洗い方とメリット、かわいそうと言われるのはなぜ?

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環境問題や健康への意識が高まりつつある近年、育児において「布おむつ」を選択する人が増えています。

洗えば何度も繰り返し使用できてごみが少ないうえ、育児にもよい影響があるといわれ、紙おむつとの併用をする人もいます。

そんな「布おむつ」について、基本的な知識から実際の使い方・おすすめアイテムまで、幅広くお伝えします。

布おむつとは?

布おむつとは、文字通り布でできたおむつのことです。現代の育児では不織布でできた紙おむつが主流ですが、紙おむつがなかった時代には布製のおむつが使われてきました。

布おむつの多くは、腰まわりを覆う布おむつカバーと、その中にシート状の布おむつをセットすることによって成り立っています。

女性が生理の際に使用する布ナプキンに似ていますが、布ナプキンは主にショーツの内側に敷いて使用するものです。対する布おむつは、おむつカバーをショーツだと捉えると、中の布おむつ(ナプキン)のみ、もしくはショーツごと取り替えるものだとイメージすると、より分かりやすいかもしれません。

紙おむつとの違い

紙おむつの多くは、外側がポリプロピレンと呼ばれる化学繊維から出来た不織布によって出来ています。見た目はとてもスリムですが、排泄物が溜まる内側は、高分子吸収材や綿状パルプによって構成された吸収剤のほか、防水材・伸縮剤などさまざまな素材がいくつも重なっているのです。

対する布おむつは、カバーも含めてもさまざまな素材があり、木綿・ポリエステルなど、メーカーによって違いが見られます。また、構造が異なるものも多いため、使用する子どもの月齢や用途にあわせて好きなタイプを選べる点も魅力です。

次からは、具体的に布おむつの選び方や使い方の実践的な内容を見ていきます。

布おむつの選び方

繰り返しになりますが、布おむつと布おむつカバーはセットで使うものです。それぞれ、いくつかのタイプがあるため、1つずつ紹介します。

布おむつカバーの種類

布おむつカバーには、主に以下のような種類が挙げられます。

  1. 両サイドにボタン・テープが付いているタイプ
  2. そのまま履けるパンツ型タイプ

①両サイドにボタン・テープが付いているタイプ

両サイドにスナップボタンが付いているタイプは、子どもを寝かせた状態で、安全かつスムーズに取り替えができます。アイテムによってはスナップボタンが複数ずつ付いていることがあり、胴体のサイズや中に敷くシートの厚みによってサイズ調節ができるので便利です。

また、トイレトレーニングの時期には、自分で布おむつカバーを着脱しやすいよう、マジックテープで留めるタイプもあります。

②そのまま履けるパンツ型タイプ

月齢が進み、動きが活発になってくると、上手に寝転がれなかったり、足をバタバタさせたりと、おむつ交換が大変になります。そのような時期には、スピーディーに取り替えられるパンツ型タイプがおすすめです。

腰回りにゴムが入っているため楽に交換でき、子どもにもストレスを与えにくくなります。

トイレトレーニングの時期や、自分で着脱できるようになってきた際も、パンツ型は便利です。

なお、布おむつカバーの中には、すでに布おむつが備わっている一体型もあります。一体型は、おむつ離れのタイミングや、夜間のおもらし対策といった場合に助かるアイテムです。

布おむつカバーのサイズの選び方

実際に使う際、腰回りに固定する布おむつカバーのサイズはどのように決めたらよいのでしょうか。

まず、布おむつカバーはできるだけフィットしたサイズを選ぶようにしましょう。すぐに成長するからといって、大きめのサイズを選んでしまうと、布おむつがずれやすくなり、排泄漏れが起こってしまいます。

サイズ選びの際、ひとつの目安として「月齢」がありますが、個人によって体格に差があるため、一概にこのサイズが絶対、とは言い切れないのも事実です。

また、一般的に男児は下半身が細く、女児は足回りがむちっとしている場合が多いので、フィットした布おむつを選ぶには、足回りのサイズを測るとよいでしょう。

詳しいサイズは各メーカーによって異なるため、購入の際はよく確認してください。

布おむつは素材選びも大切!

おむつは肌に直接当たるアイテムであるため、素材選びは特に重要です。

人の皮膚は、薬物や繊維中に含まれる化学物質などを吸収する作用があります。50年前の研究にはなりますが、前腕の内側の皮膚での吸収率を1とすると、膣の吸収率は42倍だといわれています。また、皮膚の構造が成熟する前の新生児~幼児期は、より経皮吸収の確率が高くなるため、デリケートな肌を持つ赤ちゃんに使う布おむつ選びには気を遣う必要があります。

布おむつで最も一般的な素材は、コットン(木綿)です。繊維自体がやわらかいため肌を傷つけにくく、保温・保湿にすぐれているため、時期を問わず使いやすいでしょう。洗濯に強く、何度洗っても擦れにくいのも、うれしいポイントです。

できるなら、化学農薬や肥料を使用していない、オーガニックコットンがおすすめです。原料生産の段階から、子どもの肌を守るための配慮をしてあげたいですね。

また近年は、竹を使った布おむつも登場しています。抗菌作用の強い竹を繊維にしたアイテムは、乾きが早いので外出・旅先などに重宝するでしょう。

布おむつの種類

次に、カバーの中に敷く布おむつについてご紹介します。中のシートは主に、2つのタイプに分けられます。

  1. 自分で切って縫う、折りたたみタイプ(輪おむつ)
  2. はじめからセットしやすい成形(ライナー)タイプ

①折りたたみタイプ(輪おむつ)

輪おむつと呼ばれるタイプは、反物のように一枚布になっているものと、あらかじめカットされて輪状に縫われているものがあります。どちらも好きな大きさに折り畳んで使うことができるため、排泄物の量に合わせやすい点が魅力です。

輪おむつを使う際は、凹凸のある方を表にして下さい。そのほうが排泄物汚れが落ちやすくなります。輪おむつはシンプルに薄手の布を折り畳むだけなので、洗濯後も乾きやすく、またすぐに使えるシートです。

②成形タイプ(ライナータイプ)

もうひとつは、あらかじめ布おむつカバーにセットして使えるように縫製されたパッドのような成形タイプです。

メーカーによって形は異なりますが、月齢や用途にあわせてさまざまな形があり、折り畳む手間がなくスピーディーにセットできます。交換のしやすさを重視するなら、成形されたライナータイプを使うのがよいでしょう。

布おむつの使い方は簡単

布おむつの使い方はとても簡単で、基本的には排泄が確認されたら布おむつを取り替えます。その際、

  • 少量のおしっこだけなら布おむつのみの交換でOK
  • うんちの時や、汚れ・においが気になったらカバーごと交換

というように、排泄物の量などによって臨機応変に対応すると、洗い物を減らせて楽になります。

布おむつの大きさや枚数は、排泄の量や取り替え可能な頻度などを考えて調節するとよいでしょう。1日の目安は月齢にもよりますが、

  • 布おむつ:30~40枚(湿気が多く乾きにくい時期は、さらに10枚)
  • 布おむつカバー:4枚

が一般的と言われています。

このように、布おむつは簡単に使うことができますが、使い捨てではなく洗濯が必要になります。次は布おむつの洗い方について見ていきましょう。

布おむつの洗い方

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使い終わった布おむつは、基本的にそのまま洗濯しても問題ありません。ただし、排泄物の汚れがこびりついていたり、においが気になったりすることから、直接洗濯機へ入れることに抵抗がある人も多いでしょう。

そこでおすすめなのが「浸け置き」です。

浸け置きのポイント

用意するものは、浸け置きするためのバケツ(ふた付きが好ましいですがなくても可)と、汚れ落ちを助けるための洗剤です。

はじめに、使用済みの布おむつを水で軽く洗います。このとき、使い古した歯ブラシなどを使うと手を汚すことなく汚れを落とせます。その際、シャワーの下にバケツや風呂桶を置いてもよいですし、気にならなければそのままバスタブに流しても構いません。人によっては、便器で水を流しながら済ませることもあるようです。

軽く洗った後は、あらかじめ水を張っておいたバケツに、布おむつを入れるだけでOKです。長期の浸け置きはカビの原因になってしまうので、少なくとも半日~1日おきに布おむつを取り出してください。

浸け置きが終わった後の布おむつは、手洗いでもよいですが、ネットに入れて洗濯機で洗うと、より手軽に済ませられるでしょう。

なお、汚れ落ちを助けるために洗剤を使う場合は、無香料の液体せっけんか重曹・セスキソーダがおすすめです。おしっこ汚れだけの場合は、軽く洗った後、みょうばんを溶かしたスプレーを吹きかけると、においを気にせずそのまま洗濯機に入れることができます。

しかし、洗剤が布おむつに残ってしまうと赤ちゃんの肌荒れなどに繋がるので、きちんとすすぐのが大事なポイントとなります。

布おむつのメリット

布おむつの基本知識が頭に入ったところで、布おむつを使用する際のメリットについて見ていきましょう。

ごみが出ないので環境にやさしい

布おむつは、紙おむつに比べてごみの量が少なく済みます

浸け置きをするため、その分すこし水を多く使いますが、不織布製の紙おむつはプラスチックごみとなってしまうことを考えると、布おむつのほうが結果として環境にやさしいということです。

一度購入すれば、何度も使える

もうひとつのメリットは、一度購入すれば繰り返し何度も使えるという点です。

もちろん、腰回りを覆うおむつカバーは、月齢に合わせて買い直す必要がありますが、成長に伴い購入の頻度は減っていきます。

カバーの中に敷く布おむつは、基本的にずっと使いまわすことができます。紙おむつのように頻繁に買い足す必要がないので、一度揃えてしまえばかえってお財布にやさしい場合もあるのです。

布おむつのデメリット

続いて、布おむつのデメリットについても確認しておきましょう。

洗う手間がある

紙おむつと違って布おむつは「洗濯」という手間が発生する点が、ひとつめのデメリットです。

とはいえ、軽く流し洗いをした後はバケツにしばらく貯めておき、最後は洗濯機で洗うこともできるため、生活習慣の中に上手に組み込めるかどうかによって、手間と感じるかどうかが分かれるところです。

初期費用がかかる

もうひとつのデメリットは、最初の布おむつセットを揃える際に、一気にお金がかかる点です。

もちろん購入するブランドやメーカー・素材によって金額は大きく変動します。お財布と相談しながら、時期と用途によって布おむつと紙おむつを併用するなど、無理なく利用できるとよいでしょう。

おすすめ布おむつ3選!

ここでは、おすすめの布おむつ(おむつカバーの中に敷くライナー)を中心に、3つのアイテムをご紹介します。

kucca|オーガニック成形布おむつ

まずは、3人の子どもを布おむつで育てた女性が立ち上げたブランド「kucca」の成形布おむつです。

素材には環境にも人体にもやさしいオーガニックコットンを使用。内側には吸収布が入っているので、ちょっとした排泄も漏れることなく安心して使えます。

使用中だけでなく、洗濯もしやすいように考えられたデザインは、新生児からおむつが外れる時期まで幅広く使える仕様で、1枚ずつ職人が手縫いで仕上げている点も魅力です。

ORGANIC GARDEN|オーガニックコットン ドビー織り布おむつ5枚セット 

次にご紹介するのは、奈良県で繊維を製造する企業の青年部有志によってつくられた協同組合NSによるブランド・ORGANIC GARDENの布おむつです。

あらかじめ使いやすい70×32cmの筒状サイズに裁断・縫製されているため、輪おむつタイプでも自分でカットする手間がかからず、すぐに使いはじめることができます。好きな形に折り畳め、同じ部分だけが汚れることの内容調節も可能です。

布の表面には凹凸があるのでお尻に引っ付く心配がなく、洗濯しても柔らかい風合いの続く工夫がされています。

素材にはオーガニックコットンを使用しているので、天然繊維・安全性を求めている人におすすめです。

Kotori|オーガニックリネンの極上「おむつライナー」

最後にご紹介するのは、オーガニック理念の布ナプキンや肌着・衣服を多く取り揃える、株式会社Kotori works(コトリワークス)の、オーガニックリネンで出来たおむつライナーです。

厳密には、こちらのアイテムは布おむつではなく、布おむつの上に乗せて、汚れ落ちを楽にするライナーという位置づけになります。いつもの布おむつに加え、汚れが付きにくい性質を持つリネン素材をプラスすることで、洗濯がぐっと楽になります。

また、どうしても忙しいので紙おむつを使いたいけど、少しでも子どもの肌を守りたいという場合には、紙おむつの中に敷くだけでも、膣から化学物質を吸収するのを防げます

なお、ライナー自体に吸収力はないので、必ず布おむつ・紙おむつと併用して使うようにしましょう。

おすすめ布おむつカバー2選!

続いて、おすすめの布おむつカバーを2つご紹介します。

kucca|布おむつカバー パンツ型カバー 

ひとつ目は、布おむつでも紹介したkuccaの、パンツ型おむつカバーです。

カバーの下部、股のパーツが開く仕様になっているため、トイレトレーニング・おまる育児の際にカバーを取り外す手間がなく、簡単にトイレをさせることができます。

腰の部分は腹巻のように、柔らかいリブ仕様になっているので、ずれにくくしっかりフィットします。通常の布おむつカバー同様、内側には布おむつを挿し込む箇所があり、一枚あると便利なアイテムです。

Lil Bums Cloth Diapers|布おむつカバー

もうひとつは、アメリカの布オムツブランド・Lil Bums Cloth Diapers(リル・バムス・クロスダイパー)の布おむつカバーです。

カバー全体にスナップボタンが配置され、新生児~おむつ離れが進むまでのすべての時期に対応できるよう、サイズの調節が可能な仕様になっています。

ヘンプコットン・バンブーコットン2種類の布おむつシート付きで、どちらも速乾性の高い素材を使っている点が魅力です。

布おむつに関してよくある疑問

ここまで、布おむつについて詳しく見てきました。次では、布おむつに関してよくある質問を挙げ、答えていきます。

かわいそうと言われるのはなぜ?

布おむつで育てられている子どもに対し、いくつかの理由で「かわいそう」と言われることがあるようです。例えば、

  • 「紙おむつよりもかぶれやすくてかわいそう」
  • 「今は性能のよい紙おむつがあるのに、わざわざ原始的な布おむつをはかされてかわいそう」
  • 「布おむつの洗濯時間が長いせいで、子どもと遊ぶ時間が少なくてかわいそう」

しかし、実際はどうなのでしょうか。

布おむつは、たしかに長時間交換しないことで、子どもの肌が荒れることもあるでしょう。しかし、紙おむつはそもそも石油由来の化学物質であるため、使用しただけで子どもの肌荒れが起こることもあります。

まめに交換し、蒸れを防ぐことができれば、布おむつのほうが衛生的かつかぶれにくくなることも考えられます。

また、紙おむつは排泄後も吸収材によって蒸れることなく長時間交換しなくてもよいものが増えています。しかし、あえて濡れた感覚が伝わる布おむつをすることで、排泄時の不快感を子どもが学習できるというメリットもあります。

乳幼児であれば泣いて知らせてくれることも多く、親は子どもの排泄サイクルから健康状態などを把握することも可能です。

最後に洗濯に関しても、たしかに予洗いの時間はかかるかもしれません。とはいえ洗濯自体は機械に任せられるので、さほど大きな問題ではないのでしょうか。

以上のように、「知らない」という理由で偏見を持ってしまい、布おむつ育児を批判する声が見受けられます。しかし実際には不便なこともあまり多くなく、それぞれの生活スタイルに無理なく取り入れることができれば、かえって育児によい影響を与えうるのが布おむつなのです。

布おむつは自作できる?作り方は?

一見難しそうに見える布おむつですが、実は自作が可能です。

特に、おむつカバーの中に敷く布おむつは、簡単に手作りができます。さらしのような柔らかく吸水性のある反物「布おむつ反」を購入すると、自分で好みの大きさにカットして使うことができます。

そして生地をカットしたら、短い辺を縫うだけで完成します。ミシンでもよいですが、手縫いでもすぐに出来るので、裁縫が得意でない場合も簡単に作れます。

また、少し手間がかかりますが、布おむつカバーも自作が可能です。ミシンや手縫いでできる布おむつの作り方を紹介した本のほか、英語だと無料パターンをより多く見つけることができます。

例えばこちらは、動画で詳しく作り方を紹介しているため、初めての人でも迷わず挑戦できます。この布おむつは吸収パッドが中に備え付けられているタイプですが、子どもの成長や用途にあわせて自在にカスタムできるのも、自作ならではのメリットといえます。

ほかにも、ある海外のサイトでは古くなったTシャツを折りたたんでおむつの形にし、赤ちゃんの腰まわりに巻き付けてピンで留めるという方法が紹介されていました。

確かに手軽ですが、鋭利なピンを使うのはちょっと気が引ける・・・という場合は、帯になる部分の両端にひもなどを縫い付け、結ぶ形式にするとより安全でしょう。どうしてもおむつが手近にない時の緊急手段としては有効かもしれません。

保育園に布おむつは持って行ける?

布おむつを保育園で受け入れてもらえるかどうかは、園によるようです。もし布おむつがOKなら頼んでもよいかもしれません。

ただし保育園では集団生活のため、必ずしも家と同じような生活リズムにはならない点に注意が必要でしょう。先生の都合だけでなく、子ども本人のコンディションも変わるということを頭に入れつつ、保育園の先生方と情報をシェアしながら、お互いに出来ることをすり合わせていくことが大切なポイントになります。

また紙おむつしか対応していない場合でも、まずは家でできることを増やすようにすることが大切です。子どもが「紙のほうがさらっとしておしっこが何回でも出来ちゃう」と理解するようになったら、排泄の感覚を理解しているということでもあるので、トイレトレーニングの時期が近づいていると考えられます。

このように、布おむつだけの育児にとらわれず、時と場合によっては紙おむつも併用しながら、子どもの成長を見守っていけるとよいですね。

大人用の布おむつもある?

大人向けの布おむつは、子ども用ほど多くありませんが一部ブランドで販売しています。

例えば、大人向けの用品を扱うブランド・Baby Angelでは、大人用の布おむつ・布おむつカバーの両方を取り扱っています。

種類は限られてしまいますが、使い捨ての紙おむつから切り替えたい場合に、ぜひ選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

紙おむつがあるのになぜ布おむつを使う?目的は?

紙おむつという便利なアイテムがある一方で、布おむつを選択する人がいるのには、主に2つの背景があるといってよいでしょう。

ひとつは、「素材選び」の中で触れたように、天然繊維の布おむつを選択することで、少しでも経皮から化学物質を吸収するリスクを下げるためです。まだ安全性の解明が完全にされていない中、幼い子どもを出来るだけ安心な環境で育てたいという親の想いがあります。

また、不織布や化学物質由来の吸収材が原因で、アトピーや皮膚炎・湿疹を発症する場合があるため、子どもか大人かを問わず、布おむつを選ぶ人がいます。

もうひとつの理由は、環境への配慮が挙げられます。

株式会社サティスファクトリーのレポートによると、国内で廃棄されている紙おむつの量は年々増加傾向にあり、2020年時点で年間220.4万トンもの紙おむつが廃棄されています。

紙おむつは尿などの排泄物を吸収すると重量が4倍にもなるうえ、水溶化・分離といった過程を経なければ適切に処理することができません。

その上、プラスチックは土壌で容易に分解できない物質です。少なくとも、わたしたちが生きている間に完全に土に還らないものを使うことは、消費者としての責任を果たしていることになりません。

また、プラスチックの生成には石油の採掘・燃焼が必要となります。処分の過程だけでなく、生産までにも大量の温室効果ガスが排出され、世界中で喫緊の課題である気候変動を加速させているのです。

こうした背景もあり、少しでもごみを減らそう・子どもの健康を守ろうという動きから、布おむつを洗濯する人が増えているのです。

布おむつとSDGs12「つくる責任つかう責任」との関係

最後に、布おむつとSDGsの関係性についてご紹介します。

使い捨てではなく、子どもへのケアと関わりがあるため、環境や健康との繋がりも見られますが、今回はSDGs目標12「つくる責任つかう責任」を挙げてみました。

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」では、あるアイテムの生産から消費・廃棄の過程すべてにおいて、環境や人権に配慮したものづくりを行うことを目指しています。

布おむつは、おむつを履く人の使い心地を追究することはもちろん、繰り返し何度も使えるアイテムという面で、人にも環境にも配慮したものづくりに則していることが窺えます。

おむつひとつ取っても、その原料はすべて大切な地球の資源から出来ています。どのようなアイテムを選択するのかによって、わたしたちの大切な家族がより幸せに生きられる未来を想像しながら、布おむつを選ぶとよいでしょう。

まとめ

今回は布おむつについて、基本的な知識や使い方・気になる点まで幅広くご紹介しました。

子どもの育児に役立つだけでなく、ひとつのものを大切に使うことで、おむつ交換の時間をより楽しく過ごせるかもしれません。

また、紙おむつが誕生する以前は当たり前に使われていたアイテムだからこそ、昔からの知恵を大切に受け継ぐと同時に、ひとつしかない住まいである地球の環境を思いやって、布おむつを選んでみるのはいかがでしょうか。

参考リスト
布おむつの使い方講座 – オーガニック布おむつのお店「kucca
紙おむつのしくみ-おむつのムーニー 公式 ユニ・チャーム
外用薬の使用と吸収率|東京逓信病院皮膚科部長 江藤 隆史(聞き手 池田志斈)
経皮吸収の原理・その実際・今後の期待 Theory, Practical Application and Future Expectation of Percutaneous Absorption 杉林 堅次|オレオサイエンス 第 17 巻第 11 号(2017)
How to Make a Homemade Diaper (with Pictures) – wikiHow
サスティナブルレポート No.110 年々増加する紙おむつの廃棄量|株式会社サティスフゔクトリー