家で過ごす時間が増えたことで、丁寧な暮らしを意識し始めた人が増えています。ライフスタイルの変化をきっかけに、地球環境に興味を持つようになった人も多いのではないのでしょうか?
そこでおすすめしたいのが「コンポスト」です。
従来のコンポストは、大型で室外に置くものが一般的でした。
しかし最近では、
- 室内に置けるタイプ
- コンパクトタイプ
- デザイン性を重視したタイプ
など、さまざまな種類のコンポストが販売されています。
この記事では、デザインにこだわったコンポストの紹介や地球環境への影響について説明します!
コンポストとは?
コンポストとは、微生物の力により、野菜くずなどの生ごみを分解・発酵させて堆肥を作ることを指します。
堆肥は、家庭菜園やガーデニングの土に混ぜて使用することで土壌改善につながり、野菜や花の成長が期待できます。
コンポスターとの違い
コンポストを調べると、よく出てくるのが「コンポスター」というワードです。コンポスターとは、コンポストを作る容器を指します。
堆肥そのものと堆肥を作る道具が混合して「コンポストで堆肥を作る」といった表現が使われることがありますが、正しくは「堆肥を作る容器」のことです。
コンポストの種類
コンポストにはさまざまな種類があり、ものによって設置場所や分解方法が異なります。
代表的な種類としては、
- バイオ式
- 乾燥式
- 土中式
- 回転式
- 密閉式
- ハイブリット式
などです。
その中でも、室内に設置できるのは、密閉式・バイオ式・乾燥式・ハイブリッド式です。1つずつ特徴を見ていきましょう。
密閉式
密閉式のコンポストは、生ごみや米ぬか、専用の基材、菌などを密閉した容器に入れ発酵させて使用します。発酵させるため、臭いや虫が発生することがあり、取り扱いが難しいタイプです。
これまでは屋外に置く大型タイプが多かったものの、最近では室内に置けるコンパクトサイズのものが展開されています。また容器が密閉式で、臭いが外に漏れないように工夫されているものも増えています。さらには、電気を使わず堆肥が作れるのも密閉式の特徴です。
バイオ式
バイオ式は密閉式と同様、微生物によって分解・発酵させ堆肥を作るコンポストです。「自動で処理してくれる」「堆肥になるまでに時間がかからない」というメリットがあるものの、サイズが大きいため屋外に設置しなければなりません。電源が必要となり、屋外のバイオ式を購入する場合は、外にコンセントが設置されているか事前に確認しておきましょう。
乾燥式
乾燥式は電気を使用し、温風で生ごみの水分を飛ばしカラカラに乾燥させるコンポストです。他のコンポストに比べると生ごみを乾燥させているため臭いが気になりません。さらに、生ごみを入れる容器は水洗いでき、清潔に保つことができます。またコンパクトなタイプが多いため、台所への設置も可能です。
ハイブリット式
ハイブリット式は、生ごみを温風で乾燥させたあとに微生物の力で堆肥にします。乾燥式とバイオ式のメリットを取り入れたコンポスト、室内に設置が可能です。毎日生ごみを入れ、堆肥を作ることができます。
おすすめのコンポスト5選
ここまで、コンポストの基本を確認しました。ここからは、コンポスト初心者におすすめのコンポストを紹介します。
【乾燥式】コンポストに見えないデザイン「パリパリキュー」
「手間をかけたくない」「虫やニオイが気になる」という方は乾燥式がおすすめです。パリパリキューのサイズは、幅23cm×奥行27cm×高さ27cmとコンパクト。さらにはシンプルで生活感が出にくいおしゃれなデザインであるため、インテリアにこだわりたい人にぴったりのコンポストです。
特徴
パリパリキューは、生ごみの水分を温風で乾燥させて使うコンポストです。乾燥させた生ごみは1/5の量になり、一定量溜めてから捨てることでごみを捨てる回数を減らでます。また、乾燥しているので腐らず臭いも気になりません。
使い勝手
使い方は簡単で、専用のバスケットを三角コーナーに設置し生ごみを投入します。その後、専用バスケットごと処理容器にセットするだけです。
処理時間は仕上がりモードにより異なり、ソフトモードで約4時間10分、パリパリモードだと7時間30分かかります。運転中の騒音を気にせず使用できるタイプであるため、深夜でも効率的に家事を行えます。
また、専用バスケットはプラスチックとなっており、軽く水洗いをするだけで良く、手入れも簡単です。
注意点
乾燥処理できるものは生ごみのみです。
また、
- お菓子や果物など、糖分を多く含むもの
- カレーやペースト状のモノ
- 小さく切られていない大きさの野菜
- 肉や魚、揚げ物など油分を多く含むもの
などは乾燥しにくいため、注意が必要です。
他にもイカやエビなどの魚類、腐った生ごみは脱臭フィルターの寿命を短くする可能性があります。
アルコール類や粉体類は、発火や爆発の恐れがあるので入れてはいけません。
【ハイブリット式】ニオイのない生活が送れる!室内用生ごみ処理機 NAXLU(ナクスル)
世界で注目されている室内用生ごみ処理機NAXLU(ナクスル)は、他のコンポストと比較しても手間が少ないタイプです。大容量で、数か月分の生ごみを貯めることが可能。乾燥式とバイオ式のハイブリットであるため、室内置きができます。
他の生ごみ処理機と比べると価格は高いですが、なるべく手間をかけたくない方におすすめのコンポストです。
特徴
ナクスルは大容量でまとめてごみを捨てられるため、ごみ捨ての回数を減らせます。
ごみ出しの目安は下記の3つです。
- 100g投入した場合、年に1回。
- 200g投入した場合、半年に1回。
- 500g投入した場合、2ヵ月に1回
また、自動省エネ機能で使用時以外の電力のカット、深夜に使用できる静音設計、さらにニオイを出さないのでペット(犬)の糞も入れることができます。
使い勝手
全自動で作動するので、生ごみを投入するだけで微生物が分解し始めます。また、熟成させたり乾燥させたりといった処理が終わるのを待つ必要がありません。いつでも気軽に生ごみを投入できるのがナスクルの使い勝手の良さです。
さらに、バイオ材は定期的に交換する必要がありません。他にもハイブリット脱臭システムを採用しており、殺菌・脱臭・臭い成分を分解・除去。悪臭の99.84%除去し、クリーンな空気を排出するため、部屋の中が匂わないのも嬉しいポイントです。
注意点
人間が食べて消化できるものはすべて投入できるものの、水分の多いものは水気を切ってから投入する必要があります。
卵の殻や魚の骨、鶏の骨程度であれば投入は可能ですが、貝殻や牛骨など固い物は入れられないため注意しましょう。
【乾燥式】ワンスイッチで生ごみが約8割減少!NAGUALEP(ナグアレップ)
台湾で人気のNAGUALEP(ナグアレップ)は、乾燥・研磨・脱臭を兼ね備えた電動生ごみ処理機です。ブラックベースのデザインは高級感があり、「生活感を出したくない」「洗練されたインテリアが好きな人」におすすめです。
特徴
独自開発の高温乾燥技術により内部の温度が126℃まで上昇。生ごみに含まれる水分を蒸発させると同時に、生ごみの悪臭や虫の発生を予防します。
乾燥した生ごみは研磨棒が回転することで粉砕され、3時間ほどで粉々になります。また、超強力活性炭フィルターにより、乾燥時に出る悪臭を吸着し、きれいな空気を排出してくれます。
使い勝手
使い方は簡単で、生ごみを入れてスイッチを押すだけ。水洗いもでき、いつでも清潔な状態で使用できます。また、ナグアレップは静音設計になっており、図書館と同じくらいの静かさを実現しています。これにより、深夜でも近隣を気にせず使用できます。
さらに25cm×25cm×40cmとコンパクトなサイズで、置く場所を選ばないのも魅力的です。
注意点
卵の殻や魚の骨など、生ごみならほとんど処理できるナグアレップですが、
- 牛骨や豚骨
- 貝殻など硬いもの
- 大きいもの
などは、容器を傷つける可能性があるので誤って入れないようにしましょう。
【密閉式】スロベニア生まれ。電気いらずの簡単コンポストBokashi Organko2
Bokashi Organko2は、EM菌を使用した密閉タイプのコンポストです。
EM菌とは、Effective Microorganisms(有用な微生物)を指し、Bokashi Organko2はEM菌の働きによって生ごみを分解し、発酵させます。堆肥ができるまでじっくり待てる、作業の過程を楽しめる、家庭菜園やガーデニングをしている方におすすめです。
特徴
容器は2重構造になっており、ゴム製のふたが内部の空気を遮断するため、ニオイ漏れと虫の繁殖の心配がありません。また、EM菌を使用することで悪臭の発生を防げます。
グレイッシュカラーがインテリアに馴染みやすく、主張しないデザインであるため、キッチンにも置きやすいタイプです。
使い勝手
必要なアイテムは容器本体と発酵促進剤(ボカシ)のみ。使い方は生ごみの投入の際にボカシを入れ、内蓋をしめてカバーをするだけです。生ごみを投入する期間は2週間で、その後2週間は放置期間となります。放置中は週に2回ほど、容器からガスを放出させるため抽出液を出す必要があります。
コンポストの入れた生ごみは堆肥になり、ガス抜きで出した抽出液は、薄めて液体肥料や排水溝の浄化に活用できます。
注意点
Bokashi Organko2の注意点は、人が食べてお腹を壊すものや、分解できないものは入れられません。また、
- 液体…ジュース、牛乳、水、油、酢など
- 大きな骨、貝殻、甲殻類のかたい殻、腐った食品、動物の糞など
を入れることはできません。
【バイオ式】家庭菜園がそのままできる「LFCガーデニングコンポスト」
LFCガーデニングコンポストは、再生素材を使用したバッグ型のコンポストです。素材だけではなく、デザインにもこだわっており、室内に置いていてもインテリアのように馴染みます。堆肥作りと家庭菜園を同時に始めたい方におすすめのコンポストです。
特徴
専用バッグで堆肥を作り、そのままプランターとして使うことができるLFCのコンポスト。
3週間分の生ごみを堆肥にできる材料がすべて揃っており、さらには家庭菜園用の土や季節の種もセットになっています。
使い勝手
堆肥にする材料を揃える必要がないため、手元に届いたらすぐスタートできます。独自の配合による基材は生ごみの悪臭を防ぎ、生ごみから堆肥への分解スピードを速めてくれます。
また、基材のみをリピートすれば専用バッグは継続して使用可能です。
「生ごみを300g/日入れて混ぜる」を3週間続け、その後、生ごみの投入をストップし、週1~2回かき混ぜて熟成させるだけで、栄養価の高い堆肥が完成します。
注意点
家庭から出る生ごみや、腐ったものも投入することができるLFCコンポストではあるものの、公式サイトでは、
- 貝・殻
- 栗の皮
- タケノコ・トウモロコシの皮
- 塩分が多い調味料
- 雑草・生花
などの投入は推奨されていません。
なお、たんぱく質が含まれるものを投入するとアンモニア臭が出ることがあるようです。その際には酸素が行き渡るよう2~3日しっかり混ぜることで解決できます。
コンポストの選び方
ここまではコンポストの代表的な種類・おすすめ製品をピックアップして紹介しました。
「実際、自分が使うならどんなコンポストが良いのだろう」と迷われている方も多いのではないでしょうか。
目的別にコンポストを選ぶことも可能ですが、今回は屋内に設置する場合について焦点を当て、選び方のポイントを解説します。
屋内で使用する場合
キッチンにコンポストを設置して、日々の調理で出た生ごみをその場で投入したいなどお部屋で気軽にコンポストをスタートしたい人が見るべきポイントは、以下の2点です。
- 匂いが漏れにくい構造であるか
- 小さめのサイズ感であるか
コンポストがある生活を送るのならば、室内に生ごみの匂いが漏れ出てしまうことは避けたいところです。
密閉性に優れているか、堆肥を作る過程で匂いが発生しにくいなどを確認すると良いでしょう。
購入前には、屋内のどの場所に設置したいかをイメージした上でサイズ感を選ぶとスムーズにコンポストライフをスタートすることができます。
コンポストのメリット・デメリット
家庭でも気軽にはじめられるようになったコンポスト。コンポストを取り入れることで、どのようなメリット・デメリットがあるのか整理してみましょう。
コンポストのメリット
生ごみに対するストレスが減る
コンポストを使用することで、生ごみの量は格段に少なくなるため、それに伴い捨てるごみの量も減ります。また、堆肥化することで臭いを気にせずストレスなく過ごせるようになるでしょう。
生ごみを捨てるビニールの削減になる
生ごみを捨てる回数を減らせ、ビニール袋の使用量削減にもつながります。
家庭菜園やガーデニングの堆肥に使える
化学的な成分が入っていないため、安心できる肥料として堆肥は使えます。栄養たっぷりの堆肥が家で作れ、肥料を購入せずに家庭菜園やガーデニングを楽しめます。
環境保全
一般的には生ごみは、焼却処分されています。つまり、家庭からの生ごみが増えれば増えるほど、焼却時に発生する二酸化炭素も増加し、温暖化につながるのです。
コンポストにより、生ごみを減らすことは環境に配慮した取り組みと言えるでしょう。
※詳しくは後ほど説明します。
コンポストのデメリット
堆肥になるまで、手間や時間がかかる
堆肥になるまで約1ヵ月、その間にもかき混ぜる必要があるため手間や時間がかかります。とはいえ、堆肥が出来上がる過程を楽しむ、ごみ削減の一環とポジティブに捉えれば、さほど気になる問題ではないかもしれません。
すべてのごみを入れられる訳ではない
コンポスターはすべてのごみを分解できる訳ではありません。製品によっては入れてはいけない食べ物もあるので、購入時はしっかり確認しておく必要があるでしょう。
虫や悪臭が発生する可能性がある
季節によっては虫や悪臭が発生する可能性があります。しかし、すべての虫が悪いわけではなく、分解を手伝う虫がいたり、発酵中のニオイということもあるため、ある程度の理解が必要です。
コンポストは生ごみを減らすことにつながる
コンポストについて分かったところで、環境との関わりについてもう少し理解を深めておきましょう。
コンポストと環境面で大きく関係するのが食品ロスです。
現在、日本では年間612万トンもの食品が廃棄されています。農林水産省によると、国民1人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食料を捨てている計算になるとしています。
食料ロスは、さまざまな問題を引き起こしますが、ここでは、そのなかでも処理方法に注目して見ていきましょう。
焼却処分
日本では、食品廃棄のほとんどが焼却処分されています。ごみを焼却することでエネルギーを使い二酸化炭素を大量に排出します。
加えて、ごみの焼却には莫大なお金がかかります。
環境省によると、現在日本にはごみ焼却施設が1,067施設存在します。1施設当たり1日166トン、全施設で約18万トンのごみが焼却されており、その経費として、2019年は約2億円という金額がかかっています。
生ごみを減らし、焼却するごみを削減することで地球温暖化につながる二酸化炭素を減らすとともに、私たちの大切な税金の節約にもなるのです。
埋め立て
もう1つ問題となっているのが、ごみの埋め立て地問題です。
日本は、ごみを焼却した後、主に埋め立て処理を行っています。しかし、この埋め立て地の寿命が残り約20年と言われており、その後の処分方法が問題となっているのです。
「埋め立て地を増やせばいい」という考えもありますが、新設には近隣住民の理解や、土壌汚染問題、ガスの発生、廃棄物の飛散など解決すべき問題が山積みです。
つまり、各家庭がコンポストによりごみを削減することで、これらの負担を軽減できるのです。
コンポストとSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」との関係
最後にSDGsとの関係を見ていきましょう。
SDGs(エスディージーズ)とは、Sustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」と訳されています。世界が抱える問題を2030年までに解決するために、2015年9月に採択されました。
SDGsでは、世界が抱える「環境」「社会」「経済」について解決すべき目標が17個掲げられており、その中でもコンポストと特に関係する目標は、SDGs13「気候変動に具体的な対策を」です。
目標13は、地球温暖化による気候変動を食い止めるために掲げられた目標です。
先述したように、生ごみが増えることで環境への負荷が大きくなります。1人でも多くの人が、コンポストで家庭から排出するごみの量を削減できれば、二酸化炭素の排出も減らせ、持続可能な世界に一歩近づくのです。
まとめ
室内におけるおしゃれなコンポストと環境との関係についてご紹介しました。
生ごみは家庭から毎日でるものです。
だからこそ、1人ひとりが生ごみを減らす意識をほんの少し高めることで大きな効果を発揮するはずです。
コンポストを生活に取り入れることで、
- 生ごみへのストレスが減る
- ごみの量が減り、ごみ捨てが楽になる
- 生ごみを捨てる時に使うビニールの消費が減る
- 家庭菜園やガーデニングに安心して使える堆肥が作れる
- 食品ロスなどの環境問題への意識が高まる
など、暮らしの変化へのメリットがたくさんあります。
また、
- ごみの焼却問題
- 埋立地問題
- SDGsの17個の目標
など、日本や世界が抱える問題への解決の第一歩となります。
さらに微生物の力で発酵させた堆肥を使って家庭菜園をすることで、栄養価の高い野菜を食べることが健康な体づくりにもつながります。
コンポストをきっかけに自分のライフスタイルを見直してみませんか?
<参考文献>
農林水産省 食品ロスを知る
環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について
環境省 令和2年版 環境白書 循環型社会の形成