富士フイルムといえば、写真事業を思い浮かべる人も少なくないでしょう。
意外にも日本で初めてコンピューターを作ったのは、富士フイルムです。
富士フイルムは、写真事業にとどまらず、これまでさまざまな製品やサービスを通じて世の中にイノベーションを起こしてきています。
富士フイルムの2030年にめざす姿として、2017年にCSR計画「Sustainable Value Plan 2030(SVP2030)」を策定し、6つの重点分野における課題・目標を設定しました。
- 「環境」
- 「健康」
- 「生活」
- 「働き方」
- 「サプライチェーン」
- 「ガバナンス」
同時に、グローバル企業として果たすべき社会的責任を明確にするために、SDGsの17目標の中から富士フイルムが大きく貢献できる10の目標を厳選しています。
そして、その目標を「SVP2030」計画の具体的な取り組みに盛り込み、6分野・15重点の課題として設定しました。
この記事では、富士フイルムが貢献するSDGsの取り組みを、「SVP2030」計画の6分野・15重点課題とともにご紹介します。
富士フイルムホールディングスのビジョンと事業内容
企業名 | 富士フイルムホールディングス |
SDGs | 3,5,6,7,8,9,11,12,13,17 |
サステナビリティレポート |
富士フイルムホールディングスのビジョン
〜富士フイルムグループのビジョン〜 オープン・フェア・クリアな企業風土と先進・独自の技術のもと、勇気ある挑戦により、新たな商品を開発し、新たな価値を創造するリーディングカンパニーであり続ける。 |
企業理念 〜富士フイルムグループの不変の価値観〜
私たちは、先進・独自の技術・産業の発展・健康増進・環境保持に貢献し、人々の生活の質のさらなる向上に寄与します。
富士フイルムホールディングスの事業内容
現在、富士フイルムは4つの事業セグメントでビジネスを展開しています。
事業セグメント | |
1. ヘルスケア | トータルヘルスカンパニーとして「予防」「診断」「治療」の3領域で幅広い事業を展開。アンメットメディカルニーズへの対応や疾病の早期発見、画期的なワクチンや医薬品の開発・製造支援などを通じて、世界の人々の健康に貢献しています。 |
2. マテリアルズ | マテリアルズ領域では、産業の効率化や社会のICT化推進などを通じて、資源循環の促進や気候変動への対応といった環境課題に取り組んでいます。 |
3. ビジネスイノベーション | ビジネスイノベーション領域では、オフィスをはじめとすさまざまな仕事の現場で課題解決に貢献することで、働きがいにつながる環境づくりなどの働き方変革に取り組んでいます。その他、企業のCO2排出量削減にも貢献しています。 |
4. イメージング | イメージング領域では、さまざまな思い出や出来事を写真や画像・映像というカタチにすることで心の豊かさや人々のつながりを強めることに貢献しています。その他、安全・安心な社会づくりも推進しています。 |
「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」の両面で、サステナブルな社会の実現をめざします。
富士フイルムホールディングスのSDGsの取り組み〜未来をより良い場所へと変えていく〜
それでは、富士フイルムが貢献するSDGsの取り組みを「SVP2030」計画の6つの分野・15重点にわけて紹介いたします。
1. 環境
気候変動への対応
2021年12月に新たな脱炭素目標を策定し、自社からのCO2排出削減目標を引き上げました。
本目標達成に向け、環境負荷の少ない生産活動や優れた環境性能を持つ製品・サービスの創出・普及を推進していきます。
さらに、省エネルギーでCO2排出削減が可能な製品・サービスの開発と提供により、社会でのCOs排出削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
富士フイルムグループは、創業当初より、水使用量削減・リサイクル使用・銀等資源の回収再利用・複合機・複合機の循環システム確率など、資源循環に積極的に取り組んでいます。3R(リデュース・リユース・リサイクル)を考慮した製品設計、製造段階でのロス削減、使用済み回収・リユース・リサイクル・廃棄物の有価物化・リサイクル活用など、ライフサイクルでの総合的な取り組みにより、資源の有効利用、廃棄物削減を進めています。
富士フイルムは、※パリ協定がめざす脱炭素社会の実現に向け、「創エネルギー」「畜エネルギー」「省エネルギー」の3つの観点から高機能材料によるエネルギー関連技術の開発・提供を進めています。
そして、社会での実装・普及を促すことにより、再生可能エネルギーの創出、普及に貢献していきます。
※パリ協定:2015年にパリで開催された「国連気候変動枠組締約国会議」で採択された、気候変動抑制に関する多国間の国際的な合意協定。地球の気温上昇を産業革命前から2℃未満に抑えることが掲げられています。
富士フイルムグループは、化学品・高機能材料・機器など幅広い製品を製造しているため、「化学物質の取り扱い管理」及び「製品に含まれる化学物質の管理」の2つの側面から、製品の成り立ちに応じた管理規定策定しています。
そして、グループ全体で運用管理を行い、世界各国・地域の法規定制の動向も的確に把握。
さらに、早期に対応準備を開始する体制も構築し、確実かつ効率的な化学物質管理を推進しています。
2. 健康
アンメットメディカルニーズとは、有効な治療法が確立されていない医療上のニーズです。
富士フイルムグループは、アンメットメディカルニーズへの対応や、新しい治療法の開発と普及に取り組んでいます。
写真フィルムの開発・製造で培った、高機能素材合成技術や高度なナノ分散技術・解析技術・生産エンジニアリング技術等とのシナジーが期待できる優れた技術を持つパートナーと積極的に協働しています。
それによって、再生医療・細胞治療など新たなソリューション開発と、こうした先端医療が幅広く普及するためのアクセス向上との両面での貢献をしています。
急速な高齢化が進む日本や、人口増加・経済成長が進む新興国では、医療需要が増加し、医師や看護師などの人材不足と過酷な労働環境、医療サービスの地域間格差が課題になっています。
また、開発途上国では依然として感染症による死亡率が高く、エイズ・結核・マラリアなどの伝染病根絶はSDGsの目標でもあります。
富士フィルムグループは、「予防・早期診断・早期治療」の実現のために、これまで培った独自の技術や医療IT分野で蓄積された大量のデータとAI技術を融合させることで、医療環境の整備、医療従事者への貢献をめざします。
健康を維持していくに上では、自覚のない疾病の早期発見や未病対策が極めて重要ですが、健康診断の必要性が認識している日本でも、定期的に検診を受けている人は対象人数全体の3分の2程度です。
富士フイルムグループは、簡単に自分の健康を検査できるシステムを広く社会に普及させることで、疾病の早期発見、早期治療に貢献します。
「年を重ねるほど楽しくなる人生へ。いくつになっても笑いあえる社会へ。」
少子高齢化が進むなか、医療費の抑制や介護問題解決のために健康寿命の延伸は、大きな社会問題です。
同時に、高齢者も社会を支える役割を担い続けることが求められています。
富士フイルムグループは、サラシアやアスタキサンチンを採り入れ、独自の技術を活用したエイジングケア化粧品や機能性表示食品により、健康増進と美への実現に挑戦しています。
富士フイルムグループがビジョンとして掲げている”新たな価値を創造するリーディングカンパニーであり続けること”。
これを実現するには、活力ある風土と、従業員が心身ともに健康で安心して働くことができる環境が不可欠と考えています。
よって、生活習慣病・禁煙対策・がん対策・メンタルヘルス対策・長時間労働対策を重点領域として、従業員の健康維持増進に向けた活動を推進しています。
また、労働安全衛生については「労働安全は事業活動の原点である」という考えのもと、安全最優先で従業員の労働安全衛生の確保に努め、関連諸法令の順守徹底を継続します。
生活
現代社会において、人々の安全を脅かすリスクは多様化し、急激な情報化に伴うネット犯罪の増加、そして、増大するデジタルデータの管理、社会のインフラの老朽化など、新たな問題がたえません。
その中で富士フイルムグループは、変化する社会のリスクに対応し、被害を低減する新たな技術を開発・普及させています。
それにより、ビックデータ時代のデジタルデータの安全な長期保存、情報セキュリティの向上、社会インフラ整備など、安全・安心な社会づくりに貢献しています。
スマートフォンやSNSの普及により、写真は日常に欠かせないコミュニケーションツールとなり、人と双方向に思いを共通するツール、また自己表現のツールとしての重要性も増しています。
富士フイルムグループは、写真のリーディングカンパニーとしてこれまで多くの「人」と「人」の心をつなぎ、人生を豊かにする写真の価値を発信し続けてきました。
「撮る・残す・飾る・そして贈る」という写真のさまざまな楽しみ方を伝えていくために、これからも時代の変化に合わせた写真の可能性を追求し、写真・映像文化の発展と心豊かな社会の実現のために貢献していきます。
働き方
働く人の生産性向上と創造性発揮を支援するソリューション・サービスの提供により、組織と社会のイノベーション創出への貢献をめざします。
これまで培ってきた自然言語処理や画像認識など独自の先進テクノロジー、AIやビックデータの解析等を駆使して、価値ある情報を抽出・活用させます。
それにより、社内外共に従来の「働き方革命」を超え、知的創造性を発揮する環境を構築。
そして、人々の働きがいを高め、組織や社会のイノベーション創出に貢献していきます。
富士フイルムグループは、人種・民族・国籍・性別・年齢・障がい等の違いを生かし、多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる組織風土の醸成に取り組んでいます。
そして、社会の変化に対応した自らイノベーションを起こすことのできるグローバルな人材の育成を推進するため、グループ全体を通したワールドワイドな視点での人材の発掘・育成・登用できる仕組みづくりや研修を行っています。
サプライチェーン
経済発展や世界的な人口の増加に伴い、資源消費量は急激に拡大し、農林・水産資源や鉱物など各種資源の枯渇が懸念されています。
さらに近年は、新たな開発に伴う環境破壊、劣悪な労働環境の過重労働といった労働者からの搾取行為なども問題視されている現状です。
企業が「持続可能な生産形態」を維持し、製品・サービスを提供し続けていくためには、環境・倫理・人権など全ての企業活動の基盤となるCSR項目について、改めて重要な課題として位置づけています。
しかしながら、その実現は、当社グループだけの力では不可能であり、サプライチェーン全体で取り組むことが重要です。
特に当社グループの製品製造に携わるお取引先には、CSR経営の重要性を理解していただき、共に課題解決への取り組みを進めることで強固なCSR基盤を築いていきます。
ガバナンス
企業が社会の一員として存続し、発展していく上では、企業に関係するあらゆる人々の期待に応え、社会の信頼を得ることが不可欠です。
そのためにはガバナンス体制の改善・堅持することが必要です。
富士フイルムグループは、企業理念とビジョンである「オープン・フェア・クリアな企業風土」のもと、誠実かつ公正な事業活動を通じ、持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指しています。
内部体制と監査体制を強化することで、より強固なコーポレート・ガバナンス体制の構築と維持継続に取り組みます。
そして、「オープン・フェア・クリアな企業風土」のさらなる浸透により、不祥事・重大法令違反ゼロを目指します。
まとめ
このように、富士フイルムグループは、SDGs達成の取り組みに大きく貢献しています。
これからも富士フイルムグループの使命は、社会をより良いものへと変えていくために、変化し続けることのできる企業をめざすことです。
そして、グループ一体となって”NEVER STOP”のスピリットで挑戦し成長し続け、私たちだからこそ提供できる価値で、持続可能な社会の実現に向け一層貢献していきます。