トヨタ自動車のSDGsの取り組み『私たちは、幸せを量産する』

トヨタ自動車(以下、トヨタ)は日本が世界に誇る自動車メーカーです。トヨタには創業以来、脈々と受け継がれている価値観があります。それは「自分以外の誰かのために」「誰かの仕事を楽にしよう」という想い。

トヨタグループ創始者・豊田佐吉は、「母親の負担を減らしたい」という思いやりからモノづくりを始めました。その精神を引き継ぎ、トヨタはあらゆる現場で、世の中の困りごとに向き合っています。

トヨタが掲げるミッションは「幸せを量産すること」。幸せを量産するために、ひとの幸せについて深く考える。工夫と努力を惜しまない。常識と過去にとらわれない。

この記事ではSDGs実現に向けて、多様化の時代の中で一人ひとりの「幸せの量産」を追求するトヨタの取り組みをご紹介します。

「トヨタ自動車」のビジョン・事業内容

企業名トヨタ自動車
SDGs1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17
サステナビリティレポート

事業内容

トヨタは愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカーです。世界で最も有名な日本企業の一社であり、繊維機械、産業車両、自動車・自動車部品の製造・販売を手掛けています。1926年に豊田喜一郎が創業しました。

創業精神は「自分以外の誰かのために」です。豊田喜一郎の父、トヨタグループの創始者・豊田佐吉は好奇心が旺盛な人物で、「何をしたらこの世のためになるか」と、日々さまざまな本を読んでいたといいます。佐吉のモノづくりの原点は、23歳の時に、母親のために発明した織機「豊田式木製人力織機 」。当時大変な作業だった機織り作業の効率を向上させ、働く人の負担を軽減しました。

母への思いやりが佐吉の発明のきっかけとなったように、「自分以外の誰かのために」、「誰かの仕事を楽にしよう 」という想いは「豊田綱領」として現代に受け継がれ、トヨタの根底に流れる価値観となっています。

ビジョン

トヨタはミッション「私たちは、幸せを量産する」のもと、「可動性(モビリティ)を社会の可能性」に変える」というビジョンを描いています。

自動車産業の発展によって「移動」は手軽になり、人と人、社会の距離を近づけました。また、運転の楽しさなど、多くの人が移動そのものを楽しめるようになりました。

それでも、「移動」にはまだまだ、この世から不便と不可能を一つでも多く取り除くポテンシャルがあります。Moveという言葉には「移動する」に加え「感動する」という意味があり、移動にはモノを超えて、人の心・社会を動かす力があるのです。

人とモノの可動性(モビリティ)を一層高め 、人・企業・自治体・コミュニティができることを増やしたい。そして人類と地球の持続可能な共生を実現したい。トヨタはそう考えています。

トヨタ自動車のSDGs達成に向けた取り組み

商品を使うお客さま、仕事に関わるすべての人の幸せを願い、さまざまなモノやサービスを提供すること。トヨタが創業以来、大切に継承してきたこの考え方は、SDGsの精神そのもの。

そんなトヨタは今、SDGs達成に向けて、今までとはちがう、「すべての人が自由に移動できる社会の実現」に向けて変革しています。

インターネットなどを活用してクルマと情報をやり取りできる技術や、自動化・電動化の技術。新しい分野にも一層力を入れ、トヨタで働く一人ひとりが、地球環境も含めた人々の幸せにつながる行動を起こすことを「幸せの量産」と考えています。だれもが安全で、環境にやさしく、住みやすい社会の実現、そしてSDGs達成に向けたトヨタの取り組み「幸せの量産」について解説します。

①地球環境への取り組み

CO2を出さずに、CO2を出さない製品づくりを 。トヨタは人類共通の故郷である「ホームプラネット」を大切に守り抜くため、サステナブル&プラクティカル(実用的)な取り組みを進めています。

誰ひとり取り残さないカーボンニュートラルへ。「電動車フルラインナップ」

極寒の雪原から灼熱の砂漠まで。170の国と地域で乗用・商用合わせて100車種以上を展開するトヨタのクルマは、世界中のあらゆるシーンで使われています。そのすべてのお客さまのニーズを、たったひとつの選択肢で満たすことはできません。

電動車においても、地域のエネルギー事情や時代により、脱炭素への最適解は変わり、脱炭素に向けて何が最適かは、市場によって異なります。だからこそ、トヨタはBEV、HEV、PHEV、FCEVと電動車のフルラインナップを用意し、各地域のいかなる状況、いかなるニーズにも対応できる多様な選択肢を提供しています。誰ひとり取り残さないカーボンニュートラルを、トヨタは目指します。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。

(参照:https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」 から、植林、森林管理などによる「吸収量」 を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

内燃機関でも脱炭素へ。技術と知恵を結集させた「水素エンジン開発」

カーボンニュートラルへ向けて、減らすべきはCO2であり、内燃機関(エンジン)ではありません。トヨタは、いくら燃やしてもCO2を出さない水素を燃料とした「水素エンジン」の開発を進めています。長年多くの人が磨き上げてきた、エネルギー効率の良いエンジン技術を活かすことができれば、脱炭素に向けた強力な選択肢のひとつとなります。

トヨタは2021年5月、世界で初めて水素エンジン搭載車両でレースに参戦しました。過酷な耐久レースの現場で課題を見つけ、最速で技術を鍛えるべく取り組んでいます。一刻も早いカーボンニュートラル実現に向け、技術と知恵を結集して水素エンジンへの挑戦を続けています。

知恵でカイゼン!電気を使わず工場が動く、驚きの「からくり」

クルマを「使うとき」だけでなく、「つくるとき」のCO2排出をいかに削減するかも、脱炭素に向けた重要な課題のひとつです。トヨタでは「2035年に生産現場におけるカーボンニュートラル達成」を目指しています。

生産工場のCO2排出削減に向けては、再生可能エネルギーの活用、IoTやAIを活用した先進技術、そして日常的な改善と、さまざまな側面から取り組んでいます。

そんな中、日常の改善で着実に効果を上げているのが、トヨタの生産の現場で生み出される数々の「からくり」です。作業工程にムダを発見したら、手づくりのシンプルな装置を使ってカイゼンしてみる。電気に頼らずモノの重さや形状を生かして動く「からくり」装置が、大きな効果を上げています。これまでに蓄積された「からくり」は約2,500件。

最先端の機器に頼るだけでなく、現場の知恵と工夫も生かしてカーボンニュートラルに取り組んでいます。

自然との共生に向けて。里山でトンボやカエルを守る仕事「トヨタの森」

トヨタは森や里山の保全活動を通じ、人と自然が共生できる社会づくりに取り組んでいます。

愛知県豊田市にある「トヨタの森」では、複数の森や里山を整備し、地域に伝わる伝統的な文化を守り伝える活動、自然について学ぶ機会を提供する環境学習プログラムを実施してます。

さらに国内外の生産拠点では、社会とともに持続的に発展できる工場を目指し10年間で200万本の植樹をするなど、「工場の森作り」にも取り組んでいます。

②幸せに暮らせる社会への取り組み

トヨタが目指すのは、世界一でも日本一でもなく、町いちばんの存在。「自動車メーカー」から「モビリティ・カンパニー」への変革を通じて、より多様なアプローチで社会に貢献しています。

ヒト中心の街づくりで、社会課題解決へ。未完成の街、実証実験の街 「Woven City」

トヨタは「幸せの量産」を実現する社会には何が必要なのかを追求し、未来の生活を先取りする実証実験の街「Woven City」を建設中です。場所は静岡県裾野市、トヨタ自動車東日本の東富士工場跡地です。

核となるコンセプトは「ヒト中心」。人間の都合で開発を進めるという意味ではなく、「ヒトの気持ちを大切にする」という、自動織機を発明した豊田佐吉の時代から、脈々とトヨタに受け継がれてきた考え方です。

例えば物流サービスを「ヒト中心」で考えると、自動運転技術を使ってオペレーターの仕事を安全で高付加価値にしながら、物流効率向上によって地球環境への負荷を低減しよう、という発想が見えてきます。

Woven Cityはヒトの生活を中心において、新たな技術開発に挑戦し、実験をし続けるための場所。だからいつまでも未完成の街なのです。

年間8,000億円。一過性ではない「東北の復興支援」

2011年の東日本大震災の直後。トヨタは、東北を中部・九州に次ぐ「第3の国内生産拠点」にするという大きな決断をしました。

震災から4カ月後にはトヨタ車の生産を請け負う3社を合併して「トヨタ自動車東日本」を設立し、2年後には人材育成のための学校を東北に開校しました。その結果、年間出荷額は300億円(2011年)から8,000億円(2019年)に拡大。従業員数は4,500人(2019年)となり、関係仕入れ先やその従業員数も着実に増えています。

東北の地に継続したモノづくりを根付かせ、日本の未来をリードする拠点を目指すことで、一過性では終わらない持続的な復興支援を進めています。

トヨタ生産方式で、町に安心を。「トヨタの消毒スタンド」

2020年春、新型コロナショックが本格的に拡大した時。トヨタの社員たちは誰に指示されたわけでもなく、自発的に「仲間や家族を守るために、何ができるだろうか」を考え、行動をはじめました。

そうして生まれたのが、足踏み式消毒スタンド「しょうどく大使」です。小さな子どもや車いすユーザーでも使いやすく、どこにでも設置しやすい装置を目指して30を超える試作品がつくられ、改善が重ねられました。

工場内で自発的に生まれたこの装置をエコカーと同様、「安く作って普及させられれば世の中のためになる 」という考えのもと、市販を開始。昨今では1日に800台以上を生産し、スーパーや病院をはじめとして多くの場所で利用されています。

③働く人への取り組み

トヨタは一人ひとりに最適な働き方や、安全で快適な職場を追求しています。「多様な人材」こそが、「イノベーションを生み出す原動力」だと考えているからです。職場で働く一人ひとりがチャレンジする機会を持つことで「周囲に認められている」と感じることができ、「全員活躍」できる環境を目指しています。

多様性が織りなすイノベーションを。「Woven Planet Holdings」

トヨタは社員の65%以上が日本以外の国籍を持ち、その出身国は40カ国以上。女性比率は20%以上です。

トヨタのモビリティカンパニーへの変革を先導する「Woven Planet Holdings」では、多様性を会社の重要なカルチャーとして大切にしてます。トヨタは多様性こそが新しい技術を創造し、イノベーションを進める推進力だと信じています。

トヨタが目指す「Mobility=自由に動けること」は、年齢や心身の状態を問わず、すべての人々が根源的に希求するものです。その実現のため、多様性と包摂性(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進し、すべての人のためのモビリティ、「Mobility for All」を追求しています。

スポーツの力を、みんなの力に。トヨタの「アスリート支援」

スポーツに宿る「ネバーギブアップ」、仲間のために闘う「フォア・ザ・チーム」の精神は、トヨタが大切にしてきた価値観そのもの。それがトヨタがスポーツに力を入れる理由です。

豊田喜一郎は1937年にトヨタ自動車を創業してすぐ、陸上部を創設しました。それ以来、トヨタにとってスポーツは会社に欠かせない存在となっています。現在トヨタには33の運動部、600名弱のアスリートが所属しています。スポーツで培った経験や人間力をトヨタ内に還元してもらうべく、引退後のセカンドキャリア支援にも力を入れています。

さらに2015年にはオリンピック・パラリンピックのワールドワイドパートナーに就任しました。すべての人が自分自身の不可能に挑戦できる、開かれた社会の実現を目指して、トヨタはスポーツに取り組んでいます。

モノづくりは、人づくり。「トヨタ工業学園」

トヨタの強みは「人づくり」です。トヨタは1937年に創業してすぐ、企業内訓練校「トヨタ工業学園」(当時は豊田工科青年学校)を創設しました。以来、この地ではトヨタのモノづくりの本質が受け継がれ、現場を支える頼もしいリーダーを数多く輩出してきました。

自動車業界は100年に1度の変革を迎え、トヨタはモビリティカンパニーへと生まれ変わろうとしています。そんな激動の時代でも変わらないのは、モノづくりの中心にあるのは常に「人」であるということ。だからこそ、トヨタは変革を担う原動力となる人材育成に一層注力しています。

世界中で進む、多様性を活かす取り組み

モビリティカンパニーへの転換に向け、「一人ひとりの考える力を尊重し、全員参加で変革を進める」というトヨタの強みは、ますます重要性を増しています。

そこでトヨタは、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を重要な経営基盤のひとつと位置付け、性別、年齢、国籍、人種、民族、信条、宗教、性的指向、性自認、障がい、配偶者や子の有無などにかかわらず、多様な才能や価値観を持つ人材が、最大限能力を発揮できる環境づくりを進めています。

「国際女性デー」の全社イベント開催や授乳休憩の設定、女性専用祈祷室の設置など、トヨタは世界中の拠点で取り組みを推進しています。その姿勢が評価され、北米トヨタは長年にわたり米DiversityIncによる多様性への取り組みを評価する「Top50 Companies For Diversity」にランクインしています。2021年は1,800社中7位を獲得しました。

まとめ

トヨタが「世界のトヨタ」と謳われるほどの成長を遂げた背景には、豊田佐吉の「自分以外の誰かのために」、「誰かの仕事を楽にしよう 」という想いがありました。

SDGsと同じ考え方をトヨタは1926年の創業時から続けてきたとは驚きですよね。トヨタは今、SDGs実現に向けて強い力で歩み出しています。トヨタのSDGs実現への取り組みの動向に注目しながら、私たちも「誰かの幸せ」という考えを生活に取り入れてみませんか。

参考:https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/

参考:https://toyota.jp/manabupark/sdgs/

参考:https://toyotatimes.jp/sdgs/