#インタビュー

H.R.I株式会社| 社会に出ても学べる場の提供を目指して

H.R.I株式会社 代表取締役 溝橋さん インタビュー

溝橋 正輝

1988年、兵庫県神戸市生まれ。2007年に兵庫県立兵庫工業高等学校機械工学科を卒業後、高卒で川崎重工業に入社。2年間の工場勤務と大学受験浪人を経て2011年に近畿大学経済学部に入学。大学在学中は飲食店経営やサークル運営、バックパッカーなどアクティブな4年間を過ごす。大学卒業後は野村證券、サイバーエージェント、Salesforceを経て、2020年9月にH.R.I株式会社代表取締役に就任し、現職。H.R.I株式会社では「キョウイクで世界を幸せに」をビジョンに掲げ、ITエンジニアの育成をビジネスの中核とし、次世代を担う人材創出に尽力している。H.R.I株式会社では2021年にベストベンチャ−100受賞。また2021年4月より情報経営イノベーション専門職大学の客員講師に就任。

introduction

H.R.I株式会社は、「キョウイクで世界を幸せに」という企業理念を掲げ、フリーランスエンジニアのプラットフォーム「ここから始めるフリーランス join」やオンラインプログラミングスクール「DAWN」を展開。未経験でもIT業界に踏み出せるように、働きながら学べる環境を提供しています。

今回、H.R.I株式会社の代表取締役である溝橋さんに、事業への想いや取り組みについて伺ってきました。

新しいキョウイクの形を提供したい

–本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、事業内容について教えていただけますか?

溝橋さん:

H.R.I株式会社は、創業6年を迎えるベンチャー企業で、未経験からITエンジニア、Webデザイナーを育成することが事業の柱です。具体的には、IT分野に興味を持つ方を弊社の正規社員として迎えて、実践を交えながら学んでもらっています。

–ITエンジニアやWebデザイナーの育成と聞いて、真っ先にプログラミングスクールなどの、いわゆるスクール型事業が思い浮かびました。どのような面で違いがあるのでしょうか?

溝橋さん:

スクール型は、入学金や授業料などを支払い、組まれたカリキュラム・イベントのなかでスキルを身につけていくモデルです。我々の場合も同様にカリキュラムやイベントがあり、それに伴う講師がいますが、「働きながら学ぶ」という形を取っているため、入学金、授業料は一切かかりません。また、社内業務やプロジェクトにもどんどん携わっていくことで、より実践的なスキルを身につけられるのが大きな違いです。

–実践的なスキルを身につけた方々が、将来的に複数のプロジェクトをこなせるようになり、御社に利益をもたらすという訳ですね。では、なぜこのようなビジネスモデルを展開しているのでしょうか?

働きながら学ぶ機会を

溝橋さん:

「働きながら学ぶ」ことを大事にしているからです。これまでの日本の教育制度は、高校、大学までしか学ぶ機会がありません。対して欧米では卒業しても、働きながら且つ実践に伴った学びができる。これからの社会では、この学びの形が大切だと思っています。

そのため、「働く」と「学ぶ」を両立できる仕組みにしているんです。

–御社が掲げる理念、「キョウイクで世界を幸せに」にはそのような想いが込められているんですね。

溝橋さん:

そうですね。学校とは異なる学びの場を提供していきたいと考えているので、漢字表記での「教育」ではなく、カタカナ表記にしています。

–実際に、入社されてITエンジニアとして活躍される方も増えてきましたか?

溝橋さん:

はい。当初は片手で数えるほどでしたが、現在では約100名まで増えています。

また、6期目に入り、現在では500名を超えるITエンジニアの卵が目標に向けて頑張っています。

–500名もいらっしゃるんですね!それだけの方々がいると、育成が大変のように思います。

溝橋さん:

そうですね。入社される方の95%は、前職がITとは無関係の職種であるため、勉強を続けることに挫折してしまう人も残念ながら一定数いました。

そこで弊社では、「オンボーディングプログラム」という制度を取り入れ、入社から最初の3ヶ月間は同期と共に学べる場を設けたり、講師との定期的な1on1、チームレクリエーションの機会を作ることで、勉強習慣の定着化に力を注いでいます。

全員にフリーランスという選択肢を

–御社では、このように手厚いサポートで育成したITエンジニアに、フリーランスへの選択肢も用意していますよね?

溝橋さん:

はい。企業とITエンジニアの共創における一つの形として、フリーランスという働き方の可能性を感じています。そしてITエンジニアは、場所や時間に制約ない働き方を選択することができる職種です。そのため、会社にとらわれずにフリーランスを希望する方も多いんです。

そこで、2021年に「全員にフリーランスという選択肢を」というビジョンメッセージを掲げ、将来的にフリーランスになりたい人のキャリアビジョンを叶えるために「キャリアアドバイザー」という制度を作りました。

–これはどのような制度でしょう?

溝橋さん:

私たちは、会社として願うフリーランスの姿として、日本の平均給与以上を得られる状態、と定義しています。

未経験からITエンジニアに、そして我々が定義するフリーランスのITエンジニアになるために、「どのようなスキルや経験を体系的に身に付ける必要があるのか」を言語化したものをキャリアロードマップとして開示し、エンジニアがなりたい姿に合わせてキャリアアドバイザーが一緒に考え、カスタマイズしていきます。

–ロードマップを一緒に考えてくれるのは心強いですね。

溝橋さん:

また2020年10月に、フリーランスエンジニアのプラットフォーム「ここから始めるフリーランス join」を立ち上げました。このプラットフォームを運営する中で「どのようなスキルを持っていればフリーランスになりやすいのか」「どんな人が成功するのか」といった知見が溜まってきました。そこで、フリーランスを希望する社員にこの情報を還元していこうと、会社として動いているところです。

ここから始めるフリーランス join

フリーランス向けの案件紹介や、確定申告などの各種手続きのサポートを目的としたプラットフォーム。

そして今後は、もっとフリーランスに挑戦しやすくなる制度も開始します。

  • 弊社サービス経由でフリーランスになった
  • 一定の基準を満たしている

といった方には、3年以内であれば、同条件で正社員に戻れる特典を付与する予定です。このようなセーフティネットを設けることで、どんどんフリーランスにチャレンジしやすくなるんじゃないかと思っています。

–素朴な疑問ですが、育てたITエンジニアがフリーランスとして羽ばたいてしまうことは、御社にとってダメージはないのですか?

溝橋さん:

これについては、2つの視点を持っています。

1つ目は、弊社を経由してフリーランスになることで、独立したあとも我々と接点を持っていただけることです。どのようなスキルを持ってフリーランスになったのかというのが分かるので、こちらとしても仕事を依頼しやすいんです。

2つ目としては、ITエンジニアを増やさなければならないと考えていることです。

–2030年にはIT人材が45万人不足するとのデータもありますよね。

溝橋さん:

そうですね。しかし「ITエンジニアを目指そう」という方はまだまだ少ないのが現状です。

この背景には、ITエンジニアの価値や自由度が十分に伝わっていないことがあるのかなと。私たちが多くのITエンジニアを輩出することで、世の中に職業の魅力が伝わり、ゆくゆくは小学生のなりたい職業ランキングの上位に入るようになれば嬉しいですね。

「DAWN」の全面開放

–御社では、オンラインプログラミングスクール「DAWN」も展開されています。こちらもIT人材を増やしたいという想いがあるのでしょうか?

溝橋さん:

そうですね。DAWNは、ITエンジニアの基本・基礎が身につく教科書のようなものです。これまでは社員のみの使用に留めていましたが、2021年6月からはすべて無料で利用できるようにしました。

なぜ無料にしたのですか?

溝橋さん:

多くの方にITエンジニアという選択肢があることを知ってほしいという想いと、「ITエンジニア人口が増える」仕組みを作り社会課題の解決につなげていきたいと思ったからです。

–利用者は増えていますか?

溝橋さん:

ありがたいことに、1年弱でアカウント発行者数は1,000名を超えました。

>>DAWN

–ここまでお話を伺っていて、御社の事業はSDGsの「質の高い教育をみんなに」や「働きがいも経済成長も」といった目標の達成にも大きく貢献しているように感じます。このような取り組みを進めてきて、何か感じた変化はありますか?

溝橋さん:

最近、採用時に志望動機を聞くと、「SDGsの達成につながる取り組みに興味を持った」「SDGsに取り組む企業でキャリアを重ねたい」と仰っていただくケースが多くなりました。最近は特に若い世代の中でSDGsへのアンテナが高い人が増えてきているように思います。

弊社が取り組んだ内容ですが、2021年に東京都立千早高校で「ビジネス経済応用」の授業を臨時講師として担当しました。「今あるべき働き方」や「今身につけるスキルセットとは何か」ということをお話したのですが、非常に興味関心を持って聞いてもらえたんです。

求められるITエンジニアを1人でも多く

–では最後に、今後の展望を教えてください。

溝橋さん:

引き続き教育に力を入れて、1人でも多くITエンジニアを世に輩出していきたいと思っています。そのためにも出来ることはすべて取り組んでいくつもりです。

社会的意義も高いですし、これからの世の中に求められる人材を育成し続けることにコミットしていきたいです。

–いろいろ考えるいい機会になりました。ありがとうございました!

取材 大越 / 執筆 hitomin.to

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