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廃棄物ゼロを目指す!オーストラリアの家電量販店・JB Hi-Fiが行うサスティナビルな取り組みとは?

オーストラリアを代表する家電量販店・JB Hi-Fiは、廃棄物削減に取り組む企業です。

電子廃棄物、紙類、プラスチックなどの廃棄量を減らすとともに、リサイクル率を高めることで環境に優しい経営を目指しています。

この記事では、JB Hi-Fiが実際に行っているさまざまな廃棄物削減対策について解説していきます。

JB Hi-Fiってどんな企業?

JB Hi-Fi Limited(ジェイビーハイファイ)は、メルボルンに本社を置く家電量販店です。

黄色に黒のロゴが目印で、1974年に創立されました。

オーストラリアとニュージーランドで218店舗を展開しており、TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、スマートフォン、PC、カメラ、ゲーム機器、音楽機器、ランプ、電動スクーターといった幅広い製品を取り扱っています。

2022年のオーストラリア国内におけるオンラインショップのホビー・レジャー部門にて、JB Hi-Fiはマーケットシェア第1位を記録しました。

オーストラリアの上場企業として高い認知度を誇り、国内の主要なショッピングセンターなどにテナントとして入っています。

JB Hi-Fiが行う廃棄物削減のための取り組み

JB Hi-Fiは、国内でも影響力の強い企業です。

利益追求や顧客の満足度向上だけでなく、環境問題の解決にも力を入れており、サスティナブルなビジネスモデルの構築を目標に掲げています。

そんなJB Hi-Fiが最も力を入れているのが、多方面における廃棄物の削減です。

JB Hi-Fiが行った調査によると、2022年における自社の廃棄物転用率は54.79%でした。

しかし、2023年には59.3%まで転用率を高めており、主に以下のようなエコ活動が転用率アップに繋がったと考えられています。

店舗のスマートフォンや携帯電話の転用

JB Hi-Fiでは、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パソコンなどの精密機器も多く販売しています。

しかし、店頭に置いている全てのデバイスを完売できるわけではありません。

新機種の登場などに伴って古い機種を処分する必要が出てくるため、JB Hi-Fiでは各店舗で売れ残ったスマートフォンや携帯電話の転用を行っています。

海外の中古市場に送られて再利用されており、2022年度は5,027台、2023年には6,146台を転用しました。

顧客が不要になったスマートフォンや携帯電話の転用

自社で売れ残ったスマートフォンや携帯電話などをリサイクルしているJB Hi-Fiでは、顧客から不要なデバイスを集める取り組みもしています。

オーストラリアにおける1人あたりの年間電子廃棄物は20kg前後と言われており、電子廃棄物の処理方法に関する悩みを持つ層も多くなっています。

そんな電子廃棄物の問題を解決すべく、JB Hi-Fiの各店舗にて電子廃棄物専用のリサイクルボックスの設置がスタートしました。

顧客が使用済みのスマートフォンや携帯電話を気軽に持参できる仕組みになっており、回収されたデバイスは安全な方法で転用されます。

また、ネットゼロを目指して開催されている世界的なキャンペーン・Race to Zeroに合わせて、JB Hi-Fiでは毎年大々的なデバイスの回収イベントも実施しています。

顧客のリサイクル意識を高めることを目的としており、2023年には116kg分のデバイスから電子廃棄物をリサイクルしました。

店内で発生した廃棄物

家電量販店であるJB Hi-Fiでは、各店舗にて販促物、包装材、気泡緩衝材などが日々発生しています。

プラスチック素材のものを多く使用していたことから、プラスチック問題への負荷を軽減するために2022年は61,350kg、2023年には65,943kgのプラスチックのリサイクルを実施しました。

また、プラスチックから紙ベースの販促物、包装材、気泡緩衝材への切り替えも実施しており、プラスチックごみを根本的に削減するという対策も行っています。

発泡スチロール

精密機器も多く取り扱うJB Hi-Fiは、梱包に多くの発泡スチロールを使用しています。

比較的環境への負荷が少ないと言われる発泡スチロールですが、生分解性ではないため自然環境に長期的に残り続けるという問題点もあります。

JB Hi-Fiは毎年大量の発泡スチロールを廃棄していたものの、転用によって額縁や幅木などの製造で再利用する道筋を見つけました。

これまでに自社の店舗・倉庫154箇所から東京ドーム3.5個分の発泡スチロールを回収し、約58,590kg分を転用しました。

カートリッジ

パソコンの周辺機器も取り扱うJB Hi-Fiでは、プリンターのカートリッジのリサイクルも実施しています。

自社の売れ残りや業務で使用したカートリッジのほか、顧客からも使用済みのカートリッジを回収して、カートリッジの無料リサイクルプログラム・カートリッジフォープラネットアーク(Cartridges 4 Planet Ark)へ引き渡します。

カートリッジフォープラネットアークは収集したカートリッジの100%リサイクルを行っており、新しいカートリッジ、ペン、インクといった新しい製品に作り替える環境プログラムです。

JB Hi-Fiでは2022年度に15,240個、2023年には22,399個のカートリッジをリサイクルしました。

紙類

JB Hi-Fiでは、事務や宣伝活動によって多くの紙類の廃棄物が発生しています。

オーストラリアは1人あたりの紙の消費量が特に多い国のひとつで、年間230kgの紙を使用していると言われています。

また、事務員1人あたりにつき年間約1万枚のA4用紙を廃棄しているとされており、紙の原料となる森林への負荷が大きくなりがちです。

そこで、JB Hi-Fiは紙の廃棄量を減らすべく、2022年に155 トン、2023年には168 トンの紙をリサイクルしました。

尚、機密情報や個人情報などが記載されている紙については、専門の文書破棄及びリサイクルサービス業者を使って安全に処理しています。

プライベートラベルの導入

JB Hi-Fiが行う環境対策のひとつに、エコな素材を使ったホームブランド製品の開発が挙げられます。

2023年にはXCDポリマーを採用し、PCケース、ケーブル、充電アクセサリなどの試験的な製造を行いました。

XCDのPCケースには回収されたペットボトルを90%使用したPET生地が使われており、ケーブルには40%の再生熱可塑性エラストマー (TPE)、 充電器には33%の再生ポリカーボネート (PC) が含まれています。

リサイクル素材を組み込んだ上記の製品にはプライベートラベルが付けられ、顧客が一目見てエコな製品だと分かるようになっています。

尚、JB Hi-Fiでは今後もホームブランド製品全体でリサイクル素材の使用量を増やし、プラスチック問題への解決を目指す予定です。

オンライン注文用の段ボールの切り替え

JB Hi-Fiは、店舗だけでなくオンラインショップによる売り上げ率も高い企業です。

製品は段ボール箱に梱包されて発送されるため、JB Hi-Fiではオンライン注文専用の100%リサイクル可能な段ボール箱を新しくデザインしました。

また、郵送時に使う配送用のカバンは80%再生プラスチック素材で作られており、オンライン注文時の環境負荷の軽減を目指しています。

電子廃棄物のリサイクル促進キャンペーン

2023年7月に、JB Hi-Fiの南オーストラリア州の店舗にて電子廃棄物に関するポイントサービスが開始しました。

電子廃棄物を引き渡した顧客にポイントが付与されるというサービスで、2023年末までに20万9,000kgの電子廃棄物が寄せられています。

ポイントサービスは試験的なものでしたが、改善点などの見直しを行った後にオーストラリア国内全域で行う予定です。

また、JB Hi-Fiのプレミアム配送サービスを利用した顧客に対しては、大型家電製品の回収にも対応しています。

2023年には3,604トンの家電製品が集まっており、専門業者によって適切な方法でリサイクルされました。

まとめ

JB Hi-Fiは、サスティナブルなビジネスモデルの実現を目指している企業です。

家電量販店としての売上増加や顧客の満足度アップの実現以外にも、廃棄物の根本的な削減やリサイクル率の向上によって環境への負荷軽減に努めています。

日本にもたくさんある家電量販店ですが、まずは自分たちにできるエコ活動を考えてみることからはじめてみませんか?