株式会社キラックス
代表者:吉良伸一
本社所在地:愛知県名古屋市港区土古町4-1
拠点: 東京、静岡、愛知、三重、大阪、福岡
企業概要:
メーカーの技術力と商社の販売力を兼ね備えた包装資材の専門企業。
食品包装資材、包装機・包装技術、ラミネート、粘着テープ、保冷ボックス、曲げガラス、生分解性プラスチックなど幅広い分野における事業を展開。
2022年日本初となる海洋生分解性プラスチック製レジ袋を開発。
introduction
名古屋市に本社を置く株式会社キラックス(以下キラックス)は、食品包装材を主軸商品とした包材を製造・販売するメーカーです。2005年に開催された愛・地球博を契機に、生分解性プラスチックを開発。様々な包材を企業や自治体に卸しています。生分解性プラスチック包装資材について、商品開発部の嶋崎太郎さんに話を伺いました。
キラックスが力を入れる生分解性プラスチック包装資材
-早速ですが、キラックスはどのような会社ですか?
嶋崎さん:
弊社は1965年に創業した包装資材メーカーです。包装資材の総合商社として商品を取り扱うことに加え、自社製品も製造開発しています。取り扱っている商品は多岐にわたりますが、主力商品は食材やお菓子、お弁当のパッケージ、レジ袋などの食品包装資材です。
-包装資材というと、お店で売られているほとんどの食品がプラスチック製の素材で梱包されている印象です。
嶋崎さん:
そうですね。そのような状況を受け、近年では環境保護の視点から、プラスチック素材での包装を見直そうという動きが出てきています。
弊社は、2005年に愛知で開催された「愛・地球博」で生分解性プラスチックごみ袋が採用されたのがきっかけで、生分解性プラスチックの製造・販売をスタートさせました。生分解性プラスチック包装資材の普及を通して、石油依存のプラスチックからの転換を推進しています。
-生分解性プラスチックとは何ですか?
嶋崎さん:
生分解性とは、「生物によって最終的に分解されるプラスチック」のことです。小さく砕かれたプラスチックが微生物に取り込まれ、水と二酸化炭素に分解されます。間違いやすいのが、生分解性は植物原料からできているものだけではないということです。
-どのような原料からできているのでしょうか?
嶋崎さん:
主に植物由来原料、石油由来原料、微生物由来原料の3つがあります。
-石油からできている生分解性プラスチックがあるとは意外でした。
嶋崎さん:
知らない方も多いと思います。
そして植物由来といっても、現在世の中にある製品は石油由来の原料が少し配合されているものもあり、100%植物由来原料ということではありません。
-なぜ石油由来の原料が配合されているのでしょう?
嶋崎さん:
レジ袋は少し伸びる素材ですが、100%植物由来原料にすると強度が弱くパリパリしてしまうんです。レジ袋がパリパリしていたらすぐ破れて使えないため、石油由来の生分解性原料を加えることで、使いやすくなるんですよ。
とはいえ近年の技術の進歩で、完全に近い植物由来原料からプラスチックがつくられるようになってきています。将来は石油由来原料はなくなり、植物由来原料に切り替わるでしょう。
生分解性プラスチックの性質を活かした用途とは
-キラックスでは、この生分解性プラスチック原料を使って製品を製造されているんですね。
嶋崎さん:
そうですね。代表的なものとしてあるのはゴミ袋です。生ごみ袋として使用すると分解されるので、そのままたい肥化できます。
嶋崎さん:
他にも行政や林業の資材として使用されるものがあります。山林の「目印テープ」がその一例です。山の中で木に巻き付けられた黄色や赤などのテープを見たことはありませんか?
-木に巻き付けられたテープ、山林で目にします。いつまで巻かれたままなのかな、そのまま放置されるのかなと疑問に思っていました。
嶋崎さん:
実は、あのテープは森林組合等の管理者が人件費を投じて回収作業をしているんです。
-テープを回収するのにコストがかかっていたんですね!
嶋崎さん:
現在、行政機関も合理化やコスト削減が叫ばれています。そこで、目印テープを生分解性に変えることで回収する必要がなくなるんです。すでにいくつかの自治体さんに使って頂いていますよ。
オーダーメイドだから最後まで果たせる企業責任
嶋崎さん:
自社工場ではオリジナルパッケージも製造しています。その中から、お客様に合う商品を選んでご提案しています。
そして生分解性プラスチックフィルム製品の販売では、お客様の用途に合わせて製造しているんですよ。
-オーダーメイドということですか?
嶋崎さん:
はい。まずお客様と、何を包装するのか、包装材の使用期間、必要な耐久性などを綿密に打ち合わせ、最適な生分解性プラスチック包材を製造するのです。
-なぜオーダーメイドなんですか?
嶋崎さん:
生分解性プラスチックは様々な原料を使用して作ります。どんな原料を、どう使用するかで品質の耐久性などが変わってくるんです。
そのため、プラスチック包材をどんな目的で使用し、どのくらいの耐久性が必要かをお客様と打ち合わせる必要があります。
例えば、買った商品を自宅に持って帰るだけのショッピングバッグなら、何年もの耐久性はいらないとか。
-なるほど。それこそSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」ですね。
プラスチックは便利な素材ですが、半永久的に分解されないプラスチック包材をどんどん使い捨てるのは、もはや自分たちの住む地球に対して無責任な行動だと思います。用途に合わせたプラスチックの製造は、生活利便性と環境保護を両立させる解決策と言えますね。
生分解性プラスチックの普及に立ちはだかる壁とは
-ここまでお話を伺い、環境保全のためには、すべてのプラスチックを生分解性のものに切り替えたらいいのでは?と思いましたがどうなのでしょう?
嶋崎さん:
そうとも言えないのです。分解したら困る用途もありますし、課題があるんですよ。生分解性プラスチックは従来のプラスチックに比べて割高であるため、企業としてはコストがかかってしまうんです。
カーボンニュートラルやSDGsが提唱されるようになって、生分解性プラスチックを使用する企業も増えましたが、使用量は企業で使うプラスチックの数%にとどまっています。
実際、生分解性のプラスチックも従来のものも、見た目や使われ方はほぼ同じなんです。環境のためといっても、割増料金を払って同じ包材を買うのは、正直難しいところですよね。
-環境のためにかかるコストを、誰がどう負担するのかが問題なんですね。
嶋崎さん:
生分解性プラスチックは価格が高いので、価格に見合う使い方をしたい。企業としては、採算が取れない可能性があるものに投資できないのが本音でしょう。
企業は、利益を上げて会社を存続させることと環境保護の両立という難しい舵取りを迫られています。生分解性プラスチックを普及させるためには、様々な壁があるんですよ。
-今の私たちの生活を支えている便利なプラスチックを、一概に切り変えるわけにはいかない理由がわかりました。
嶋崎さん:
だからこそ、どうしたらいいのかみんなで知恵を出し合わなくてはならないと思っています。
今はまだ、生分解性プラスチックがどのようなものなのか、一般に広く知られていません。生分解性プラスチックの認知度が上がるにつれ、使用する企業も増えてくると思います。SDGsは知るきっかけや共通認識を与えてくれるものだと考えています。
また市場原理として、需要が増えればたくさん供給されるようになり、価格は下がるものです。生分解性プラスチックも、そうであって欲しいと願っています。
-今後の展望を教えてください。
嶋崎さん:
便利さが生んだ弊害を、これからは自分たちの手で解消していかなくてはなりません。プラスチックは衛生的で耐久性もあり、包装資材として優れたものです。私たちの生活に欠かせない素材ですよね。そのため、すべてのプラスチックをなくすのは現実的ではありません。
どのようなシーンで使う包材なのか熟慮したうえで、用途に合った生分解性プラスチックを上手に活用していくのがスマートな選択だと考えています。
-キラックスは、お客様の細やかなニーズに答えながら環境保護に貢献しているんですね。消費者として私もつかう責任を果たしますね!
嶋崎さん:
はい。ぜひ一緒につくる責任・つかう責任を果たしていきましょう!
-本日はありがとうございました!