近年、新しい農業の形として「自然栽培」が注目を集めています。
自然栽培とは、自然界が持つ能力を引き出し、それを十分に活かして作物を育てる農法のことです。
有機栽培や特別栽培など、数ある農法がある中で、なぜ自然栽培が注目されているのでしょうか。
そこで今回は、自然栽培の特徴やその他の農法との違いをまとめ、今注目されているテーマ・SDGsとの関係性も合わせて紹介します。
さらに記事の後半では、実際に自然栽培の普及に取り組んでおられる「JAはくい」の粟木さんのご協力のもと、その魅力をお届けします。
美味しい野菜の見極め方を知りたい方はもちろん、食を通じて環境に配慮した生活をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
自然栽培とは
自然栽培とは、化学農薬や肥料を使用せず、本来作物がもっている能力を引き出す農法のことです。
自然栽培においては、肥料がなくても作物にあった土壌づくりや、虫が大量発生しない環境づくりが重要となっています。
ポイントとなるのは自然栽培に明確な定義は特にないことです。実践する人たちの間には「自然の力を生かす」ことが共通認識としてありますが、細かな作業(除草・土の耕し・堆肥(牛糞、鶏糞、樹皮))においては、それぞれの考え方や土地条件によって多少異なります。(※1)
では早速、自然栽培の特徴を見ていきましょう。
自然栽培の特徴|味や価格は?
自然栽培で育てられた作物は、
- えぐみが少ない
- 収穫量が少ないため、価格は高めに設定される
という特徴があります。
えぐみが少ない
えぐみが発生する原因は、肥料によるものです。
通常、作物は窒素を吸収して成長しますが、人工的に追加される肥料には、植物が効率よく吸収するための硝酸態窒素という窒素化合物が含まれます。これが多すぎた場合、えぐみとなって現れるのです。
自然栽培では肥料を使わないため、えぐみが少なく素材本来の味を楽しめます。
収穫量が少ないため、価格は高めに設定される
自然栽培では、栽培過程で人為的に肥料を与えないため生育スピードはゆっくりです。収穫量も少ないことから販売価格は高めに設定されます。
自然栽培とその他の栽培方法との違い
ここまで自然栽培の特徴を見てきましたが、「有機栽培」や「特別栽培」など、他の栽培方法との違いも確認しましょう。
自然栽培と有機栽培との違い
有機栽培とは化学肥料や合成農薬、遺伝子組み換えなどを使わない農法のことです。環境負荷をできる限り低減することを目的とし、天然の肥料(牛糞、鶏糞、樹皮等)を用いるのが特徴です。
しかし、農作物に重大な損害が出ると判断されたときは、国が定める有機JAS認証により許容されている農薬を使用することができます(※2)。
一方で、自然栽培は農作物に重大な損害が出るとしても、肥料や農薬は一切使用しません。
肥料や農薬などを使わないため害虫に食べられてしまったり、除草をしなければならなかったりと、手間はかかります。
時間をたくさん費やしてでも、本来の土の力を呼び起こすという目的を大切にしているのが自然栽培です。
自然栽培と慣行栽培との違い
慣行栽培とは生産過程において、化学肥料や合成農薬を使う従来型の栽培方法です。
慣行栽培は大量生産を目的としており、農薬によって病虫害の駆除、生育スピードをあげるために、化学肥料を使います。農薬や化学肥料を使うと、比較的安定した生産が行えるためにリーズナブルな価格で販売できるメリットがあります。
人為的に作物を成長させる点が、自然栽培と明確に異なります。
自然栽培と特別栽培との違い
特別栽培とは各地域の慣行レベルの農法に比べて、
- 農薬の使用回数が50%以下
- 化学肥料の量が50%以下
で育てられたものを指します(※3)。
有機栽培同様、農薬と化学肥料の量を削減することが目的であるため、それらを必要としない自然栽培とは生産段階から異なります。
特別栽培の価格帯は、一般的に流通しているものよりも少し高めです。
自然栽培と無農薬栽培の違い
無農薬栽培とは、その名の通り農薬を使用せず栽培された作物のことを指します。
無農薬野菜などの言葉が馴染みのある方も多いかもしれませんが、実は無農薬栽培は農林水産省ではガイドラインが定められておらず、「無農薬野菜」と表記して販売することはガイドライン違反に当たる行為です。
そのため、現在は特別栽培農産物と表示して販売することが許可されているものです。
農薬を使用しない点は自然栽培と共通しており、無農薬栽培の大きなくくりの中に自然栽培も含まれています。
栽培方法の違いを比較
それぞれの栽培方法の違いを、主流となっている慣行栽培を基準として表にまとめたのでご覧ください。
栽培方法によって収穫量や生育スピードが異なることが分かります。
自然栽培は、成長スピードや収穫量が少ないものの、他の農法と比べて農薬や肥料による人為的なコントロールがないため、野菜本来の味が楽しめるという魅力があります。
自然栽培で米や野菜などの作物は育つ?
では、農薬や肥料を一切使わない自然栽培で作物は育つのでしょうか。
結論から言うと、自然栽培の作物はしっかりと育ちます。
農薬・肥料なしで作物が育つ理由
農薬・肥料なしで作物は育つ理由を紐解いていきましょう。
農薬無しでも害虫対策はできる
農薬を使わないと聞くと、最初に思い浮かぶのは虫による食害でしょう。
自然農に取り組まれている川口由一さんの著書(※4)によると、草と作物の関係が正常に保たれていれば、虫は草を好んで食べるため、作物への被害はあまりないといいます。
虫による食害が発生するのは、自然のバランスが崩れていることが考えられます。バランスの崩れている状態とは、
- 除草のしすぎで虫の食べる草がなくなっている
- 肥料が多すぎて虫の大量発生を招いている
- 農薬の影響で作物が自然免疫を発揮しなくなる
というものです。
虫の存在は畑の健康状態を知るひとつの指標とするため、敵としないという考えが自然栽培の根底にあります。
それでも虫による食害が目立ってこれば人間の手で捕殺することもあります。これは農薬で一掃するのとは異なり、生態系のバランスを崩すことはありません。
肥料なしでも野菜は健康に育つ
自然栽培の作物は土の力で育つため、その結果、肥料を必要としません。
自然栽培を実践しておられる岐阜県高山市・よしま農園の与嶋さんによると、作物は必要な養分を補うため土の力を生かし、土がもつ機能を最大限に発揮できる状態で可能になるといいます。
では、そもそも肥料は何のためにあるのでしょうか。
化成肥料の場合、成長促進に加え、土壌を改良する効果が目的があります。それは収穫量を増やすことが可能になりますが、使い続けることで土壌の微生物のはたらきが徐々に弱まっていき、やがていなくなります。微生物のいない土壌は病害虫が増えやすくなり、結果農薬が必要となります。(※5)
自然栽培では微生物によって土壌の健康状態を保ちます。
維持するためには、人間が土に溜まった残留肥料や異物を取り除くなど、土壌の環境を整えることで肥料なしの栽培が可能になります。(※6)
以上のことから、自然栽培でも作物が十分育つのです。
それでは、収穫後の見た目や味にどのような違いがあるのでしょうか。
自然栽培の作物は傷みにくい
自然栽培で育った作物は、見た目にも違いが表れます。
自然栽培の作物は、慣行栽培のものや有機栽培のものに比べて傷みにくいという傾向があります。
ある実験(※7)で、慣行栽培、有機栽培、自然栽培の野菜を並べて2週間放置し、腐敗の進行度を比較したところ、
- 慣行栽培と有機栽培のものは根の部分から腐り始めた
- 自然栽培のものは腐るどころか新たな根が伸び始めた
という違いが見られました。
この違いには肥料の有無が関係しています。
研究者の資料(※8)によると、多くの肥料を与えられた作物ほど日持ちが悪く腐りやすい傾向があると言われています。
肥料によって栄養を溜め込んだ作物は、急速に成長し細胞が薄くなり、免疫が弱まります。そこに菌が付着した場合、腐りやすくなります。
一方で自然栽培は自然の力で作物が育つので、細胞が厚く免役があることから腐りにくいのです(※9)。
ここまで自然栽培について詳しく見てきました。
次ではさらに理解を深めるため、自然栽培に取り組んでいるJAはくいの粟木政明さんに、お話を伺ってきたので紹介します。
自然栽培取組事例|JAはくい
石川県羽咋市・JAはくいでは、2010年から組合として自然栽培に積極的に取り組んでいます。日本の伝統的な農業、培われてきた文化・景観・生物多様性を大切にし、将来にバトンを繋いでいくことを目指しています。
本サイトではJAはくいの自然栽培についてインタビューさせていただきました。
JAはくい 粟木 政明さん|自然栽培の価値を伝えることで、農家のプライドを取り戻したい今回は、さらに踏み込んで自然栽培の魅力を探っていきたいと思います。
自然栽培の作物の特徴
JAはくい粟木政明さん:
自然栽培の一番の特徴は「味」です。すっきりした味わいで、えぐみがありません。そもそもえぐみが出る原因としては、植物が成長するための三大栄養素(窒素・リン酸・カリウム)の1つ「硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)」が挙げられます。
慣行栽培や有機栽培でつくられた野菜は、土壌中の硝酸態窒素濃度が高くなる傾向があり、作物が消化しきれなくなると「苦味」や「えぐみ」となります。
実際、自然栽培の窒素濃度は、慣行栽培に比べて低いことが弘前大学の研究論文(※10)で発表されています。
加えて自然栽培の作物は、うまみ成分のもととなる「グルタミン酸」が多く含まれているのも特徴です。
作物が育つスピードは慣行栽培に比べるとかなりゆっくりです。植物が成長する上で、根を張るのがスタートですが、人工的な肥料がない分、自ら栄養を探しに行くため時間がかかります。
そこで重要な役割を果たしているのが微生物。植物は微生物と協力することでたくましく成長していくんです。だから自然栽培を始めたばかりだと、なかなか育たずに戸惑う人も実際にいます(笑)
今後自然栽培を定着させていくには、従来の農業に対する先入観を変えていかなければならないと思っています。
例えば「肥料を与えずに農産物は育つのか?」「農薬無しで害虫対策はできているのか?病気にかかったらどうするのか?」などの先入観を抱く方は多い傾向にあります。それらを払拭しなければ自然栽培を普及させるのは難しいでしょう。
そうした疑問を持つのも、やはり農業自体が人工的にできたことによる先入観なのですが、そこを拭うことが自然栽培の課題です。
育て方にマニュアルはなく、野菜に向き合った自然栽培
JAはくい粟木政明さん:
自然栽培は自然に寄り添う農法なので、育てるためのマニュアルはありません。子どもを育てるときと同じように、それぞれの人が自分たちの野菜と向き合っていく必要があります。
イメージするならば、目の前の子どもが泣いていたら「この子はどうして泣いているんだろう?ミルクが欲しいのかな?オムツを変えてほしいのかな?」と、原因を考える感覚と似ていますね。普及していくと同時に、自然栽培の目的をしっかり理解してもらわないといけないと思っています。
自然栽培にチャレンジする人が増えている
JAはくい粟木政明さん:
全国的に若い方を中心に自然栽培に取り組む人たちが増えている印象です。自然栽培の理念が現代の人々の価値観と合致しているんだと思います。たしかに稼ぐことも大切ですが、自然栽培をしようとしている人々は稼ぐこと以外で、幸せを見出したいと思っているのかもしれません。
さらに、自然栽培はすぐ始められるというメリットもあります。農業というと何かと材料や肥料を用意しなければならないと思いがちですが、自然栽培ならば自宅の庭でも可能です。「始めよう!」と思ったらすぐできるのが自然栽培の魅力なんでしょうね。
大切なのは作物が作物らしく育つ環境
JAはくい粟木政明さん:
自然栽培に携わっている人によっても考え方は異なりますが、私は「作物が作物らしく育つ環境を整えよう」というアプローチであれば、にんにくやとうがらしなどを使用した自然由来の農薬は取り入れていいのではないかと思います。
農業を行う上で土地の状態はかなり重要です。土地によって作物が育ちやすい、育ちにくいというのは異なってくると思うんです。そのため、古くからその地域に伝わってきた知恵(植物由来の農薬)を使うのは、私の塾では良いとしています。むしろ受け継いだほうが良いかなと思っています。
慣行栽培と比べてサイズは小さめ
慣行栽培で作った野菜に比べて、自然栽培の野菜は小さめです。私も実際にマルシェに出て販売していると、お客様に「こんな小さな野菜を売るのはやめたら?もっとしっかりしたものを作りなさい」という声をいただくことがよくあります。
でも、小さいからこそ自然栽培で作った野菜は栄養素が詰まっていて。顕微鏡で細胞を見ると整っていてきれいなんですよ。整っているということは美味しさが全体に行き渡っている証です。
私はやっぱり味にこだわるべきだと思っています。味が美味しくないと、将来野菜にも限界が来るのではないかと。最近の野菜は「甘さ」や「味の濃さ」で評価されがちですが、それらは人工的な味わいなんですよね。自然栽培でつくった野菜は、本来の自然な甘さが味わえるのが魅力です。一度食べてみたらわかっていただけるのですが、例えば、夕食前に自然栽培野菜の試食をすると、「今日は夜ご飯いらないな」と思うくらいの満足感があるので皆さんにぜひ味わってほしいですね。
自然栽培のメリット
JAはくい粟木政明さん:
自然栽培を行った農家さんのメリットの事例として、種ありぶどうを栽培している農家さんのエピソードがあります。その方は、もともと慣行栽培でのぶどうを育てていたのですが、納得する味にならなかったようで、試行錯誤した結果、自然栽培の種ありぶどうに行き着いたそうです。
環境面でいうと、そこのぶどう農園は土がふかふかになったそうです。これには土壌の生態系バランスが関わっています。そのぶどう農園では、多様な雑草を生やしていたため、害虫の標的にならず食害が少なかったんです。
この方法は、奇跡のリンゴで知られる木村秋則さんの自然栽培と通じるものがあります。彼のリンゴ畑は多様な雑草(下草)が生えていたんです。それが彼の技術であって、ものすごくシンプルで、かつ深いんです。シンプルすぎて広まらなかったんですけどね(笑)
今年(2021年)は特に雨が多く、全体的にぶどうの生育が良くないという声が多かったんです。しかし、そのぶどう農家さんは気候の影響も受けずに収穫ができたそうです。
これを受けて近隣のぶどう農園では、草生栽培(果樹の下に生える雑草を除草せず、その根を利用して土壌を管理する方法)が広がっているようです。
自然栽培は環境にもやさしい
JAはくい粟木政明さん:
農業が要因となる地球温暖化への影響は、世界中の研究者によって実証され、現在も研究が進められています。
先ほど、植物の三大栄養素の1つである硝酸態窒素の話をしましたが、適量を超えたりこの濃度が多すぎたりすると、二酸化炭素の約300倍の温室効果ガスを発生させるのです。
硝酸態窒素は決して悪いものではないのですが、増えてしまうと亜酸化窒素に変化します。そして亜酸化窒素が大気中に流れ、オゾン層を破壊してしまうのです。
一方で自然栽培は硝酸態窒素が少ないため、環境に優しい農法です。現代の考え方である「持続可能」にもつながっているので今後は研究が進み、普及していくと思っています。
自然栽培のデメリットや課題を踏まえた今後の展望
JAはくい粟木政明さん:
自然や生態系のバランスを崩さないのあれば、AIやICTなども必要だと私たちは考えています。その理由は、現在問題となっている環境汚染や気候変動によって今の自然栽培の方法ではどうしても限界があるからです。
1940年代に自然農法が岡田茂吉さんや福岡正信さんによって提唱されていました。でも現在の環境とまったく異なっていたのです。当時は、木造の家が多く、道は石でつくられていて、小川は自然の状態で流れていました。
つまり、地上も地下も自然循環が良く多様な微生物が存在できる環境で、どんな場所でも種を撒くだけで作物がもさもさ育ったそうです。
しかしコンクリートと鉄筋で地上は固められ、山も管理されなくなっている現代では、昔のような自然の循環ができなくなっています。1940年代のような環境を整えるためには現代技術に頼らねばならないでしょう。
太陽光の力で働く「アイガモロボ」の導入
JAはくい粟木政明さん:
JAはくいでも現在「アイガモロボ」の導入を検討しています。アイガモロボの特徴は、太陽光の力で水田内を動き、泥をかき混ぜることで雑草が生えるのを抑えられます。
今後、農業の人手不足になっていく中でAI技術は必要ですし、自然栽培との相性はいいと思います。手間となる部分だけをロボットに任せることで、自然栽培は広がりやすくなるのかなと思っています。
これからの自然栽培と存在意義
JAはくい粟木政明さん:
今後自然栽培は、自然と人間をつなぐ新しいアプローチ方法となるでしょう。
自然栽培で大切なのは、心地よい関係性を築くことがメインで、心が伴わないとできないものなんですよ。
実際に奇跡のリンゴの木村さんは、心地よい関係を築くために作物への声かけが一番大事だと仰っています。例えばリンゴの木一本一本に「ちゃんと育ってね」と話しかけてこられたそうです。一方で、声掛けをしなかったリンゴの木はなぜか枯れてしまっていた。そのような話を聞くと、自然界と人間の関係って深いなと思いますね。
関係性の築き方は人それぞれで正解はありません。未だに99%の土壌微生物は解明されていないと言われていますし、その中で人の心に反応する微生物がいてもおかしくないのです。
そして私には娘がいるのですが、将来孫ができたときに学校で提供される給食は、やっぱり美味しくて体に良いものであってほしい。それを実現するためにも自然栽培を続けています。
SDGsと自然栽培の関係性
最後に自然栽培と、SDGsの関係について確認しましょう。
まずはSDGsの概要を簡単におさらいします。
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年の国連サミットで採択された目標で、貧困や不平等・格差、気候変動などさまざまな問題を2030年までに解決するために、17の目標と169のターゲットが掲げられています。
自然栽培はSDGs目標2「飢餓をゼロに」、目標6「安全な水とトイレを世界中に」、目標12「つくる責任 つかう責任」。では具体的にどの目標につながっているのかひとつずつ見てみましょう。
SDGs目標2「飢餓をゼロに」との関わり
SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、飢えをなくし、だれもが栄養のある食料を十分に手にいれられるよう地球の環境を守りながら農業を進めることを目的としています。
世界には9人に1人(※11)が飢餓状態にあり、特に南米やアフリカなど途上国に集中しています。
飢えをなくすには、持続可能な食料生産の仕組みを整える必要があります。そこでキーワードとなるのが”持続可能な農業”です。
持続可能な農業とはその名の通り、持続的に農業を行うことで安定して生産・収穫ができることを意味します。
従来の農業は、大量の農薬と化学肥料を使っていたため、環境汚染が進み、持続可能なものではありませんでした。
目標2を達成するには、土地、水、その他天然資源を有効活用し、生物多様性を取り戻し、気象変動の影響に適応する農業を進めなければなりません。
環境負荷のない自然栽培を進めることは、そうした課題を解消するきっかけとなり、重要な立ち位置にいるのです。
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、世界中の淡水にまつわる課題や問題の解決を目指す目標です。
自然栽培は、農薬や化学肥料を使用しない栽培法。
周辺の土壌や河川の環境を豊かにし、SDGs6.6に掲げられている「2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う」に寄与するものです。
自然栽培は、農作物だけではなく水資源の生物多様性を育む役割も果たすのです。
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」との関わり
次に、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」との関係性です。
この目標は、「なるべく少ない資源で、生産・消費をする」ことを目指しており、具体的には商品が作られる過程の中で、
- 資源の無駄遣いがないこと
- 犠牲になっている人や動物がいないこと
- 環境への悪影響がないこと
が重要となります。
各土地の天然資源を有効利用した自然栽培は、農薬や肥料、資材を必要としないため、環境負荷がないことから持続可能な生産と消費に貢献しています。
まとめ
この記事では自然栽培について詳しく見てきました。
これからは、野菜を購入する際に栽培方法をチェックしてみてくださいね!
<参考文献>
※1:農家が教える 自然農法
※2:日本土壌協会 有機農業で使用可能な資材等
※3:農林水産省
※4:はじめての自然農で野菜づくり
※5:立命館大学研究活動報
※6:よしま農園
※7:はせがわ農園
※8:有機農業研究者会議2012
※9:自然の野菜は腐らない (カルチャー・スタディーズ) 河名 秀郎著
※10:弘前大学「自然栽培と慣行栽培野菜の化学成分の比較 杉山 修一・遠嶋 凪子 弘前大学農学生命科学部」
※11:日本ユニセフ協会
※12:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
※13:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン Q&A