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食の祭典・オーストラリアのNight Feastは廃棄物ゼロを目指したイベント!

人口約250万人を誇るブリスベンでは、地元住民や観光客向けにさまざまなイベントを開催しています。

2023年から新しくはじまったイベントが、食をテーマにしたNight Feast。

ブリスベンの人気レストランのメニューを一度に楽しめることから、イベント期間中は毎日多くの人々で賑わっています。

しかし、イベントを開催するにあたって廃棄物が発生するというデメリットがあり、環境への負荷も懸念されていました。

今回は、Night Feastがどのように廃棄物管理を行っているのかについて詳しく解説していくので、イベントと環境保全の両立に興味がある方はぜひ参考にしてくださいね。

Night Feastとは?

Night Feast(ナイトフィースト)は、クイーンズランド州の州都・ブリスベン郊外で開催されているイベントです。

春にあたる10月と秋にあたる3月頃に行われており、開催期間は約1か月間と長期に及びます。

Night Feast(夜の御馳走)という名称の通り、夕方から夜にかけて食べ物や飲み物の屋台が立ち並びます。

ブリスベンやクイーンズランド州内の約20のレストランが出店し、各店舗の人気メニューやNight Feast限定のオリジナルメニューを楽しめるところが魅力です。

期間中は同じ店が出店し続けており、2023年の1か月間の来場者数は約12万5,000人、食品および飲料の合計注文数は10万1,000個でした。

2023年に始まったばかりの新しいイベントですが、期間中に何度もNight Feastに足を運ぶ市民もいるほどの人気を獲得しています。

Night Feastの開催地

Night Feastは、ブリスベン郊外のNew Farmに位置するPowerhouseで開催されています。

1928年から発電所として使われていた施設で、2024年時点ではPowerhouseを買収したブリスベン市が保有しています。

現在では発電所ではなくアート関連の施設として使用しており、Night Feastのシーズン以外では年間を通してさまざまな展覧会を実施しているのが特徴です。

オーストラリアと廃棄物の関係性

イベントを開催するに伴って問題となるのが、廃棄物です。

エコ大国のイメージが強いオーストラリアですが、実は世界で7番目に廃棄物の量が多い国として知られています。

毎年7,500万トンを超える廃棄物が発生しており、2024年の1人あたりの食品廃棄物は95.8kgです。

2021年の98.75kgと比べると減少傾向にあるものの、意識的に廃棄物削減を行っていくことが大切です。

Night Feastの目標は廃棄物ゼロ!

イベントと切っても切れない関係性を持つ廃棄物の問題。

Night Feastは環境に優しいイベントを開催すべく、Zero Landfill Project(ゼロランドフィルプロジェクト)を行っています。

Zero Landfill Projectとは、廃棄物の量を削減するために取り組む幅広い活動のことを指します。

明確な定義は決まっていないものの、廃棄物の90%を埋め立て地から転用することが一般的な目安です。

また、Zero Landfill Projectは一時的な廃棄物の削減だけでなく、長期的なプランニングにも重きを置いています。

廃棄物管理として再利用、リサイクル、堆肥化可能な素材を取り入れるパターンが多く、Night Feastでは主に以下のような取り組みを行うことでZero Landfill Projectを実現させています。

リサイクル可能な包装

Night Feastでは、器、カトラリー、カップなど、さまざまな食品容器や包装が発生します。

食事を楽しむ上で必要不可欠な容器や包装ですが、プラスチック製を取り入れると全てを廃棄物として処理しなければなりません。

そのため、Night Feastでは容器や包装を全て再利用可能、堆肥化可能、またはリサイクル可能な素材にしています。

来場者は使用済みの容器や包装をリサイクル用のゴミ箱に捨てる仕組みになっており、後にスタッフが回収して全て分別しています。

CleanVibesとの提携

Night Feastで集められたゴミは、CleanVibes(クリーンバイブス)の廃棄物処理専門家チームによって全て手作業で分別されています。

CleanVibesとは、オーストラリアとニュージーランドで展開するイベント清掃サービスのことです。

イベントで発生する廃棄物に特化しているのが特徴で、サスティナブルなイベントの廃棄物管理を目的に運営しています。

イベントエリアの清掃はもちろん、ゴミの分別、正しい廃棄物処理、廃棄物管理報告書の作成など、廃棄量を減少させるためのさまざまなアプローチを行っています。

Night Feastではエリア内のゴミ箱をCleanVibesがチェックし、廃棄物のリサイクル化を実施した上で廃棄物の監査レポートも提出している点が特徴です。

監査レポートには、Night Feastの廃棄物管理を将来的にどのように向上させるかをテーマにしたアイデアが記載されています。

廃棄物の種類とリサイクルへの転用量などを明確化することで、Night Feastが環境マネジメントの見直しを行えるというメリットがあります。

尚、CleanVibesでは食品廃棄物の分別も行っており、2023年のイベント開催時には約6,600kgの有機廃棄物がリサイクルもしくは堆肥化されました。

オーストラリアは食品廃棄物の量も世界10位と深刻な状況ではあるものの、Night Feast はCleanVibesとの提携によってサスティナブルなイベントづくりを実現させています。

ガラス素材の洗浄

1か月間という長期のイベントということもあり、Night Feastの来場者は約12万5,000人です。

1日に換算すると4,000人を超える市民が訪れていることから、廃棄物の処理が追い付かないことも多々あります。

そこで、Night FeastではCleanVibes以外にも清掃専用のスタッフを雇用することでリサイクルの促進に努めています。

有給スタッフたちの主な仕事は、Night Feastで発生するガラス製品の洗浄です。

バーを出店していることから、会場では膨大な量のグラスやボトルが発生します。

しかし、洗浄が不十分な素材はリサイクルする上で汚染物質となり、結果として廃棄物として処理されてしまう点がデメリットです。

Night Feastでは全てのガラス製品を100%リサイクルするため、2023年には1か月間で2万4,000個ものグラスが洗浄されました。

グラスの購入システム

Zero Landfill Projectに取り組むNight Feastでは、グラスの購入システムを導入しています。

Night Feastで1杯目のグラス入りの飲み物を購入するにあたって$7.5を支払う仕組みになっており、2杯目以降はグラスを再利用できます。

店舗側はグラスに飲み物を注ぐだけで提供できるので、余計な廃棄物が発生しません。

尚、Night Feastで購入したグラスには3つの処分方法があります。

1つ目はGlass Return Tentと呼ばれる返却エリアに戻す方法で、グラスの引き渡しに際して$5が払い戻しされます。

残りの$2.5分はZero Landfill Projectへの寄付として回され、来場者が間接的に環境保全に貢献できる点がメリットです。

また、専用の返却BOXにグラスを戻すことも可能となっており、グラスの購入費として支払った$7.5全額がZero Landfill Projectへの寄付となります。

3つ目は返却せずにそのまま持ち帰る方法で、記念として保管する人や自宅でグラスとして活用する人などさまざまです。

さらに、Night Feastではグラスを購入する以外にも、来場者が自身のグラスを持参することも許可しています。

グラスが清潔であることが条件となっているものの、廃棄物を削減するために再利用可能なグラスの定着率向上を目指しています。

まとめ

10万個以上の廃棄物が発生しているNight Feastですが、廃棄物管理の徹底によって環境への負荷を最小限に抑えています。

廃棄物処理の専門家と提携するなど、効果的な戦略を立てることで環境に配慮したイベントを実現している点が特徴です。

グラスの購入システムといったエコに繋がる選択肢も用意されており、運営と来場者が一体となって環境保全に取り組めるイベントです。